植物部会 11月活動報告
今にも降りだしそうな曇り空、降雨は夕方から予報されているが、降り始めないことを願って出発。 天見駅周辺では早くも秋の花や実が彼方此方に、 キク科の淡紫色したヨメナ、白色のケシロヨメナとイナカギクに拡大鏡なしでは形がよく分らないヨモギ、イタドリなどの小さな花やアオツヅラフジ、マユミ、スズメウリ、トキリマメ、カラムシ、ナンテンの実、アオツヅラフジの種を取り出しアンモナイト形をしていることを確認。 例年は実が見られるセンニンソウもまだ花が咲いている状態だ。 イネ科の多くの植物は枯れかっているがススキやアブラススキは元気。
島の谷の入り口でもある蟹井神社に1時間半以上かかりようやく到着。 ここからは緩やかな登り勾配の山道と左側に崖が続く。 崖にはミツデウラボシなどのシダ類や本日お目当ての黄色の野菊アワコガネキクやヤマハッカ、ヨシノアザミの花、イネ科のノガリヤスが続く。樹木のダンコウバイはまだ黄葉には早く、果実も色づいていない。
島の谷の集落に入ると道沿い両側はかなり草刈りにあっていたが、それでもアキノキリンソウをようやく1輪見つけ、アキノタムラソウやコナスビの花、実を付けたカテンソウやキヅタの実を観察。 道沿いの群生して咲くイヌタデも群となると見事だ。 島の谷の集落を抜け棚田の中でようやく昼食。 土手にはヤクシソウの花が一面に咲き、道沿いにはヨメナやアキノノゲシの花が咲いている。 過去ではヤクシソウの花が辺り一面に土手をうめ尽くしていたことを思えば今年は余りにも物足りない。
午後に入ると、ぽつぽつと小雨が降り始めたので、観察を中止し駅への直行コースへと変更。それでも行きに見落としたシロダモの樹木を見つけるが、開花には少し早い蕾状態でした。 草木の実が熟すには、もう少し先のように思える秋の植物観察でした。(M.K 写真M.K&K.T)
シロダモの蕾
植物部会 10月活動報告
暑さも和らぎ、日差しも穏やかに感じるのは月が変わっただけではないような・・・ようやく秋の気配?? 長い夏で秋の花は咲いているだろうか そんな心配を抱きながら植物観察会は始まりました。
先ず森の館前の広場では、キンミズヒキやアレチヌスビトハギ、キツネノマゴの花が真っ盛り、広場一面に広がるカゼクサ、メヒシバ、シマスズメノヒエ、キシュウスズメノヒエ、タチスズメノヒエ、キンエノコロ、アキノエノコログサなどのよく似たイネ科の植物をその違いを確認しながらの観察。 法道寺川では、その川底、岸部にアブラススキやオオクサキビ、ジュズダマの背が高いイネ科植物とマメアサガオ、ホシアサガオのボントクタデの花が混然となって覆いつくしている。
花盛りのソバ畑を抜けると、今度はヒガンバナが真っ盛りだ。 今回、皆さんが期待しているナンバンギセルの花情報が無い。それでも全員がススキをかき分け捜すと「見つけた」の歓声が、株は小さいが、それも数か所に。 そしてススキの中にはタムラソウの花も。 近くにはツリガネニンジンやイボクサの群生、ススキと背丈を競うメマツヨイグサ、ヨウシュヤマゴボウの実、ウメモドキの赤い実、ノコンギク、アキノタムラソウの花も。 キンエノコロやチカラシバの同種だけが群生している草地では、「地味なイネ科の雑草も良いですね」の声が・・・
午後は第2豊田川沿いを往復。 ヒヨドリバナやダイコンソウ、イヌタデ、ハキダメギク、アメリカイヌホオズキ、アオミズ、キンミズヒキ、チヂミザサ、マルバハギなどの夏の終わりから秋の初めの花が元気だ。 残念だったのは花を楽しみにしていたタチカモメヅルが草刈りにあっていたこと。
今年は、夏の季節が一段と長かった所為か、秋の花も遅く、樹木の実もまだ青くて少ないように感じた。 (M.K)
ナンバンギセル
タムラソウ
植物部会 6月活動報告
