大阪シニア自然カレッジ

植物部会

植物部会 6月活動報告

開催日2024年6月5日(水) 晴れ
行き先森野旧薬園(奈良県宇陀市)
参加人数21名

4月、5月は降雨中止となり、今年度初めての部会。初夏の日差しが眩しい。上天気に「今日は大丈夫ですね」が挨拶代わりに。そして榛原駅前から奈良交通バスに乗り換えて約20分、「大宇陀」バス停で降り徒歩5分足らずの風情ある宇陀松山の街並みの中に森野旧薬園はある。昨年NHKでテレビ放映され、見た顔の管理人Hさんが今日のガイドとして我々を迎えてくれた。 

Hさんは昭和7年生まれとの自己紹介に、今でもこの薬草園を管理しているという矍鑠たる元気さに我々シニア部員はまず圧倒される。Hさんのガイドは我々全員が入園するかしないかのうちに、入口通路の脇に植えられたナツツバキやムラサキの説明が始まる。「知っていることは全て話したい」と思えるほどの饒舌で、声も大きい。先ずは屋敷奥にある吉野葛の晒し工場跡へ、そこで森野家と葛の関わり、そして本薬草園の歴史を聞く。開設されたのは江戸中期とのこと、今では国の文化財史跡に指定され、昭和天皇が訪れたこともあるという。

次の屋敷の中庭となる小薬草園には、ウイキョウ、カザグルマ、オケラなどが植えられていた。薬草園は屋敷の裏山に広がり登り口はドクダミとユキノシタの白い花が満艦飾。九折の狭い登り石階段では、幕府から下付されたというニンジンボク、サンシュユ、樹齢300年のハナノキ、両沿いに植えられたアマチャの花、実を付けたセリバオウレンやもうその姿を隠した自生のカタクリ等の説明があり、なかなか前に進まない。暫らく登り、ようやく開けた場所へ、ここからが薬草園の始まりだ。入口付近の畑では回りをカメムシ除けの網に覆われたトウキの花が咲いていた。 そしてオオハンゲ(カラスビシャクの大型タイプ)と背丈が数メートルとなるヨロイグサの説明を受ける。

園内は幾つもの区画に分けられ、薬草や薬用としての樹木が所狭しと植えられていた。鑑賞用の植物を含めると約250種になると聞く。それらが一畝ごとに纏まって植えられ、全てに名札が立っている。薬用樹木としては、アメリカキササゲ、テンダイウヤク、セイヨウバクチノキ、ホオノキ、ニッケイ、ナツメ、ナンキンハゼなど、そして花が咲いていたのはマタタビとカンボク。この時期、花を付けている薬草は以外と少なくヘンルーダ、カラクサケマン、アカヤジオウとあまり聞いたことないハーブ系の野草であった。それをカバーするかのよう所々に、園芸種のジキタリスやキョウカノコの花が彩を添えていたが、ジキタリスは立派な薬草とのこと。これらの植物は今でも多くが薬用として使われているとのことです。Hさんの先導案内でその後を一列縦隊で園内を隈なく回り、充分に園内の植物を堪能しましたが、少しばかり疲れたようで予定より早めの帰途となりました。(M.K)

植物部会 3月活動報告

開催日2024年3月6日(水)
観察場所大阪府立花の文化園
参加人数18人

前日から雨が降っていたので当日の天気が気になったが、天気予報では10時頃には雨が上がるとのことであったので実施した。幸い予報通り、雨は降らず、曇り空であったが楽しく植物観察が出来た。午前中は、A、B、Cの3つの班に分かれ、当園のボランティアガイドの方にお願いして各班別にガイドをして頂いた。

当園の植物は多くは園芸品種とのことである。今年のクリスマスローズ(花期1~4月)は特に多くの咲いているそうで、クリスマスローズガーデンでいろいろな色の花が綺麗に咲いていた。クリスマスローズの元々の花色は白色で、品種改良で濃紫、黒紫、桃、黄緑等の色の花を作られたとのこと。

