大阪シニア自然カレッジ

吟行部会

吟行部会 10月活動報告

開催日2024年10月19日(土)
場所大阪府立弥生文化博物館、史跡池上曽根遺跡
句会会場和泉市立人権文化センター
参加人数14名
兼題「十月」「新米」「色鳥」「コスモス」

酷暑もやっと過ぎ、実りの秋の一日。あいにくの曇り空でしたがJR信太山駅から、遊歩道に導かれ、弥生文化博物館、池上曽根遺跡へ、「卑弥呼」と「弥生時代の遺跡」を巡り、太古の土木技術の凄さに驚かされました。午後は人権文化センターに移動して句会をしました。(MT)

会員代表句

  • 見渡せばコスモス見事我ひとり (尚文)
  • コスモスに広角レンズ近づけり (たけみつ)
  • 吊るし柿ジャンプで通る園児たち (洋々志)
  • 特選に新米五キロ古都句会 (ゆき雄)
  • 幼子のリュックコスモスあふれけり (みえこ)
  • コスモスの風に色添へ気品かな (豊年)
  • 声よりも先に姿の色鳥よ (可笑流)
  • 幼子の声のみ弾む秋桜畑 (せせらぎ)
  • 気が付けばまた探しもの秋の風 (都史子)
  • 日本晴どさりと届く豊の秋 (楠子)
  • コスモスやスカイラインを流れゆく (万未知)
  • 炊きたての仏飯光る今年米 (佐都)
  • 色鳥や先ずは一羽が庭に降り (行行子)
  • 十月やオレンジ色に百貨店 (さんご)

当日句

特選

  • 風抜ける弥生遺跡に石叩 (みえこ)

佳選

  • 身に入むや人面土器の和む唇 (ゆき雄)
  • 律の風太古の井戸に龍静か (たけみつ)

吟行部会 9月活動報告

開催日2024年9月21日(土)
場所大阪狭山市民ふれあいの里
句会会場さやかホール内大会議室S
参加人数16名
兼題「残暑」「秋思」「虫」「芒」

連日残暑厳しく今日も暑いが風がありまだましであった。今日は16名と参加人員が多く、昼食後句会実施。本日より15期の嶋富子様が入会された。終了後今後の句会運営につき意見交換し15時30分に終了した。

会員代表句

  • 石鎚に雲噴き昇る残暑かな (白流子)
  • 裏庭に虫の住処を残しつつ (尚文)
  • 枯芒風のうねりを身に纏い (たけみつ)
  • 最終バス発ちて残りし虫の聲 (洋々志)
  • 道沿ひの芒の叢の傾ぎ来て (まさこ)
  • 甘樫に西を望みて愁思かな (ゆき雄)
  • 青き穂や真直ぐのびて案山子立つ (みえこ)
  • 筆を止めぼんやり窓を見る秋思 (豊年)
  • 秋雷に隠しかの名を大声で (流以)
  • 暗闇をほのかに照らす銀芒 (せせらぎ)
  • 賢治ならオロオロ歩ク秋旱 (都史子)
  • 蹴出しより零るる色香阿波踊 (ふじ乃)
  • 花野道ちちはは越せず逝きし義兄 (楠子)
  • 爪伸びて常より伸びて残暑かな (万未知)
  • ゆけどゆけどすすきすすきの峠かな (行行子)
  • 野の芒風寄す毎に身を伏せる (さんご)

当日句

特選

  • 秋澄むや二上金剛指呼の間 (ゆき雄)
  • リス園で暮らす一生秋の風 (行行子)

吟行部会 7月活動報告

開催日2024年7月20日(土)
場所石仏寺、加賀田神社
参加人数12名(投句1名)
兼題「水盤」「魂祭」「法師蝉」「麦酒」

梅雨明けを目前の猛暑日、南海・美加の台駅から国道を渡り坂道を上り石仏寺(いしぼとけでら)へ、空海が彫ったとされる素朴な石仏を拝観して「チクリンの小屋」へ徒歩で向かう。「チクリンの小屋」で休憩をして 加賀田神社へ向かう予定が暑さでダウン!休憩後、急遽予定変更。早目の昼食、「チクリンの小屋」亭主 井上光司氏と仲間たち手作りの流し竹で、流しそうめんを楽しんで(ご馳走様)昼食後は涼しい部屋での句会となりました。(MT)

