大阪シニア自然カレッジ

13期生講座報告

13期生10月10日講座報告

開催日2018年10月10日(水) 曇りのち晴れ
講座名甲山の自然観察
講師大橋 正規先生(武庫ネイチャークラブ)
場所甲山森林公園(兵庫県西宮市)

今にも泣きだしそうな空模様の中、先生の興味深い説明を聞きながら、多くの樹木に囲まれた甲山森林公園の自然観察。紅葉した葉と緑の葉の両方が見られるホルトノキが出迎えてくれた。甲山のなりたちにも興味をひかれた。花崗岩は大阪城の石垣にも使われ、今でも木々の間に残っている。途中、イイギリの赤い実に微笑み、ツクシハギ、ヒヨドリバナ、チジミ笹、センニンソウなどを観察。

日本の古き良き時代のお歯黒の話が有り。女性が出産した後、虫歯になりやすいのでヌルデの虫こぶに多く含むタンニンを歯に塗ったとの事。理にかなった口内衛生管理の為と知り感心した。

展望台で昼食。晴れていれば近畿の山々が見えたのに残念。予想より少し早い雨降りの為、午後に予定していた「仁川百合野町地すべり資料館」の見学は中止、観察コースを変更して、予定を早めて講座を終了。又近い将来に快晴の下、先生の膨大な知識の伝授を心から願うばかりです。(1班作成)

枝垂れて咲く、ツクシハギ
ヌルデの虫こぶにはアブラムシが多数詰まっています。
お歯黒の説明に興味津々です。

13期生10月3日講座報告

開催日2018年10月3日(水) 晴れ
講座名昆虫入門
講師山本 捺由他先生(京都大学大学院 理学研究科)
場所ファインプラザ大阪(堺市)、光明池緑地(堺市・和泉市)

午前中は「昆虫ってなに?」をテーマに講義を受ける。

およそ4億8千年前に誕生し、1億5千万年前には今いる昆虫のグループ(目:もく)が出揃った。ゴキブリやトンボは比較的原始的な昆虫で3億年前にはいました。生物の中で、最も種類が多く100万種以上(記載種のみ.推定では500万種以上)で日本には約3万種程生息する。脚が6本あり頭部・胸部・腹部の3部からなる生き物である。

先生はハンミョウを専門に研究しておられる。ハンミョウは路上で人が歩くたびに前方に少し進んでは止まり振り返る仕草を繰り返す動きをするので、別名「みちおしえ」とも言われる。シロスジメダカハンミョウはシダの茂る森で裸地の少ないところに住み朽木に巣穴を作る。カワラハンミョウは砂漠や河原に生息し地表の高温を避ける為に足が長く、白い土地に生息するものは白色で,黒い土地に生息するものは黒色です。因みにセッケイカワゲラは雪山に生息し白でなく黒色です。ウサインボルト選手やチーターよりハンミョウの方が足が速いのには驚いた。

「昆虫の今」のまとめとして、人間活動により、日本固有種など多くの昆虫が絶滅の危機にさらされ危惧されている。

午後からは外の草むらに出て、バッタや蝶、コオロギなどを採集し観察と同定をした。そう広くない場所だったが、思ったより多くの昆虫がいて、驚いた。皆さん疲れを知らない子どもに返った様に、はしゃいで虫取りを楽しんだ。そして私たち人類も他の生き物もいのちの繋がりで生きていることを学び(生物多様性)、この地球上には不必要な生物はいないという大切な視点に気づくことができた。(1班作成)

昆虫とは?を学びます。
大きな網を振り回して昆虫採集に夢中。バッタがたくさん飛んでいた。
クビキリギス
指に噛みついたのを無理に離そうとすると首が取れるそうです。

13期生9月26日講座報告

開催日2018年9月26日(水) 曇りのち雨
講座名農業体験②
講師四日 克彦先生、他スタッフ数名
場所ゴールドファーム(北阪農園 岸和田市)

愛彩ランドに集合した途端に先日の台風の話題、被害状況や停電が続いたことなど、口々に。6台の車に分乗し、畑ゴールドファームへ。前回、休憩や荷物置きとして使わせてもらったビニールハウスは、台風でビニールの殆どが飛び、辛うじてフレームが残っているだけ・・・。もう1つのハウスは跡形もなくなっていた。改めてこの度の台風の威力を感じた。

班ごとにサツマイモの芋掘り、胡麻畑の草取りと土壌作り、胡麻の殻取り・ふるいかけ、難波ネギの定植をした。台風の直前に急遽、刈り取って干してあった胡麻の殻取りは、量が多くて大変! 茎を棒などに打ち付けて胡麻を落とす仕事は、農家では昔からこうして家族総出でやってきたのだろう。粉が舞い上がる中、懐かしい歌を歌い続けて励む女性グループもあり、賑やか。