「萬葉集には約180種の万葉名で詠まれた植物が登場し、現代の植物名とは異なるものも多く、多数の植物説があるものが含まれていますので、園内には約300種が万葉植物とされ植栽、育成されています。植物園とありますので、花が見られると思って入ってくる外国の観光客の方もいらっしゃいますが、フジの花が終わった今頃は花が少なく・・・」と園内に入る門の前から本植物園の管理を任されている春日大社職員のKさんの説明から植物解説は始まった。万葉集の中で詠われる全ての植物が順次園内集回路の両側に植えられ、植物毎に万葉植物名、現代植物名、植物名を詠んだ万葉歌とその数、植物の解説板がその前に立っている。園内に入っても、Kさんの饒舌な解説は留まる所を知らない。70種を超える植物を次から次へと休むことなく説明していく。聞き入る我々も、時にはユーモアを混じえた解説ぶりについつい引き込まれ喉の渇きを忘れるほど、あっという間に予定の1時間半を過ぎていました。最後はつい最近一般公開された園内の「神庭」と呼ばれる石庭を案内され、午前の部を終了。部員の皆さんも、疲れも忘れ充分満足したとの声でした。
午後は奈良博物館へ行く人たちと離れて、春日大社の境内林と奈良公園の巨樹巡り。大社の南に位置する幹回り5mの巨樹のイチイガシの近くでようやく昼食。食後はスギの巨樹とナギ林を見ながら飛火野へ、林下は鹿の食べないイワヒメワラビやナチシダ、アセビが所々に生えているだけで、ずうっと先まで見通せる。飛火野ではここ春日山原生林で多く生えているイヌガシと野原に孤立するクスノキの巨樹を遠目に見ながら浅茅ヶ原を抜け奈良博物館の南へ、幹から竹が突き出しているムクロジの巨木、花が終わったばかりでまだ花柄を残している刺だらけのサイカチの古木とその隣のアキニレを観察。木の周りは柵で囲まれ、その下では鹿が地面から一面に生えている若草を残して周りの僅かな草を採餌している。鹿の食べない草とは何?イラクサ?ここを最後に本日の部会はお開きとなった。
とにかく公園内やバス、電車は外国人を多く含む観光客と修学旅行生で人、人、人の波。いつもの部会より数倍疲れたように思います。
解説して頂いた植物の中で印象に残ったものをあげますと・・・
むらさき(現代植物名:ムラサキ)
丁度、開花の季節、枝先に小さな紫ではなく白い花が数輪咲いていました。ムラサキは絶滅危惧種で、紫根は紫の染料となり、ほとんどが栽培されていますが育てるのが大変難しいようです。また薬草としても紫根から抽出されるシコンエキスはボナギノール等の薬品名でも知られています。さらに付け加えるならば紫根は土中にあるうちは紫でなく、土から離れてはじめて紫色となるそうです。萬葉歌には「茜さす紫野(むらさきの)行き 標野(しめの)行き野守(のもり)は見ずや 君が袖振る」額田王、の他9首。
さきくさ
漢字では三枝と書き、現在では音変化してさえぐさ、さいぐさと読んでいる。字から茎から三つの枝が出ている草木を指すが、具体的には諸説あり解っていないようです。ミツマタが最有力で他にはフクジュソウや沈丁花の名も挙がっている。萬葉歌は「春さればまづ三枝(さきくさ)の幸(さき)くあらば後(のち)にも逢はむな恋ひそ我妹(わぎも)」柿本人麻呂歌集の中の歌でさきくさは幸の枕詞で使われており、植物の同定しにくいことが解ります。
おもひぐさ
現代植物名はナンバンギセル、歌からも尾花(ススキ)に寄生する植物のナンバンキセルが頭に浮かびます。頭を垂れて物思いにふける姿とか、萬葉歌は「道の辺(へ)の尾花(をばな)が下の 思ひ草 今さらさらに 何をか思はむ」作者は不明でこの1首のみ。
かたかご
現代植物名はカタクリ、カタクリはかたかごの変化したもの、現在でも和歌俳句の世界では、かたかごという名前でよく詠われていますが、萬葉歌では「もののふの、八十(やそ)娘子(をとめ)らが、汲み乱(まが)ふ、寺井(てらゐ)の上の、堅香子(かたかご)の花」大伴家持の歌1首のみ。古代では余り知られていなかった花のようで、他の花という説も。
