12期生9月12日講座報告
今回は初めての夜間講座。前半はウミホタルの構造や生態を学ぶ。
ウミホタルは体長2~3㎜で本州以南の砂地に生息、大阪では泉南~淡輪間で観察できる。母親から巣立った後、5回の脱皮を経て成体になるが寿命はわずか半年。昼間は砂の中に潜り、日没後に海底を這うように泳いで魚の死肉等を食べる。体内でルシフェリンと酵素のルシフェラーゼが合成し蓄えられるが、身の危険を感じた時や求愛時に上唇腺から放出され、青紫色に発光する。
ウミホタルを始めて見る方がほとんどで、早く見たいと一同満を持して砂浜に。持参した仕掛けを海中に投じ、待つこと約20分。仕掛けを引き上げた直後は採れたかどうかわからなかったが、刺激を与えたり仕掛けから取り出すとたちまち青紫色に発光し歓声に包まれる。「孫にも見せてあげたい」との声も。
ウミホタルの構造を学ぶ。始めて見る姿に、皆さん興味津々の様子。
暗闇の中の怪しげな人影?その正体は仕掛けの引き上げを待つ面々!
仕掛けを引き上げて刺激を与えると、青紫色に発光しまるでほたるが乱舞しているように見える。
12期生7月25日講座報告
本日は花と涼を求めて植物の宝庫の伊吹山での講座である。
西登山道を植物ガイドブックを手に説明を受けながら山頂へ向かう。クガイソウ(葉が輪生)とルリトラノオ(葉が対生)の見分け方、ヨモギ(食用、葉柄の基部に托葉と呼ばれる小さい葉が付く)とオオヨモギ(イブキヨモギ、もぐさ用、托葉が付かない)の見分け方(写真参照)。コオニユリ、カワラナデシコ、キンバイソウ、ヤマホタルブクロ、イブキトリカブトなど植物ガイドの夏編と薬草編の植物の大部分が観察できた。
また伊吹山の植物の代表であるシモツケソウの群生が鹿の食害、フジテンニンソウやアカソ繁殖などにより減少しており、それらの減少要因対策の活動に努められており、成果が出ると嬉しいですね。花が咲く頃に葉(歯)がないことから名付けられたウバユリや木のてっぺんで澄んだ声で鳴いてるホオジロにも出会えた。
帰路に醒ヶ井に立ち寄り梅花藻を観賞した。冷たく澄んだ水中に咲く梅花藻はちょっぴり清涼を感じさせてくれた。地元の方がヌートリアに梅花藻の花を食べられる食害があると話しておられました。予想しないことが起きていますね。
今日は青春18きっぷでの長距離の電車旅となりお疲れさまでした。
見分けがつきますか?
右がオオヨモギ、左がヨモギ
伊吹山の代表の植物 シモツケソウ
夏の風物詩 醒ヶ井の梅花藻
12期生7月18日講座報告
今日はカメラのレンズを通して動植物の観察や撮影を行う講座。
先生のカメラ撮影のきっかけは野菜についたカメムシの撮影だったそうで、以来岩湧山を中心に撮影活動されている。まずはカメラの仕組みやマクロ写真の撮影方法、マクロレンズの種類・使い方等を教わる。
先生から「マクロレンズや鋏等のカメラ機材の調達は百均が便利」、「昆虫等は捕獲や食事に夢中になると人が近づいても気づかないことが多いので、シャッターチャンス」とのアドバイスも。
さらに先生が撮り貯めた動画を鑑賞。卵ではなく子供を産むアブラムシのお産、オオスズメバチによるシダクロスズメバチの捕獲、スジグロシロチョウの求愛場面等が次々映し出される。
この日は36℃の高温のため屋外での昆虫撮影を中止し、昼食を挟んで驚き一杯の動画作品を鑑賞。最後は各自が持参したカメラやマクロレンズを使って紙幣や硬貨を被写体にしてマクロ撮影にチャレンジ。肉眼では見えなかったデザインや文字が浮かび上がり歓声に包まれた。
ナナフシモドキのお散歩動画。滑稽な動きだが、本人はいたって真剣?
カメラやマクロレンズを使って紙幣や硬貨を撮影すると、驚きの世界が広がる。
(Q)この幻想的な写真は何を撮ったの?
