大阪シニア自然カレッジ

11期生講座報告

11期生7月27日講座報告

開催日2016年7月27日(水) 晴れ
講座名緑化入門、大仙公園
講師池田 栄子先生(緑化センタースタッフ、グリーンアドバイザー)他1名
場所堺市都市緑化センター

テキスト「植物と対話しましょう」を基に種まきから肥料まで先生の貴重な研究・経験談を交えての講義。

植物と人間の違いは意思を持って移動できるか、できないか、植物は一度定着すれば生涯その場所に居座り、動けない。そのため、日当たり・用土・農薬・水やり・肥料等をその植物に適した環境下で見守る必要が有るとの話には、今一度考えさせられました。人と植物との関係はテキストのタイトルそのものですね。

午後から、都市緑化センターの四季の庭、蓮池、里山の庭、温室とコースを巡り、先生が植物名とそれにまつわる話を入れての熱い説明。八重ヤマブキ、大賀ハス、マサキ、カリン、シャガ、一両から万両までの木等々、特にシャガの葉は単面葉で葉の裏面が表となっている話には受講生もビックリ。アヤメ、ネギがこの類。

この後涼しい室内で「仏教の三聖樹」の講義、三聖樹の一つサラソウジュはナツツバキ(日本固有種)と同じ物だとよく間違われやすいが全く別の熱帯樹のこと、ある僧が美しく気高いナツツバキの花をサラソウジュと思って間違って広めたためとの説があるそうです。

もうすぐ緑化センターの里山の庭でナツツバキの可憐な白い花が咲きます。機会が有れば皆さん是非ご観賞を!

実践:なめくじ退治に塩を使うのではなく、バナナの皮を餌におびき寄せる方法が効果てき面とお聞きしました。バナナを食した後の廃品利用、塩より合理的かも実践される方、結果報告宜しく。そうそう、捕まえた後は石川五右衛門方式(熱湯をかける)をお忘れなく。(活動報告書作成3班)

堺市都市緑化センター前にて
大賀ハスの花 桃色がきれい
シャガの葉 どちらが表

11期生7月20日講座報告

開催日2016年7月20日(水) 快晴
講座名河口・干潟の生物
講師山田 浩二先生(貝塚市立自然遊学館研究員)
場所近木川河口、貝塚市立自然遊学館

ケヤキに群がるクマゼミが鳴く喧噪の二色浜駅から、一転心地よい浜風の吹く近木川(コギガワ)河口へ。

午前はスタッフが用意した竿と餌の竹輪でヨシ(ダンチク)が茂る場所でのカニ釣り、成果は上々。約200匹のカニを釣り上げ(一人当たり7匹を釣り上げた勘定)、先生がカニを手に取りアシハラガ二、クロベンケイガ二、ベンケイガニ、ハマガ二と各々の特長を説明、こんなにまじまじとカニを見入ったことは無い、皆さん、にわかカニ博士の気分。

午後は近木川河口干潟での生物採集。ここは汽水エリアの為、カニの種類が違う、目がきりっと立って凛々しいオサガニ、愛嬌ある前歩行のマメコブシガ二はともかく、ケフサイソガ二・ヒライソガ二・ユビナガイソガ二・ホンヤドカリ、名前が覚えられない程、種々多彩。貝類もアサリ、ムラサキガイ、スガイ等々、中でも茶碗の形の手触りがザラザラとした物がアサリを食べるツメタガイの卵塊”砂茶碗”と聞かされ一同驚愕。なんでこんな物が卵!

最後は貝塚市立自然遊学館の展示鑑賞で本日の講座終了。

グッドなお話:近木川は平成5・9年と二度全国の2級河川の中で水質ワーストワンになりましたが、それをきっかけに始まった活動で、近木川と人とのいい関係の再構築をめざし現在の姿になったそうです。(活動報告書作成3班)

カニと知恵くらべ
ベンケイガニ、資料で確認
遠く淡路島が見える

11期生7月13日講座報告

開催日2016年7月13日(水) 曇り時々雨
講座名両生類とは虫類
講師木下 裕美子先生、和田 孝史先生(堺自然ふれあいの森 森の館スタッフ)
場所堺自然ふれあいの森(堺市)

