大阪シニア自然カレッジ

13期生講座報告

13期生6月27日講座報告

開催日2018年6月27日(水) 晴れ
講座名磯の生物観察
講師睦谷 一馬先生(水産技術センター スタッフ)
場所水産技術センター、豊国崎(泉南郡岬町)

多奈川駅から徒歩25分、水産技術センターへ。始めに、水産技術センターの紹介ビデオを見て「海を見守る・魚を調べる・海辺を再生する・魚を増やす」ための当センターの取り組みを学習しました。

先生は展示物のパネルを使って大阪湾の地形や魚種、浅い水深に適した漁法など話され、その後、私たちは栽培漁業センターを見学。それぞれの大きな水槽を覗き込むと、クロダイ、トラフグ、ヒラメの稚魚がたくさん泳ぎ回っていました。クロダイの別名“ちぬ”の由来、フグの歯を切るわけ、ヒラメの習性・カレイとの違いなど興味深い話を聞いた。大阪湾のプランクトンを顕微鏡で観察後、大阪湾の海洋環境の諸問題の講義を受け、水産技術センターの役割が大きいことを再確認。

午後、大阪に残された貴重な自然海岸“豊国崎海岸”で一人ひとり、小さなバケツを持ち、磯に棲む生き物を観察しました。波打ち際の石をひっくり返すとカニやヤドカリたちが右往左往、愉快な生き物たちが飛び出してきます。「きらめく波に日常の憂いさが洗われ、足元が濡れるのも構わずカニと戯れる最良の時を過ごせた。」(一口感想より)

トラフグの稚魚の水槽前で養殖の説明を聞きます。仲間を傷つけないよう歯切りの作業が行われます。
何が出てくるかな?海に足を浸すのは久しぶりです。
たくさんの生き物が採取でき、先生に同定して頂きました。

13期生6月20日講座報告

開催日2018年6月20日(水) 雨
講座名浜辺の植物観察
講師木村 進先生(大阪自然環境保全協会理事、たんぽぽ調査事務局)
場所せんなん里海公園(泉南郡岬町・阪南市)

午前中は海岸断崖に生えるウバメガシ、トベラ、マサキ、ヒメユズリハ、シャリンバイ、珍しい日本ダンチクの葉を触り、「分厚いなあ」「硬い」「緑が濃い」とその特徴に気づき、先生は極度の乾燥、強風、海水の飛散、直射光に耐え、厳しい環境でも生育できる植物の戦略を説明された。断崖風衝地のツワブキ、オニヤブソテツなど草丈の低い植物も観察。

午後は海岸環境の特徴と植生、塩分による浸透圧に強い植物や水分保持の為、根を長く伸ばす植物のレクチャーを受けて、浜辺の植物観察。砂浜のハマヒルガオ、ハマボウフウ、コウボウムギ、ハマゴウを、観察。海水に浸かる場所にはハマサジ、イソヤマテンツキ、ホソバハマアカザが生育し、汽水域に向かって植物が帯状に群落を作っている様子を確認。岩場には外来種のナルトサワギク、アメリカネナシカズラも植生していた。途中、ヤマモモの実を見つけ、手を伸ばし味わう。大阪府下で2か所しか生育していないヒトモトススキの希少価値を知った。自然海岸ではアオサやハマダイコンを観察、最後にオカヒジキの試食で終了。

終始、雨の中での観察ではあったが、厳しい自然環境の中で生育できる術や知恵を身に着けた浜辺の植物に出会えて良かった。

イヌビワの実の中には蜂の幼虫が住んでいます。食べる時には気を付けましょう。
降りしきる雨の中、断崖のウバメガシを見上げ、午後からはハマサジの説明を聞きます。
一瞬、雨が止みました。オカヒジキ、ハマダイコン、流れ着いたアオサ 美味しそうです。味見しましたが、しょっぱかった!