(A)5,000円札の左下側にあるホログラム保護シールをマクロ撮影したもの。
12期生7月11日講座報告
午前は水田の生き物についての座学。
近年は農薬、水路や畦のコンクリート化などで固体数はかなり減少している。ホウネンエビ、カイエビなど卵が土の中で休眠するものは水田で生き残れるが、田の中干時成虫になっていないヤゴ、オタマジャクシなどは死んでしまう。海外から気流に乗って飛来するウンカ、稲を食べる虫、それらを捕食する虫、色々な生き物がつながり生きている事を学ぶ。
午後からは鶴見緑地・自然体験観察園へ移動。木々に囲まれた自然体験観察園の田は水を一年中張る事でいろいろな生き物が現れるようになり、見つかる種類は年々増えているとの事。トンボの交尾、産卵をしている様子、バッタが脱皮しているのも見られた。ハイイロゲンゴロウ、オオアメンボ、シマアメンボ、ヒメアメンボ、ヒメイトアメンボ、コミズムシ、カエル、オンブバッタなどが見られ説明を聞きながら観察する。アメンボは臭いがすると言われオオアメンボを捕え臭ってみるがよくわからない。
近くのクヌギの木にはカナブンが樹液を吸っているのか沢山集まっていた。子供がクワガタを捕まえたと言っていた。大阪市内にいるとは思えない自然体験観察園で沢山の生物に会えた時間でした。
この田は古代米を植えています。背が高く茂るので稲の間隔を広く開けています
何という種類のカエルかな?
網の中にはいっている生物の観察をしています
12期生6月27日講座報告
3回目となる今日の農業体験は神於山農園での金ゴマの苗の植え付け作業からスタートです。
苗の植え付け方法:マルチシートの穴に水をまき、3cmほどの深さの穴にして育苗用のトレーから苗を取り出して植え付ける方法の指導を受けて3班に分かれて作業開始である。1畝のマルチシートには1列100個で2列で200個の植え付け用の穴があり、そこに苗を植え付けていく。
最初は手順の要領が悪くて、植え付けがスムーズに進まなかったが時間の経過とともに分業、協力により植え付けのスピードがアップして午前中で14畝2,800個の苗の植え付けを完了した。予定では4種類の体験作業であったが午後もゴマの苗の植え付けの作業となり、昼食と休憩で体力の回復を図り10畝(1畝:70×2=140)1,400個の苗を植え付けて合計4,200個のゴマの苗を植え付けました。
北阪農園ではキタアカリとメイクィーンのジャガイモ堀をしてお土産に頂きました。
講座日は雨天が続いていたが今日は幸か不幸か晴れて農業体験だけでなく暑さの体験も十分することになった1日でした。四日先生から“暑い中、皆さまのお陰で作業の遅れを取り戻すことが出来ました。皆さまによろしくお礼をお伝えください”頑張ってよかった。
汗だくで金ゴマの苗の植え付け
植え付けした苗の数 何と4200の苗を植え付けたぞ!
只今、お土産のジャガイモの山分け作業中
12期生6月20講座報告
2年目に入って雨の日が多く、この日も朝から大雨で一時警報が出たが、天候回復を祈りながら座学からスタート。
大阪南部地域でシダ植物の観察を続ける辻井先生から、まずはシダ植物の各部位の名称や生育時期、根茎・鱗片・葉身・包膜の色と形等を教わる。先生の説明に出てくる「羽片、2回羽状、中肋」等の用語に戸惑いつつも、質問するうちにおぼろげながら理解が進む。さらに先生が前日採集された数種類のシダをルーペで観察し始めると、皆さん熱心に見入っていた。
午後はやや雨が治まったので光明池緑地へ、次から次へとシダの名前が紹介される。道なき道を一列になって進む場面では、伝言ゲームで伝えて行く。最後に室内でおさらいして終了、普段は見過ごしがちのシダ植物だが、特徴のあるベニシダ・ワラビ・イノモトソウ・ウラジロあたりは憶えられたかな?
なお、先生から配布資料やHPを後で見るよう勧められたが、先生のHP「大阪南部の自然シダ植物」には『シダ図鑑、観察テクテク記、みくらべーる』等の楽しくてわかりやすい解説があるので、必見です。
先生が採集されたベニシダ、「春の新芽や包膜が紅色」なのでこの名前に。これからはシダの葉の裏側を観ることが癖になりそう!?