そして、いとおかしなお話(解説)も加えますと・・・。
- 園内の一角に柿本人麿呂が祀られていましたが、万葉集に一番多くの歌を残した歌人、歌聖としてではなく、火難除けとしての火伏せ神様信仰として「火気の元、火止まる」だそうで・・・。
- 万両、千両、百両、十両を庭に植えているならば、一両のアリドオシを忘れずに植えてください。だって万両、千両が「有りどおし」とならなければ・・・。
- 大きなだいだいの実がついていましたがその実は昨年のもの、橙は一つの株に2~3年代の果実がつき、冬は橙色に夏は緑色と変化を繰り返すので中国名は「回青橙」、そして日本では代々と栄えると縁起物として正月の鏡餅の上に、ですからミカンでは代用になりません・・・。
(M.K)
植物園の前にて
植物園内を一望一望
むらさきの植物の前で
ムラサキ(むらさき)の花
臥竜のイチイガシ
かたかご(カタクリ)の前の解説立札
新しく公開された石庭(神庭)
幹から竹の突き出たムクロジ
刺だらけのサイカチ
鹿も食べない残されたイラクサ
植物部会 5月活動報告
心地よい五月晴れの風に誘われてか33名という多数が陶器山に集合。先ずはここ陶器山をよく知っているKさんの案内で、ギンランの咲いている場所を目指し尾根道を北へ、道中の両側に続く木々の若葉がまぶしい。この時期に緑道を歩くのは本当に清々しく気持ち良い。お目当てのギンランは少し遅いのではと心配したが、まだまだ彼方此方に花を残していてくれた。しばらくの撮影タイムをとり、来た道を引き返す。途中にササユリを多く見かけたが、一部は早くも小さな蕾をつけていた。道路沿いにはニガナ、ブタクサ、セイヨウタンポポ、オニタビラコ、ノゲシなどキク科の黄色の草花やオヤブジラミの目立たない花も、モチツツジの花はもう終わりかけていた。ニガナを齧って「全然苦くないね」の反応に、調べてもらうと「苦菜という名前は、茎や葉を切ると白い苦みのある乳液が出ることからついたとされます。乳液というと毒のように思いがちですが、苦いだけで、食用や煎じて健胃や鼻づまりの民間薬として使われてきました」とのこと。尾根道の樹木ではコナラが目立ち、木本のナガバノコウヤボウキは道沿いに最後まで見られた。
午後は、陶器山を降りて、桃山学院教育大学沿いに南へ、道沿いでは先の草花に加えて、ウマノアシガタ、オッタチカタバミ、オヘビイチゴやユウゲショウ、チチコグサ、トウバナ、ハルジオンなどが群生して咲いている。その先には今日の第二の目的とした花の広場だ。一面にハナニガナ、オヘビイチゴ、ムラサキサギゴケ、ミツバツチグリ、ニワゼキショウなどの花が咲くお花畑が広がる。まるで黄色の絨毯、これだけ一面に咲くと草花でも見事というほかない。その隅では、ヘビイチゴやニョイスミレ、イヌガラシ、ヤブタビラコ、クスダマツメクサの花も・・・。
再び尾根道に戻り、ガンピ、カナメモチ、ノイバラの花とコウゾリナの群生を観察。コウゾリナの茎などに触って「それほど痛くないね」との感想。刺の先が二股に別れクッションのような働きをするため見た目よりは痛くはない構造になっていることを後で知る。タカノツメ、ウメモドキ、ツルウメモドキ、ネジキはまだ蕾状態であった。
他にもイネ科の植物が多く見られた。ミゾイチゴツナギは全ての個所で、カモガヤ、スズメノヤリ、ウシノケグサ、コバンソウ、ヒメコバンソウ、ネズミムギは下の道路沿い、トボシガラは最後の尾根道で・・・。(M.K)
ムラサキサギゴケ
ハナニガナなどのお花畑
カナメモチ
カナメモチ
ツルウメモドキ
植物部会 4月活動報告