次に園芸品種のパンジーの中で花の直径が約5cm以下のものであるビオラ、竹箒を逆さにしたような樹形のケヤキ、フクジュソウ、ヒメムラサキハナナ、ノースボール、マンサク、ニキサキサクラ、リキュウバイ、マンリョウ、フイリアオキ、ミツマタ、キスイセン、タネツケバナ、セリバオウレン、シロバナショウジョウバカマ、ユキワリイチゲ、ミヤマシキミ、ツバキ、ノキシノブ、イカリソウ、センリョウ、クロガネモチ、ブラシノキ、ナノハナ、ウメ、ジャノメエリカ、アカシア、ニシキギ、ナワシログミ、トキワガマズミ、マユミ、シマトネリコ、棘の大きく鋭いジャケツイバラ、オオミスミソウ、ユキワリイチゲ等を観察した。

午後は、全員で様々な植物を観察した。ヤブコウジ(十両)、ヒメリュウキンカ、オウゴンバイ、アセビ、カンアオイ、指で触れると胞子が煙のように飛出たツチグリ、バイカオウレン等である。また、本来なら鳥が高い木の上に糞をして着生する半寄生植物のヤドリギを観察し易いよう木の低い場所に人工的に植栽したヤドリギに珍しい実を見る事ができた。

その後、大温室の植物を各自で観察した。温室では、アシスタシア、大きく丸いサボテンのキンシャチ、ゴクラクチョウカ、カナリーキキョウ、パンダカンアオイ、1対のみの葉を伸ばし続ける特異な形態を持ち寿命が非常に長いキソウテンガイ等を観察し、解散した。当園では日頃見ることのない珍しいいろいろな植物も観察でき、楽しい植物観察会であった。(文と写真 K.S)

植物部会 12月活動報告

開催日2023年12月6日(水)
観察場所泉ヶ丘公園、大蓮公園(堺市)
参加人数29名

朝から日差しが眩しいほどの好天気。風もなく絶好の小春日和だ。泉ヶ丘駅近くのビッグバン館の南側に位置する泉ヶ丘公園(旧展望台跡)から観察は始まった。ここは開発前の里山が今だ残っている貴重な場所だ。しかしそれも近くに遊園地へと変わる計画があり、今の姿は今年が最後かもしれない。展望台跡への階段道両側は60年近く前に植栽されたウバメガシが続く。アラカシ、コナラ、クヌギ、ウリハダカエデ、クロマツ、ヤブツバキ、クスノキ、マテバシイ、ネムノキ、アカメガシワ等に混じって鳥が運んできたと思われる外来種のニセアカシア、トウネズミモチ、ナンキンハゼ、トベラ等が顔を見せる。花の少ないこの時期の花として知られるハマヒサカキとヒイラギの花を確認。ハマヒサキの花は都市ガスの臭いがするといわれ、皆さん一応納得(納得しない人も)。

茶山台緑道入口付近では満艦飾のカナメモチの赤い実とトウカエデの紅葉が見事だ。緑道はきれいに管理されていて樹木も観察しやすい。アキニレ、モミジバフウ、イロハモミジ、ネジキ、ハンノキ、ドウダンツツジ、イタヤカエデ、ユリノキ等の紅葉・黄葉をゆっくり鑑賞。多いのは実をいっぱい付けたトウネズミモチとドングリの実を付けたシラカシ。

大蓮公園への緑道はヒマラヤシーダーやメタセコイアの大木が続く。公園入口ではナンキンハゼの紅葉がお出迎え。そして赤い実で飾るクロガネモチと灰色の実のトウネズミモチそしてハマヒサカキの植え込みが暫く続く。公園内の芝生で昼食後は植栽図マップを手にして公園を一回り。この公園は泉北ニュータウン開発の最初のころに作られたのもので、ユキヤナギ、レンギョウ、アベリア、カナメモチ、ピラカンサ、プリペット、クチナシ等が公園低木として多く植えられたが、今ではその数を減らし、フィリフィラオーレラ(オウゴンヒヨクヒバ)等に変わっている。また、高木ではモリシマアカシア、ニセアカシア、ナンキンハゼは枯れたのか、伐採されたのかほとんど残っていなく、マップに載っていないナラカシワを見つける。エノキとムクノキ、ネズミモチとトウネズミモチの葉の見分け方、モチノキとクロガネモチの実の付き方の違い、イロハモミジとヤマモミジの葉の烈の違い、よく似たシャリンバイとトベラの葉・実を隣同士に見比べながら違いを確認する。

