大阪シニア自然カレッジ

12期生講座報告

12期生4月25日講座報告

開催日2018年4月25日(水) 雨のち曇り
講座名化石入門①
講師濱塚 博先生、渡邊 克典先生
場所きしわだ自然資料館

きしわだ自然資料館の案内から講座がスタート。

数多くの展示されている化石には、ナウマンゾウ:体高2.5~3メートルで皮下脂肪が発達し全身は体毛で覆われていた。キシワダワニ:岸和田市の下水工事現場で発見された。大阪大学の豊中キャンパスで発見されたマチカネワシと同種。モササウルス:白亜紀(約8000万~6500万年前)の海に生息していた海生爬虫類である。等々詳しく解説頂いた。3階には現在では作成出来ない虎、熊、小象、キリンなどの動物の剥製が多数展示されており圧倒された。

シリコン製の化石の型を使いレプリカ造りを体験。先生の説明を聞く前に作業を進めて注意を受ける場面もありましたが型に石こうを流し込み固まるのを待つ。「うまく出来てますように」と型から石こうを取り出し結果、全員が素敵なレプリカが完成。各自が作ったレプリカの作品シールを頂き持ち帰った。

岸和田市阿間河滝町の約270万年前の地層の化石のクリーニングも体験。地層は竹串で簡単に崩せる柔らかさで少し物足りない感がした。この地層は植物化石の地層でイヌマンサク、ナツツバキ、アワブキの種子を発見した受講生もいて“よかったね!”

お二人の先生の熱心な解説に引き込まれて時間が瞬く間に経過し終了時間が来てしまいました。来年の化石入門②でもよろしくお願いします。

岸和田の下水工事現場の大阪層群から発見されたキシワダワニ
”あっ危ない後ろに熊が!”迫力満点の剥製たち
出来上がった化石のレプリカです。何の化石か解りますか?

12期生4月18日講座報告

開催日2018年4月18日(水) 曇りのち晴れ
講座名鵜殿の自然観察
講師伊藤 修身先生(鵜殿ヨシ原研究所)
場所高槻市、鵜殿

前夜来の雨が上がり、講座途中から晴れ間も出て一安心。

長年ヨシ原の保全活動を行っている伊藤先生の案内で、比叡山・比良山・生駒山等を遠望しながら、甲子園球場が18個も入る広大なヨシ原に入る。まずは「ヨシ」と「セイタカヨシ」と「オギ」の違いを教わる。このうち鵜殿のヨシは雅楽の楽器ひちりきのリード(蘆舌)に最適とのこと。

鵜殿は1971年の淀川の改修工事により、河床が低下し乾燥化したためヨシが衰退。その後【水をヨシに近づける(揚水ポンプの設置)】と【ヨシを水に近づける(ヨシの生育面を切り下げる)】の方法により保全を図ってきたと聞く。

道なき道をかき分けながらイタドリ・ヒメオドリコソウ・カラムシ・ノウルシ・トネハナヤスリ等、次々に植物を紹介され、皆さん実物と資料を睨めっこしたり、メモをとったり大忙し。またこの地に生息するヌートリア・チョウセンイタチ・カヤネズミ等の哺乳類やオオヨシキリ・チョウゲンボウ・コミミズク等の鳥類の生態も聞く。クイズも織り交ぜて、アッと言う間に講座が終了。

現在、鵜殿を跨ぐ形で新名神高速道路の工事が進行、有識者による環境保全策が検討中のようだが、どうかこの恵まれた自然が破壊されませんように!

ヨシの地下茎は地表から2m近くまで達し、写真のように掘り下げた場所でも芽を出している。
絶滅危惧Ⅱ類に指定されているノウルシ。黄色のガクに隠れるように咲く可愛い花が見えますか?
これも絶滅危惧Ⅰ類に指定のトネハナヤスリ。利根川水系と淀川水系にしか見られないので「ヨドハナヤスリ」とか「ヨドトネヤスリ」に変えてくれない?

