大阪シニア自然カレッジ

マップ作り部会

マップ作り部会 4月活動報告

開催日2024年4月23日(火)
場所堺自然ふれあいの森
参加人数12名

昨年会員の方と相談の上2024年度の観察場所を堺市の「堺自然ふれあいの森」としたが今日はその第1回目。場所を区切って植物リストを作成するのだがその区切りは<A地区>森の館前の広場から入り口に近い法道寺川沿いの明るく開けた草はら。<B地区>アップダウンや階段のある尾根道を中心とした雑木の多い部分。<C地区>尾根道を挟んだA地区の反対側の湿り気のある第2豊田川沿いの第2豊田川みち周辺・・・とするのが良いかと思う。  

雨を気にしながらの一日になりそうだ。

A地区

階段下にピンク色の花の色が濃く感じられるハルジオン。キンポウゲ科らしい光沢のある黄色い花のウマノアシガタの群生は華やか。春の黄色い花々はさらにヘビイチゴと副萼片の大きいヤブヘビイチゴ、ハルノノゲシ、カタバミ、オッタチカタバミ、ケキツネノボタン、カンサイタンポポ、オニタビラコ、コナスビ、小さな花のコメツブツメクサ等々。スイバの雄花は「花柄があるからホラ振ると揺れるでしょ」と雌花との違いを会員の方に教えていただく。見て聞いて少しずつ知識が増えて行く。ギシギシも咲き始めた。オオバコと白い雄蕊が輪に見えるヘラオオバコ、青紫色の花のオオイヌノフグリとそれより小さな花のタチイヌノフグリは共にオオバコ科。他にヒメオドリコソウ、シロツメクサ、カラスノエンドウ(巻きひげは通常3分枝)にカスマグサ(巻きひげは分枝しない)、ハコベ、ウシハコベ(花の柱頭は5裂↔他のハコベ類は3裂)、ナズナ、ミチタネツケバナ、オランダミミナグサ、スズメノテッポウ(イネ科)、スズメノヤリ(イグサ科)、ヤエムグラ、厄介なメリケントキンソウも見付ける。奥の方ではサギゴケの群生も見る事ができた。 木本ではアケビ、コナラの雌花序・雄花序を見る。

B地区

ゲンゲ(レンゲ)、イヌガラシ、ハハコグサ、カヤツリグサ科のゴウソ。シダ類では瑞々しいコシダの群生。ゼンマイは渦を巻いているのは栄養葉の若芽で茶色いのは胞子葉だとある。そして間近にコモウセンゴケを観察する。木本では尾根道に向かう入り口で薄いクリーム色のコマユミの花を、至る所でカマツカの真っ白い花を見る。背の高いクロバイは見付けにくいが美しい落花でそれと分る。育成地の若い松が幾本もの長い新芽を伸ばしていた。他に白いコバノガマズミ、コバノミツバツツジ、モチツツジ、ヤマツツジ、ヤマフジの花、ヒメコウゾの雄花・雌花を見る。またホオノキやふわふわの葉のヤブムラサキ、ナツハゼが蕾を付けていた。

見はらし広場と云う所でお昼にしたが谷の向こうに山々が見え、こちらも山に登った気分になる。昼食後は足下が悪いと谷みちを下らずに尾根みちを森の館へ引き返す。が時間も早かったのでチゴユリを見に豊田川沿いの道を歩く。

C地区

ニョイスミレは花期が遅いので群生もまだ綺麗に咲いていた。またタチツボスミレ、シハイスミレなど花数は少ないが全域で見られた。“第2豊田川みち”から“蔓の谷みち”を少し上がった所にチゴユリがまだ残っていた。またシュンラン、粘菌なども見ることができた。ハナミョウガはまだ赤い実を付けていたが花期は5~6月で10~15㎝になると云う花序を見逃さないようにしたい。

終了後、園と部会を開催できる日を確かめるが何とか予定が立ったのでほっとする。

次回5月の活動日は31日・金曜日になります。ご注意ください。(Y.M)