最後には全員で取り掛かり、やっとのことで胡麻の殻取り・ふるいかけをやり終えた。芋掘りでは、大きな芋を堀出し、歓声を上げる人あり、「腰が・・・」「足が・・・」とぼやく人あり。10センチぐらいに育った難波ネギの定植を始める頃に雨が降り始め、植え終わる頃には本降りになった。やっぱり13期生は雨と共にある。昼食時には柿を、帰る時にはたくさんのサツマイモを頂戴して帰路につきました。(1班作成)

流れ作業で効率よく、刈り取った後の胡麻の根っこを抜きます。
たくさんのサツマイモの収穫。腰痛、膝痛の後遺症を気にかけながら・・
“あともう少し”と励ましあい、胡麻落としに歌声と共に頑張ります。

13期生9月19日講座報告

開催日2018年9月19日(水) 晴れ
講座名天体入門
講師中島 健次先生(那須香大阪天文台 天文台長)
場所すばるホール(富田林市)

午前は“太陽と月”“惑星と衛星”“夜空の春・夏・冬の大三角形、秋の四辺形”“望遠鏡”等の講義でした。

特に太陽と月のうごきの講座は記憶に残りました。太陽は朝、東の空からのぼって西に沈む。影の向きは太陽と反対に昼は北、夕方には東に向く、これを利用したのが日時計。夏の太陽は空高くなり暖かく、冬はお昼頃でも夏に比べて低く寒くなる、北極と南極を結ぶ地軸なるものが傾くからです。月は太陽と同じように東から西へ、これは太陽や月が動いているのでは無く、私達のいる地球が北極の地軸から見て反時計方向に周っているからです。走っている電車の中から景色が動いて見えるのと同じ理屈です。

地球と月と太陽の位置の変化によって月の光があたっている所が見え、月は三日月から半月になり満月へ形が変わります。新月から次の新月になるまで29.5日かかり、昔は1カ月として暦にしていました。月が地球に最接近した際にみえるスーパームーン、1ヶ月に2回満月になるブルームーン、皆既月食で月の表面が赤っぽくみえるブラッドムーン。この3つが重なったスーパーブルーブラッドムーンが35年ぶりに今年1月31日に出現し、特別な夜を見られた方も何人かおられました。

午後からはプラネタリウムで宮沢賢治の銀河鉄道の夜を鑑賞。ドームいっぱい360度に広がる銀河のパノラマ、天空の汽車に乗車したかのような夢の体験をしました。現実に夢見てられた方も、宇宙に出会えた素敵な1日でした。クイズ:望遠鏡で絶対見てはいけないものは太陽と他人窓。(1班作成)

超青い、超赤い月。スーパーブルーブラッドムーンです。
天体望遠鏡、どのように覗きますか?ウン千円で購入できるそうです。
プラネタリウムの投影機。夢?の映像に酔ったのか少しふらつきます。

13期生9月12日講座報告

開催日2018年9月12日(水) 曇り時々雨
講座名淡水魚入門
講師佃 十純先生(加呂登池自然クラブ)
場所大泉緑地、加呂登池(堺市)

大型台風の影響で大泉緑地公園の大木も倒れ、その惨状を目の当たりにした。講師の佃先生は「凡そ600本なぎ倒されたが、でも大木の根を見るいい機会ですよ。」とも話された。

「淡水魚入門講座」はまずは、カタクチイワシ・ウルメイワシの煮干しの解剖です。各々の名前の謂れを聞きながら、イワシの鼻を探した。頭部を2つに割、飴色の脳と白い耳石を見つけることができた。胴体も2つに割、内臓や背骨を観察。白紙上にはボロボロになったイワシ、何だか可哀そう。

後半は淡水魚の講義。メインは姿かたちが類似しているメダカとカダヤシの関係。卵胎生するカダヤシが生後2カ月で水草に産卵するメダカの生息を脅かしている現状。見分け方はひれの違い、メダカの尻びれは旗状、尾びれはバチ型、カダヤシの尻びれはメスがうちわ状、オスが棍棒状。メダカとカダヤシの混在した写真を目を凝らして見ても見分けは難しかった。

午後は2組に分かれて、加呂登池の淡水魚捕獲。先生から「網の仕掛け」「網すくい」「ザリガニ釣り」の仕方をユーモアたっぷりに説明して頂いた。胴付長靴を履き、トラップを持って、池の中へ。30分後、モツゴ・タモコロ・ヨシノボリ・ザリガニ・カダヤシ・メダカ・スジエビなど大量の淡水魚を捕獲。しかしメダカは1匹で「メダカがカダヤシに絶やされる危機」の現状を知ることが出来た。

今回、子どもの頃を思い出し、楽しい時間があっという間に過ぎ、講座が終了しました。(1班作成)

ユーモアたっぷりに、イワシの解剖の説明を受けます。
転ばないようにそろそろとトラップを仕掛けに池の中へ進みます。
大漁に大満足!この中にメダカは何匹?

