大阪シニア自然カレッジ

12期生講座報告

12期生7月12日講座報告

開催日2017年7月12日(水) 晴れたり曇ったり
講座名両生類と爬虫類
講師木下 裕美子先生
場所堺自然ふれあいの森

梅雨の影響で雨模様の講座が多かったが、この日は一滴も降らずラッキー!

午前中の座学ではクイズ形式で両生類と爬虫類の違いや特徴等を学ぶ。世界中で両生類は有尾目・無尾目・無足目を合わせ4,560種、爬虫類はカメ目・ワニ目・有鱗目・ムカシトカゲ目を合わせ7,830種もいるそうな。写真を見る限りでは可愛らしく頬ずりしたくなってくる?

また先生に予め用意していただいたトカゲの卵やニホントカゲもじっくり観察。続いてカエルの苦労ゲーム、「カエル役」とカエルが生きるのに必要な「水・エサ・住みか役」に別れ、後半は「ヘビ役」も追加し、カエルの増減に一喜一憂しながら、微妙なバランスの上に立つ自然界の仕組みを学ぶ。

午後はフィールド観察、獲物は少なかったが、それでも網を振り回し草をかき分け、みんな汗びっしょりになりながら夢中で探す。ヌマガエルやトノサマガエルのオタマジャクシの中には一部、足が生えかけているものも。成体のヌマガエルは座学で教わった通り、確かに前足が4本・後ろ足が5本だった。また捕獲できなかったが、行列の先頭ではニホンカナヘビやマムシも観察。特筆すべきは受講生の一人が忍者の様な俊敏な動きで捕獲した特大のアカミミガメを見て一同驚きの声をあげる。

カエルの苦労ゲーム。決して不純な気持ちで誘っているのではありません。
ニホントカゲの勇姿。でもダンゴムシ等をエサにしているらしい。ゲェー!
頭や尻尾を引っ込めていても20cm超はあるアカミミガメ。夜店のミドリガメがこんな風に変身するとは!?

12期生7月5日講座報告

開催日2017年7月5日(水) 雨時々曇り
講座名ビオトープ入門
講師木村 進先生
場所堺市南図書館、泉北高等学校

“ビオトープとは”と聞かれて「はい○○○です」と答えられる人より「初めて聞く、なんだろう?」思う人が多いのではないだろうか。

  1. あまり手をかけずに、そこに住む生き物が次の子孫を増やすことが出来る。
  2. その地域に元からいた生き物を守り育てる。
  3. 近くにあるビオトープをつないで生き物たちを呼び戻すことが出来る。
  4. 自然の「保全・復元・創造」の3つを含んでいる。

以上がビオトープの定義のポイントである。

2005年9月ビオトープ池を造成し、その後の変遷の話は先生と生徒達の実体験とデーターの蓄積があり重みのある話でした。

昼からは泉北高校に移動し、ビオトープ池の見学、生物の採集、植生の説明を聞いた。生物教室では顕微鏡でミジンコ、ゾウリムシやミカズキモ、ブレファリスマなどの観察することになった。久し振りの顕微鏡にみんな先生の説明は二の次で”ワイワイ、ガヤガヤ“と学生時代に逆戻りした1時間半でした。

講座の最後には3時になると花が咲く「三時草」を見せてもらい、おまけに「三時草」、「オジギソウ」の苗を希望者は頂くことが出来ました。講師の心配りで今日も楽しい講座となり有難うございました。

ビオトープ池で生物採集
ヒメガマの雄しべ(上部)と雌しべ(下部)ガマは雄しべと雌しべは離れず繋がっている
みんな研究者の気分で

12期生6月28日講座報告

開催日2017年6月28日(水) 雨のち曇りのち晴れ
講座名昆虫入門
講師鈴木 真裕先生
場所堺自然ふれあいの森

梅雨入り以降、何故か水曜日を狙ったかのように雨になるが、この日も朝から雨模様。

午前中の座学では「昆虫の多様性(生態系、種、遺伝子)」・「減りゆく昆虫たち(絶滅危惧種、開発乱獲・人間活動縮少・外来種・地球温暖化による減少)」・「昆虫の見つけ方(見つけ採り、捕虫網でのスウィーピング、すくい採り等)」をテーマに説明が進む。