空模様がはっきりとしない中、午前は両生類、は虫類と昆虫の採集で各自大小の捕獲網を片手にさっそうとフィールドへ。その時、タイミングよく鳥のさえずり。誰かがコジュケイですね。鳴き声は「ちょっと来い、ちょっと来い」幸先良し。ヌマガエル、ザリガニ、エビ、各種バッタ、セミは受講生で何とか、は虫類はすばしっこくてニホントカゲは逃がす有様。

一方、先生の実力差は歴然で、カナヘビ(トカゲ)捕獲。雨も降り出し、森の館ピロティで拡大写真によるカエル(アカガエル、シュレーゲルアマガエル、トノサマガエル等)の講義、その後、「カエルの苦労」ゲーム、自然淘汰のゲームであるが、決着がつきそうにも無いのでヘビチームを追加すると、結果は見えた。自然界の掟とバランス維持の難しさを感じさせるゲームであったが、久しぶりに童心に返りゲームを楽しむ皆さん。雨にもマケズ頑張りました。

午後は両生類・爬虫類の生態比較のクイズ形式による座学で、繁殖・卵・皮膚・呼吸・生活環境等の違いを、中でも雌雄の見分け方、体のしくみ[まぶた、耳、カエルの手足の指の数、トカゲの第3の目(頭頂眼)、ヘビの割れた舌先]の説明には時が経つのも忘れ聞き入ってしまいました。

後日談

その1)トカゲの第3の目先生捕獲のカナヘビの第3の目(頭頂眼)を見つけられた人は11期生で何人いましたか?(こっそり教えて、私には見えなかった)

その2)四六のガマ実は指の数は前足が四本、後ろ足が五本のニホンヒキガエルを指すが後ろ指は第一指のそばに番外指と呼ばれる骨のあるコブが有り、これが六本の指に見えるために、四六のガマと言われるとの話でした。

大、中、小の網
捕る準備は万全
アカガエル
人間の方が体温が高い。素手で触ると弱るので、軍手をしている
カエルの苦労ゲーム 童心になって
カナヘビの耳や第3の目を探して

11期生7月6日講座報告

開催日2016年7月6日(水) 快晴
講座名野鳥観察①
講師仲 淳一先生、市川先生、西野先生(泉北野鳥の会)
場所錦織公園(富田林市)

金剛駅から徒歩で寺池を経由。途中、野鳥を探しながら羽曳野丘陵の南端にある目的地の錦織公園へ。

鳥の種類は全世界で約10,000種、日本では600種余り、鳥の移動方法にて留鳥、漂鳥、渡り鳥と分類されるとの事。この分類で馴染みの深い鳥としては、留鳥はスズメ・カラス・カルガモ、漂鳥はウグイス・ヒヨドリ、渡り鳥はツバメ・マガモなどといるが、セキレイ等は留鳥と漂鳥の領域に入るものも有りと拝聴した。確かに、気候、環境も変われば鳥も対応も余儀なくされる。ダーウィン先生の話しも不思議ではない。スズメ、カワラバト(ドバト:カワラバトの野生化したハト)ハクセキレイ、キジバト、ムクドリ、メジロと目に映る鳥もいればウグイス、エナガは鳴き声だけで姿は見えず、どんな容姿かと思いきや、先生持参のグッドな写真で確認。先生方が野鳥の鳴き真似をして下さったが、なかなか聞き取りづらい。次回に期待。

本日の探鳥会の資料では27種の野鳥がリストアップされていたが、鳥合わせの結果14種を確認(鳴き声も含め)。やはり夏のシーズン探鳥数が少ないのは否めない。今日は暑さと言う天敵に野鳥も受講生も参った!

メモリー:セグロセキレイは日本固有種で日本と韓国に生息

ハプニング:寺池で池に白い鳥らしきものを発見。受講生色めき立つも、なんとペットボトル鳥!誰か教えて、寺池に整然とペットボトルを浮かべる訳を。

暑い!木陰を歩く
眺めども姿も声もなく
涼しい東屋でランチタイム
今日の成果をイラストで

11期生6月29日講座報告

開催日2016年6月29日(水) 曇り・午後から小雨
講座名農業体験①
講師四日 克彦先生
場所北坂農園・こうのやま農村公園(岸和田市)

何日も前から雨模様の予報で、いつ実行可否を決めるか思案したが、四日先生より雨天の場合は屋内で金ゴマの種播きをしましょう、との提案があり天候に関係なく実施することにした。メニューはジャガイモの収穫がメインで、他はゴマの捕植、サツマイモの草取りとゴマの種播きであった。

