10期生3月22日講座報告
2年間の最後の講座。公開講座とした記念講演は、卒業生の多数の参加もあり、会場は満席の盛況。
「生物に体内時計はあるのか?」18世紀のフランスの学者ドゥメランがオジギソウでその存在を発見したという。日が上がるとともに葉を拡げ、日が沈むと葉を閉じる習性のあるオジギソウを一日中暗い場所に移してみたがやはり葉の開閉運動は約1日の周期で繰り返されたという。ミツバチが蜜を取りに行く時間や鶏が朝鳴く時間にも体内時計が働いている。もちろん人間にも体内時計がある。その体内時計は何処にあるのか。実は体全体、各細胞に存在するという。腹時計もその一つ。そのコントロールは脳の中枢視交叉上核(SCN)というところで行われている由。
講演前々日に「おはよう朝日です」にテレビ出演されていた先生。その放映内容も見せていただいた。一日の体内時計のずれをリセットできるのは太陽。朝起きて散歩等外出し太陽の光を浴びることは生活の質、睡眠の質を向上させるには一番の由。
そして午後はいよいよ修了式。新谷代表のあいさつの後、10期生各人に修了証書が授与された。引き続き10期生の司会進行で謝恩会。2年間の思い出を語り、また歌&バンド、マジックと多芸な一面も披露、素晴らしい演出のうちに謝恩会も最高潮へ。“卒業おめでとう!”
公開講座、会場は満員の盛況
修了証書を両手に記念撮影
ほぼリハーサルなしのぶっつけ本番
でも仲間の息はぴったり
10期生3月8日講座報告
3月。寒かった冬も終わり、いよいよ春。しかしこの日は陽射しに暖かさを感じるものの、北風が吹き、時に雪が舞う寒い日。
園地内のツツジもコブシもまだ開花の気配はない。イヌノフグリや、ホトケノザなど足元の可憐な花々に、わずかばかり春の訪れを感じた。星のブランコへの小道を歩きながら、早春の自然を観察した。種子や萌芽、木々の葉痕など。オニグルミの葉痕、維管束痕、新芽の様子はヒツジの顔、あるいはサルの顔にもたとえられ、何とも可愛い。小枝にぶら下がるウスタビガの繭をみつけた。この緑鮮やかな繭は、葉の少ない今の時期には遠目でも容易に見つけることができる。
葉を落としたイヌビワは、枝に青い実(花嚢)をつけていた。イヌビワは雌雄異株。冬の花嚢は雄株である。この中にはイヌビワコバチが棲息、冬を越している。イヌビワコバチはイヌビワの雄株の花嚢の中でしか、子孫を残すことができない。
一方、イヌビワの花粉を運ぶことができるのは、イヌビワコバチだけ。イヌビワはイヌビワコバチがいないと種子が作れない。両者は互いに助け合って生きている。早春のまだ眠りの中にいるように見える自然にも、多くの生きるための巧みな仕組みがあった。
上:ほしだ園地名所、星のブランコ。全長280m高さ50m
下:楽しげに橋上を歩く10期生。・・と煙は高いところが好きというけど・・・
足元に春をみ〜つけた!!
冬を越す動植物の様々な顔。オニグルミ:ヒツジ顔?サル顔?
イヌビワ:イヌビワコバチは雄株花嚢内の子房の中で育つ。黒っぽいのはコバチ。
10期生2月22日講座報告
虫たちがはい出てくる季節、啓蟄も間近。今日はコモに隠れている虫たちを観察する講座。
午前は座学。江戸時代から大名庭園のマツカレハの幼虫の駆除対策として行われてきたコモ巻きであるが、害虫を駆除してくれるクモやテントウムシ等も一緒に駆除されてしまうのは逆効果であると、最近あまり行われなくなっているという。今でもコモ巻きを見かけるが冬の風物詩として残されている場合も多いらしい。
本題とは外れるが、大泉緑地のトラフズク(フクロウの仲間)のペリットの標本を見せてもらった。トリ、コウモリやネズミの骨等、トラフズクがこれらの獲物を食べていることを実感出来る興味深いものだ。フィボナッチ数列という聞きなれない言葉も教わった。実はこの数列、自然界とかかわりが多いようで葉序についてもこの数列に従って存在するなんて何と不可思議なことだろう。
さて午後はメインイベントのコモ開き。昨年にムクノキ、アキニレそしてクヌギの3種の木に取り付けたコモを取り外して虫の観察。動き回る虫たちを容器に採取しようと手でつかもうとするがするりと逃げられ中々つかめない。やはり手につばつけて捕るのが一番のようだ。クモの仲間、テントウムシの仲間、カメムシの仲間、・・の仲間まではわかってもそれを同定するのは至難の業。何はともあれ各班、最後の発表会に漕ぎ付けた。
管理事務所会議室での座学
ムクノキに巻かれたコモの取り外し、虫が逃げないように慎重に
さあ、虫の採取、つかむのに一苦労
10期生2月15日講座報告
だんじり祭りと岸和田城そしてNHK朝ドラのカーネーションの街、今日の講座は南海本線岸和田駅からスタート。
岸和田駅、商店街、岸城神社、五風壮、岸和田城をボランティアガイドの詳しく丁寧な説明を聞きながら街中を散策した。 天気に恵まれての二の丸広場、観光交流センターで昼休みの後、きしわだ自然資料館に移動して本日のメインイベント。