世界では約100万種、日本では約3万種の昆虫が知られ、30目(モク)に分類されるそうな。これを踏まえた「分類群クイズ」では20種類の昆虫の写真から分類するが、その中でも“セミはカメムシ目”、“アリはハチ目”と聞いて一同ビックリ。さらに話題のヒアリにも話が及び、胸部と腹部の間にコブが2つあるのが特徴で、土が大きく盛り上がった巣には近づかないとの警告。

午後は雨が上がりさらに晴れ間も出る絶好のコンディションの中でフィールドでの昆虫採集がスタート、うまく網が使えなかったり恐々昆虫を網から取り出す方もいたが、皆さん童心に帰り、汗びっしょりになって昆虫と追っかけっこ。数十種類の昆虫を採集できたが、最後に図鑑とにらめっこしての同定作業が難しく、先生は引っ張りだこだった。

分類群クイズに挑戦。何目(モク)に該当するか分類するが全問正解者はゼロ 、正解率は半分にも満たなかった。
捕虫網を振り回して昆虫採集。うまく網の中に入ったかな?どんな昆虫だろう?とドキドキ。
先生が採集したヤブヤンマ。青い眼を見るのは先生も初めてらしいが、決して外国生まれではありません。

12期生6月21日講座報告

開催日2017年6月21日(水) 雨時々曇り
講座名緑化入門
講師池田 栄子先生、北野 敦美先生
場所堺市都市緑化センター、日本庭園大仙公園

本日は堺市都市緑化センターの多目的室での座学からの始まりです。

“植物と対話しましょう”の表題の資料を貰ったがそれに沿った話ではなく講師の北野先生の頭の中の資料で話が進み、話が次々と飛ぶため受講生はついていくのが大変でした。

話の後は“つりシノブ作り”を楽しみました。材料はシノブ(ミニダバリア)、ミズゴケ、木炭、糸、針金等で準備OK一斉につりシノブ作りに取り掛かる。「これでいいのかな」「これからどうするの」とワイワイガヤガヤ。2~30分で完成、出来栄えはどうですか?

午後は雨が降っていたが日本庭園を散策しながら木々の説明を池田先生から受ける。松の葉は2つの細長い葉が付け根で合わさってV字型になっていますが付け根の茶色い部分は葉ではなく松の短枝だそうである。松の枝を観察してみて下さい。椿の枝の上に寄生植物のヒノキバヤドリキを見ることが出来た。ヒノキバヤドリキは葉緑体があって光合成し寄生した植物からは水と無機塩類だけを吸収するので厳密には半寄生植物である。

本題の緑化入門からは少し外れた講座となったが、作る楽しさと雨に濡れた新緑を満喫した1日でした。

三人三様の力作が完成です
雨の中を緑豊かな庭園を観賞
椿に寄生したヒノキバヤドリギ

12期生6月14日講座報告

開催日2017年6月14日(水) 晴れ
講座名浜辺の植物観察
講師木村 進先生
場所せんなん里海公園

梅雨とは思えないさわやかな快晴のもと観察を開始。大阪で唯一残っているウバメガシの海岸林、トベラ、シャリンバイ、カクレミノ、サンゴジュ、マサキなど乾燥に強く、厳しい環境でも生育できる樹木の説明を受けた。これらの樹木は都市公園、街路樹にも多く植えられているとの事。

午後は砂浜に生育している植物の観察を行う。水分の保持ができるよう長い根を伸ばし、海水に耐え浮かんで運ばれる種子、潮の干満で水没する植物は浸透圧の影響に強いなど環境に応じて生育していた。ハマゴウ、ハマサジ、コウボウムギ、ハマボウフウなど絶滅危惧種もあり、アメリカネナシカズラ、ベニバナセンブリ、ナルトサワギクなど外来種も多く見うけられた。

その後自然海岸に移動、途中大阪府下で2か所しか生育していないヒトモトススキを観察、大きなハマウドに驚き、自生しているオカヒジキ(塩味がした)を試食して観察を終わった。期待していたハマヒルガオ、ハマボウフウの花は終わっていたが、海岸での厳しい環境に生育している植物の観察を堪能することができた一日だった。