12期生4月4日講座報告

開催日2018年4月4日(水) 晴れ
講座名自然観察
講師武田 敏文先生、他、スタッフの方々(日本パークレンジャー協会)
場所府民の森 ほしだ園地

2年目最初の講座。

天野川沿いの小径を星のブランコを目指し歩く。今年は暖かくソメイヨシノは散っていたが、遅咲きの桜、満開のコバノミツバツツジ、ヤブツバキ、足元にはスミレと花いっぱい。ヤブツバキの花は蜜が多く固い、花びらに茶色い傷があるのはメジロが蜜を吸うために花びらに止まって出来たもので、スタッフの方が作られたフェルトで出来ているメジロの実物大の模型で重さ大きさを実感した。

桐の実を見つけ殻を割ると中からフワフワした綿毛に包まれた種が出てきた。風で運ばれるとの事。休憩所のある広場にはクライミングウォールのある切り立った崖がある。ここにはハヤブサの巣があり今の時期卵を抱いていて、多くのカメラマンがシャッターチャンスを狙っていた。運の良かった講座生は飛んでいるのを見る事が出来た。

休憩時、ヤママユガの仲間の「ウスタビガ」の綺麗な緑色の繭を見せてもらう。途中モミジの枝にぶら下がる繭を見つける。双眼鏡で見ると下の方に、雨水を落とす穴が開いているのがはっきりと見えた。急な道を登り星のブランコへ。長さ280m高さ50mの吊り橋、眼下の素晴らしい眺めを見ながら全員渡ることができた。

昼食後、スタッフの方々からの「鳥のおしっこはいつするの」「裸地に最初に生える植物は」などのクイズを楽しみ星田妙見宮へ。途中ナラ枯れの木が目に付く。大木にキノコがびっしりとついていた。痛々しい何か良い手立てがないのかと感じる。妙見宮から妙見河原のほとんど散ってしまった桜並木を通り私市の駅へ、本日の講座を終わりました。

メジロの模型で大きさを実感
崖の上にハヤブサが営巣しています
さっそうと吊り橋を渡ります

12期生3月28日講座報告

開催日2018年3月28日(水) 晴れ
講座名オリエンテーリング入門
講師横田 実先生
場所大仙公園、堺市都市緑化センター、花と緑の交流館

今日は受講生の多くが初体験の「オリエンテーリング入門」講座である。

オリエンテーリング(以下OLで表記)は地図とコンパスを使って森林地帯や里山、公園の競技エリア内で定められたコントロールを決められた順番にまわり、スタートからフィニッシュまでの時間を競うスポーツである。

今回は一番よく行われているポイントOLの体験である。午前中は班別でOLの大会を考えることからスタートし、競技ビデオ、地図の見方とコンパスの使い方を学習。

地図記号の種類が多く、6色印刷の一つ一つの色に意味がありコントロールが置かれている場所を説明するIOF記号など普段見る地図とは大違い。コンパスで地図と現在場所を対応させて進む方向を確認するが説明を聞いても上手に出来ずにウロウロ。

午後は先生と一緒に練習コースを回り、その後、10のコントロールを回るコースに挑戦。1分ごとにスタートして行くが皆迷わずに全部のコントロールを回って帰ってくるかな?なんとか制限時間までに全員フィニッシュ。

成績はどうでしたか?桜と雪柳が満開状態の大仙公園の中を地図とコンパスを持って目的のコントロールまでサッサと行く人、ウロウロする人、あなたはどちらでしたか。いずれにせよ楽しかったですネ!

次のコントロールへ行く方向は何処かな
全員フィニッシュ!
桜と雪柳に囲まれてニッコリ!
今回のポイントオリエンテーリングのコース地図

12期生3月14日講座報告

開催日2018年3月14日(水) 晴れ
講座名コケの観察
講師木村 全邦先生
場所橿原公苑

終日快晴で、昼間は20℃を超す絶好の講座日和。

午前の座学では、まずコケが万葉集で詠まれており、「苔生す(むす)」等と表現され、コケが古くから日本人の深層に深く入り込んでいたことを教わる。コケは植物で、根や維管束がなく、花を咲かさず、オスとメスがない。また「コケ」の名前がついてもモウセンゴケやアカミゴケ等、コケでないものも。さらにコケの種類・形態・繁殖方法を教わり、一気に理解が進む(でも、胞子体・配偶体の染色体数の違いは、ちょいと難しかった)。

後半の屋外観察では、まずルーペの使い方を教わった後、そのルーペを通して様々なコケの種類や胞子体・配偶体の形態等を鮮明に観察し、皆さんから驚きの声が漏れる。岩の隙間のハリガネゴケ、形状がその名の通りのジンガサゴケ、芝地に生えるハイゴケ、樹木の幹に増殖しビロードのような感触のコモチイトゴケ等々、日常生活では見過ごしがちだが、異なる環境に順応するコケの生態を知ることができた。

そして、A4コピー用紙で作った簡易採集袋に数種類のコケを収納し、採集地・生育基物・種名等を記入した上で、大事そうに持ち帰った。

先生の「万葉集にも詠まれています」との説明に、歌の意味はわからないのに「なるほど」と頷いていたのは私だけ?
ルーペの使い方を教わり、いざ実践! でも「空に透かしてみましょう」との先生のアドバイスを聞いてなかった?
先生が次々にプレートにコケの種類を書いてくれるが、皆さん、名前はそっちのけでひたすら観察にいそしみました!?