会員代表句

  • 鳴き尽くし亡き骸軽き法師蝉 (白流子)
  • 憂い事麦酒で流す今宵かな (尚文)
  • 魂祭母のしぐさを真似る子ら (たけみつ)
  • 押入れの奥に水盤母の影 (洋々志)
  • 炎昼や女子大生のへそピアス (ゆき雄)
  • 水盤の丸きが宇宙めだかかな (みえこ)
  • 魂祭供え上手の母は亡き (豊年)
  • 水盤の涸れたる隅に種一つ (流以)
  • 神の瀑入りて蛭に血吸はれけり (都史子)
  • 法師蝉尼寺けふは観音講 (ふじ乃)
  • 義父送る精霊舟や過疎の村 (楠子)
  • 水盤を前に思案の鋏かな (万未知)
  • 二時間に一本のバス法師蝉 (行行子)

当日句

  • 峰雲や古道名残の煙出し (ゆき雄)
  • 本尊は円らか石や夏深し (流以)

吟行部会 6月活動報告

開催日2024年6月15日(土)
場所浜寺公園(バラ園、惜松碑)、大鳥大社
句会会場日本料理「竜起」
参加人数17名
兼題「ゆすらうめ」「代田」「蝙蝠(こうもり)」「葭簀(よしず)」

浜寺公園のバラ園では、池の睡蓮や、時折吹く風、小川を流れる水の音に、ほんの少し暑さを忘れつつ散策することができました。また、噴水プールではしゃぐ子どもたちの声を聞きながら、惜松碑に刻まれた万葉仮名を鑑賞し、公園の松林の歴史を学びました。その後バスで大鳥大社へと移動し、参拝の後、旧熊野街道である鳳商店街を通り抜け、句会会場へと向かいました。(S.A)

会員代表句

  • 薄昏て代田おのおの月一つ (白流子)
  • 古の海の思い出葭簀張り (尚文)
  • 葭簀張り祖母がコツクリ昼寝する (ゆう一)
  • 天地や田の字つらなり代田なる (たけみつ)
  • 田植え待つ田の多きこと能登岬 (洋々志)
  • 亡夫と往く産土の地のゆすらうめ (まさこ)
  • 億万の光生ましめ代田風 (ゆき雄)
  • 菓子紐の一人あやとりゆすらうめ (みえこ)
  • 生物の気合が入る代田かな (豊年)
  • 貴船には屋根にも葭簀涼を食う (河笑流)
  • 葭簀張り命澄みゆく老いてこそ (流以)
  • お稽古の今朝の席入り葭障子 (都史子)
  • 鬼遊び鬼も子も摘むゆすらうめ (ふじ乃)
  • 雨ごとに嵩む紫陽花まだみどり (楠子)
  • 水鏡あすは総出の代田かな (万未知)
  • 代田より流るる風と大合唱 (佐都)
  • なんとなく一日が過ぎ葭簀巻く(行行子)

当日句

特選

  • 「グレイス」の名札残して薔薇の散る (みえこ)
  • いにしへの高師の浜の松落葉 (楠子)

吟行部会 5月活動報告

開催日2024年5月18日(土)
場所四天王寺、夕陽丘界隈
参加人数13名
兼題「雷」「夏帽子」「ソーダ水」「四十雀」

5月と思えぬほどの強い日差しの中 大阪市の上町台地の一部を散策。地下鉄四天王寺夕陽丘駅に集合。まず愛染堂からスタートしてすぐ近くの大江神社、愛染坂を下り大阪市内唯一の滝のある清水寺で涼みながら一休み。次に戦国武将真田幸村ゆかりの安居神社に。最後に四天王寺を参拝して一時解散。昼食後場所を西区民センターまでメトロで移動しての句会でした。(M.S)

会員代表句

  • 新緑の参道駆ける人馬かな (尚文)
  • 夏帽子映画みたいに空を舞い (たけみつ)
  • 文庫本捲る手止まる春の雷 (洋々志)
  • 一太刀にハルカス仕留め日雷 (ゆき雄)
  • 水底に初夏の光や亀の影 (みえこ)
  • ソーダ水喉を通して昭和かな (豊年)
  • パナマ帽澄ました父はセピア色 (河笑流)
  • 新緑の光と香り部屋までも (良子)
  • 風青しうつろふダム湖の波の色 (都史子)
  • 竹落葉ふかふかふかと降り積もる (楠子)
  • しゅわしゅわは昭和の思い出ソーダ水 (万未知)
  • 手を繋ぎ姉と出発夏帽子 (佐都)
  • 対岸へ大声上げて夏帽子 (行行子)

当日句

特選

  • 夏めくや試し太鼓の弾む音 (洋々)