マップ作り部会 2月活動報告

開催日2024年2月26日(月)
場所新檜尾公園から甲斐田川沿いのA・B地区
参加人数11名

前日までの雨の影響が気になるところだが光明池駅からまず新檜尾公園に向かう。歩道橋脇のユリノキはわずかに実を残すのみ。<草本>公園では紅紫色のカラスノエンドウが咲き始め、越年したものか大きいヒメムカシヨモギや薄い紫色の花のヒメジョオン、小さな花のヒメウズも見付けた。控えめな白い小さな花のミチタネツケバナ、黄色い花のオニタビラコやハルノノゲシ。セイヨウタンポポは大きな花を茎をあまり伸ばさず地面の上に咲かせている。イネ科ではミゾイチゴツナギやカモガヤ(B地区)を見る。ロゼット状の根生葉など足下の緑にも目が行く。まだ柔らかい大きな葉をこんもりと茂らせているのはスイバ。茎葉は柄が無く茎を抱くが、根生葉は長い柄が有り基部は矢じり型。やや細長い葉を丸く広げているチチコグサは葡枝を伸ばして回りに仲間を作っている。葉が重なるように出ているウラジロチチコグサ。タンポポの根生葉はくさびの様に深く切れ込んでいるので良く解る。細い葉をつんつん伸ばしているツルボやヒガンバナ。昨年部員の方に指摘を受けた新帰化植物と云われるシラホシムグラ(節の上に長毛があるのでヤエムグラと区別できる)が群生している。岩に付いているのはノキシノブ。スズメウリの実もまだ残っていた。甲斐田川沿いでは黄色いミヤコグサ(マメ科・花期5~7月)が早くも咲き始めており、似ているオオイヌノフグリと違って毛深いフラサバソウも淡紫色の花を付けていた。

<木本>新檜尾公園では春分の頃に鮮やか赤色の花が咲くと云うイスノキ(別名ヒョンノキ)に赤い粒々の蕾を見付ける。次回が楽しみだ。葉はナンテンのように枝垂れヒイラギの様な刺のあるヒイラギナンテン(柊南天)、美しく紅葉している部分もあるが、春には緑色に戻るのだとか。今は優しい香りのする黄色い花を付けていた。アキニレの樹皮の模様も楽しい。ボケの朱色の花は満開。丸くて可愛いムクロジ実がまだ残っていた。コブシのベージュ色の蕾は優しい毛に包まれている。枝に付いたまま黒くなっているロウバイの実は、甘い香りの柔らかいクリーム色の花とは対照的。千両はまだ沢山の赤い実を付けていた。甲斐田川沿いでは何もなくなったアカメガシワの裸木を観察。タイワンフウも葉を落としてしまうとわかりにくい。トウネズミモチの黒紫色の実は残っていた。四角に刈り込まれてしまったユキヤナギがぽつぽつと白い花を咲かせ始めていた。

草本も木本も花や葉の茂っていないこの時期に観察できるものがあることに改めて気付かされた一日だった。

ところでセイヨウタンポポの総苞外片はなぜ外側に反っているのか?浜松科学館自然観察園の報告によるとそれは「鼠返しのようにナメクジから花を守るための防御機能」とあった。日本でも普通に見られるチャコウラナメクジ(茶甲羅蛞蝓:体内に板状の甲羅がある・・・確かめる気にはなれない)はセイヨウタンポポと同じくヨーロッパ原産の外来生物(共に1950年頃来日)で特にタンポポの花を好むと云う。セイヨウタンポポ、外片の反っていない在来のタンポポを用意して観察実験、さらにセイヨウタンポポの反った外片を取り除いて実験したところ上記の防御機能が実証されたそうだ。・・・「タンポポとナメクジの知られざる物語」より。日本のタンポポ、以前からいただろうナメクジ、色々疑問が湧くが調べきれていない。ちなみにセイヨウタンポポの外片の反りは蕾の頃から見られるそうだ。(文・写真 Y.M)

マップ作り部会 3月活動報告

開催日2024年3月25日(月)
場所新檜尾公園から甲斐田川沿い+鴨谷池
参加人数8名

雨が気になる2023年度最後の部会は8名の方の参加でスタートする。

<草本>アマナ(甘菜=鱗茎が食用になり甘味があるため・ユリ科)が見られると教えて頂き、まずは光明池駅から赤坂台センター方向に向かう。道脇に群落が有り細長い大きな蕾を付けていた。残念ながら花は日が当たらないと開かないそうで低い草丈に4㎝ほどの白い花が咲いた姿を想像してみる。新檜尾公園に戻って観察を続ける。至る所で見られたスズメノヤリ(雀の槍)。スズメノテッポウはイネ科だがこちらはイグサ科。細長い葉の縁には白く長い毛が生えていて葉の先が棒状に硬くなっているのも特徴。くす玉の様な頭花の仕組みも少々複雑、先に雌蕊が成熟しその後雄蕊の葯が伸びてくるとあるので今は葯が目立つ雄性期と思われる。昨年5月に咲いていたアメリカオニアザミはまだロゼット状の葉の塊。先月見たオニタビラコ、カラスノエンドウ、セイヨウタンポポ、ハルノノゲシ、ヒメウズ、ヒメジョオン、フラサバソウ、ミチタネツケバナ、ミドリハコベ、ミヤコグサ(甲斐田川沿い)などの他に葉間に花を付けるため名付けられたというハナイバナ(葉内花・ムラサキ科)の中心が白い薄紫色の小さな花を確認する。昨4月丸く群生していた紫色と白色のサギゴケ、オランダミミナグサ、葉の重なり具合の見事なヒメオドリコソウが咲き始め、小川のほとりではキツネノボタンの黄色い花を見付ける。よく見かける毛の多いケキツネノボタンと違ってこちらの茎は無毛、葉の切れ込みも浅く、咲く時期もやや早いようだ。シャガの花が早、咲きそろっていた。イネ科ではカモガヤ、イチゴツナギ、ミゾイチゴツナギを見る。