12期生3月7日講座報告

開催日2018年3月7日(水) 晴れのち曇り
講座名農業体験②
講師四日 克彦先生、スタッフの方々
場所ゴールドファーム、北阪農園、神於山農園

ゴールドファームで2回目の農業体験講座。

午前中は北阪農園でジャガイモの植付、畑の石拾い、馬糞堆肥の運搬散布を体験。先ずジャガイモの植付から作業開始。深さ15㎝に掘った畝の溝に、30㎝間隔に置き間に牛糞と化成肥料を施し土を7㎝程度乗せ畝を均す。

土の乗せ方が少ないと成長したジャガイモが地表に出てきて青くなるとの事。半分に切ったジャガイモは強い芽のみが地表に出てくるよう最近は切り口を上に向けて植え付けしていると言われた。その後畑の石拾い。2日前に降った雨で地表が洗われ石が表面に出ているので拾いやすいとの事、かなりの量の小石が拾えた。草取りと石拾いは地道な作業で農業をするには欠かせないと話されていた。

石拾いをした畑に馬糞堆肥を運搬散布、3ヵ月ほど寝かせておいた馬糞は臭いもほとんどなくフワフワしていた。作業にはちょうど良い天気、気温で午前中の予定を終わり昼食。

ゴールドファーム特製の沢庵を試食して午後の体験場所、神於山農園へ移動。前回(9月)に植え付けた難波ネギの収穫作業。自分たちが植え付けた線香の様に細いネギが、目の前の青々と立派に育ったネギとは思わなかった講座生もいて皆歓声を上げていた。「最近マスコミにも取り上げられるようになり難波ネギの知名度上がってきている。植え付け時期、肥料の種類を変えるなど試行しながら栽培をしている」との事でスタッフの方々の大変さを感じました。

難波ネギ、特製沢庵、近くの畑の方に頂いた、ほうれん草小松菜春菊をお土産に、心地よい疲労の本日の講座を終わりました。

ジャガイモの植え付け
立派に育った難波ネギ
難波ネギの収穫、どんな味かな?

12期生2月21日講座報告

開催日2018年2月21日(水) 晴れ
講座名自然観察の視点
講師菅井 啓之先生
場所堺市立栂文化会館、西原公園

午前中は「自然観察」についての座学。

ほとんどの人は観察でなくながめている、名前がわかるとじっくりと見なくなり自然を知ったような錯覚をしていると話され、例として「スズメ」の事をどのくらい知っているかと聞かれた。たくさんの鳥の中で「スズメ」という名前で憶えているだけであって、食べ物、雌雄の区別、塒などスズメについてはほとんどの人が何もわかっていない、それは見ているだけで観察ではないとの事。

自然界には無駄なものは何一つなくどこかでつながっている、観察には不思議と驚きと美しさを自分の目で見て確かめる事が大事とのお話し。

午後は西原公園で観察、途中の植え込みでゼラニウムの葉が赤いのを見つけ説明を受ける。この植物は葉を落とさないので寒くても凍らないよう細胞に糖をためているとの事。傍に生えていたスイバの葉も同じように赤くなっていた。

樹木も芽、枝、幹、根など普段何気なくながめて見過ごしているが、枝の伸び方で陽のあたり方まわりの木との関わりがわかる。幹のコケの生えている状態で雨水がどのように落ちてくるかなどもわかる。クスノキの下に枝が落ちているのは、成長が早くそのままでは茂りすぎるので自分で枝を落としているとの事。切り株からも成長、傷、周りとの関係などいろいろなことがわかる。

植物は地上に出ている量と同じ量が地中に隠れている。見えない世界も想像し、個々が全体とどのようにつながって生きているのか洞察することを教えていただき一日を終わりました。

自然観察とは
タンポポの葉も色々です
この切り株は何を語っているのでしょうか

12期生2月7日講座報告

開催日2018年2月7日(水) 晴れ
講座名動物園視察
講師石川先生(天王寺動物園 獣医)
場所天王寺動物園

今日は誰もが一度は訪れたことが有る動物園視察です。

レクチャールームで「動物の餌とウンチ」の話からスタート。ゾウのウンチは一個1㎏程の重さがあり、“これがそうです”と標本を出してもらった時は“ギョッ!”ご安心を本物でも乾燥しており触っても大丈夫。

