大阪シニア自然カレッジ

12期生講座報告

12期生12月19日講座報告

開催日2018年12月19日(水) 晴れ後曇り
講座名農業体験④
講師四日 克彦先生、スタッフの方々
場所ゴールドファーム、北坂農園、神於山農園、農村公園

ゴールドファームでの農業体験は4回目で今回が最後になった。

午前は男女二手に分かれ、男性陣は北坂農園にて台風で損傷したビニールハウスを解体、汗をかきながらも農業に及ぼす災害の厳しさを実感した。一方の女性陣は神於山農園にて難波ネギの雑草取りと鶏糞堆肥の散布、そしてキクイモと難波ねぎをゲット。男女合流後はくらま大根を収穫したが、12期生用に用意されたひと畝はあっと言う間に採り尽くされた。

今年は不作のためほとんどが30㎝以下だったが、それでも「質より量」で一人10本近くをいただく。

午後は農村公園に移動し、まずはゴールドファーム特製のからし漬け大根の差し入れをいただきながら昼食。食後は大根のからし漬け作業を体験したが、配布されたレシピを見て自宅で実践してみよう、との声も。午後になって寒風が強くなったため、早めに切り上げた。

これからもゴールドファームでは金ゴマや難波ネギ等の農作物が豊作になりますようにお祈りします。

台風で歪んだビニールハウスの骨組を撤去。シニアのパワーも侮れませんぞ!
受講生全員でくらま大根をあっという間に収穫。さて今晩は何を作ろうかな?
大根のからし漬けを体験。2週間後には出来上がるらしいが、「おいしい、さすが12期生!」と言ってくれるかな?

12期生12月5日講座報告

開催日2018年12月5日(水) 晴れ
講座名奈良公園の巨樹観察②
講師甲斐野 幸一先生、グリーンあすならスタッフの方々
場所春日奥山遊歩道北部、若草山

前夜の雨で足元が悪い為予定していた春日奥山遊歩道南部から北部・若草山コースに変更。二回目の甲斐野先生の講座は春日大社本殿バス停近くのナギの巨樹の説明から出発。

今年の紅葉は夏の高温、台風の影響できれいではないが、イチョウなどの乾燥に強い木は鮮やか。川沿いを登っていくとナギの木が多い。神木、鹿が食べない、陽の当らない所でも成長する、ナギの近くでは他の植物が成長しない、硬くねじれているので加工しにくいなどナギにとっては増えるのに良い条件ばかりとの事。

遊歩道脇に根に空洞のあるモミの大木、100年位前に道路を作る時根を切られた。登っていくと大きな切り株が、この杉もモミの木同様道路が作られた時土を削られ、急斜面に立っていたが自分の重みに耐えられなくなり今年の春倒れてしまった。これら木の気持ちを考え代弁すると「木は怒っています」と甲斐野先生。茂った木々の中で日光を取り入れる事ができるよう、葉が重ならないように上に伸びているツブラジイの大木。種子のついた枝を残し遠くへ飛ばす為の風を待っているケヤキ、どの木々も子孫を残すため工夫して生きている。

若草山山頂から見ると歩いてきた照葉樹の原始林の地形がよくわかる。神域として千年以上も保護され倒木更新をくりかえしながら生物多様性を維持してきた原始林。現状は増えすぎた鹿による食害で倒木更新が出来ない、ナギ、樒、ナンキンハゼなど鹿の食べない木々の繁殖、ナラ枯れの被害拡大など多くの問題を抱えている。数百年も生きている巨木、寿命が全うできる環境を維持できることを願いながら本日の講座を終わった。

根を切られ空洞ができたモミの大木  最近は地衣類がつきだした。
自重に耐えられなくなり倒れたスギの切り株 。直径2m、幹回り約6m、樹齢460年
若草山より眺めた春日山原始林

12期生11月28日、29日講座報告

開催日2018年11月28日(水)曇り一時雨、29日(木)晴れ
講座名西はりま天文台1泊研修
講師施設担当者
場所兵庫耐震工学研究センター、理化学研究所播磨事業所
兵庫県立西はりま天文台、兵庫県立人と自然の博物館

今回のメインは西はりま天文台の観望会であるが、その前に日本が世界に誇る2つの施設を訪ねた。

まずは地震国日本ならではの施設E-ディフェンスを見学した。実大三次元振動破壊実験施設で実験施設を水平(前後・左右)鉛直(上下)の三方向の震動で破壊した結果を基になぜ、どのように、どこまで壊れるのかを検証し、より地震に強い建物を建てる技術の確立に寄与している。実験ビデオを見て地震の恐ろしさとその対策の必要性を再認識させられた。

