12期生3月20日講座報告
平成29年4月にスタートした12期生の講座も今日が75回目で最終の講座となりました。いつもとは違って和やかで少し華やかな雰囲気の中で「遺伝子について」の記念講演が始まりました。遺伝子やDNAついて初歩的な解説と専門的な解説もあり普段は聞く機会が少ない話で関心を持って聴講出来ました。
遺伝子はDNAであり、DNAはすべての生物が同じ形の二重らせん構造を持ち、リン酸、糖、塩基で構造している。DNAは長い分子で人の体細胞1個あたり約2mあり人の全DNAは太陽と地球を400回往復する長さと言うから驚きである。人とチンパンジーとは外見は明らかに異なり、とても似ているとは考えられませんが染色体数、ゲノムサイズ、予測遺伝子数はほぼ同じで塩基配列の違いが1.23%しかないので共通の先祖から進化したと言われる所以である。その他、人の遺伝子は小間切れ、遺伝子の働きには“スイッチ”が必要とか初めて聞く話が盛り沢山でした。
修了証書授与式では新谷代表から受講生に修了証書が手渡され、大阪シニア自然カレッジの受講生を卒業。
4月からは会員として部会等に参加して今後も皆さんと交流を深めて下さい。12期生の皆さん2年間ご苦労様でした。
記念講演「遺伝子について」
新谷代表より修了証書の授与 ”2年間頑張りましたね”
修了証書を手に全員で記念写真 \(^o^)/。
振り返りの会のフィナーレは清らかな声?で合唱!
12期生3月13日、14日講座報告
卒業旅行の幕開けは明け方の予想外の雨。旅行に水を差すのでは?と心配されたが、次第に晴れ間が広がりホッと一安心。初日の最初の訪問先は南方熊楠記念館。DVDや展示物を見て、粘菌研究から地域の自然保護活動まで幅広い功績を残した熊楠の偉業を学ぶ。午後は天神崎へ、天神崎の自然を大切にする会の玉井先生からナショナルトラスト運動の説明を受けるが、会の名称を「守る会(=敵がいる)」でなく、「大切にする会(=みんなが理解・協力する)」にした経緯が印象に残った。その後、弓場先生の案内で日和山に登り、セトウチサンショウウオの成体や孵化直前の卵嚢等を観察し大喜び。さらに磯に出て強風にもめげず磯の生物を採集し同定。かんぽの宿では宴会や懇親会で大いに盛り上がった。
二日目はまず紀州備長炭記念館へ、ウバメガシの「択伐」と備長炭ができるまでの説明を聞いた後、目の前で備長炭の窯出し場面を見ることができて大感動。続いて奇絶峡で奇岩・巨岩や不動の滝や磨崖三尊大石仏を見学後、小学校の跡地を活用した秋津野ガルテンでスローフードバイキングの昼食。締めくくりは昨年日本遺産に認定された広川町にある稲むらの火の館へ、安政地震津波の襲来時やその復興期に尽力した濱口梧陵の功績を知る。さらに語り部の案内で梧陵が資材を投じて築いた広村堤防等を見学。
初日は風強かったが二日間とも晴天に恵まれ、またセトウチサンショウオの生態や炭の窯出し等を観察・見学でき、楽しかった卒業旅行もこれにて幕閉じ。
天神崎で磯の生物を採集中。ミレーの「落穂ひろい」を連想するのは私だけ?
紀州備長炭発見館の炭の窯出し。なかなかこのような場面を見ることはできないらしい。
稲むらの火の館の近くに築かれた広村堤防。高さ5m、全長636mの大堤防上を往時をしのんで歩く。
かんぽの宿の宴会場にて「はい、チーズ!」。
セトウチサンショウウオの卵嚢の中に孵化直前の幼生が見える。孵化後は共食いが珍しくないそうだが、何とか無事に成体に育ちますように!