ウバメガシの海岸林の説明
外来種のアメリカネナシカズラにからまれて身動きできません
絶滅危惧種ハマサジの群落満潮時には海水につかります

12期生6月7日講座報告

開催日2017年6月7日(水) 雨
講座名磯の生物観察
講師山田 浩二先生
場所水産技術センター、豊国崎

”海を見守る“”海辺を再生する“”魚を調べる“”魚を増やす“をメイン業務にしている水産技術センターの施設見学からスタートです。

大阪湾の魚は約450種類で獲られている魚は約100種類、漁獲高は以前は10~11万tであったが今は2万tに減っており水産資源の増大を目指して栽培漁業による稚魚の人工生産、幼稚魚の放流を行っているクロダイ、トラフグ、キジハタ(あこう)の水槽を見学した。

クロダイのメス1匹は50万~100万粒の卵を産む。トラフグは尾びれをかみ切るので歯を切る。キジハタは大阪で一番高価な魚であるなど知らなかった生態を聞き、最後にヒトデ、ナマコ、ヤドカリ、アメフラシなどの生き物にタッチして海を身近に感じた。

豊国崎では磯の生き物採集。サンダル履きの人、手袋をした人、素手の人思い思いのスタイルで自然の海の生き物探しが始まりました。雨の中での採集のため、生き物を見つけるのに悪戦苦闘。しかし、40分程度でミズクラゲ、イソガニ、ゴカイ、ウニ、カメノテ、フナムシなど30数種類を採集。ババガセ【婆背】面白い名前の生物も。

先生の同定解説を受けて本日は早めに講座終了です。生憎の雨でしたが、みんな久しぶりの海に童心に帰って楽しみました。

キジハタ
美味しいそうです。一度食べてみて下さい。
アメフラシ
初めて見る人が多かった。触った感触は?気持ち良かった
雨の中での同定と解説

12期生5月31日講座報告

開催日2017年5月31日(水) 晴れ
講座名鳥類入門(市街地で繁殖する野鳥)
講師和田 岳先生
場所大阪市立自然史博物館、長居植物園

今回から大阪市立自然史博物館の主任学芸員の和田先生がご担当。

午前中の座学では都市公園で繁殖する野鳥の基礎知識を知る、街の中で上手に暮らす鳥を「都市鳥」と呼ぶそうで、大阪の都市鳥は増加傾向にあるらしい。例えばムクドリの領域にその仲間のイソヒヨドリやハッカチョウが、またトビ・オオタカ等のタカ類も市街地に進出中。さらにツバメの巣の観察のため先生が大阪市内を自転車で巡る話や、カラスとの付き合い方の伝授には皆さん感心しきり。

午後は長居植物園内巡り、観察方法は「巣を見つける?何かを運んでくるのを見つける?巣立ちビナを見つける?求愛行動やなわばり行動を見つける」。ハシブトガラスやシジュウカラの巣立ちビナを見かけたり、鳴き声の特徴を確認したり、ツバメの乱舞に見とれたりして合計13種類を観察。

餌をあちこちに貯食する鳥は位置を記憶するためその時期だけ脳の記憶部分が大きくなるとか、渡り鳥はその直前に筋肉が増強されるとの説明に、一同「へえ~」の大合唱。「鳥も面白い」・「回を重ねる毎に楽しくなった」等の感想が寄せられた。なお、コブハクチョウやハッカチョウを見かけたら、和田先生までご連絡を。

先生の多岐にわたる、それでいてユーモアたっぷりの説明に引き込まれる受講生。
わかりにくいですが、ハシブトガラスの巣(赤矢印)と巣立ちビナ(黄矢印)。高い所を見すぎて、「首が痛~い」の声も。
今日は13種類を観察。単に「繁殖確認」ではなく、「餌運びや求愛等の具体的な行動」の観察内容を記録しましょう!