次は大きな加速器が作り出すつよいX線で今までにみえなかった小さいものを観察する施設のSPring-8とX線自由電子レーザーで化学反応など今まで速すぎて捉えることが出来なかった原子や分子の一瞬の動きがくっきりとみえる施設のSACLAである。ビームラインが57か所あり、その1つで光合成を解明してエネルギー問題を解決する研究がされており成功すればノーベル賞ものとか、その他多様な研究がされている。

夕刻に西はりま天文台に到着したが空からは無情にも雨が。楽しみにしていた観望会は星の話と「星を見る望遠鏡」を見たで終了。途中、星が見えそうになったので残念!悔しい!

翌朝は日の出と紅葉の山々を包む雲海を楽しんで、三田市の人と自然の博物館へ向かう。館内ガイドを聞いた後、見学したがいろんな展示物がたくさんあり時間が足りなく少し駆け足での見学となった。

研修の最後は「DNA抽出実験」である。ブロッコリー、食塩水、食器用洗剤、エタノールを使ってDNAの抽出に5班に分かれて挑戦。結果は2班は抽出成功、3班は残念でした。高校生の時はどのグループも成功していたのに我々シニアの成功率が低いのは何故かな?と講師も不思議そう。ともあれ全員初体験で楽しいセミナーでした。

予定時間通りに帰阪し、2日間の思い出をお土産に家路へお疲れ様でした。

スプリング-8で記念写真!
なゆた望遠鏡
これで星を見るはずだったのに
眼下に広がる雲海
学生時代に逆戻り ワイワイ、ガヤガヤ
見事ブロッコリーのDNA抽出に成功したぞ!!

12期生11月21日講座報告

開催日2018年11月21日(水) 晴れ
講座名九度山町散策と紙すき体験
講師(九度山町語り部の会)飯島さん、安川さん、(紙遊苑)下西さん
場所九度山の町と紙遊苑

日中は暖かく快晴の一日だった。

午前は語り部の案内で、旧萱野家の大石順教尼記念館?真田古墳(真田の抜け穴)?真田庵?道の駅「柿の郷くどやま」?慈尊院?丹生官省符神社を巡る。真田ブームが去ったためか、観光客はまばら。勝利寺横の紙遊苑の縁側を借りて、真田いこい茶屋特製の町石弁当で昼食。

午後は紙すき体験。弘法大師から伝えられた手漉き和紙「高野紙」は、①楮(コウゾ)を大釜で蒸す、②黒皮をとる、③灰を入れて煮る、④叩きほぐして楮繊維に、⑤水と楮繊維とトロロアオイの粘液を混ぜて紙を漉く、⑥天日で干す、の多くの行程を経て作られる。今日はこのうちの⑤のみの体験だが、3月の修了式で授与される修了証書の原紙となるだけに、皆さん真剣に取り組む。厚すぎたりダマができたり悪戦苦闘しながら、先生のOKが出て一安心。

講座終了後はお目当ての富有柿を買い、重いリュックを背負って帰途についた。

語り部の案内で立ち寄った真田庵で、真田父子の蟄居生活の様子を聞く。
専用の簀桁(すけた)を使っての紙すき体験。3回すくうのが標準だが、何回すくっても仕上がらないのは何故?
最後はタオルで水分を取るが、講座初のエプロン姿が似合ってますよ!?

12期生11月7日講座報告

開催日2018年11月7日(水) 晴れ
講座名地質観察②
講師佐藤 隆春先生
場所ふたかみ文化センター、屯鶴峯

午前中は座学。「ドンヅルボーで火山活動を読み解く」のテーマで、1500万年前の二上山の火山活動の様子を学ぶ。

午後からはドンヅルボーへ移動。数千万年前の大阪周辺では火山活動が盛んで、二上山は今よりもずっと高く、活発な火山活動を繰り返していたと考えられる。その活動による火砕流や火山灰などが堆積し、その後の地殻変動で隆起、浸食風化で今のドンヅルボーの風景になっている。遠くから見ると鶴が屯(たむろ)しているように見えるので「屯鶴峯」の名前がついたと言われている。