12期生3月6日講座報告
どんよりとした曇り空、甲子園浜で海辺の野鳥観察。ここは砂浜のある阪神間で数少ない海岸線、冬には多くのカモ類、海鳥が集まる所で、今の時期冬鳥は北に旅立ちつつあるとの事。観察に入る前にカモ類、カモメ類を見分ける為の特徴の説明を受ける。海側を眺めるとユリカモメがずらりと岩に並び羽を休めている。波間にはヒドリガモ、オカヨシガモ、オオバンなどが浮いている。黒いくちばしのコサギは、餌を見つけると優雅に佇んでいる姿から想像できない素早い動きをして捕らえている。ウミアイサは潜ったり浮かんだり双眼鏡をあわせるのが忙しい。
遊歩道沿いに河口付近に移動すると、カワウ、アオサギ、先生のスコープには愛らしいイソシギの姿、砂浜にはたくさんのオカヨシガモがくつろいでいる。その中に数羽の種類の違うカモがいると言われるがどれも同じように見えて区別できない。空にはカモメ、トビ、英名「オスプレイ」のミサゴは優雅に飛んでいるが、魚をみつけると急降下して水中に飛び込み捕まえるとの事。期待しながら待っていたが残念ながら本日は飛んでいる姿を見るのみ。遊歩道沿いの山側にはスズメ、ヒヨドリ、イソヒヨドリ、ムクドリ、ジョウビタキなどが見られた。
午後は甲子園浜自然環境センターで鳥合せ。オスの鮮やかな羽色、嘴の色が変わるのは繁殖期の間だけなど探鳥した鳥の特徴の説明を受ける。この日は38種の野鳥を観察。環境センターのミニミニ水族館を見学して本日の講座を終わった。
目の前のユリカモメを観察
羽を休めるユリカモメ
杭に止まるセグロカモメ
12期生2月27日講座報告
2回目となる今日の化石入門はお待ちかねの?化石採集である。外環状線を挟んだ北と南で地層の分かれ目となるそうで途中にある大阪層群を見ながら地層の勉強をして意賀美神社(おがみじんじゃ)へ。境内で今日の植物化石はどのような植物の部位が採集できるか樹木や種子で説明を聞いて、いざ現場へ。
先生たちが2003年から採集しており化石が多く含まれている地層なので初めての我々でも期待できそうだ。粘土層の塊を細かく割って化石を探す。グレーの粘土に黒いものが!化石かな?始めは声が少なかったが瞬く間に「先生これは何ですか?」「これは何の化石ですか?」「ナツツバキの化石です」「イヌマンサクです」先生も鑑定に大忙しである。受講生が見つけた種子の化石はエタノールと袋に入れて持って帰るようにして頂き有難うございました。化石は数ミリの大きさですが約270万年前の時代の植物だと思うと重みを感じますね。
化石採集は細かい作業で細心の注意が必要だと体験して分かりました。安易な作業で化石を崩してしまうと何百万年、何千万年の歴史を消してしまうことになるのですね。持って帰る化石は歴史の証拠品、大事にしましょう。今度は恐竜やマンモス象の化石に挑戦しよう!!
約270万年前のブナ科の葉の化石
どんな化石が出てくるか楽しみだ!
ナツツバキの種子(左)イヌマンサクの種子
12期生2月20日講座報告
午前の座学ではまず枯れた小枝をカッターで削る。枝の中に小粒の白い袋状のものが見えたが、これがセミの卵と聞きまた産卵過程に驚きの声が上がる。続いてカレッジの先輩方による過去のコモ巻き調査結果を見て、今年はその偉業(?)を超えようと俄然やる気になる。また大泉緑地の生きものたちの画像を見ながら、ハラヒロカマキリを操作するハリガネムシやモズの早贄やフクロウのペリット調査等の楽しい話が続く。
午後は公園に出ていよいよメインイベントがスタート。まずはアキニレ・ムクノキ・クヌギの樹皮の内側に潜む昆虫たちをこわごわ探すが、あちこちで歓声や悲鳴が交差する。続いて昨年10月に仕込んでおいたコモを開くと夢中になって昆虫たちを追いかけ、中には先生の指導通りに指に唾をつけて捕獲する方も。カメムシ・クモ・テントウムシ・ナメクジ・ゲジや何とトビスオオムカデまで見つかるが、捕獲物の同定に熱中したため結果発表は時間切れに。どうか今夜はムシに追いかけられる夢を見ませんように!?