ルーペを使うと胞子嚢や包膜・胞子がクッキリと観察でき、皆さん釘付けに。
光明池緑地内では1ヶ所でしか観ることのできないミズスギ。「湿地に生えスギの葉に似る」ことが名前の由来だそう。
12期生6月6日、7日講座報告
初めての一泊研修、JR京都大阪間不通の為予定より1時間遅れて園部駅に到着。
美山かやぶきの里見学へ、雨の為早々に切り上げ宿舎山の家へ向かう。食事前に福本ガイドより芦生研究林の説明を受ける。7日は雨を心配したが素晴らしい青空。
朝食前1時間ほど宿舎近辺を福本ガイドの案内で散策をする。ササユリ、コアジサイ、ウツギなどが咲いていて、岩を上っているモリアオガエルを見つける。鹿が竹の子を食べて新しい竹が育たず古い竹のみとなり芦生ではいずれ竹はなくなるだろうと話されていた。
上谷・杉尾峠コースに出発。ヤマザクラなど着床しているカツラの保存木の大きさに圧倒され出発点の長治谷作業所へ。天然杉の生育を促すため広葉樹の巻枯らしを行った長治谷保存林が見える。オオルリ、アカショウビンの鳴き声を聞きながら、いくつかの流れを渡りサワグルミ、トチの木、ブナなどの大木、クマハギされた杉に出会う。伏状更新している芦生杉、葉が下を向いているのは雪の多さに対応するため。モリアオガエルの卵塊も見られた。今の時期はイワガラミ、オオバアサガラ、ツルアジサイ、ヤマボウシなど緑のなかで目立つよう白い花がほとんどで数年ぶりにハクウンボクの花がよく咲いたとの事。ギンリョウソウ、ショウキランも咲いていた。
2000年頃から鹿の食害がひどく、豊かな植生であった芦生の森は笹など消え、鹿の食べないオオバアサガラ、シダ、バイケイソウなどの植物が目立つ。倒木更新で芽生えた幼木が食べられ森の再生ができない、下草がなくなった為雨で土が流されるなど被害は深刻。柵で囲った研究用の鹿の忌避地があった。囲いの中は豊かな植生となっていた。
1921年に設定された地上権が2020年に切れる。今後どのように変わっていくのか、豊かに再生された植生に会うことが出来るよう願いながら芦生を後にした。
長治谷作業所前で
福本ガイドの芦生研究林の説明を聞いています
カツラ保存木(直径3.4m 高さ38.5m)ヤマザクラなどが着生しています
足元にはかつてはササが群生していたが今は鹿が食べつくし鹿の好まないものばかり生えている
12期生5月30日講座報告
今回は初めて滋賀県琵琶湖政策課の「琵琶湖の環境」と言うテーマの講座を受講した。
内容は日本一の湖である琵琶湖の価値や課題とそれに対する取組の紹介である。淡水赤潮の発生、水質の保全、漁獲量の減少、外来魚の対策、外来水生植物の対策、水草の対策など数多くの課題があるがどの課題も解決、解消するのは簡単ではなく行政と住民で協働されているご苦労がよく分かった。
後半は場所を日本新薬山科植物資料館に移動して薬用植物の観察を行った。館長の資料館の歴史、薬用植物がどんな薬品や製品に関わっているかなどの座学の後、薬用植物を見学した。園内には世界各地から収集した3,000種を超える薬用・有用植物が栽培されている。
植物の効用やベニバナの棘を少なく改良したがベニバナ油の採集部分が小さくなったので次に採集部分を大きくする改良をした結果、そのベニバナの花の色は黄色から白色になってしまったなどのエピソードを織り込んだ楽しい解説を受けた。ゴマ、ヨモギ、ウコン、ハブチャなど身近な植物からキソウテンガイ、セイヨウオキナグサ、クルグリコなど日頃は縁のない植物を観察、説明を聴くだけでなく、においや味まで体験出来ました。
雨模様の天気ではあったが有意義な1日でした!今回は初めて滋賀県琵琶湖政策課の「琵琶湖の環境」と言うテーマの講座を受講した。内容は日本一の湖である琵琶湖の価値や課題とそれに対する取組の紹介である。淡水赤潮の発生、水質の保全、漁獲量の減少、外来魚の対策、外来水生植物の対策、水草の対策など数多くの課題があるがどの課題も解決、解消するのは簡単ではなく行政と住民で協働されているご苦労がよく分かった。
後半は場所を日本新薬山科植物資料館に移動して薬用植物の観察を行った。館長の資料館の歴史、薬用植物がどんな薬品や製品に関わっているかなどの座学の後、薬用植物を見学した。園内には世界各地から収集した3,000種を超える薬用・有用植物が栽培されている。
植物の効用やベニバナの棘を少なく改良したがベニバナ油の採集部分が小さくなったので次に採集部分を大きくする改良をした結果、そのベニバナの花の色は黄色から白色になってしまったなどのエピソードを織り込んだ楽しい解説を受けた。ゴマ、ヨモギ、ウコン、ハブチャなど身近な植物からキソウテンガイ、セイヨウオキナグサ、クルグリコなど日頃は縁のない植物を観察、説明を聴くだけでなく、においや味まで体験出来ました。
雨模様の天気ではあったが有意義な1日でした!