<木本>楽しみにしていたイスノキ(別名ヒョンノキ)。2月より花序は増えていたが一部の樹でしか見られなかった。綺麗な赤い色をしているが花弁が無いので控えめな感じ。写真では突き出た雌蕊の先が二股になっているのが分った。満開のハクモクレンは見応え充分、ボケは今は白花が満開。また赤と白の絞りのツバキやコシノヒガンと思われる桜の花も見られた。引き続きヒイラギナンテンやユキヤナギの花とイヌビワ、ムクロジ、クロガネモチなどの実を見る。クスノキのひこばえは爽やかな緑色で樹肌はすべすべ。ラクウショウやメタセコイアにはまだ目立った変化は見られなかった。   

甲斐田川沿いの道では足元が泥濘む所があるので2月に続き途中から鴨谷池へむかう。あまり鳥は見られなかったが帰り道トガリアミガサタケ(尖網笠茸)に出会う。目が慣れてくると結構生えているのが分る。持ち帰った方はシチューに入れて食べたそうで、「量は半分くらいになったが歯ごたえもあり良い出汁が出て美味しかった」との事・・・凄い。キクラゲを採って帰られた方もあるのでまた感想を聞かせて頂ければと思う。

今日のメンバーは全員野鳥部会員でもあり、絶え間なく聞こえる鳥のさえずりや小鳥の群れの移動する様も楽しんだ一日となった。(文・写真 Y.M)

マップ作り部会 11月活動報告

開催日2023年11月27日(月)
場所新檜尾公園~光明池
参加人数13名

今回は今年最後の部会と云う事もあり、主に樹々の変化を見ながら新檜尾公園から光明池までコース全域を歩く事にする。

公園のイスノキ(ヒョンノキ)はゴツゴツした大きな虫えいを沢山ぶら下げていた。春分の頃には鮮やか赤色の花が咲くそうだ。針葉樹だが落葉するラクウショウ(落羽松)とメタセコイア(曙杉)は良く似ているように思うが落葉や実を見ると違いがはっきり解る。ラクウショウは互生。メタセコイアは対生で側枝ごと落葉する。落葉後も軸の緑色が残るので美しい。枝先に垂れ下がっているのは雄花のつぼみと判明。2~4月に花らしくない花が咲くとあるので気を付けておきたい。また若葉は甘味があって美味しいとも書かれていた。メタセコイアは一度絶滅したと思われていた植物だが1946年中国で大木が再発見され、生きている植物化石と呼ばれている。日本でも株化石が見つかっていて、現在日本各地に育っているのは1950年にアメリカから送られた苗木100本が元だそうでその成長ぶりに驚く。第1号は昭和天皇に献上され、愛でた陛下は昭和62年の歌会始に「わが国のたちなほり来(こ)し年々にあけぼのすぎの木はのびにけり」と詠まれたと云う。

公園からもみじ谷と呼ばれている所に寄り道。モミジの赤、橙、黄色の紅葉が青いままの緑に映えて何とも美しい。コースにはモミジの木が少ないので案内して頂いて感謝。 続いて花芽を沢山付けたコブシやムクロジの黄葉、此処では控えめな紅葉のニシキギ等を見ながら甲斐田川沿いへと進む。

黒い実を付けたスイカズラ(花期は4・5月)の細い蔓には毛が密生、冬の厚めになった葉は少し裏に巻く。エゴノキの実は薄緑色の果皮は破けて黒っぽい種子が露出していた。タニウツギは細長い実と共にまだ桃色の花を付けていた。キリは実と薄茶色の毛に覆われたような変わった花芽を付けている。小さいが甘酸っぱくて美味しいアキグミの実は手の届く所には残っておらず残念。イボタノキも思ったより大きな黒い実を付けていた。繊細な花や葉のネムノキは今は大きな豆果をぶら下げている。トウネズミモチの実はたわわで美味しそうにすら見える。ナンキンハゼは紅葉に白い実。ヌルデの紅葉も美しいが小さな実を口に入れ皆さん「しょっぱ!」アキニレの色の変化は赤から緑まで賑やか、実はアーモンド味がすると云うが解らなかった。他にアカメガシワ、イヌビワ等の黄葉。カナメモチ等の赤い実。アラカシ、シラカシ、クヌギ等のドングリを観察。

草本ではまだ咲いているヒメジョオン、ノゲシ、オニタビラコ、ヤナギタデ(蕾)などを見る。晩秋を充分楽しんだ一日であった。(文・写真 Y.M)