樹皮の内側に潜む昆虫たちを探す。変な人たちが木に話しかけているのではありませんよ。
昆虫たちに逃げられないように、素早くコモを開きビニール袋に入れる。
袋から取り出したコモを広げて昆虫たちを捕獲し、同定して記録する。このデータは来年以降の後輩たちにも公表されるので、皆さん必死。
12期生2月6日講座報告
2月とは思われない暖かい雨の中気象台へ。入構証をいただきゲートをくぐる。どのような所なのか興味津々。
「ご存知ですか気象庁」と組織の説明から始まり「地震の知識」「天気予報と防災気象情報ができるまで」の講義を受ける。世界中の地震の約2割が日本で発生している。地震観測点は全国で4375ヶ所、大阪は88ヶ所。南海トラフ地震では揺れに加え津波の被害も予想される。自然現象を正確に把握するため気象庁が行っている観測はアメダス、気象レーダー、ラジオゾンデ、ウィンドプロファイラ、気象衛星ひまわりで、それぞれから得たデーターを解析、予測監視している。次に現業室を見学。地震火山課はモニターがずらりと並んでいるが思ったより人が少なく静か。目の前のテレビ画面は緊急地震速報が正確に出ているか確認の為との事。予報課は外向きに予報を発表するが最後の決断は経験を積んだ予報官によるそうだ。最後にアメダス装置の説明を受ける。
午後から津波高潮ステーションへ。大阪は地盤沈下などで海面より低いところが多く、過去台風などにより大きな高潮被害を受けた。その経験により防潮堤、水門が設置されている。高潮は低気圧で吸い上げられた海水が風でふきよせられる、波長は数m~数百m。津波は地震などで海底の地形が変化するとそのまま海面に現れるので波長は数km~数百kmになる。津波災害体感シアターの迫力ある画面で津波の恐ろしさを体感する。
両施設の担当者の方から「災害はまさかでなくいつかは起きるもの、油断をしてはいけない。家族や地域で話し合い充分な備えを、住んでいる地域のハザードマップの利用、発表される危険度分布を確認し有事には適切な避難行動をとるように」との事でした。
地震火山課現業室の見学
アメダス装置の説明
雨量計、風向風力計、温度計など
津波の高さを実感
12期生1月30日講座報告
今日は奈良県で唯一の自然系博物館の橿原市昆虫館を訪れた。木村館長の昆虫館の説明に続いて昆虫の体の話を聞いた。
昆虫の体は頭、胸、腹と大きく三つの部分に分けることが出来て、胸は「前胸」「中胸」「後胸」の三つに分かれている。ここで問題“昆虫の脚は何本ですか?”はい、皆さんご存知の通り“6本ですね”では“その6本の脚は体のどの部分についていますか?”これは案外と知らなかった。【三つに分かれたそれぞれの胸から1対(2本)の脚がある。】“昆虫の羽は何枚ですか?”イエス“4枚ですね”では“蚊やハエは何枚ですか?”あなたの答えは正解でしょうか、調べて確認をして下さい。質問をされて見慣れた昆虫なのですがもっとじっくり観察をしなくてはいけないと改めて気づかされました。
見学した放蝶温室にはオオゴマダラ、リュウキュウアサギマダラ、ツマムラサキマダラ、ツマベニチョウなど琉球列島の蝶が約100種の亜熱帯・熱帯植物が植えられた温室内を飛び交って見学者を楽しませてくれました。見学の後は現地で自由解散となり、天気が良く風もないので近隣の駅まで歩く人、バスで駅まで帰る人、お疲れ様でした。
ユーパトルウムと日本で最大の蝶のオオゴマダラ
ハネを休めるムラサキマダラ
口吻を伸ばしてみつを吸うツマベニチョウ
12期生1月23日講座報告
今日はカレッジ初の「味噌造り体験」講座で、南先生による説明からスタート。
- 味噌造りの材料は米こうじ・大豆・塩で、この配合比率や仕込み時期により白味噌と赤味噌ができる。今回は白味噌造り。
- 味噌はガンや生活習慣病のリスクを下げる、老化を防止する等の効用がある。
- イラスト入りの配布資料を使って、わかりやすく上手な作り方を教わる。
その後、いよいよ味噌造りにとりかかる。全員、三角巾・エプロン姿で材料をよくかき混ぜ、みそ玉を作り、空気が混ざらないよう表面を叩きながら容器に平らに入れる。先生から励まされ、ちょっぴり褒められながら体験終了。冷暗所で発酵させて1ヶ月後には完成するが、さて家族の反応や如何に?