12期生5月24日講座報告

開催日2017年5月24日(水) 曇りのち雨
講座名哺乳類入門
講師早川 篤先生
場所ノバティホール、長野公園

午前の講座ではネズミなど古事記、民話に出てくる動物と人間の関わりを紹介された。その中に出てくるネズミは野ネズミで、ネズミの仲間は1788種、哺乳類およそ4300種のうちの約40%をしめ、家ネズミは3種類で残りは自然で暮らしているとの事。植物、昆虫、哺乳類をつないでいる野ネズミがいなくなると生態系が崩れるとの話がありました。

午後は動物のフィールドサインを求め長野公園へ、モグラの穴が見つかり、どのくらいの大きさか、長さなどを確認し、その後モグラの体の構造、習性についての説明を受けました。あとは何も見つからず公園のあずまやに戻り先生秘蔵のはく製、骨格標本を見せてもらいました。モグラのはく製、骨格標本から始まりイノシシとシカの生態による脚の違い、ウサギの動きは前後の脚の大きさの違いによる、シカ、イノシシの頭骨標本では歯の特徴などの説明があり、先生のリュックから次々と出てくる見たこともない標本に皆夢中になりました。

先生のお話では里山の崩壊で人と動物との垣根がなくなっているとの事(動物が人を怖がらない、人が野生の生き物の接触の仕方を知らないなど)動物との関わりを考える講座でした。

モグラの穴の大きさ確認中
モグラのはく製、手の特徴がよくわかります
シカの頭骨の説明

12期生5月17日講座報告

開催日2017年5月17日(水) 晴れ
講座名里山入門
講師後北 峰之先生
場所堺自然ふれあいの森

本日の講座の場所は堺自然ふれあいの森、初めて訪れる受講生も多かった。

館長の後北先生による“里山とは”の座学でスタート。先生の子供の頃の里山体験を織り交ぜながら里山の仕組み、人間社会とのつながり、現状、などの説明を受けた。様々な昆虫や生き物を食べる生態系の最上位のオオスズメバチの女王蜂の実物が登場してみんな驚きの声を上げた。体長4.5cm、顔を正面から見ると迫力があった。グループ学習の“池の周りの人間の土地利用について”では4つのグループに分れての開発について、「こうしよう」「いや、こうした方がいい」と検討し、それぞれの結果を発表した。

昼からは後北先生のガイドでふれあいの森の東側を案内してもらう。なら枯れ対策、巣箱の設置、アカマツ林の再生への取り組みなど、山道の傍の木や植物の説明を受けながら1時間半の野外学習でした。途中、かつては里山の林下の何処にでも見られたが今は堺市レッドリスト2015のカテゴリーAにランクされる絶滅を危惧されている花である“キンラン”と言う珍しい野生蘭も観察できた。今回の講座も満足してもらえたかな!

オオスズメバチの女王蜂、いい顔してますね
ホウの木の花の観察
絶滅危惧種のキンラン

12期生5月10日講座報告

開催日2017年5月10日(水) 晴れ
講座名植物入門(木本)
講師栗谷 至先生
場所ファインプラザ大阪、光明池緑地

ゴールデンウィークのため講座が1週間空き、皆さん待ちかねた様子。

午前中は樹木の定義、分類方法、主な生存戦略、幹・枝・葉の構造、植物群落と群集、常緑広葉二次林の発達過程の例等を教わる。先生のユーモアを交えた説明に、あちらこちらで「クスリ、クスリ」。

午後は光明池緑地に出かけゆったりと観察。ケヤキの葉に寄生する「虫こぶ」からスタートし、アラカシの葉の特徴や名前の由来(アラは「粗」で、割れやすく使えない木だから)を聞く。途中、アカガエルの大合唱に迎えられ、その美声に聞き入る(?)。さらにムクドリがその実を好むムクノキの幹や葉の特徴や、枯れ葉が折り重なる「林床」は光が届かないため他の植物の侵入を防ぐと聞き、皆さん納得顔。最後にイヌビワは虫と共生しているため、実の中には虫がいると聞いて一同びっくりしたところで締めくくり。

講座終了後に、12期生ほぼ全員が参加して懇親会を開催し友好を深めた。

樹木は「時間的優位やニッチ戦略・空間的優位」等により、競争優位にたつのですよ!
ヤマモモは雌雄別々の木。その葉に光を当てれば葉脈が透いて見える。(ピンボケですが、黄砂の影響ではありません
イヌビワは虫と共生し、実の中に虫がいますの説明に一同「エー!」。