愛妻ランドを出発するころから、小雨が降り始める。「えっ!」昨日夕方の天気予報では「曇り後晴れ」で、雨は少しも頭になかったが・・・傘をさすほどでもなくなった時点でスタート。早速に登山口では当たり一面にキュウリグサ、ヒメオドリコソウ、コハコベ、ノゲシ、ヤワゲフウロウ、ヒメオドリコソウ、オランダミミナグサ、オオイヌノフグリ、ナズナ、セイヨウタンポポなどのかわいらしい春の草花が咲き誇っている。山道の沿道にはフラサバソウ、ミチタネツケバナ、ヒメウズ、クサイチゴの花が群生となって続く。スミレもタチツボスミレからシハイスミレそしてニオイタチツボスミレと変わっていく。ヤマザクラの多くは丁度満開、でもは花吹雪のもの、5分咲きといろいろ。途中ではウグイスカグラ、ヒサカキ、ムベ、アケビ、ナガバノモミジイチゴの花とカクレミノやホルトノキの大木を観察し「国見の森広場」へ、広場ではオオシマザクラ、ヤマザクラ、コブシの花が満開だ。小雨の中、ちょうど広場には全員が座れるほどの休憩所があり、早めのお花見昼食となる。
午後は藤尾池周りのヤマザクラを観賞。お目当ての大木の山桜は上部を残して下半分は散っていました。昨年3月28日に見た時は丁度満開でしたが・・でも他は満開、コバノミツバツツジの紫も交って、それはそれは綺麗で華やかな景色を満喫。ここに来たことの充実感と納得感に満たされました。
頂上展望台までの途中では、ヘラシダ、北限の自生地といわれるカギカズラ、ヤマネコノメソウをじっくり観察。 クスノキの大木では写真のように7人が手をつなぎ胴回り調査が始まりました「10m以上はありますね」。展望台では生憎の悪天候にて視界が悪く残念でしたが、眼下の桜はしっかり見えていました。
神於山はどうして大木が多いの?は「神の山」の通り、神於寺の境内林として残され守られてきたからのようです。(M.K)
シハイスミレ
ナガバノモミジイチゴ
ヤマネコノメソウ
ヤマザクラが満開
ムラサキケマン
クスノキの胴回りは7人がかり(K.Tさん撮影)
植物部会 12月活動報告
今回は「公園の樹木調査シリーズ第4回」を錦織公園で行う。草本2点を含む100点ものリストを持ってパークセンターを出発する。
梅の里にはエノキの大木が何本もあり、空に黄葉をひろげていた。聞き慣れないキダチコマツナギ(木立駒繋・マメ科)は花や細長い実はコマツナギとそっくりだが何しろこちらは2mを超す大きさになる。横に枝を伸ばしたカマツカやミズキ、ヤマボウシの紅葉は少し控え目な感じ。モチツツジはまだピンク色の花を付けていたり、葉が濃い紅色に紅葉しているもの緑のままのものなど様々。大きな葉が黄葉していたのはムクロジで枝先には実も残っていた。びっしり黒い実を付けているヒサカキ。モチノキ科のタラヨウは艶のある緑の葉に赤い実が可愛い。トチノキの大きな実も見付けた。クサギは実は無くなっていたが紅色の萼片が残っていて眼を引く。またヌルデに大きな手触りの良い虫こぶ(ヌルデノミミフシ)が付いていたが、これはヌルデシロアブラムシと云う昆虫が寄生したもので「五倍子」の元となる。陽に映えて美しかったのはイロハモミジやモミジバフウの紅葉。ヤブツバキはまだ蕾だったがサザンカが咲き始めていた。
ヒイラギモクセイ(ヒイラギと中国原産のギンモクセイとの雑種)がリストにあったが、ヒイラギとの見分け方が難しそうだ。香りの強さが違うとか、鋭い鋸歯がヒイラギの方が少ないとか皆さん色々教えて下さる。果実は付かないとあるが、庭木や生け垣などにも使われていて案外身近な植物のようである。関心が高かったのはテーダマツ。北米原産で成長が早いとあり35mにもなる巨大松。長さ10~20㎝の葉は日本では珍しい3針葉なので皆さん落ち葉を拾って確かめていた。また10㎝ほどの球果は鋭い棘があり触ると痛い。ここにはかなりの本数があるようだ。同じく北米原産で3針葉のダイオウショウ(ダイオウマツ・大王松)は葉の長さが20~50㎝と長いのでしなだれ、密に付いた様はフワフワした感じになる。成長はテーダマツよりも遅く、錦織公園では見られなかったように思う。
最後に名前合わせをしたがリストからは樹に付けられている名札も含めて78種を確認。リスト外のものも10種を超えた。天気にも恵まれ晩秋の公園を一日のんびりと楽しむことができた。(文・写真 Y.M)