午後は部会担当の松下理事から専門部会の説明。部会の多さに驚き、しばらくは部会選定に頭を悩ませそう。そして4月からは各々興味ある部会活動を楽しんで行きましょう!
味噌造りの材料。左から大豆、塩、米こうじ。
全体を十分にかき混ぜ、大豆の煮汁を足しながら、みそ玉にする。
最後は容器に平らに入れて完成。満足そうな「ドヤ顔」の方々。
12期生1月9日講座報告
午前は、近頃よく耳にする絶滅するのではと言われている「うなぎ」についての座学。
日本のウナギの種類はニホンウナギ、オオウナギ、ニユーギニアウナギの3種類が分布している。縄文時代の遺跡からウナギの骨が見つかっている。万葉の時代から滋養強壮に良いとされていた。ウナギ信仰・伝承など人との関わりは古くから各地にあるがウナギの生態は謎に包まれている。
うなぎの成長による呼び方は卵→プレレプトケパルス幼生→レプトケパルス幼生→シラスウナギ→クロコ→黄ウナギ→銀ウナギで、成熟した銀ウナギは産卵のためグアム島近海までいくがルートはよくわかっていない。どこで産卵しているのかわからなかったが、1991年ウナギの幼生が採取されグアム島の近くマリアナ諸島西方海域であることがわかった。ふ化した幼生は北赤道海流、黒潮に乗り半年かかって3000kmの旅をして冬から春にウナギの形(シラスウナギ)になって日本の河口に到着する。
このシラスウナギを捕えて養殖し土曜の丑の日に食する事になる。天然だと黄ウナギになるのには5年から10年かかる。ウナギの頭にある耳石の成分を調べるとそのウナギが川で成長したか海で成長したかわかる。シラスウナギを取りすぎると天然ウナギが生息しなくなり将来ウナギはいなくなるのでは。先生はウナギを守るためウナギの住める環境を整え、消費者を含むウナギに関わる人が問題意識を持ち協議する事が大切と言われた。
午後は水族館コーナーのバックヤードの見学。展示水槽を上から観たり、冷凍されたサメを触ったり楽しい体験をした。その後絶滅したオオカミのはく製、粘菌、魚など和歌山県の自然を紹介展示してあるコーナーを順番に見学。盛りだくさんの一日を終わった。
シラスウナギになる前のレプトケパルス幼生
展示大水槽黒潮の海を上から観ています
絶滅したニホンオオカミの剝製
12期生12月26日講座報告
今年最後の講座は3回目となる野鳥観察である。天気予報が外れることを期待していたのに残念!期待が外れて小雨の中を出発。
鳥たちも何処かで雨宿りをしているのか出会いが少ないなかで昼食前後にモズをゆっくりと観察出来た。モズのオスは初列風切の体に近い部分に白斑があり、目の周りの縞模様が色濃くて太いのでメスと区別できる。今回見たモズはほとんどオスでしたね。
午後からすぐにヒバリとカシラダカの団体に出会いましたが共に冠羽が可愛かった。池ではオシドリをはじめとして10種ほどの水鳥を観察。オシドリのオスのボディカラーは何色あるのか?誰か知っている人いませんか。観察中にミコアイサが池に飛来したがすぐに潜ってしまったので、どんな鳥か調べたらオスは白と黒のモノトーンカラーの羽をして目の周りが黒いので「パンダガモ」とも呼ばれているそうでもっと実物を楽しみたかったですね。
この後も非常に攻撃的で鋭い鳴き声のケリやコブハクチョウを間近にみたりして、午前中とは大違いでエナガ、コゲラ、カワラヒワ、シジュウカラなどに次々とご対面して最終34種の探鳥となり前半の心配を吹き飛ばして終了!
これにて今年の講座も終了!皆さん良いお年をお迎えください!
何の鳥を見ているのかな
街灯にとまっているモズ。オスかな?メスかな?
人に慣れているコブハクチョウ