13期生6月13日講座報告

開催日2018年6月13日(水) 晴れ
講座名緑化入門
講師池田 栄子先生、井上 昌美先生(NPO法人グリーンカレッジ大阪)
場所堺市都市緑化センター、大仙公園内の日本庭園(堺市)

軒下の緑化、夏の風物詩の吊りシノブ(しのぶ玉)作りに挑戦した。先生の穏やかな話しかけで部屋は和み、丁寧な説明で制作の手は進み、一人ひとり満足度?%の吊りシノブを作ることが出来た。でも完成は今の見栄えではなく、数年後、銀色の根が伸び、美しく生長した吊りシノブです。枯らさないようにトキワシノブの特徴や育て方、世話する心を学んだ。

制作後、先生の案内で都市緑化センター内の四季の庭、里山の庭(ホタルの庭)、吉祥の庭、果樹園など植物テーマパークを歩き、スモークツリー、夏ツバキの花、ラクウショウの呼吸根や半夏生の色彩など各々の草木を観察することができた。また草木にまつわる話や関連する短歌を紹介され、特にユズリハの前では河井醉茗の詩「ゆずりは」の一部を読まれ、「人の世も同じね、次の世代に全てを譲るために私たちは・・」心に染み入る話でした。

午後も先生の案内で緑豊かな大仙公園内の日本庭園を鑑賞した。池を挟んでのオカメザサの築山が美しく、穏やかに流れる石津渓沿いを歩き、園内の至る処にアジサイの花を見ることができ、風情ある花菖蒲の池を渡り、伝統的技術を駆使した園内を一周し、癒しのひと時を過ごすことができました。

形、大きさは様々ですが、オリジナルの吊りシノブが出来ました!
緑化センターと日本庭園に咲く花々(ギンバイカ、菖蒲、アジサイ、半夏生
久しぶりの晴れの講座で足も弾みます。大仙公園の日本庭園に向かいます。

13期生6月6日講座報告

開催日2018年6月6日(水) 雨
講座名信太の森の自然観察
講師田丸 八郎先生(信太の森FANクラブ)
場所信太の森ふるさと館、信太の森(和泉市)

葛の葉伝説で知られている“信太の森ふるさと館”で「大阪の生物多様性のホット・スポット“信太山丘陵”はどんなところだろう?」をテーマに丘陵の成り立ち、歴史・文化、自然環境、保全運動やその活動について学びました。また四季折々の景色や動植物の姿をスライド写真で紹介され、50種超える絶滅危惧種が生息する信太山丘陵がどれだけ価値あり、未来の子どもたちにも見せたい場所であることを知りました。

午後は信太山丘陵へ。木々の間を通り、山道を下り、湧水湿地の惣ヶ池湿地が近づいてくると、住宅街の騒音は聞こえなくなり、耳にする自然の音が心地よくなりました。木道の杭に時の流れを感じましたが、惣ヶ池湿地はまさに
大阪のオアシスです。「どんな生き物だって頑張って生きているのですよ。」しかし、トキソウ、サギソウ、カスミサンショウウオの卵塊など希少動植物を採集する心無い行為があることを知らされ、切ない気持ちになりました。

草原地に向かう途中にニホンアカガエルに出会い、遠くでホオジロの鳴き声を聴きました。「生物多様な信太山丘陵の里山的自然環境を子どもたちに!」と草原地での田丸先生のメッセジーは心に響き、微力でも何等か力になり、数年後の里山自然公園開園を皆で喜びたいです。自然環境保全の大切さを学ぶことができた1日となりました。

鏡池に蓮の花が、でもここに有ってはならない植物です。
惣ケ池湿地の池には絶滅危惧種のカスミサンショウウオとかニホンアカガエルが住んでいます。
ヒメジョオンのお花畑で保全活動のお話を聞きます。

13期生5月30日講座報告

開催日2018年5月30日(水) 雨
講座名里山入門
講師後北 峰之先生(堺自然ふれあいの森 館長)
場所堺自然ふれあいの森(堺市)

後北館長の幼少の頃の話に笑顔で相槌を打ち、鎮守の森、集落、ため池、農地、草地という里山(田舎)の風景を思い浮かべた。しかし生活様式の変化や農地の基盤整備とともに里山風景は減少し、里山の価値が失われようとしている。里山文化の継承の場としての森づくりを進めている当館の取り組みに共感することが多くあった。

