大阪シニア自然カレッジ

10期生講座報告

10期生11月11日講座報告

開催日2015年11月11日(水) 晴れ
講座名自然観察(甲山)
講師北垣 二夫先生(くすの木ネイチャー)
場所甲山森林公園(西宮)、地滑り資料館

阪神西宮駅より循環バスで約30分。住宅街のすぐそばに多くの樹木に囲まれた甲山森林公園があった。

公園に入るとまずは、いいぎり(飯桐)の黄葉がまぶしい。赤い実とのコントラストが引き立つ。今日はハナノキに会いに行きましょう。と先生の言葉。ハナノキとは???花が一杯に咲いている木なのだろうか?甲山を正面に見ながら向かう。お椀のように丸みを帯びた優しいかたち。緑の間に紅葉が交じり澄んだ青空に映えて美しい。緑の常緑樹や、紅葉した落葉広葉樹、木の実の話を伺いながら、公園内を歩き、森林浴を満喫した。

公園を抜け、隣接する地滑り資料館に向かう。阪神大震災時に地下水圧が高まり、一瞬にして地滑りが起きた。34名がなくなった。自然は恵みであると同時に、時に牙をむく。常に自然と向き合い、自然が発する言葉に耳を傾け続けることが大切なのだろう。

その後関西学院大学から甲東園駅へ。上ヶ原用水分水樋に見られる先人の知恵に感心し、ヌルデや木に絡まるツタもみじの紅葉、桂の木の黄葉など、秋を存分に感じた。

イイギリ(飯桐)の黄葉。左下:イイギリの実
甲山。標高309.4 m. みわく(魅惑)と読むそう!
ハナノキ。ハナカエデともいう。日本固有種で、長野・岐阜県境の半径50kmの限られた地域に分布する貴重な種。公園内で枯れそうになっていたものを、現在地に移植
仁川百合野地区。この斜面で地滑りがおこった。今は地滑り防止枠が設置され、春には芝桜が咲き乱れる。左下:地滑り防止枠の模型。長い杭が枠を固い地盤に固定している。
上ヶ原用水分水樋。仁川の取水を巡る争いを解決するため、3方向への分水樋を設置。切り込みの長さで分配率を決めた。1650年頃に作成。現在でも機能し続ける。
関学構内の桂の木。葉の黄、緑のコントラストが美しい。

10期生11月4日講座報告

開催日2015年11月4日(水) 快晴
講座名里山の竹の間伐体験
講師田淵 武夫先生(富田林の自然を守る会代表)
場所滝谷、奥の谷

ここ数日冷え込んでいた天気もこの日はさわやかな秋晴れ、絶好の竹の間伐日和。

午前は、里山のやっかいもの、竹についてパワーポイントを使って屋根裏座学。日本の竹は地下茎を直線的に伸ばして増え、年に3メートルも伸びるとか。竹を放置すると雑木林の植生はやられてしまう。日本古来からあったマダケと琉球から渡来したモウソウチク、その識別の仕方、竹の年齢を知る方法、竹を切るに適した時期等々、多くを学んだ。かぐや姫はマダケから生まれたって、ロマンがありますね。

座学のあとは、豚汁づくり。絶妙の味付け?、2杯、3杯と食が進み、見事に完食。午後は竹の間伐体験。鋸をベルトに据え、ヘルメット、皮手袋、スパッツ、すべり止め等、万全の装備で竹林へ。先生の指導のもと、4、5組に分かれてモウソウチクの間伐実体験。タケノコが生えるぐらいに間伐を、という地主さんの要望に基づき、2、3メートルくらいの間が空くように適当な竹を見計らって実施。

最後にヒヤリハットの意見交換、KYK(危険予知活動)のことを学んだ。こんな身近なところに里山を見ることができる。そんな素晴らしい里山の保全に日夜活動されている先生はじめ関係者のご努力に頭が下がります。

バイオトイレの使い方、ひも状のものは絶対いれないこと。モータ―に絡んでトラブルのもと
屋根裏教室、元々はみかん倉庫だったとか。今は立派な学習室
味はどう?
午後の作業を控え、しっかり戴いています
出で立ちだけはすっかり森林インストラクター
左利きでしたっけ?

