12期生1月17日講座報告
前日まで良い天気が続いていたが今日は早朝から雨。里山観察の散策は残念ながら中止となったが、まずは春の七草の勉強からスタート。
春の七草は人日の節句(1月7日)の朝に7種の野菜が入った粥を食べて年中無病でいるように願った風習のこと。皆さんご存知のように、せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろを一般に七草と言う。
この後、本日のメインイベントの小豆粥と竹でのご飯炊きに取り掛かる。小豆粥は小正月(1月15日)に小豆粥を食べ悪鬼を避け疫病を払うと言う風習のこと。
小豆粥は女性が中心で、竹の飯盒炊さんは男性が中心で取り掛かる。竹を切って飯盒を作り、かまどを作り煙に巻かれながら火の調整、上手く炊き上がりますように!!皆の協力で小豆粥も竹でのご飯も完成。持ち寄ったお漬物、塩昆布、佃煮、梅干などでランチバイキング。
楽しいランチの後は竹細工体験。竹籠や花籠などには真竹が、身を削りだして制作するカトラリー類や竹しゃもじなどには孟宗竹が適しているそうです。上手に竹ひごを作れるようになるのは相当の年季が必要とかで今回はお箸や一輪挿し作りに挑戦、皆さん上手に出来ましたか?雨の講座となりましたが皆の力で無事終了有難うございました。
雨の中テントの下での学習
竹の飯盒炊さんが完成。美味しいよ!!
皆さん何を作っているのでしょうか?
12期生1月10日講座報告
午前は舞洲スラッジセンターへ。
ここでは大阪市内12下水処理場内のうち8処理場から地下の送水管で送られてくる下水をきれいな水に処理した後に残る汚泥を処理している。泥水状態の汚泥を脱水、乾燥し1400度に近い高温で燃焼させ体積1/15の溶融スラグにしている。スラグは建築資材に活用でき、処理過程で発生する、水蒸気、熱などは再利用し、排ガスに含まれるばいじん、窒素酸化物、硫黄酸化物、臭いなどは除去処理し煙突より排出。施設内の給湯暖房は排水の熱を、雨水の一部は貯蔵しトイレ、樹木の灌水等に利用して資源の有効活用をしているとの事。
午後は舞洲工場へ。ここは不燃、可燃粗大ごみ、一般ごみを処理している。粗大ごみは破砕機で小片に破砕され、選別機で鉄アルミは選別取り除きリサイクルへ、残りはごみピットに運ばれ焼却される。収集されたゴミはごみピットに貯留し乾燥され燃焼、完全に灰になる。燃焼前の1/20となる。燃焼後の灰は埋立地へ。排ガス、排水はばいじん、窒素、硫黄酸化物、ダイオキシンなどを除去、無害化処理し煙突、下水へ。処理過程で発生する蒸気は発電をして工場内に使用。余剰の電気は売電をしている。売電金額は月額1億円にもなるとの事。舞洲スラッジセンターへも蒸気を供給している。両工場共、敷地内やバルコニーが緑化され自然との調和を図っているとの事。
工場を見学してゴミ、下水とも処理することは莫大な費用と手間がかかることを知った。生活の中で捨てたり流している事に常に関心を持ち、例えばゴミのリサイクル減量、食器の汚れはふき取って洗うなど出来る事をして最終処分に少しでも負担がかからないようにしなければと感じた。
泥水を水と泥に分離する実験をしました
舞洲工場制御室
フンデルトヴァッサー氏デザインの建物
12期生12月20日講座報告
今年最後の講座は、過去2回訪れた堺自然ふれあいの森で締めくくり。
午前はふれあいの森の園内を自然観察、「葉っぱビンゴ」ゲームでふわふわの落ち葉や手の形をした落ち葉など9種類の落ち葉を探し回る。さらに、
- ヤブムラサキのふわふわの葉毛は害虫除けや日焼け止め・保温効果がある。またその実は紫色で可愛い
- 落ち葉の堆肥の中から見つかったカブトムシの幼虫はツルツルだが、これは土中のバクテリア対策のためのコーティング。
- アカマツ再生区では他の樹木が育たないように、わざと落ち葉を取り払って荒れ地にしてある。マツタケができるのは数十年先か?