樹木の紅葉には少し遅すぎたが、天候に恵まれ充分した1日となった。(M.K 写真Y.M)

ヒイラギの花
ハマヒサカキの花
ハンノキ雄花(開花前)
クロガネモチの実
トベラの実
シャリンバイの実
カナメモチの実
ヒマラヤスギ雄花・シーダーローズ(球果の一部)

植物部会 11月活動報告

開催日2023年11月1日(水) 晴れ
観察場所金剛山山麓 百カ辻、五条林道
参加人数16名

秋晴れの好天気に恵まれる。ここロープウェイ乗り場バス停は海抜600m以上の高さにあり、少し肌寒い位だ。日々秋も深まり四日前の下見時の景色より一段と紅葉が濃くなり、回りの花は少なくなってきたようだ。バス停付近ではノコンギクとハナタデ、イヌタデが元気。他には花が終わって結実やその種が散った姿となったシラネセンキュウ、ヒヨドリバナ、イタドリ、ボタンヅル、コアカソ、カラムシを観察。そして一本の木にアカネ、スイカズラ、ノブドウ、ヘクソカズラと4種のツタ植物が絡みついた実をそれぞれ見分け確認する。その近くではサガリバナが赤い実をつけていた。  

百カ辻付近ではケシロヨメナやヨシノアザミが一面に咲いていたが、既に一部は勢いをなくしてきている。アキチョウジ、ミズヒキ、ハナタデ、アキノキリンソウ、イヌトウバナはまだまだ元気だ。キンミズヒキやクルマバナ、オトコエシ、ヤブマメはまだ少し花を残してくれていた。結実したウバユリ、イヌコウジュ、ミゾソバ、ツリフネソウやフユノハナワラビを観察しながらロープウェイ道を上がる。入口付近のナギナタコウジュはもう花色を失い、テンナンショウは赤い実をつけている。途中、シュウブンソウ、ヤブタバコ、ガンクビソウのよく似た三種が隣り合って咲いているのを見つけ、その違いを観察する。他にはゲンノショウコ、メヤブマオウ、アオミズ、ヤマトキホコリ、ダイコンソウの花を確認。

午後からは府営駐車場まで下る。その回りではケシロヨメナばかり目立つが黄花のヤクシソウと大きな一株となったイナカギクをようやく見つけほっと。五条林道までのバス道路沿いはノコンギクが溢れている。林道入口ではアブラチャンの実を頭上に見つけ、林道沿いは花が終わって実のついたノブキ、アキチョウジ、ダイコンソウ、イヌコウジュ、キンミズヒキ、ミカエリソウ、モミジガサ、ツルニンジン等々の秋の植物が埋め尽くしている。マツカゼソウは少しアキギリは一輪だけアケボノソウは数輪だけだが花を残してくれていたのは幸いだった。(M.K 写真Y.M)

植物部会 10月活動報告

開催日2023年10月4日(水) AⅯ10:30~PM2:00
観察場所和泉市松尾寺周辺~農道
参加人数27名

明け方に降っていた雨も朝には上がり、涼しい植物観察日和になりました。集合場所の松尾寺・春日神社前広場から道路に出て観察を始めました。坂道を下り、鬱蒼とした木立の下には、イネ科のヌカキビ・チヂミザサ・メヒシバ・オヒシバ(メヒシバよりも力強く小穂も太い)がぎっしりと生えて、小さな花を咲かせていました。このようなジメジメした場所ではツユクサ科のヤブミョウガの白い可憐な花が見られました。ミョウガの名を冠していますが食用ではないそうです。地面にピッタリと張り付いているウコギ科のチドメグサは小さくて地味な花が付いていました。日本のどこにでも見られる、野生のグランドカバー的なこのチドメグサの花序は葉より短く、葉腋に1個つき、その先には花弁が5枚の、ごくごく小さな18個の花が固まって付きます。ルーペで丁寧に観察してもなかなか見つけられない小ささです。もう少し下った駐車場近くにはブドウ科のキレハノブドウが実をつけていました。ツヅラフジ科のアオツヅラフジが電信柱に絡みつき、黒っぽい実を実らせています。ベテランの会員の方がその実を割って、アンモナイトのような形をした、小さな種子を取り出して見せてくださいました。