初めにゴールドファームのアシスタントより、4種類の鍬の特徴と各々の使い方の違いを教えてもらった後、ジャガイモ掘りを開始したが、レクチャーは全く無駄であった。それでも、収穫はうれしい量であった。昼食の終わり頃に雨が降り始めたので、屋根のあるこうのやま農村公園に移動した。ゴールドファーム設立の経緯から現在の取り組みについて説明して頂いた後、金ゴマの種播き。金ゴマがゴールドファームの目玉の一つであると聞かされた直後なので、責任を感じる。ファーム側の作戦勝ちか。

この日のひと口感想では、農作業が結構楽しかったとのコメントが多かった。心強いことであるが、最後の農業体験講座まで同じコメントが続くことを祈りたい。

待望のジャガイモ掘り。ザックリが出ると周囲からブーイングと厳しい目線が。
赤いのがアンデスレッド、右上がキタアカリ、左下がメークイン。満足です。
トレーへの金ゴマの種播き。種が小さく軽いので、良く見ないと指先に貼りついたまま。

11期生6月22日講座報告

開催日2016年6月22日(水) 小雨
講座名浜辺の植物観察
講師木村 進先生
場所せんなん里海公園

前回に続き、再び泉南地区での講座開催。

海岸環境の種類は大別すると、潟(泥)・浜(砂)・磯(岩)の三種類で、会場のせんなん里海公園ではこのいずれもが見られるらしい。又、海岸で自生している植生は乾燥に強いので公園や街路樹としてよく植えられているとのこと。

トベラ、ウバメガシ、ユズリハ、シャリンバイ、マサキ他。海水はたっぷりあるが、塩分濃度が高いので吸い上げるわけにもいかず、ジッと我慢していることが、乾燥に強いことになるらしい。頂いた資料を片手に、公園内を歩きながら目に付く植物を次々に説明してくれた。資料には44種の木本・草本が記載されていたが、ほぼ全部観察できた。

公園内の数か所に、目を引く草花が植わっていたが、どれも先生は気付かないように通り過ぎていく。不審に思っていた受講生が辛抱できずに、先生!これは何ですかと質問するとポツリと一言、公園の人が植えたハーブです。

絶滅したと思われていた浜ネコジャラシ。秋には穂も葉もワインレッドになるらしい。
公園内でヤマモモを見つけるたびに立ち止まり手を伸ばすので、列も長く延びた。
阪南市の天然記念物ヒトモトススキ。府下では二ヶ所しか残っていない・・しかし地味。

11期生6月8日講座報告

開催日2016年6月8日(水) 晴れ
講座名磯の生物観察
講師山田 浩二先生
場所岬町 水産技術センター、豊国崎

午前中は水産技術センターを訪問し、同センターの役割を学び栽培漁業の為の稚魚飼育槽を見学した。大阪湾を対象に、海を守る・魚を調べる・魚を増やす・海辺を再生することが役割だそうである。

飼育中の稚魚はヒラメ・チヌ・トラフグ・キジハタの4種類で、体長5cmぐらいで放流するらしい。生存率は、自然界では数千万分の1のレベルであるが、栽培漁業では30%とのこと。それにしても。5mmのヒラメの赤ちゃんは可愛かった。

午後からは、近くの豊国崎の磯で生き物を採取。貝塚自然遊学館の山田先生に来て頂き、採取したそれぞれの生き物について詳しく説明をしてもらった。ちょっと見にはフナムシとカメノテ以外は見当たらないようであったが、懸命に探して40種類近く採取できた。

この日の、ひと口感想から・・石をめくると、いろんな生き物があわてて動き出す世界はホッとしました。磯の香りも懐かしかった。

水産技術センターでナマコ触り放題。他にヒトデやアメフラシも。
豊国崎の磯へ降りる。
採取したアメフラシの説明。貝の仲間だそうで、フニャフニャの体内には薄い殻が。

11期生6月1日講座報告

開催日2016年6月1日(水) 晴れ
講座名里山入門
講師後北 峰之先生
場所堺自然ふれあいの森

里山とは何であるかについては一義的な定義はないらしいが、先生は次のように説明した。

裸地から極相林に至る植生の遷移サイクルを、薪炭林として利用するため人が介入し二次植生で止めている状態である、と。現在では薪炭林としての需要が消失したので、里山も消失した(里山の危機は昔の話)。ふれあいの森に里山の環境を残そうとしている意義は、生物多様性をできるだけ保存し、次世代を担う子供たちに伝える為とのことである。