- タヌキの溜め糞はテリトリーの誇示とともに、他のタヌキにとっては周囲にどのようなエサがあるかを知る効果もある。
等々の先生の説明に頷きながら園内を一回り。
午後はいろいろな落ち葉を採取した後で、その落ち葉にペイントし写しとった白布を蔓に結びつけたり、マツボックリやドングリを接着することに夢中になって取り組む。皆さん、自分の作品のデザインや飾りつけに満足そうでしたが、こんな工作は小学生以来かな?
講座のスタートは輪になって自己紹介、名前と好きな生き物を発表。好きな生き物として「夫です」と言った方も‥‥。ご馳走さま!
落ち葉の堆肥の中でカブトムシの幼虫を発見、恐々触ってみたら柔らかくてツルツル。「食べたら美味しいのかな?」の質問に、先生が「クリーミーな味だそうです」と回答、ウヘェ~!
蔓や落ち葉・マツボックリと色付け用のスタンプ・接着剤等と格闘しながらリースを完成。自慢の代表作の一例です。
12期生12月13日講座報告
午前はスライドで星、月、太陽の講座。
12月中旬、西の空にはまだ夏の大三角、秋の四辺形、東の空には冬の大三角が見える。今は午前5時頃東の空に木星がはっきり見られる。近くに見えるオレンジ色の星は火星。来年7~9月には火星の接近があり(最接近は7月31)肉眼でもよく見えるとの事。
オリオン座の赤く見えるペテルギウスは寿命が来ていてすでに爆発しているか明日にでも爆発するかの状態、640光年の距離があるので確認できるのは640年後。その時地球はどの様になっているのか。月は昔から身近な存在で月面の模様は国によって見方が色々(ウサギが餅つき、カニ、ロバ、女の人の顔など)日本では月の形で新月、三日月、上弦下弦、十六夜など感性風情を感じる名で呼ぶ。太陽の爆発現象(フレア)で大規模な場合は地球磁場が乱れ通信機器GPSなどに影響が大きいと考えられるとの事。
観察する望遠鏡は倍率でなく、口径の大きいたくさん光を集める方がよく見える。種類は屈折式望遠鏡、反射式望遠鏡などがあり、フィールドスコープでも月面などは充分見えるとの事。来年1月31日に月食が見られる。午後8時48分から始まり9時51分には赤銅色の月になり、2月1日0時11分に終わる。皆さんぜひ見ましょう。次回、始めから終わりまで見られる月食は2022年10月8日。
午後からはプラネタリウムを鑑賞。投影される満天の星空。午前中聞いた星座を見ることもなく心地よい眠りに誘われている人もいた。宇宙の巨大さを知り、天体に対する興味が出た一日だった。
皆既月食の時なぜ月は赤く見えるのか
天体望遠鏡、どのように見えますか
クリスマスカラーのプラネタリウム投影機
12期生12月6日講座報告
座学で1.溶岩を観察できる2.河原に転がる様々な岩石3.川のつくる地形・段丘から三角洲、以上の石川、嶽山の見所のポイントを勉強して汐ノ宮に移動して野外学習である。
石川の河原に湧出している炭酸ガスは少し硫黄の匂いがし、地球が形成された時のマントルに含まれたヘリウムが含まれているとの説明を聞き気泡が神秘的に見えてきた。河原に転がる岩石調べでは、次々と先生に鑑定してもらうも残念ながら家宝となるような岩石は見つからずガッカリ!