キダチコマツナギ
テーダマツ
パークセンター近くの紅葉
ヒイラギモクセイ
シマカンギク
植物部会 11月活動報告
暑くも、寒くもない小春日和の絶好の天候。天見駅からヒヨドリバナや集落の軒下や生垣に生えるシュウカイドウ、ヒメツルソバ、ヤツデの花、ナンテンの赤い実を見ながら抜けると道路脇の草花は丁寧に刈り込まれていた。それでも周囲の風景は秋一色。遠くの緑を失った草や木は実をつけ、ススキの穂が揺れる。ボ谷に入ると、今年は秋が一段と早く訪れたことを実感。いつもの秋の草花も多くが終わっていて、既に実も落としているものも。キンミズヒキ、ミズヒキ、ダイコンソウ、ツリフネソウ、エゴマ、ミゾソバなどは実だけとなっていたが、ハナタデ、イヌタデ、アキノタムラソウ、ヤマハッカ、アメリカイヌホオズキ、キツネノマゴの花は元気に残っていた。
流谷に入ると周囲の田圃は稲のひこばえが大きく育っている。休耕田ではアキノノゲシが一面に咲き、畦ではハキダメギクやイネ科のメヒシバ、オヒシバ、チカラシバ、シマスズメノヒエ等がせめぎあう。中に早咲きのホトケノザやニオイスミレの花を見つける。近くに咲いているハルノノゲシは遅咲きなのか? シュウメイギクの咲き乱れる八幡神社で昼食。ここの大イチョウの黄葉はまだ始まっていなかった。
午後は天野川に沿って進むと彼方此方にノコンギク、ヨシノアザミの花や赤いカラスウリの実が目立ち始める。この先には余り民家が無い様に思えるが、車の往来が頻りで注意しながらの観察。路肩にはチジミザサ、ササガヤ、アシボソ、ノガリヤス、アブラススキ等のイネ科やイヌタデなどのタデ科の秋の植物が埋め尽くし、ビワやチャの花が所々に。ノアズキ、ヤブマメは花が残っており、ヌスビトハギやハゼラン、ガマズミは実だけに。川から離れて山道に入った所で、ようやく目的のアワコガネギクの花を見つける。帰り道ではさらに、コウゾリナやセンニンソウの花、フユノハナワラビを見つけ解散となった。
年によって開花時期の違いを大いに感じる観察会となった。(M.K 写真Y.M、K.T)
ノアズキ
植物部会 10月活動報告
10月に入っても気温30度の残暑の中、金剛登山口に集合しました。 自家用車組が、バス組の到着を待って出席確認後、黒栂谷へ出発。早速シュウカイドウが坂道の両側に咲き誇っています。混生のミズヒキ・キンミズヒキ・ハキダメギク・ヨシノアザミ・ゲンノショウコ(民間薬の代表的植物)・イヌタデ(アカマンマ)=⁂同じくタデ科のヤナギタデは葉に辛みがあり刺身のつま等に使われますが、イヌタデは辛みがなく役立たずを意味するイヌがついたそうです。イヌショウマ=⁂同様にサラシナショウマは根茎を漢方で解熱・解毒薬として薬効が認められますが、イヌショウマは薬効がないのでイヌの名を冠せられたそうです。ツリフネソウ(帆掛け船を吊り下げたように見えることが名前の由来とされる)は果実が熟して触れると種子が弾けます。よく目立つのは花序が大きく白色の小さな花を多数つけるシシウド、白い米粒のような花を咲かせるオトコエシ、株いっぱいに花をつけているイタドリ(春に出る新芽は山菜として食べられますが、蓚酸を含むので多食は禁物)
坂道を進んでいくとヌスビトハギ(果実をズボンにつけている方も)ボタンヅル(葉はボタンに似て、果実は卵型)渡り蝶のアサギマダラが好むヒヨドリバナ、花は淡黄色で蝶型をしているノササゲ、紫色の花のアキチョウジ、仮雄蕊の中央に雌蕊が見える黄色の花のカラスノゴマ、花は金平糖のようなミゾソバ(ウシノヒタイ)、南アメリカ原産で園芸種が野生化して環境省の生態系被害防止外来種リストになっているノハカタカラクサ(トキワツユクサ)、 畑で目立つ雑草で冠毛は白色、細く長いノボロギクなどを観察して昼食にする。