初めて訪れた講座生は目の前に広がる白い景色に驚いていた。白い地層の重なっている中に見える火山豆石を観察、火山灰が噴煙の中で水分を吸ってくっつきあってできた丸い石。円盤型の豆石は横なぐりの風(サージ)によるもの。次に火砕流の流れ、堆積物が観察できる地層の場所に移動、数センチから数メートルの地層が約20枚重なり150mもの高さになっている。火山灰が水分とくっついた層、火砕流の層、層の中に見える鉱物は冷える温度で違う色になっている、層の中に見える線で風の向き火砕流の流れてきた方向がわかる、とのお話しに一同興味津々で聞き入り疑問点について活発に質問していた。

1500万年前、二上山が爆発している様子を想像できるようになった一日でした。

ドンヅルボーの風景
火山豆石を観察中
堆積物のあらわれた地層、数センチから数メートルの層が重なっている

12期生10月31日講座報告

開催日2018年10月31日(水) 晴れ時々曇り
講座名自然観察②
講師正野 明先生、他、日本パークレンジャー協会スタッフの方々
場所府民の森 くろんど園地

2回目の自然観察講座。私市駅前の公園で、危険な植物生物、注意事項の説明を受け準備体操をして出発。

少し肌寒い気温だが歩きながらの観察にはちょうど良い。民家の庭先の柿にメジロがいた。よく熟れた柿に目がいきメジロに全く気が付かない人も。

ネイチャービンゴのアイテムを見つけて記入しながら観察。渓流にハヤの仲間の魚がいる。紫色の実をつけているヤブムラサキ、葉を触るとビロードのような感触。ジョロウグモの巣を見つけ観察、オスはメスの半分以下の大きさ、メスに比べ弱々しく細い。交配の時は上手く近づかないとメスに食べられてしまうとの事。ウラジロの裏側の白い部分は蝋の成分で火を近づけると色が変わる。実験してみてくださいと言われた(枯れた葉ではダメ)

突然きのこの形をした建物が現れる。雷よけのシェルターとの事、目立つけど周りの景色の中で浮いている。アキノキリンソウ、コウヤボウキなどの花、流れでできたポットホールを観察、赤く熟れたフユイチゴを味わったりしながら昼食の場所へ。

途中森林整備されているパークレンジャー協会の方々に出会う。昼食後は見つけたアイテムでビンゴゲームを行いお手製の賞品をいただく。ここでも21号台風被害で沢山の倒木が見られた。特に風の通り道の被害が大きい。倒木を切断しても運び出すのが困難、整備が大変と言われた。整備ができないまま大きな台風が来たらと考えるだけ恐ろしくなる。

色づき始めた木々、稲刈りの終わった田など穏やかな秋と自然の猛威を見せられた一日でした。

コウヤボウキの花
キノコのかたちの雷よけシェルター
観察中に見つけたアイテムでビンゴゲーム

12期生10月24日講座報告

開催日2018年10月24日(水) 快晴
講座名ウミウシ観察
講師田中 広樹先生、補助スタッフ
場所加太、城ケ崎海岸

今日は加太まで足を延ばして城ケ崎海岸でのウミウシ観察である。ウミウシは貝殻が薄片化・消失化していく巻貝の1グループで日本には1400種以上が棲息している。

答:カラフルなウミウシは沖縄などの南方面で多く見られる。残念!!

答:体長は数ミリから数センチなので頑張って下さい!

先生の説明を聞いてからウミウシ探しをスタートして、岩を動かし、海水溜まりに目を凝らして探すもなかなか見つけられず悪戦苦闘するが、やがて「オカダウミウシが見つかった」「これはツメウミウシです」「エダウミウシも見つかったよ」とうれしい声が聞けた。ジャノメアメフラシ、ミドリアメフラシなど9種のウミウシを採取出来ました。

台風の影響で陸では多くの倒木被害があったが海も岩が流されてウミウシの棲息環境が悪化したので今回、採取できた種類が少なかったので早く環境が良くなって欲しいですね。全員がウミウシを採取することは出来なかったが、好天の下でヤドカリ、イソギンチャク、ヒトデ、カニ、ウニ、サカナなど数多くの磯の生物も観察出来て心が満たされた講座であった。

先生、これはウミウシですか?
トレーの中で動き回るジャノメアメフラシ
触覚(左)がはっきりと分かるクロシタナシウミウシ

12期生10月17日講座報告

開催日2018年10月17日(水) 晴れたり曇ったり
講座名金剛山の植物観察
講師神山 善寛先生
場所金剛山、黒栂谷(くろとがだに)林道周辺

当初は金剛山の山頂に向かう予定だったが講師が下見された結果、山上には花の種類が少なく山麓には多くの花が残るため、金剛登山口からスタートする黒栂谷林道周辺にコース変更した。