動物の種類によって一般的な餌にヘイキューブ、ペレット、サプリメントなどをプラスして与えて健康管理に気を配っておられます。猛禽類には原型のままのマウスやラットを与える。ただし、生きたままではなく餌用に冷凍したものです。ライオンなどの骨格や数種類のウンチの標本を囲んでしばし“ワイワイガヤガヤ”見学ではアフリカサバンナのエリアが道路工事で見学が出来なかったがサル、北極グマ、コアラ、フラミンゴ、カバなどを見て回った。

晴れで陽射しがあり、そのせいか思ったより動物の動くところを見ることが出来て楽しい講座となった。でもコアラは午前に見学した時はユーカリの木の枝に丸まって腰かけていたが午後の3時頃見ても全く同じ格好でした。

動物園は子供の時だけでなく大人になっても楽しめる施設ですね!

標本を囲んでうんちくを語る
みんな元気にやろうぜ オー!
カラーコーンとボールで遊ぶのが大好きなイッチャンです

12期生1月31日講座報告

開催日2018年1月31日(水) 曇り
講座名地球環境問題と私たちの未来
講師巌 圭介先生
場所堺市立栂文化会館、西原公園

今日は日頃から見聞きしている地球温暖化についての講座である。

気候変動の一部で地球表面の大気や海洋の平均温度が長期的に上昇する現象のこと。IPCC【国連気候変動に関する政府間パネル】第5次評価報告書のデーターを基とした解説である。

大気と海の温度は上昇し、雪と氷は減少し、海面は上昇し、温室効果ガスは増加している状況は過去、何百年間で最大である。個人や家庭単位での温暖化防止への取組も大切であるが地球全体の温暖化防止には国、地域が同一方向に力を集めて取組まないと良い結果は得られないが、それぞれの事情が異なり必ずしも一致しておらず、温暖化防止は難題である。

野外でのソーラークッカー【太陽光だけで調理する道具】の実演販売、訂正実演学習が行われた。パラボラ型など8種類の説明があり、巌先生制作のソーラークッカー“ききょう”を作り方の資料もあり一度作ってみようかな!

燃料は太陽光で容器は黒い色で熱を吸収しやすくし、容器の周りを透明なもので覆って熱を逃がさないようにする。反射面で多くの太陽光を容器に反射させ熱効率を高める。これでOKですが、目玉焼きにトライしたがなかなか焼けてこない?容器、クッカーはOKなのに?残念曇りで太陽光が不足でした!!

日本の削減目標 達成出来るかな?
目玉焼きにトライ。皆の熱意は強かったが太陽光不足で残念
ソーラークッカーの展示即売会ではありません

12期生1月24日講座報告

開催日2018年1月24日(水) 晴れたり曇ったり
講座名気象と天気
講師久保 智子先生
場所SAYAKAホール

今日は奈良テレビで気象キャスターとしてご活躍中の久保先生の講座。この日の気温は最高3℃、最低-2℃で強風が吹き、まさに数年に一度の記録的寒波のため終日座学となったが、暖かい部屋でじっくりと話が聞けた。

前半は気象観測や天気予報作成や天気図の見方の基礎知識を教わる。気象予報士が1日2回気象庁から示される観測結果を分析し、午前・午後の4時過ぎに天気予報として発表されるまでの過程を聞き、普段漫然と見ている天気予報の裏側に多くの活動があることを知る。

さらに22日の夜を起点に12~48時間後の上空の気温の推移を表す気象庁の「高層天気図」が配布され、皆さんは上空の寒気が時々刻々、日本列島を南下して行くと言うタイムリーなデータを真剣に見入っていた。面白いクイズも盛りだくさん。例えば、

答:昼前は「9時~(12時)」、18時~21時は「夜のはじめ頃」

何と、ペットボトル100本分(50㎏)

後半は地球温暖化が早いペースで進行する深刻な現状と個人レベルでも対策が必要なこと、近年頻発する異常気象による災害時の身の守り方を学んだ。

気象観測装置には日照計、風向・風速計、積雪計、雨量計、温度計とデータ変換装置が備わる。
12時間ごとの寒波の推移を示す高層天気図を真剣に見入る。この時ばかりは老眼であることを忘れてる?
「過去132年間で世界の平均気温は何度上昇?」の問題に、3択の回答をグー・チョキ・パーで答えるが、正解は0.085℃。でも大阪は2.7℃、東京は3.2℃だって!