入選

  • 風薫る太子の幻影回廊に (楠子)
  • 緑陰の玉出の水の清水落つ (たけみつ)

吟行部会 4月活動報告

開催日2024年4月20日(土)
場所奈良県葛城市 當麻寺
参加人数15名
兼題「春(の)宵」「入学(園)」「四月馬鹿」「夜桜」

黄砂に霞む奈良盆地、先週末に中将姫に因む練供養会式を終え牡丹祭を開催中の当麻寺へ。仁王門から、(現存天守ではないが)東西両塔が唯一残るお寺の境内を散策しながら奥の院へ。浄土庭園の牡丹や藤の花などを愛で書院で精進料理に舌鼓の後例会に移った。
参道の土産物をつまみぐい、相撲の元祖当麻蹴速塚と相撲館、お寺の国宝・重文やお庭の珍しい花を観賞したりと、盛りだくさんの吟行となった。

会員代表句

  • ソプラノの高らか響く春の宵 (たけみつ)
  • 鉛筆の香り背負って入学児 (洋々志)
  • 寄する波テトラポッドに爆ずる春 (まさこ)
  • 車屋は大和をとめや春の古都 (ゆき雄)
  • 夜桜や人込みさけてシーソーす (みゑこ)
  • 入学児帽子深くし歩きけり (豊年)
  • 逝きし母桜しべ降る千曲川 (可笑流)※しべは漢字
  • ひと片を框へ運ぶ桜東風 (流以)
  • 友の家更地になりて春の草 (上田良子)
  • 大法螺を吹く子の一理万愚節 (都史子)
  • 花馬酔木城跡に立つ無縁塚 (ふじ乃)
  • 黄砂降る遥かなタワマンセピア色 (楠子)
  • 夜桜の闇に覗くは異界かな (万未知)
  • 春の宵テールランプの続く帰路 (佐都))
  • 身一つをもてあましつつ春の宵 (行行子)

当日句

特選

  • ぼうたんに慈母のごとくに白和傘 (ゆき雄)

入選

  • 蓮華座に姫の御座して咲く牡丹 (ふじ乃)

吟行部会 3月活動報告

開催日2024年3月16日(土)
場所堺アルフォンス・ミュシャ館
句会場堺アルフォンス・ミュシャ館のギャラリーしょうぶ1
参加人数14名
兼題「花冷」「雀の子」「山吹」「花粉症」

春の訪れが実感できる上天気の暖かいひよりになり、途中で上着を脱ぐ人もいた。堺東駅から反正天皇陵、方違神社経由で堺 アルフォンス・ミュシャ館までゆっくりと吟行した後、ミュシャの絵画を鑑賞した。

会員代表句

  • 水温む生き物全て輝けり (尚文)
  • 花冷やつぼみも我も立ち止まり (たけみつ)
  • 眠り誘うチン電の音春うらら (洋々志)
  • 奥能登の浜の山吹艶かなれ (まさこ)
  • 花冷や神社の句座に巫女ひとり (ゆき雄)
  • 今日一輪あわせて二輪幣辛夷 (みえこ)
  • 花冷のホームに響くヒールの音 (河笑流)
  • うっすらと愁ふ女雛のすまし顔 (流以)
  • プラハの春ミュシャの薔薇窓光満つ (都史子)
  • 子雀も小粋に決めるハンチング (楠子)
  • しなる枝ぶわっと吐き出すスギ花粉 (万未知)
  • じゃばら飴本当に効くか花粉症 (佐都)
  • 山吹や今は動かぬ水車小屋 (行行子)
  • 雀の子漸く声が届きけり (豊年)

当日句

特選

  • 春光が掬う大の子宮まいり (流以)
  • 囀や古墳の杜を膨らませ (ゆき雄)

吟行部会 2月活動報告

開催日2024年2月17日(土)
場所大仙公園
句会会場堺市総合福祉会館
参加人数13名(投句1名)
兼題「早春」「山覚める」「草餅」「猫柳」

仁徳天皇陵前でボランテイアさんから「古墳」の説明の後、梅の花が満開の公園内をゆっくりと吟行しました。ここ数日の暖かさで、桜の花も咲き始めていました。その後 句会会場までバスで移動しました。