農道に出ると道の両側にたくさんの植物が観察できました。アゼナ科のウリクサは薄紫の花が付き、ツユクサ科の一日花のツユクサ、葉がクワに似ているので名付けられたクワ科のクワクサ、ナス科のイヌホオズキ等を観察しているとなかなか前に進めない状態でした。群生するイネ科のスズメノヒエ・カゼクサ、サギゴケ科のトキワハゼ、スベリヒユ科のスベリヒユ、タデ科のイヌタデ(別名;アカマンマ)・金平糖のような花のミゾソバ(別名;ウシノヒタイ)、キク科のオオアレチノギク・アキノノゲシ、マメ科のヤブツルアズキ(写真ではトカゲも写っています)、アブラナ科のイヌガラシ・果実の長さが3~7㎜とイヌガラシよりはるかに短いスカシタゴボウ、花を半分に割ったように面白い咲き方をするキキョウ科のミゾカクシは田の畔を筵で覆うように生える様子からアゼムシロ(畔筵)ともいうそうです。ヨシノアザミもピンクの花が綺麗でした。

サトイモ科のカラスビシャクが道端にすっくと立っていました。ヒガンバナ科のヒガンバナは今夏の酷暑のせいか、彼岸より随分遅れて咲いていました。中国から渡来した多年草で、日本国内の方言での呼び方は550以上あるそうです。それもシビトバナ等と何故か不吉な呼び方で忌み嫌われていました。日本のヒガンバナは種子がないのに各地に分布しています。因みに中国では種子ができるのもあるそうです。球根はでんぷんを含み、有毒ですが、あく抜き処理をすると食料不足の時の貴重な食べ物になるそうです。先人が、もしもの備えとして球根を各地に持ち運んだので広がったという説もあるそうです。観察も終盤に近付いた頃にスズメバチの被害がありました。申し訳ないです。お手伝いくださった方にお礼申し上げます。(文と写真 M.F)

植物部会 7月活動報告

開催日2023年7月5日(火) 晴れ
観察場所大阪市立長居植物園
参加人数40名

今日は天気予報によると、午後から雨が降ると予想されるので午前中は野外で植物観察を行い、午後は室内で開催されている「MAKINO展(牧野富太郎展)」を鑑賞した。今日は40人の多くの会員が参加。朝のドラマ「らんまん」の影響かな?

当植物園は真ん中に大池があり、池を左から右回りで観察を開始した。まず初めはワルナスビの群生を観察。こんなに広く群生しているのを見るのは初めてである。その後、池の淵を歩きながら、ガマ、ハンゲショウ、アサザ、ハス、(チョウトンボ)、コウホネ、そして、池の中にスイレンが群生して咲いていた。アジサイ園も歩いたが既に花は最盛期を過ぎ、色が変わっていた。

ハスとスイレンについて調べてみると次のことが分かった。《ハスとスイレンの共通点》ハスとスイレン両方とも水辺に生息する水生植物で、水の底の土や泥に根を張り、水面(水上)に葉と花を展開する。*開花時期は、初夏~夏。*花は、午前中に満開になり午後には閉じていく。(違う種もあり)*ひとつの花は、3~4日ほどしかもたないが、その後も次々に開花する。《ハスとスイレンの違い、見分けるポイント》*ハスは、ハス科ハス属の挺水性植物(ていすいせいしょくぶつ):水面から葉を立ち上がらせる植物*スイレンは、スイレン科スイレン属の浮葉性植物(ふようせいしょくぶつ):水面に葉を浮かべる植物《花と葉の違い》*ハスは、水面より上の方で咲き、花弁は、幅広で丸みを帯びて、お椀のような形で花の中央には大きな花托がある。葉は水面より上に立ち上がり、円形をし、水辺にあるのにいつも光沢があり、水を大変よくはじく「撥水性(ロータス効果)」があるため、汚れがつきにくくなっている。*スイレンは、花は水面に咲き、花弁は細長くシャープである。葉は水面に浮かび、円形をし、切れ込みがある。