4班に分かれての「みんなのトンボ池」周辺の開発計画立案はどの班も説得力があり、活発なデスカッションができた。予算面をクリアすれば採用されそうな立案であった。

午後は木々に囲まれた尾根道を歩き、左右の自然の機能回復するゾーンと常緑化整備ゾーンを見比べ、「80年前の里山をめざす」当館の取り組みを見ることができた。歩く道々で林床の蘇り、小鳥やフクロウの巣箱、オオスズメバチの巣、樹液に群がる虫たち、イヌサンショウとナミアゲハの幼虫、シリブカガシの老木の恵み、枯れ木にキノコ、カヤネズミの住処、麦秋の麦畑、シュレーゲルアオガエルの鳴き声など里山が育んでいる命の営みを感じることが出来た。雑草地となっている田畑で足を止めて、しばらく沈黙。「人間の考えひとつで環境が変わる。」館長さんの言葉に深く頷きました。

“みんなのトンボ池” 周辺の開発計画案を班毎に発表します。
フクロウの巣箱が遠くに見えます。先月、巣立ちましたが、たくさんの人が写真撮影に訪れます。
雨の中に咲くささゆり。かたつむりとカエルの出現にホッとしました。

13期生5月23日講座報告

開催日2018年5月23日(水) 雨
講座名鳥類入門
講師仲 淳一先生、市川 勝三先生、山西 治朗先生(泉北野鳥の会)
場所新金岡公民館

「素敵な鳴き声だなあ、と散歩時、ふと!気づくことがありませんか?」と仲先生からの問いかけで始まった。身近な鳥を思い浮かべながら、今までの野鳥との出会いの話や鳥の特徴、歴史、分類などの基礎知識を学んだ。

その後、一人ひとり双眼鏡を手に、野鳥の会のスタッフの皆さんの手ほどきを受けながら、双眼鏡でピントを合わせる実技講習を受けた。「耳で探す、目で観る、気配を感じる」の探鳥の仕方、楽しみ方には野鳥や自然に迷惑をかけないフィールドマナー“やさしいきもち”が大切だということも学んだ。

午後からは理想的な都市公園の探鳥地“大泉緑地”での探鳥会でしたが、生憎の雨で中止となった。野鳥観察の動画・資料をもとに更に野鳥のことを知った。鳥のクイズをしながら、ハシブトガラスとハシボソガラス、ハクセキレイとセグロセキレイの見分け方、三鳴鳥の1羽オオルリやキビタキの特性など教えてもらった。

仲先生の撮影・編集のオーストラリアの野鳥、堺近辺の野鳥、淀川河川敷飛来のコミミズクの観察動画鑑賞後、大泉緑地で探鳥できる42種類の野鳥のレクチャーを受けた。今回は雨で探鳥会は出来ず、残念な思いですが、次回の探鳥を楽しみにしたいと思います。

双眼鏡の使い方、選び方を学びます。ピントを合わせるのは難しい。
午後も雨のため仲先生撮影の野鳥の動画鑑賞会。オーストラリアの野鳥は美しい。
晴れていたら探鳥できる野鳥の説明を聞きます。ウグイスとメジロを間違えないように、ミサゴは英語でオスプレイ。などなど。

13期生5月16日講座報告

開催日2018年5月16日(水) 晴れ
講座名哺乳類入門
講師早川 篤先生(大阪自然環境保全協会理事)
場所河内長野ラブリーホール、長野公園

午前の講座では、狂言・落語・万葉集・浮世絵・民話など日本文化に登場する動物を取り上げ、モモンガは子どもが怖がる動物 狐の鳴き声で労働時間が決まる。山くじらとはイノシシ・シカの肉などその内容は興味深く、当時の人々の生活と動物との繋がりの話に引き込まれた。哺乳類の約40%はネズミの仲間だが、家ネズミ(ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミ)は3種類で残りは野ネズミ。その野ネズミがいなくなれば生態系が崩れる。絶滅危惧種のトゲネズミ・ケネガネズミが琉球諸島に生存。