13期生8月1日講座報告

開催日2018年8月1日(水) 晴れ
講座名ビオトープ入門
講師木村 進先生(大阪自然環境保全協会理事、たんぽぽ調査事務局)
場所大阪府立泉北高校(堺市)

快晴、総勢23名が泉北高校の門をくぐる。先生は15年前泉北高校の一角にコナラの林を背景にビオトープを作られ、今なおビオトープのネットワークに心を配られている。まず生徒たちが生育に取り組んでいる、三時草、タデ、ステビア、しのぶの木等の見学。名も知らぬ私はすべて雑草木に見える気恥ずかしさである。

さあビオトープの見学です。ヒメガマ、ヨシ等が水面より背が高く伸び、アカメヤナギが池を見下ろしている。季がくればオオミクリの花、ヒシ、ガガブタの花が咲き、交尾中のイトトンボが見られるという、まさに生きものの暮らす場でした。移動した教室では、ビオトープより採集したオオカナダモ(水草)、ゾウリムシ、ミドリムシ、ボルボックス、ミジンコ等の微生物の観察。顕微鏡の焦点を合わせ覗く。「不思議!」「きれい!」「かわいい!」「今日は皆、科学者だ!」の声が上がった。

午後の講義はビオトープ造成から今日までの13年間、観察を継続し、ビオトープの環境条件の測定を常に行い、蓄積されたデータを基にして、多様な生物が生息できるように心がけているという先生のお話。学校ビオトープは豊かな人間性を育成するための情操教育の場である。今まで関心がなかったビオトープに心を寄せた一日であった。(1班作成)

ビオトープ(Biotop)って何?動植物の環境保全の話に熱心に耳を傾けました。
ビオトープ池での実地学習、ザリガニ、メダカ、池の水を採取
「見えた!見えた!ボルボックス、ミジンコ ゾウリムシ・・・」

13期生7月25日講座報告

開催日2018年7月25日(水) 晴れ
講座名河口・干潟の生物
講師山田 浩二先生(貝塚市立自然遊学館研究員)
場所近木川河口、貝塚市立自然遊学館(貝塚市)

毎日、熱中症警戒警報の続く中、貝塚の近木川(こきがわ)の干潟再生地(海水と淡水が混ざった汽水湾土)での講義。

干潟再生地には、絶滅危惧種の生物が棲み、ワンド(湾土)が河口にあれば、きれいな水が海に流れるため、「干潟の環境を取り戻そう」(干潟生物が「水を浄化する」)と全国的に干潟の再生に乗り出していることや地域の人たちが触れ合える場所づくりを目指していることなど干潟の役割、重要性を知ることができた。

干潟再生地では、泥の穴の中から次々とハクセン(白扇)シオマネキが出てきて、片方のはさみを何度も何度も動かしているカニの姿は、まるで私たちを歓迎しているかのようでした。手作りの釣り竿にちくわを付けたタコ糸を岩の間にたらしてのカニ釣りやウオッチング。クロベンケイガニ・タカアシガニ・コタバカクガニを採集。

二色の浜に近い河口にも移動し、干潟の生き物探しを楽しんだ。ヤドカリ、ミミズハゼ、イシマキガイ、ケフサイソガニなどを採集。最後に貝塚市立自然遊学館を見学し、管内の生き物や自然の発見がつまっている展示物や標本を見て、学習。みなさん、今日1日猛暑にめげず、頑張りました。(1班作成)

白い大きな鋏脚を振り上げるハクセンシオマネキ(絶滅危惧種)オスの恋ダンスを観察中。
汽水ワンドでのカニ釣り。なかなか釣れないので手で摑まえ、採集する方も。
投げ網漁の網の投げ方の特訓中。

13期生7月18日講座報告

開催日2018年7月18日(水) 晴れ
講座名地質観察
講師佐藤 隆春先生(大阪市立自然史博物館、外来研究員)
場所ラブリーホール、石川、千代田神社(河内長野市)

今までの講義は動物や植物の生き物が対象でしたが、今回初めて生き物以外の大地(ジオ)がテーマでした。

午前中の座学で、約1500万年前に形成された瀬戸内火山帯の一部の証である嶽山と汐ノ宮に分布する溶岩、石川の河原に転がるさまざまな岩石、気の遠くなるような時間をかけて、石川がつくった地形・段丘を学んだ。