朝はバス組にちょっとしたハプニング発生。河内長野駅前から発車するバスが、早めに集合した他のグループのために満車となり慌てたが、数分後に臨時バスを増車していただき、逆にゆっくりと乗車することができた。

登山口バス停付近からスタートして林道へ、植物を観察しながらゆっくりとしたペースで登る。アキギリ・キンミズヒキ・シラネセンキュウ・アケボノソウ・ツルニンジン等の花が次から次へと出現する。去年から今年の台風の影響によりあちらこちらで倒木や崖崩れの被害があったが、幸いにも50種類を超える植物を観察できた。コースを変えて大正解!

配布資料により花の形状等の説明を受けて講座がスタート。さあ、今日はどんな植物が観察できるかな、と期待が膨らむ。
花がキリに似るアキギリ。また葉の形が琴の糸を支える琴柱(コトジ)に似ていることからコトジソウとも呼ばれる。
直径1~2㎝の花に多数の斑点があるアケボノソウ。2年草で1年目はロゼット状の葉のみで、2年目に伸長し花を咲かせる。

12期生10月3日講座報告

開催日2018年10月3日(水) 晴れ
講座名きのこ観察②
講師下野 義人先生
場所烏帽子形公園(河内長野市)

2回目のきのこ観察講座。

天気も良く採取日和、午前は採取観察。先生よりきのこの観察の方法、採取時の説明を受け(根元から採取、個々に新聞紙等にくるむ等)観察スタート。やぶ蚊と格闘しながら探し、見つけては丁寧に採取。マツタケがないかなと密かな期待をしていた受講生もいたが残念ながら見つかりません。持ち帰ったきのこは、傘の見事な姿、球形、赤、黄、白、褐色など、大きさも大小様々。それらをカサの硬さ、色、よく似た姿などに分ける。

午後は先生による同定と説明。匂い、形状(傘、柄、根元、ひだなど)、味などで判断。顕微鏡、DNAで調べないと判断できない場合もあるとの事。ニオイワチチダケはカレーに似た匂い。硬いきのこの傘裏を見る。クジラタケ、カワラタケ(ひだがない)カイガラタケ(ひだがある)。ショウロに似たニセショウロを切ると中は黒くアンコが詰まった様に見える。カキシメジは見た目とてもおいしそう。食べると腹痛、下痢などの症状が出るとの事。

気になるどれが食べられるのかとの問に、割合としては食べられる方が多い。食べられるとは、毒がないこと。美味しいとは違うと言われた。今日採取したきのこは60種類を超えた。珍しいきのこもかなりあり、きのこ観察一回目の不作を挽回する事ができた一日だった。

可愛い ヒナベニタケ
傘の硬いきのこ類
切ると中が黒い ニセショウロ属

12期生9月26日講座報告

開催日2018年9月26日(水) 曇りのち雨
講座名村野浄水場と市大植物園
講師施設担当者
場所村野浄水場、大阪市立大学理学部付属植物園

大阪府全域(大阪市除く)へ水道水を供給する重要な役割を担っている村野浄水場を見学した。ビデオで施設概要説明の後、原水の汚れ、臭いを凝集剤(PAC)や活性炭で除去して浄水にする実験を行った。磯島取水場から取水された淀川の水が村野浄水場に到着して、6つの浄水処理をして水道水として各地域に送水される施設は宏大である。甲子園の6倍だと説明があった(敷地面積を計算すると8.2倍になる)。水と園芸用土のお土産付きの見学でした。

市大植物園は敷地面積26ヘクタールと府下最大級の植物園であるが台風で多数の倒木被害が出て園内ガイドは中止、見学エリアも制限されおり残念!見学エリア内にも大きなメタセコイアが倒れており台風の凄まじさを知った。イネ、ススキ、サトウキビなどの根に寄生し、葉緑素が無く、寄生の根から吸収した栄養分で生育する“ナンバンギセル”の花やスイレン、トロロアオイ、ハネセンなど熱帯・亜熱帯の植物を楽しんだ。途中から雨が降り出して来たため今日の講座は早めに終了して帰路についた。市大植物園には日本産の樹木が450種、森林が11種類造成されており春には梅(40品種)、桜(60種類)の花が。是非もう一度訪れたいですね。

取水場と浄水場の4㎞に埋まっている2600mmの送水管
ススキの根元に咲くナンバンギセル
台風で倒れたメタセコイアの切り株