その昼食場所に、今年は特に綺麗で立派に咲いたと高い評価のアケボノソウ、キク科の多年草で約1メートルの茎は直立し黄色い花を総状につけるオタカラコウ(雄宝香)茎が途中で成長が止まり、放射状に枝を広げたヤブタバコ、さらに山道を歩くとコミノサルトリイバラ(実);葉も実もサルトリイバラに酷似しているが、ひと回り位小さい。その美しさに思わず振り向いたといわれるシソ科の落葉低木;ミカエリソウが淡いピンクの花を咲かせている。キキョウ科の蔓性の多年草;ツルニンジンが白緑色で内側に紫褐色の斑点がある鐘形花を咲かせている。
興味は尽きないのですが、帰りのバスの時間も迫っているので今日はここまで。ベテラン植物部会員の方の説明がとても丁寧で分かり易く、ゆっくりと観察できました。有り難うございました。(文・写真 M.F)
植物部会 7月活動報告
梅雨の晴れ間、晴れれば暑さが心配だ。六甲ケーブル下駅には24名が集まり、ケーブルや植物園が団体扱いになる15名をクリア。ケーブルカーは満開のアジサイ花が続くレ-ル道を山上へ。そして上の暑さはそれほどでもなくむしろ快適。植物園西入口では、今日のガイドをしてくれる女性職員が待っていてくれた。
本植物園はちょうど91年前に牧野富太郎の指導を受けて開園。世界の高山植物や寒冷地植物、六甲自生植物、山野草など薬1,500種を野生に近い状態で栽培しているという。
ガイドは入口付近に置かれた鉢植えのアリマウマノスズクサから始まった。ジャコウハゲハの食草であるこの植物の和名は牧野富太郎がつけたとのこと、ユニークな色と形の花が咲いている。サラサドウダンは花が終り実をつけていたが、垂れ下がった柄が最後の所で上に曲がる変わった実の付き方をしているとの説明に「確かに」。そして植物を次々に紹介していく。園内の通路に沿ってはノハナショウブ、カキラン、オカトラノオ、シライトソウやギボウシ、ホタルブクロ、キキョウ、ヤツシロソウ(キキョウ科)、ヒメユリ、クガイソウ、シモツケソウなどの今盛りの花と、花が終わったもの、これから咲くものなどが入り混じって植えられている。群生のキレンゲショウマやレンゲショウマは蕾をつけ始めており、オニユリ、ヤマトリカブト、カワミドリ(シソ科)は葉だけで花はまだ先のこと。 池ではコウホネやスイレンの花が咲く。昭和天皇に献上されたというエンコウソウの花を見たいと思ったが花はもうシーズンを終えていた。
高山植物ではイブキジャコウ、シロバナイブキジャコウソウ、ニッコウキスゲの群生、バイケイソウ、タカネナデシコ、シナノナデシコ、コマクサ、シコタンハコベ、エゾルリソウ、チシマフウロ、エゾノツガザクラ、ヤマブキショウマ、ヒメシャジンなど全国各地、各高山の花が咲いていた。
世界の植物では、アルプスの花エーデルワイスや北アメリカ原産の葉が筒状になった食虫植物サラセニアに一同、俄然興味が集中。
アジサイ園に入ると花は丁度見頃の真っ盛り、多くがヤマアジサイで、その変種や改良種が植えられている。中でもここ六甲山で発見されたというシチダンカや牧野富太郎が命名したヒメアジサイ、他にマイコアジサイ、エゾアジサイ、キヨスミサワアジサイと他では余り見られないものも・・・
気になった植物名の一つが、園内の彼方此方で咲いているハンカイソウ、大型のキクの仲間で、どこからでもよく目立つ。ハンカイとは???早速検索・・「劉邦に仕えた武将の名前。豪壮に直立する姿からその名が」とあった。植物学者は歴史の知識も必要ですね。もう一つが、クガイソウのように穂先が垂れ下がって赤紫色の花、葉がワレモコウに似ている・・・名札も無く名前が???一緒にいたIさんの検索でトウウチソウ(バラ科、唐打草)と解る。しかしその花こそがその日探していたカライトソウ(唐糸草)の別名であったと後で知りました。(M.K)
アリマウマノスズクサの花
ハンカイソウ
ヤマブキショウマ
カライトソウ(トウウチソウ)
ヤツシロソウ
コマクサ
ニッコウキスゲ
エーデルワイス
手前はシロバナイブキジャコウソウ