岩石で「チャート」が有り先生に「チャートて何ですか?」質問が出ていました。皆さんご存知ですか。チャート:角岩(カクガン)で放散虫、海綿動物などの動物の殻や骨片が海底に堆積してできた岩石だそうです。汐ノ宮駅から千代田神社へ行く坂の途中の崖面に2万年前の石川の河川敷の中の状態を見て石川の移動がわかり地球の歴史を垣間見ることが出来た。
「地質観察」と言うと何となく取っ付きにくく感じる人も多いと思うが今回の講座から“花鳥風月”(天然自然の美しい景色)にジオgeo(地球)を加えることにより、山や川を見てその成立ち、仕組みに気付き今までの景色とは変わって見えてくることを教えて頂いた。
ツルツルで気持ちいい柱状節理
100万年前の大阪層群の岩石
2万年前の石川の河川敷の中
12期生11月29日講座報告
朝から雨の天気予報だったが、最後の鳥合わせ時に降り出すまでは何とか持ってくれた。
この日の探鳥コースは森ノ宮大阪城公園入口→市民の森→南外堀→桜広場→豊国神社裏→天守閣横→飛騨の森。大阪城公園はバードウォッチャーの間で探鳥地として有名で、春秋のシーズンには観光客に混じって多くのバードウォッチャーで賑わうとか。
市民の森の中で数人がカメラを向ける先を見ると、岩の水場で胸がオレンジ色のアカハラを発見、さらに外堀や内堀に進むと多数の冬鳥等が観察できた。ユリカモメの乱舞や嘴と頭が白いオオバン、頭が緑色のヨシガモや冠羽に黄色の目のキンクロハジロのカモ類等も観察できた。さらには先生持参のスコープでツグミの眉斑や胸のまだら模様がクッキリ見えて歓声が上がる。
最後に恒例の鳥合わせ。曇り空で野鳥観察には悪条件だったが、先生方のご指導により34種の野鳥を観察することができた。仲先生から「身近な鳥の名前を人に言えるようになって下さい」と宿題を出されたが、カレッジ卒業までには成就できることを祈念します。
乱舞するユリカモメ。昔はユリカモメをミヤゴドリと呼んでいたそうで、平安時代の歌人の在原業平がこの鳥を見て「名にし負わばいざ言問わむ都鳥 わが思う人はありやなしやと」と都の恋人を思う気持ちを和歌にしたらしい。
大阪城外堀のヒドリガモ。「ピューン、ピューン」と口笛のように鳴くとか。
先生持参の写真と見比べながら鳥合わせ。
「見た見た」とか「きれいだったね」とか言いながら、観察した34種を数えて盛り上がりました。
12期生11月22日講座報告
午前中はスライドで紅葉・黄葉の仕組み、どんな意味があるのかを学ぶ。
美しい紅葉となるための3要素として①日光②低温(氷結しない程度)③昼と夜の温度差が必要。今年は3要素はそろったが台風の影響で葉が痛んだり、飛ばされたりしてきれいでないとの事。落葉樹は秋になり気温が低く日照時間が短くなると光合成の効率が悪くなる。そうなると木は葉を不要と判断して葉の栄養分を吸収し、葉への養分や水分の供給をストップし落とす準備をする。
葉の色の変化については、離層という組織により葉と枝が遮断されクロロフィル(緑の色素)の生産が抑えられ分解され、紅葉は赤の色素のアントシアンが生成され、黄葉はクロロフィルに隠れていたカロチノイドが現れる。クロロフィル、カロチノイド、アントシアンの蓄積量で葉の色が変化する。紅葉は木が生きるための行為との事。
午後は宮の上公園へ。今年は紅葉が早く、すべて葉を落としていたり、一本の木でも日光のあたり具合により上だけ色がついていたりさまざま。アメリカフウの見事な紅葉、モミジは近づいてみると葉先が台風の影響でかなり傷んでいる。
季節はこれから冬になるが木々は冬芽で春への準備をしている。複雑な紅葉の仕組み、冬芽の観察、よく見るブナ科ニレ科の葉や樹皮の違い、種子の事などを栗谷先生の愉快なギャグに笑いながら学びました。
この場所は常緑樹と落葉樹を植えてある。鳥がよく来るとの事
アキニレの葉と実
モミジ
同じ枝なのに色がちがいます
12期生11月15日講座報告
今日は少し足を延ばして西宮市の県立甲山森林公園での自然観察である。
公園正門入口の兵庫県県花である野路菊(ノジギク)の観察からスタート。ノジギクが兵庫県県花に選定された経緯を聞いたが年代に無理があるように思えたが皆さんはどうですか?常緑樹であるが常に一部の葉が紅葉していて名前の由来がポルトガルのことを意味する説とポルト油(オリーブ油のこと)の採れる木と誤解され説を持つポルトノキ。