会員代表句

  • 春日浴びゆっくり過ごす日も楽し (尚文)
  • 山覚める大地ゆるりと目覚めけり (たけみつ)
  • 風も良し光また良し猫柳 (洋洋志)
  • 早春や伸び始めたる豆の蔓 (まさこ)
  • せせらぎに銀の音符よ猫柳 (ゆき雄)
  • 早春や淀の土手行く潮の風 (みえこ)
  • 初音から今日で五日目上手く鳴き (河笑流)
  • きつぱりと世に出て来たり蕗の薹 (ふじ乃)
  • おわかれね濃く匂ひくる沈丁花 (楠子)
  • 塔ふたつ草餅二つ當麻寺 (万未知)
  • 草餅や母が使ひし皿に置く (佐都)
  • 猫柳昨夜の雨を含みおり (行行子)
  • 釣り人に笑みを来たすや猫柳 (豊年)

当日句

特選

  • 春立つも輝き見せず濠の水 (洋洋志)

入選

  • 風光り静寂(しじま)の統ぶる円(まろ)き墳 (ゆき雄)

吟行部会 1月活動報告

開催日2024年1月20日(土)
場所岸和田 (蛸地蔵駅・天性寺・紀州街道・だんじり会館・岸和田城)
句会場岸和田中央地区公民館 講座室
参加人数14名(投句1名)
兼題「新年」「悴む」「竹馬」「蝋梅」

前夜より残る雨模様でしたが、蛸地蔵駅に集合した頃にはどうにか上がっていてゆっくり吟行することができました。
だんじり会館・岸和田城ではボランティアガイドさんの丁寧な説明につい時間が気になってしまう程で、熱心にまた楽しく話してくださいました。
駅前商店街を抜け、天性寺、紀州街道は風情があり、古を彷彿させる町並みでした。(U.T)

会員代表句

  • 注連飾り隣近所が気にかかる (尚文)
  • 柏手二拍淑気満ちたり龍を呼び (たけみつ)
  • 寒日和ただそれだけの馳走かな (洋々志)
  • 啾々と鬼も哭きをり凍つる能登 (ゆき雄)
  • 祝箸名を書く夫に傘寿くる (みえこ)
  • 顔見せぬ孫の名前も箸紙に (河笑流)
  • 蝋梅や何故に淋しき色つけて (流以)
  • 句座に入る寒紅きりと引き直し (都史子)
  • 寒風に身じろぎもせず読経僧 (ふじ乃)
  • 蝋梅の匂ひ降り来る路地の角 (楠子)
  • 竹馬を斜めに倒し駆け比べ (万未知)
  • 悴むやリードの先に犬二匹 (佐都)
  • 竹馬やがき大将に孫九人 (行行子)
  • 竹馬が屋根に眠りたボール取る (豊年)

当日句

特選

  • 寒日和千亀利の城の濠閑か (洋々志)

佳選

  • 冬空の八陣の庭白く映え (河笑流)
  • 蛸地蔵の謂れの寺に懐手 (都史子)

吟行部会 12月活動報告

開催日2023年12月16日(土)
場所東高野街道、道明寺界隈
句会場汐ノ宮「百年邑」
参加人数14名
兼題「冴ゆ」「年惜しむ」「手袋」「熊」

前日よりの雨しぐれの続く吟行会、皆さん雨覚悟の出立ち。幸いにも風もなく空も雨を我慢してくれた天候の下、14名道明寺界隈を巡りました。東高野街道は弘法大師が京の東寺と高野山に本拠を構えられて以来、一番よくお通いになられた街道とのこと、私たちも僅かな道のりながら大師の偉業を会間見せて頂く吟歩となりました。 (M.M)

会員代表句

  • 年惜しむ年となりゐて髪を切る (たけみつ)
  • 陽だまりや年惜しむ程の事もなく (洋々志)
  • 一筆の雲鮮やかに冬はじめ (まさこ)
  • 百寿なるモダンな義母と年惜しむ (ゆき雄)
  • 冴ゆる夜の靴音星に響きけり (みえこ)
  • 冴ゆる空震え眺むる大三角 (河笑流)
  • 冴ゆる夜も凛と住吉高灯籠 (流以)
  • 走り書き多き句帳や年惜しむ (都史子)
  • 冴ゆる夜竹灯籠の揺らぐ道 (ふじ乃)
  • 人の世の戦終わらず年暮るる (楠子)
  • 手袋を慌ててはずす着信音 (万未知)
  • 月冴ゆる銭湯前の待ち合わせ (佐都)
  • 最後まで後三ページ月冴ゆる (行行子)
  • 忘れ得ぬあの手袋を失くしけり (豊年)

当日句

特選

  • 撫牛の鼻に手を当て年惜しむ (都史子)
  • 濡れ砂利の清けき砂紋ふゆの寺 (流以)