次にバラ園に向かい、途中、アオスジアゲハを見つけ、ラクウショウの実、タイサンボクの花を観察。バラ園では多種の花が咲いていた。次にヘメロカリス園に移動途中に、イナゴマメの実、ナンキンハゼの花、ムラサキシキブの花を観察。イナゴマメは乾燥種子の重さは約0.2gほどで均一なため、ダイヤモンドの重さの単位カラットの語源ともなったとされる。ヘメロカリスの花もフェリーチェ、ニッコウキスゲ、ノカンゾウのような多種の花が咲いていた。

昼食後、花と緑と自然の情報センター内で開催されている「MAKINO展(4月3日~12月27日)」を鑑賞。いろいろな情報が展示されていたが、スペースに限りがあるので、4回に分けて展示されていた。牧野富太郎氏の業績が良く分かった。その後、当センターのスタッフの方から、ラッパイチョウ等の植物についてお話を聞きした後、暫くして解散、帰途についた。(K.S、写真M.F)

植物部会 6月活動報告

開催日2023年6月7日(水)
観察場所和田川沿い・北別所(堺市)
参加人数32名

梅雨の晴れ間、朝から日が差している。今日は降雨の心配はなさそうだ。集合地点の御池台3丁目バス停から観察は始まった。土手には花序(小穂)をつけたイネ科植物が一面に。小さな点で広がるハナヌカススキやヒメコバンソウはどこか涼しげだ。その中からオニウシノケグサ、カモガヤ、ネズミムギがぬくっと姿を突き出す。遊歩道に入れば淡紅紫色のホタルブクロの花が真っ盛り、その周りをコナスビやコモチマンネングサの小さな黄花が埋める。林間を抜けると今度はチガヤの群生、そしてチガヤに負けじと黄花のセイヨウヒキヨモギの群生が。それらの中を所々からノアザミが顔を出している。

和田川沿いの農道に入ると、川の中の植物は昨日までの増水ですべて押し倒されていた。農道脇ではアメリカフウロ、ウシハコベ、マメグンバイナズナ、ユウゲショウ、ニワゼキショウ、キキョウソウ、コメツブツメクサなどの小花が咲き乱れ、ネズミムギやカモジグサ、スズメノチャヒキなどのイネ科の植物も元気だ。途中では更にテイカカズラ、スイカズラ、ナヨクサフジ、アレチギシギシの花を見つけ川上へ進む。

目的地、北別所の農園での昼食後は早速に植物観察へ、農道沿いにはドクダミやウツボグサ、ノアザミが群生していて花盛り、それは見事だ。その中に貴重な変わった花形のタツナミソウやソクシンラン、ミゾカクシの花を見つける。そして最後はササユリが群生する花園へ、ここのササユリは花が大きく、ピンク色が濃い、かなり艶やかでありながら品のある美人系だ、そしてその花数が多いことに感動。そこを管理しているAさんに感謝。来年もまた来て見たいと思いながらそこを後にした。(M.K、写真M.K&Y.M)

植物部会 5月活動報告

開催日2023年5月3日(水)
観察場所奥の谷・河内ふるさとの道(富田林市)
参加人数29名

河内ふるさとの道は滝谷不動明王寺に通じる表通りから、その手前の民家の間の狭い小道を左に折れる。その道を暫く進むと辺りは小高い山林に囲まれた里山の風景へと一変する。「富田林自然を守る会」の里山活動拠点となっているこの里山「奥の谷」は当カレッジの講座や里山保全部会でもお馴染みだ。会の休憩所にもなっている作業小屋にはゴールデンウィークの真只中にもかかわらず、五月晴れの薫風に誘われてか、29名の部員が集まった。