午後から、石川の河原へ行き、先ず溶岩を観察、規則正しく並んだ柱状節理を直接触り、溶岩の破片の中に極小粒の夜会のエメラルドを見つける事ができた。溶岩の近くの水辺には、地中から湧き上がる炭酸ガスの泡を観察できた。次に、河原の石ころを観察、砂岩・礫岩・花崗岩など現物を見ながら石の成り立ちや性質などを学んだ。最後に、近辺を散策しながら段丘の存在と成り立ちを先生の丁寧な説明で学ぶ事ができた。

1500万年、それ以前から僅かずつ今も続いている大地の活動の中で、我々は生かされているのだと考えると、小さな人間と大きな大地のありがたさと不思議を感じました。暑さは大丈夫ですか、休憩しましょう、と常に我々に気遣いされながら、下見、通り道の草刈りまでされた佐藤先生に心から感謝です。(1班作成)

猛暑の中、足元に気を付けて、石川の河川敷の溶岩を観察します。
柱状節理から割って頂いた溶岩を手に取って観察できました。
汐ノ宮公園。あそこに見える崖は1500万年前にできた河岸段丘です。

13期生7月11日講座報告

開催日2018年7月11日(水) 晴れ
講座名ブ両生類と爬虫類
講師木下 裕美子先生、他スタッフ2名(堺自然ふれあいの森スタッフ)
場所堺自然ふれあいの森(堺市)

午前は両生類と爬虫類を比較しながら、次の事を学びました。

両生類は体外受精で卵は殻がなく柔らかい、皮膚は鱗はなく粘性があり、皮膚呼吸により水辺で生息する。爬虫類は体内受精で卵は殻があり硬い、皮膚は鱗があり肺呼吸で水辺でなくても生息できる。中でも、カメの卵が28℃以下だとオス、28~29℃でオスメス両方、30℃以上ではメスに決まる事とか、両生類のイモリは泳ぐため尻尾は太くて長く、爬虫類のヤモリは皮膚が厚く尻尾は細くて長い。

蛇のヤマカガシがヒキガエルを捕食し、ヒキガエルの毒を貯めて自分の毒にして身を守る事がある。爬虫類のトカゲには手足があるが、土中で生きる蛇は手足が退化して無くなった。トカゲはまぶたとは別に瞬膜があり目を守る。蛇にはまぶたはないが大きい透明なウロコがあり目の汚れや傷を防ぎ、目玉を直接動かしてピントを合わせるなど聞き面白かった。

午後から外に出て、運よくマムシ・カナヘビを捕獲し、マムシの尻尾と胴体の境目を、カナヘビは第3の目と言われる頭頂眼痕を確認する。シュレーゲルアオガエル、トノサマガエル、ヌマガエル、オタマジャクシも捕獲・観察する。オタマジャクシは先に後足が出て、次に前足は成長した右足が身体を突き破って出て、その後エラ穴から左足が出てくると教えてもらいびっくり仰天する。いつもなら蛇など怖くて、直ぐ逃げてしまうが、皆さんと楽しい体験ができました。

カエルの苦労ゲーム。ゲームを通して(又は体を動かして)生態系のバランスについて考えました。
まむしと知らず確保。念入りに観察できたので次に遭遇しても大丈夫。
トノサマガエル、ヌマガエルの赤ちゃん、ヤゴ、カナヘビとニホントカゲなど採取。

13期生7月4日講座報告

開催日2018年7月4日(水) 雨時々曇り
講座名農業体験①
講師四日 克彦先生、他スタッフ数名(ゴールドファーム)
場所神於山農村公園、北坂農園(岸和田市)

13期生初めての農業体験ですが、あいにくの天気の中、午前中はみんなで難波ネギの種子を選別し取込んだ。

一説では、「鴨なんば蕎麦」のなんばはネギとの事。難波がネギの産地で有った事から、ネギを「難波」と呼称したらしいです。暗黙の了解で持ち帰った種で皆さんの口を唸らせる日が待ち遠しいです。

午後は難波ネギ畑の見学と、西瓜畑のアライグマ避けネット張りの作業。北坂農園では一面に開花した金ごま畑の見学。ごまの花の可憐さに心癒されました。雨天の中、束の間の全員で力合わせてのジャガイモ掘り作業で、童心に返ってとても楽しかったです。

聞くところによると、12期生の皆様が作付けして頂いたジャガイモに一同感謝申し上げます。梅雨の最中、今回は天候には恵まれませんでしたが、四日先生の吉本にも勝るオヤジギャグの連発に心和ませていただきました。私たちがジャガイモの作付けをする時も、14期生の皆さんがジャガイモの収穫を喜んで頂けるように励みたいと思います。(1班作成)

ネギ坊主をふるいにかける手つきは徐々にうまくなる。
殻と種の選別機、「唐箕」を使っての作業はなかなか面白い。
ジャガイモ堀スタート。たくさんお土産に頂きました。