10期生10月28日講座報告

開催日2015年10月28日(水)
講座名きのこ入門
講師下野 義人先生(三重大学大学院 協力研究員)
場所堺自然ふれあいの森

午前の座学では、きのことはどんな生き物なのか、きのこの役割、毒キノコについて等々。

話はやや難しかったが最新の分類体系では、菌類は植物より動物に近いといわれている。きのこのなかには動物や植物の遺体を分解してリサイクルする腐朽菌と、マツタケ等のように植物と共生する菌根菌がある。毒キノコについての昔からの言い伝えは全て誤りであること等を学んだ。

午後はフィールドでの観察と採集。堺自然ふれあいの森では採集や持ち帰りは禁止されているが、今回は後北館長に同行してもらい特別に許可してもらった。最近の晴天続きできのこは少ないのでは、と心配されたが、全員ズボンを草の実だらけにしながら真剣にきのこを探し。30種以上のきのこを観察、採集することができた。

このきのこはとても美味しい。でも、毒キノコのベニテングタケ。食べたらダメヨ~
マツタケないかなぁ~
これは?何?どこ?
森の妖精のような可憐な姿。イヌセンボンタケ
スーパーで買っているものとはかなり違っているが、これが本来のエノキタケの姿、柄は黒っぽくビロード状
これはなにかな?シハイタケ?ハイ正解!
水酸化カリウムの溶液をかけてみると黄色に変色。間違いなくアケボノドクツルタケ。猛毒です

10期生10月21日講座報告

開催日2015年10月21日(水) 晴れ
講座名奈良公園の巨樹観察
講師甲斐野 幸一先生、中村先生(グリーンあすなら)
場所奈良公園(興福寺〜春日大社付近)

道路に向かって大きく傾いた興福寺南円堂そばのスダジイ。土は雨に洗われ、根は剥き出しに。“スダジイは怒っています”と、甲斐野先生。人がとなりに道路を作った事が原因だ。甲斐野先生のお話が実に楽しい。

“ムクロジは困っている”そうだ。ムクロジの幹を突き抜けて竹が伸びている。何とかしてあげたい。脳をフル回転させる。どの木々も生きるのに必死だ。長きに亘り生き続けてきた木々は、生き残るための生活の知恵を一杯に示している。銀杏の葉っぱはあとに出てきたものほど葉柄が長い(お日さまを十分に受けるため)、桜の葉柄には蜜腺(ありを甘い密で誘い、周囲の害虫も同時に餌としてありに駆除させる)、イヌシデは果苞を羽根状にして種子を遠くまで飛ばす、など。

樹木の同定はなかなか難しい。苦手としてきた。葉の形、大きさ、葉脈の走行、葉縁の形状、樹皮、種子、全体の形などすべてを、自分でじっくり見て、特徴を考える。まずは自分の感性でしっかり観察すること。大変勉強になりました。

ムクロジは困っています。塀外の竹(矢印)が根を伸ばしムクロジ幹内に侵入。ムクロジ幹上部に出現(*印)。左下:ムクロジの実
巨木黒松の高さを測定。直角二等辺三角形を利用。写真のように測定。底辺(a)と高さ(a)は等長。長さaに測定者の身長を足して、黒松の樹高を測定。24.2m
イチイガシ(一位樫)。樫類の中で最も堅く樹形が雄大。誇り高き樹木。生じた空洞も新しい組織で覆い、生きるための努力を続ける
カシとシイ。葉っぱと実をよく観察し、特徴を見よう 左下:カシのドングリとシイのドングリ。違いは?カシは丸。シイは三角
エノキ:非対称の葉。赤い実 イヌシデ:果苞が堅い枯葉状の翼となり、風に乗って種を運ぶ桜の蜜腺
奈良公園にいち早く秋を告げるナンキンハゼ。公園に赤の彩りをと植えたものの、シカは好まず、増えすぎて困りもの。 人為的な生態系の変更は、維持されてきた生態系の大きな変更を生む。

10期生10月14日講座報告

開催日2015年10月14日(水)
講座名農業体験①
講師四日 克彦先生(NPO法人ゴールドファーム代表)
場所ゴールドファーム、木積農園、北阪農園

秋晴れの好天に恵まれたこの日、ゴールドファームでの初めての農業体験。四日代表よりゴールドファームの設立の背景や当日の作業内容の説明を受け、早速木積農園での作業開始。

先ず、鴨なんばの由来であるという難波ネギの植え付け。5センチ間隔の植え付けに苗の供給も遅れがち。植え付け後水撒きした畑は泥土に化し、後のモミ散布作業ではズックがドロドロ。農作業はやっぱり長靴だと反省しきり。ともあれ来春には成長したわが子の鴨なんばを食べてみたいものだ。