午前中は作業小屋近くの河内ふるさとの道、周辺の畑、水田の植物をゆっくり見て回る。季節は春爛漫、植物環境と観察には最高だ。周りは一面にウマノアシガタの黄色、ハルジオンの薄いピンクが群生となって咲き乱れ、道端や畔にはアメリカフウロの淡紅色やムラサキサキゴケやムラサキカタバミの紫色が混じる。そして山側ではマルバウツギの柔らかな緑に可愛らしい満艦飾の白い5弁の花とモチツヅジの赤紫花が続く。回りの森林の新緑に混じってキリやフジの花が姿を見せる、小鳥の囀りも賑やかだ。休耕田一角の池には小穂を付けたカサスゲが群生していた。その近くの土手では違ったスゲが・・・後で果苞を確認しヤワラスゲと分かった。

午後は竹林を抜け、東側の里山林道・稜線コース。ヤブニンジンやヤブジラミ等のセリ科やホウチャクソウは花を終え実を作り始めていた。見晴らし広場に行く途中では見事なキンランの花を見付ける、この花が本日のカメラ被写数ナンバーワンとなった。稜線の林道ではヒサカキやカマツカは既に花を終え、ササユリの葉茎はかなり大きくなってきている。途中咲いていた黄色のウツギはコツクバネウツギで、萼片2個を確認する。作業小屋近くのクワは実を鈴なりに付け始めていて、ガマズミの花は咲き始めだ。最後は、今日の植物リストに沿い「花合わせ」をする。その数は短時間の観察ではあったが90種を超え、里山の春の花を満喫した観察会となった。(M.K)

植物部会 4月活動報告

開催日2023年4月5日(水) 曇り
観察場所くろんど園地(交野市)
参加人数30名

窓から見る京阪沿線の桜はもう終局を迎えていた。今年の桜の開花は早かったが、くろんど園地内の山桜は咲いていてくれているだろうか・・・、私市駅に集まったのは新部会員7名が加わった総勢30名、コロナ禍からようやく解放されて部会としても久し振りの遠出だ。観察は早速に駅前から始まった。春の草花であるヒメオドリコソウ、タンポポ、キュウリグサ、スズメノエンドウ、ホトケノザ・・・等々の花は真っ盛りだ。空き地や道路ではヒメスミレが咲いている。長蛇となって住宅路を進むが、車の通行もあり、ゆっくりは観察できない。その沿道にはシャガ、ヤエムグラ、ムラサキケマン、ハコベ、クサイチゴ等が群生して咲く。住宅地を抜けると林の道になりヤマブキの黄花、コバノミツバツツジの紫花が飛び込んできた。そして回りの木々の芽ぶきが始まっており景色は急に緑鮮やかになる。マルバアオダモは満開で、コバノガマズミ、カマツカ、サルトリイバラは咲き始めだ。月輪の滝を過ぎると道は急勾配の山道となる。その沿道をニオイタチツボスミレ、ナガバタチツボスミレ、シハイスミレが次々と咲いており、登りのしんどさを慰めてくれる。

すいれん池で昼食後は広い上りの自然歩道だ。シダレザクラやソメイヨシノ等の桜は既に散って、ヤマザクラやカスミザクラも満開を過ぎていた。道路にはアオイスミレ、スミレ、ニョイスミレ、タチツボスミレ、フモトスミレ、ヒメハギ、ムラサキサキゴケ、カキドオシ等の小さな可憐な花々が咲き我々を楽しましてくれる。ヤブツバキやナガバモミジイチゴの花はあちらこちらに、イロハモミジやハンノキ、コナラ属等の樹木は新芽を吹き、蕾を開き始めていた。

目的地、「八ツ橋」に1時半頃ようやく到着。当たりは一面にミズバショウの花が咲き見事だ。カタクリの花もその近くに咲き誇り、充分な管理が窺える。ショウジョウバカマやアオイスミレの花もその中に咲き混じり、暫く時間を忘れ観賞。そして充分に満足して「八つ橋」を後にした。今回はスミレの野生種10種と外来種2種(アメリカスミレサイシン、クワガタスミレ)を確認し、差し詰めスミレ観察会ともなった。(M.K)