チリメンモンスター探しと資料館の見学、館内には岸和田の自然に関連する物や世界の動物のはく製など多くの資料が展示されていて、なかなか見応えがある。そしてワークショップは、チリメンジャコの中に潜む、本来なら捨てられる運命にあるモンスターを見つけ出す。カタクチイワシ以外の魚やカニ、エビの幼生、タコやイカの赤ちゃんなど様々なモンスターを探し出して、ルーペ・顕微鏡でしっかりと観察した。
冬晴れの中、バラエティに富んだ講座で楽しい一日を過ごせた。
午前10時、商店街入口にある時計の中からだんじり囃と共に現われただんじりが舞う
剝製の前でホッキョクグマの鋭い爪と歯の形について説明を受ける
真剣にチリモン探し。これはカニのゾエアそれともメガロパ?
10期生2月1日講座報告
週初めには最高気温14.2度と春のような暖かさだったのに、2日後の今日は最高気温6度。寒い!!一体最近の気象はどうなっているんだと思いながら、気象台へ。
入構証をいただいて、緊張の面持ちでゲートをくぐった。まずは気象の観測について、説明を受けた。地上からはアメダス、レーダーなど、30km上空まではラジオゾンデで、更に上空35,800 kmの地球規模の観測は気象衛星ひまわりからデーターを得て、スーパーコンピュータで解析。しかし最後の予報の決断は長年経験を積んだ予報官による。更に地震の起こる仕組み、通常波と津波の違いなどの話を伺い、地震監視と気象予報の現業室を訪れた。コンピューターモニタがずらりと並び、思いのほか、人が少ない。緊急時になるともっとスタッフが増えるらしい。さらにアメダス装置の実物を観察し、地上の測定装置は意外と単純と思った。
午後は大阪市立科学館、世界最高峰と言われるプラネタリウムへ。まず当プラネタリウムの特徴を述べた画面が現れた。フランス製いすが設置され、心地よく眠ることができるとある。心地よさを十分に体感させてもらった。今頃の夜空には、8時頃、西の空、月のそばに非常に明るく瞬く金星が、それらの間には赤く少し暗い火星が並んで見える。晴れた日に、南東の空に光る、冬の大三角、オリオン座と共に夜空を見上げてみつけてみよう。
現業室:天気予報。今日の予報担当者(右)と週間予報担当者(左)が作業中
現業室:地震監視。下図:1月27日の大阪地震データ。各観測所で得られた、P波とS波の時間差をもとに円を描き、それらの交点(赤)が震源地
アメダス装置。温度計:上部にファンがあり下から上へ通風。雨量計:雨が濾水器を通り転倒ますに落ちる。一定量になると、ますが傾き排水。
10期生1月25日講座報告
平城宮跡に足を踏み入れると木々にはメジロやシジュウカラ、エナガなどが混群をなして忙しそうに動き回っていた。双眼鏡やカメラを構えているのに一向にじっとしてくれる気配がない。身を守るために群れを成しているようで一羽が飛び立つとみな一斉に飛び立っていく。
広い平城宮跡では随所でツグミがいっぱい。モズも頻繁に我々の前に姿を現してくれた。アオジも見られた。からだの色合いは青というより緑がかっているが、トリの世界では緑色を青と表現するらしい。ちなみに青色は瑠璃色というそうだ。初めて耳にする名前、勿論見るのも初めてであるアリスイ、へびのような変わった動きをする珍しいトリにも出会うことが出来た。カモ類はじめ定番の水鳥たちに混じって巫女の白装束に似ているというミコアイサもいた。そして道中中々見ることのできなかったオシドリにもウワナベ古墳まで足を運び、漸く最後にその姿を目に収めることが出来た。
最後は鳥あわせ、結局43種のトリに出逢うことができた。さすがに多くのトリを見ることが出来ることで有名な探鳥地、2年間の野鳥観察のトリを期待通りに飾ることが出来た。
10期生1月18日講座報告
大阪湾に突き出した約280ha(甲子園球場70個分の面積)の広大な埋め立て地、堺第7-3区が今回の講座場所。
ここは産業廃棄物の処分場として埋め立てられた土地で、先に埋め立てが修了した80haは「みなと堺グリーン広場」として府民に開放している。後に埋め立てが完了(平成18年)した北側の200haに太陽光発電設備と、池、草原、森が広がっている。
午前中の座学で堺第7-3区の概要、展示室見学、共生の森づくりの活動、共生の森の生物について講義を受け、午後は乗用車5台に分乗して共生の森を見学。春を思わせるような最高の天気にも恵まれ、スタート直後に電柱にとまっているミサゴを全員が観察した。その後もチュウヒ、ノスリ、チョウゲンボウ、オオタカ、フクロウまで出現しタヌキも2度姿をみせてくれた。
猛禽類がこんなに多く見られるとは。生物多様性が拡大しているのを実感することができる。ちぬみ山の頂上(標高27m)からのパノラマは素晴らしく大阪を囲む遠くの山々や島が眺望でき、冬の講座としては大満足感の講座となった。
最初に出会ったミサゴ
我々を優しく出迎えてくれた
突然現われたチュウヒを初めて観て、感激する受講生
10年前植樹した森、かなり暗い、現在は円形植栽を実施して空間を設けている
10期生1月11日講座報告
お正月にはそば食べて?、コマをまわして遊びましょ♪♪・・・?年の初めに、そば打ち体験。コシのある、のどごしのいい、そばができるといいな!!