午後は北阪農園へ移動し、芋堀。収穫となると力の入れようが違い、60株はあっという間に終了。お土産に戴いたこの鳴門金時や紅アズマ、1週間ほど干せば一段と甘みがますとか。楽しみだ。最後は金ゴマの脱穀。乾燥させた金ゴマの枝から金ゴマを取り出す作業。これが中々大変な作業。やってもやっても終わらない。金ゴマの枝を振ったり、叩いたり、終いには三々七拍子の音頭を取りながら、ようやく脱穀作業終了し、本日のすべてのメニューを終えた。

秋空のもと、土と汗にまみれ少しはお役に立てたという充実感と快い疲れを感じながら、農園を後にした。

木積農園にて
しっかり仕事しているところ撮りましたよ!
難波ネギの植え付け
5センチ間隔に・・・来春、わが子の成長した姿を見たい
芋ほり(北阪)収穫って、楽しいね!
本日の収穫。ほぼ無傷です
金ゴマの脱穀、一粒たりとも残さずに・・・

10期生10月7日講座報告

開催日2015年10月7日(水)
講座名ブナ林の保全
講師弘田 純先生、他スタッフ数名(和泉葛城山ブナ愛樹クラブ)
場所和泉葛城山

最高の天気に恵まれ和泉葛城山へ、山頂は少し肌寒い感じで上着を羽織る人も。作業小屋前での写真撮影から講座スタート。

国の天然記念物に指定されているエリア内の遊歩道で、ブナについての説明を聞きながら観察。残念なことに近年は、枯れる木や風で倒れる木も多く、ブナの大木が減る傾向にある。又、ブナの成長には他の樹木に比べても著しく時間がかかるとのこと。それゆえに管理して保護することが重要と感じられた。

作業小屋周辺で昼食の後、午後の講座は間伐体験。3班に分かれて、足場の悪い中、慣れない鋸を持ち、伐採、枝払い、玉切りと悪戦苦闘しながら各班1本のヒノキと格闘。ご褒美に檜風呂用にと輪切りにしたヒノキを頂いた。この時期の和泉葛城山は秋の実りの季節、ブナの実、クリ、アケビ、ムべ、アキグミ、ヤマナシ、サルナシ、ムカゴ等、多くの実を観察することができた。

作業小屋の前で全員集合 パチリ!
ムベの実
アケビに似ているが皮は開かない
樹齢200~250年のブナの大木
林床にはミヤマシキミの群落
手分けして枝払い
ご褒美の檜。いい~香り

10期生9月30日講座報告

開催日2015年9月30日(水)
講座名金剛山の植物①
講師桝谷 祥子先生(金剛山の植物に親しむ会、近畿植物同好会会員)
場所金剛山ちはや園地~山頂

この数週間お天気に恵まれなかったカレッジの講座、今日はさわやかな好天の中で絶好の植物観察日和となった。

ロープェイ組、歩き組とも、11時10分過ぎには集合場所のロープウェイ金剛山駅に到着。ここから桝谷先生の案内で秋に咲く金剛山の花々を観察しながら山頂まで歩いた。先生から次々と出てくる花の名前、あるときは先生から直接に、またあるときは一列縦隊の前から伝言される情報に基づき、その写真やメモをとるのに追われながら・・・

先生がボランティアで写真提供、指導等されたという大阪府みどり公社発行の冊子「金剛山の野草Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」が<ちはや星と自然のミュージアム>で販売されていたが好評でこの日にすべて売り切れた。四季の谷での昼食をはさんで午後もしっかり植物観察。

大阪府最高地点では記念撮影、そして大和葛城山をのぞみつつ2時過ぎには山頂到着。多くの植物に接し、親しみ、全身いっぱいにフィトンチッドを浴び、さわやかな気分で金剛山を後にした。自然の恵みに感謝!あとは、筋肉痛がでないことを祈るだけ。

ケシロヨメナ
キク科の植物、似たような花がたくさんありますね
コウライテンナンショウ
マムシグサに見えますが、金剛山にはマムシグサはないとか
サラシナショウマ
イヌショウマとの違い、分かりますか
カワチブシ
トリカブトの仲間、河内音頭ではないですぞ
ガンクビソウ
キク科、うまく名前をつけたものです
桝谷先生に上手に撮って頂きました。みんないい顔しています(大阪府最高地点/標高1053mにて)