野老と書いてトコロと読むヤマノイモと同属の多年性芋の話。みくるま池にはアカミミガメ、ブラックバス、ブルーギルなどの外来種が生息しておらず、この状況を続けて行くための啓発に努めている話。柿の葉で十二単の人形や木の葉でのバッグ作りなど多岐にわたっての講座であった。
地すべり資料館では災害の恐ろしさを知ると共に、普段から災害時に備えた避難の準備と心がけの大切さを再認識することが出来た。甲山森林公園もなら枯れが発生しており昨年は400本程の被害が出ており対策や処理が大変だそうである。10月の台風の影響で通行止めの箇所の発生が有り、講師が予定していたルートではなかったが天気に恵まれて、秋の日差しを浴びながらの自然観察講座でありました。
兵庫県の県花《ノジギク》大阪府の花はご存知ですか? ウメとサクラソウです。
野老《トコロ》正しく読めましたか?ヤマノイモのようには真っすぐには伸びない。
柿の葉で作った十二単の人形
12期生11月8日講座報告
淀川資料館ではプロジェクターによる「淀川の歴史」を視聴。現在の淀川は明治18年の大洪水をきっかけに治水対策として新たに開削され、また過去の河川工事のなごりであるワンドには国の天然記念物のイタセンパラも棲息しているらしい。降り続く雨のため館外周辺のみ歩き、大阪城の石垣修復用に切り出すも用いられなかった「残石」等の説明を聞く。
雨が止まず、京阪電車と京阪バスで水生生物センターに移動。「様々な個性を持つたくさんの生物が他の生物や環境とつながり合いながら存在する」と定義される生物多様性の座学からスタート。中でも淀川のシンボルフィッシュであるイタセンパラの生態が特に印象に残る。秋の産卵期になるとオスは淡紅色の「婚姻色」に染まり、メスの産卵を誘う(ここから「板鮮腹」の名前がつく)。またメスは長い産卵管を2枚貝のイシガイの入水管に伸ばして産卵する。貝の体内で孵化した仔魚は翌春に貝の出水管から泳ぎ出す、と言うサイクルを聞いて一同ビックリ。
その後館内の水槽内で泳ぐイタセンパラや同じく婚姻色に染まったカネヒラ、さらにチャネルキャットフィッシュ等を観察。ようやく雨が上がり、屋外のビオトープでもんどり網を使って淡水魚を採集、イタセンパラ等の数種類をゲット!さらに水中に潜むイシガイも見つける。
受講生は歓声をあげながら、生態の不思議さや自然保護の大切さを再認識した。
ビオトープの傍に生えたデンジソウ、水田等に生えていたが絶滅危惧Ⅱ種に指定される。葉の形が「田」に似ているところから名付けられた。でも、四つ葉のクローバーと偽ってプレゼントしないでね。
淡紅色の婚姻色に染まったイタセンパラのオス。でも人間の男性が淡紅色のマントを着ても、女性は寄ってきませんよ!
ビオトープで見つけた2枚貝のイシガイ。イタセンパラのメスが「生みの親」なら、このイシガイは「育ての親」?頑張って育ててね。
12期生11月1日講座報告
直前の台風の影響で、数ヶ所の通行止めがあり迂回路を通って無事山頂へ。素晴らしい青空で眼下の景色に歓声を上げ午前の講座開始、ブナ林の中へ。
ブナは標高の高い涼しい場所に生息するが、和泉葛城山のブナは標高の低い所で(850m)天然のまま残っている貴重な場所として国の天然記念物となっている。天然記念物指定部分(コアゾーン)コアゾーンを保護するための緩衝区域(バッファーゾーン)で構成されていて、コアゾーンは立ち入り禁止のため保護整備活動はバッファーゾーンで行っているとの事。
天然記念物指定時は1800本ぐらいあったブナだが今は両ゾーン合わせて850本ぐらいになっており、ここ10年で100本ぐらい枯れている。温暖化などで生き残るのが難しくなっていて、自然に落ちた実生からの成長は遅くほとんどが枯れてしまうので、採取した実を苗床で育て、育った苗木をバッファーゾーンに植樹しているとの事。
ブナの特色は実が三角錐、葉脈の先は丸みを帯びた鋸歯のへこんだところにあり、はっきりしていて、幹が白っぽいので白ブナという(幹が黒っぽいのはイヌブナ、葉脈の数が白ブナより多い)葉は北に行くほど大きいなどの説明を受けながら午前の講座は終了。
午後はバッファーゾーン内のヒノキなどの植林地を観察。ここを間伐してブナを増やすために整備管理しているとの事。ブナ林を守るため広大な土地を保護管理調査されている方々の大変さを大いに感じ、ブナの幹に名前を彫るなどの行為は止めてと思いました。黄色く色づき始めたブナを次世代の人たちも見る事が出来るように。
葉脈のよくわかるブナの葉と三角錐の実
自然に実生から成長したブナ、これで10年目ぐらいです。
色づき始めました。