エプロンをし、三角巾を着け、よく手を洗い、準備万端。まずは先生の手技をよく観察。そば打ちは「1,はち2,のし3,包丁」と言って“水回し”と“こね”の行程が最も大切なのだそうだ。粉をふるい、よく混ぜて、水を3回に分けて入れる。指を立て、大きくまわして水を均一になじます。水量は粉の半分、その60%を最初に入れる。続いて20%、最後は加減を見ながら残りの水を。最初の水量を少なく間違えると、堅く、割れやすい生地になってしまう。その後のこねる、のばす、切る、すべての段階で、堅すぎと言われてしまった。
大いに助けてもらいながら、何とか切り終え、5つに分けて紙にくるんだ。そのうち一つは試食用、ざるそばに。少々太めではあるが、歯ごたえ、のどごしは良く、まずまずかな!家に持ち帰り、今度は釜揚げで。“まあまあ、できてるやないか”と主人に褒められ、よかった!!
午後は柴田副代表による、部会説明会。10期生も残り3ヶ月を切り、修了後どうしようという話題もちらほら。現在の9部会についての活動の説明を受けた。特に里山部会を10期生の若い(?)力でもり立てて欲しいと希望が述べられた。カレッジも年々会員数が増え、部会によっては大所帯のものもある。部会の新設も10期生に期待したい。
手打ちそば体験I。 水量が大事。手早く均等に混ぜる。
手打ちそば体験II.体重をかけ、しっかり練る。内在する空気を逃す。空気が残っていると、ひび割れにつながる。麺棒操作もかなり苦労。指導者の助けで何とかシート状に。
手打ちそば体験III。最終段階:切る。せめてこれだけでも丁寧に。気合いを入れてカット。多少太いが均等に切れたと自負。おいしいざるそばがいただけました。
10期生12月21日講座報告
心配された天気も当日には様変わり、本年最後の講座は絶好の地質観察日和。川のつくる地形や堆積物、河岸段丘のできる仕組み、大阪南東部の段丘面等々、午前の座学で予備知識を蓄えて、いざ石川河原の実地観察へ。
まず案内されたのは柱状節理。火山岩のなかでもかんらん石を多く含むという。わざわざ玄武洞まで行かなくてもここでしっかり観察できる。鳥地獄を彷彿とさせる炭酸泉が湧き出るところも観察した。次に石ころ観察、各自3種類以上のものを見つけ、先生に尋ねて回る。1500万年前の火山活動の名残が随所に感じ取れた。インブリケーション(石ころの規則正しい配列)、川の蛇行する姿を見て攻撃斜面やポイントバーも認識できた。
河原を後にして段丘面の観察へ。河岸段丘により形成された大阪南東部の段丘面も大きくは3段、細区分すると7段あるという。高いところほど形成時期が古い。今、外環状線が走る段丘面は2.8万年前には河原であったといわれている。2.8万前と1500万年前という途方もない2つの年代のキーワードで大阪南東部の地層・地形の歴史を論ずることができるようだ。日頃見過ごしていることも説明を受けるとなるほど、と納得である。身近なところで地球活動の痕跡を認めることができた、NHK「ブラタモリ」さながらの観察行だった。
ラブリーホールでの座学
柱状節理・・・玄武洞まで足を運ばなくてもこんな近場
鳥地獄を彷彿とさせる炭酸泉