10期生9月16日講座報告

開催日2015年9月16日(水) 雨
講座名湿地の生物
講師岸 恭子先生
場所丸山湿原、宝塚西谷の森公園

前週は台風のため、講座中止。今週こそは良い天気でありますように!!願いも空しく雨。雨でびしょびしょ、汗でびしょびじょ(美女??)。しかし我らシニア軍団、雨にも負けず果敢に湿原での生物観察に挑みました。

丸山湿原は低山地の谷にできた湧水による湿原。低層湿原や高層湿原のような泥炭を形成せず、湧水の涵養によって貧栄養な環境で形成されてきた。地域固有種を含む多様な生物種が確認できる貴重な場所である。季節によってはサギソウやとき草など可憐な花が、八丁トンボなど希少種が観察されるとのこと。

8月の調査では三百十数種もの植物を確認したそうだ。残念ながら9月のこの時期はお花に乏しいとのこと。しかし水を一杯に含んだイヌノハナヒゲ群生を見て湿原を感じ、金みずひき、釣り鐘にんじん、蔓りんどう、みみかき草、ぬまがやなど多くの植物に出会い、自然の豊かさを楽しんだ。

次の機会には、大きく羽ばたく鷺に似たサギ草に出会いたい!

丸山湿原群保全の会代表、岸先生より湿原の成り立ち、保全活動について聞く
湿原への入り口。湿原維持のためには樹木の定期的間伐が必須
イヌノハナヒゲ群生。群生内に、黄や紫の花をつけたミミカキグサをみつけた。小さすぎて写真で示せないのが残念!
湿原で見つけた花々
湿原で見つけた花々
西谷の森公園周辺の街路樹、ヤマボウシ
大きな赤い実を一杯につけ、秋がきた!

10期生9月2日講座報告

開催日2015年9月2日(水)
講座名淡水魚入門
講師佃 十純先生、大林先生
場所大泉緑地、加呂登池

夏休み明け最初の講座は淡水魚入門。

午前の座学はまず煮干しの解剖から、先生の説明を聞きながらピンセット、爪楊枝で分解していく。脳・心臓・耳石・肝臓等々、うまく取り出し、先生に褒められる人や、分解したもののどこへ行ったか分からなくなる者がいるなか、丁寧に指導していただいた。

その後、淡水魚についての基礎知識の講義を受けた。その中でギンブナは全部メスで他の魚の精子を感じて産卵することや、タナゴは二枚貝の中に卵を産んで育てること、モツゴはオスが産卵場所を作ってメスが産んだ卵を守ること等、興味深い魚の生態も教えていただいた。
 
午後は加呂登池に移動して池の生き物調査。胴長を着て、池底の泥に足を取られながら、トラップを仕掛け、タモ網で生き物採取。網で魚をすくい取るのは苦戦したがトラップには予想以上に魚が入っており、満足。最後に、採れた魚や他の生き物を種類ごと分けて講座終了。

う~ん。耳石が見当らない。どこに?
アシスタントの大林さんが描いてくれた解剖図
大漁を目指す、長靴部隊集合
気持ちは前に、でも足がついてこない
網の中には?
モツゴ、タモロコ、ヨシノボリ、メダカ、ドジョウ、etc.を前に

10期生7月29日講座報告

開催日2015年7月29日(水)
講座名河口・干潟の生物
講師山田 浩二先生
場所近木川河口、貝塚自然遊学館

今日も暑くなりそう、集合場所の二色浜駅前にある一本だけのケヤキの木に無数のクマゼミが声を競い合い、いっそう暑さをかもしだすなかで講座スタート。

午前は近木川河口のヨシ原でのカニ釣り。「時期的にどうか」との先生の心配をよそに、釣れる!釣れる!2匹まとめて釣上げる時もあり大漁だった。釣れたカニの説明を受けた後川へリリースして午前の講座は終了。

午後は干潟で生き物探し潮溜まりにはヤドカリ、エビ、ヒメハゼ、石をめくるとカニがいっぱい、その砂の中からウナギの赤ちゃんが出てきた、と思ったのはミミズハゼという魚でした。ウナギと言えば、昼食時、カワウが川で何かを食べようとして苦戦していた、何を食べているのか双眼鏡で確認してみると、なんとウナギを食べていた。贅沢なカワウが羨ましい。そんなこんなで、今回も暑い中でしたが、多くのことを楽しく学ぶことができました。

カニ 釣れた ゾー
右のハサミが立派なハクセンシオマネキ♂
ふんどしが大きくて丸いのがメス
オスのふんどしは三角
先生による投網実演(美しく広がっている)
受講生の投網体験(よくできました?肩にまだ?)