講義後は3班に分かれて、ミニタウン開発のシミュレーション。川で分断された土地を住民・農場経営者・企業経営者等に役割分担し、互いに協議し、どこにどんな施設を配置するにかを決め、発表した。先生によると、正解案というものはなく、話し合って決めることの大事さを学んでもらうのが目的とのことであった。

午後からは森に入り、指定管理者である「ふれあいの森パートナーズ」が里山保全のため取り組んでいる様々なことについて説明して頂いた。

後北先生の講義。羽釜や五右衛門風呂、ポットン便所など身に覚えのある話が登場した。
土地開発プロジェクトチームのミーティング風景。
班別のタウン開発案を発表。川に無断で橋を架ける案も登場し、先生を困らせた。
ふれあいの森の中を歩く。フカフカの散策道は足の裏が気持ち良い。
シロスジカミキリの幼虫が暮らしていたクヌギの木造アパート。部屋は意外に広い。
畑地で見つけたイシガケチョウ。別名、地球蝶(経線と緯線がわかりますか)。

11期生5月25日講座報告

開催日2016年5月25日(水) 曇り
講座名鳥類入門
講師石井 正春先生
場所南港野鳥園

会場の南港野鳥園は関西でも知られた探鳥地の一つで、東アジア・オーストラリア地域の水生渡り鳥の重要生息地にも登録されている。講座では、まず羽や翼の構造・骨格・呼吸器・視力など飛ぶための体の仕組みを、教えてもらった。(因みに、ケンタッキーFCを食べて鶏一羽ぶんの骨を集めると、鳥の祖先である恐竜の骨格標本が作れるそうです)

続いて双眼鏡の使い方の説明で、レンズ幅・左右の視度・アイレリーフなど覗くまで調節するところが結構ある。更に観察のマナーや物差し鳥、お薦めの図鑑、双眼鏡の選び方など観察するまでに学ぶべきことが多い。

昼からは湿地に出て塩生植物や、水鳥たちのご馳走であるハクセンシオマネキなどのカニ類やゴカイ、ヨコエビ類などの講義をしてもらった。講義が始まった10時頃は満潮で、水鳥はカワウ・カルガモ・バンぐらいしか見えなかったが、昼過ぎから潮が引き、チュウシャクシギ・キアシシギ・コチドリなどのシギチやコアジサシが姿を現し、にぎやかになった。

鳥類の骨は軽くするため中空になっているが、筋交いが入っており、結構丈夫なのです。
眼の幅を合わせてから、ここを回して左右の視力のバランスを調整して下さい。
細くて堅そうなのが府のレッドデータリストで要注目種になっているイソヤマテンツキ。

11期生5月18日講座報告

開催日2016年5月18日(水) 晴れ
講座名哺乳類入門
講師早川 篤先生
場所ラブリーホール、長野公園

午前の座学で、狂言・落語・浮世絵・和歌など日本文化に登場するタヌキやキツネ、カワウソ等を紹介してもらった。昔は、動物たちが身近に暮らしていたことが良く分かる。

午後からは動物たちの糞や食痕などのフィールドサインを求めて長野公園で観察会・・何も見つからず。前日に雨が降っていれば、イタチの足跡くらいは見つかりそうなものだが、残念。

公園の東屋に戻り、早川コレクションの展示会を開始。コウモリやノネズミの骨格標本から始まり、5年物のモグラの焼酎漬け登場で一気にテンションが上がる。イノシシとシカの脚の違いが生態の違いと結びついていること、ウサギの脚を見せながらウサギ狩りでは何故、上に追い上げるのかなどの説明。ビロードのようなモグラの毛皮を思わず頬に当ててみる人も。リュックから次々に出て来る標本に皆、夢中になりました。最後はシカとイノシシの頭骨で締めてコレクションの展示会も終わりました。

コウモリの翼は手なのだそうです。上にポチッと見えるフックが親指らしい。
ノウサギの脚です。どちらが前脚で、どちらが後脚か分かりますか?
これは何の頭骨でしょう(最近手に入れた、先生自慢の一品)。ノネズミです。