ガジュツ:別名紫ウコン
消化不良、疼痛に効く
チョウキンレイ
中国秘境地に自生する植物で花は花弁のような苞の隙間に咲く
キソウテンガイ
寿命が長く1,000年以上生きるとも言われる。類似の植物がこの世に存在しない
12期生5月23日講座報告
小雨降る中で講座がスタート。約40年間深泥池の観察・保全活動を続ける竹門先生から、深泥池が国の天然記念物に指定され、14万年の歴史があり、9ヘクタールの広さで、流入河川がないため水質は酸性で貧栄養との概要説明。
さらに大部分がジュンサイに覆われた池の周囲を巡りながら、摂り込んだ微生物の黒い粒でビッシリのタヌキモ、鹿に食われて小さくなったミツガシワ、池を取り囲むチャート岩石、ミズゴケが堆積してできた浮島等々、深泥池ならではの自然に見入る。植物だけでなくトンボも68種類を数え、大都市にありながら驚異的な生物多様性を有する希少な自然であることを知る。
でもその陰で水質保全や外来魚駆除を行う「深泥池を美しくする会」の諸活動をお聞きし、頭が下がる思い。
午後は場所を京都府立植物園に移す。時間の関係で一部しか回れなかったが、トケイソウやバクチノキ・センベルセコイア・バイカモ・シダレエンジュ・タイサンボク等の多くの草木を観察し、最後はバラ園で解散。
「日本一、いや世界一美味」と講師から太鼓判を押されたジュンサイ。でも採取が禁じられているため味わえない、残念!
草本だけでなく樹木まで生える浮島。水平移動はないが、メタン等の浮力で上下に動くこともあるらしい。
京都府立植物園内のトケイソウはその名の通り時計そっくり。でも世の中がデジタル時計だけになったら、どんな名前になるの?
12期生5月9日講座報告
降り続いていた雨も止み、ミソサザイが大きな声でさえずっている伏見林道を上りながらの観察を開始。
今年は例年に比べ花の時期が2週間ほど早く、いつもこの時期に咲いている花がほとんど終わっていてウツギ類が咲き始めていた。雨上がりの新緑が美しく、クリンソウ、ミヤコアオイ、オオチャルメラソウ、ネコノメソウ、日本の特産種でこの和名を付けられたヤマトグサなどが咲いていた。特徴のある葉状のコクサギ、葉を枝の左右へ交互に2枚ずつ付ける(コクサギ型葉序という)名前の由来である臭い、雌雄異株などの説明を受ける。
念仏坂を上りきると満開のヤマツツジの歓迎。ちはや園地ではスミレはほとんど咲きおわっていたがシャクナゲ、ヤマブキソウ、ミヤマキケマン、ミヤマハコベ、徳川葵の御紋のフタバアオイ、エンレソウなどの花が見られ、今の時期多く見られるムロウテンナンショウの構造の説明を聞いた。先生が虫の入っているテンナンショウを見つけられ仏炎苞のふたを開け順番に観察をした。
ギンランが咲いている場所に案内され、ほとんどのランは盗掘される確率が高い、どの植物もそれぞれに合った環境に育っていて、持って帰っても枯れてしまうので絶対に取らないようにそっと観察してください、写真を撮る場合は足元の植物にも注意して踏みつけないようにしてくださいとの先生のお話を聞き、ひっそりと3株咲いていたギンランが消滅しないことを願った。
春から初夏への移り変わりの時期で花が少ないのではと思いながら始めた観察会だったが、覚えきれない沢山の草花、新緑の木々に会うことが出来た一日だった。
コクサギ
葉のつきかたが2枚ごとの互生
テンナンショウに入っている虫の観察中
満開のヤマツツジ