植物部会 3月活動報告

開催日2023年3月1日(水) 晴れ
観察場所錦織公園
参加人数23名

寒暖差の大きい日が続いていたがこの日は晴天に恵まれる。公園の案内図を用意してまずは「梅の里」を目指す。道々、“これは何の木?”と談議するのだが、これが中々に難しい。ケヤキ(欅・ニレ科)やヤマモモ(山桃・ヤマモモ科)などの樹肌の模様も様々。綺麗に紅葉しているのは背丈の低い園芸種のオタフクナンテン(お多福南天・メギ科)。ナワシログミ(苗代茱萸・グミ科)は新春の頃に赤く熟す果実はまだ細くて地味な茶褐色だ。

「梅の里」はグルリと円形の斜面になっていて、足下にはスイセンも植えられていている。梅の木は25種類、約320本植えられていているそうで甘い香りに包まれる。見上げると青空に梅の花が映えて見事だ。ゆっくり時間を取った後、昼食場所に向かう。黒っぽい樹皮が斑に剥がれて文字通り鹿の子模様になっているのはカゴノキ(鹿子の木・クスノキ科)。「シャクナゲの谷」への道ではヒメウズ(姫烏頭・キンポウゲ科)、ハコベ(繁縷・ナデシコ科)、ヒメオドリコソウ(姫踊子草・シソ科)など小さな春の花が咲き始めていた。シャクナゲはホンシャクナゲ(本石楠花・ツツジ科、六甲山地では貴重種だそうである)、西洋シャクナゲ2種は共に花芽を付けていた。横に枝を伸ばしているエノキ(榎・アサ科)の葉は左右非対称である事に初めて気付く。

昼食場所の「里の家」の回りではちょうど花盛りの淡紅色のアセビ(馬酔木・ツツジ科)や黄色のソシンロウバイ(素心蝋梅・ロウバイ科)を見る。ロウバイは花心が赤紫色だが、ソシンロウバイは全体が黄色。また名の由来は茎にスポンジ状の白い心が有ることによるもの。フクジュソウ(福寿草・キンポウゲ科)の鮮やかなツヤツヤの黄色い花も目を引いた。

午後は「山辺の道」へ向かう。最初に出会ったのはネコヤナギ(猫柳・ヤナギ科)。銀白色の絹毛に覆われた果穂は美しく、また何とも云えない手触りだ。イヌシデ(犬四手・犬紙垂・カバノキ科)、あまり樹皮の剥がれていないバクチノキ(博打の木・バラ科)、ブナ、ヤマモモ等を見る。勾配のある小道の脇では珍しいオケラ(朮・キク科、花期は9・10月)の風情のある花後の姿を見る事ができた。ハナミョウガ(花茗荷・ショウガ科)、ツルアリドウシ(蔓蟻通し・アカネ科、別名一両)は綺麗な赤い実を付けており、そしてお目当てのセリバオウレン(芹葉黄連・キンポウゲ科)の白い花が目の前にひろがっていた。全体が白い雄花と中心が紫褐色の雌花。そして黄色味を帯びた物もあり驚く。白いミヤマカタバミ(深山傍食・カタバミ科)も咲いていた。帰り道ではユズリハ(譲葉・ユズリハ科)、モチノキ科のモチノキ(黐の木)、クロガネモチ(黒鉄黐)、ナナミノキ(七実の木)などの樹木を観察する。

いったん解散した後、一部は部会員さんの案内で延命寺に近い石見川の方へ移動。数が少なくなってきているユキワリイチゲ(雪割一華・キンポウゲ科)やネコノメソウ(猫の目草・ユキノシタ科)を見ることができた。花の少ない時期だがそれぞれゆっくりと観察でき、また活発な水鳥たちやルリビタキなどの野鳥も見られ、暖かい日差しの中楽しい一日となった。(Y.M)