午後は河内長野公園で、盛り土や穴を見つけて動物の痕跡の着眼点を学んだ。盛り土は、人工的なものでしたが、穴はモグラの穴で、暗闇の中を動き回るモグラの姿を思い浮かべた。「バックは出来るのかな?」「尻尾は?」のつぶやきの声に、モグラのはく製を使って体の構造や特性を説明され、親近感を抱くようになった。イノシシとシカの脚や頭骨、ウサギの前脚と後脚、コウモリやノウサギの骨格標本などはく製を実際に手にすることで生態の違いがよりよく分かった。

先生の心地よいジョークに笑い声が絶えず、しかし野生の動物の接触の仕方や生態系の崩れを考える講座でした。

フィールドサインを探しに出発です。けものみちを発見。覗き込みます!
もぐらの穴、発見。立派な手と鼻としっぽを頼りに穴の中を前後に動き回ります。
雄鹿のりっぱな角といのししの頭骨です。

13期生5月9日講座報告

開催日2018年5月9日(水) 雨のち曇り
講座名植物入門(木本)
講師栗谷 至 先生(大阪自然環境保全協会理事)
場所堺市立栂文化会館、西原公園

座学では「広葉樹・針葉樹・落葉樹・常緑樹」「葉・幹・枝の構造や成長のメカニズム」「樹木の生存戦略と遷移」など栗谷先生のスローな駄洒落を交えた話を聴き、「樹木とは何?」について学んだ。競争優位に立つための生存戦略は時間的優位、空間的優位だけでなく、ブロック塀の隙間で生きる植物(ニッチ確保)も動物と共生している植物も生存戦略であり、脅威を感じる植物の逞しさに驚いた。

午後は西原公園でのフィールドワーク。落葉樹のケヤキと常緑樹のヤマモモの葉を観察。クスノキの枝をルーペで覗き込み、先生の指先に「これが芽鱗痕です。」ニセアカシアの葉を手にして、マメ科特徴の奇数羽状複葉を確認した。自然起伏の雑木林に入り、カシ・コナラ・クヌギの樹皮の違いを観、木肌に触れて、硬さや冷たさも感じ取った。「アラカシ・シラカシ・アカガシは葉の形や鋸歯の違いで見分けるけど、ムズカシ!」「えっ!」ノゲシの綿毛が舞い上がる先にウワミズザクラの花を見つけ、しばし眺めた。コブシのギザギザのない葉とサクラのギザギザの葉を見比べ、全縁と鋸歯を確認した。聞きなれない芽鱗痕 羽状複葉 鋸歯も実物を観察でき、樹木の観察の面白さを味わうことができた。

ニセアカシアの葉っぱを手に、一枚の葉っぱが進化して複数の小葉(奇数羽状複葉)に、何のため?議論しました。
桜の花を楽しんだ後にも、葉柄の付け根に甘―い 蜜線ができます。
さあ、これから森の中を探検します。どんなたくさんの木と出会うでしょう!

13期生4月25日講座報告

開催日2018年4月25日(水) 雨のち曇り
講座名植物入門(草本)
講師木村 進先生(大阪自然環境保全協会理事、たんぽぽ調査事務局)
場所堺市立栂文化会館

午前中はタンポポを中心にして、植物全体を見通す講座です。

木村先生から頂いた、「西日本のタンポポ」資料は長期間にわたるデータが蓄積され、その豊富さに驚くことばかりでした。タンポポには色んな種類があり、外来種セイヨウタンポポと在来種カンサイタンポポの特性や特徴を比較することで育つ環境の違いを知ることが出来ました。タンポポの花びらは何枚?(5枚)レタス ゴボウ ダイコン、ヒマワリのうち、タンポポに最も近縁の植物は?(レタス、)などタンポポの七不思議の話にも引き込まれていきました。

午後からは先生手作りの「野草ミニ図鑑」を手にして、雨上がりの西原公園へ。五感を使っての野草観察です。ハルガヤの葉を揉みながら匂うと「桜もちのような甘い香りする」、草花名の語源も面白く、白詰草(クローバー)は荷造り用に詰めた草、「ブタナ」も「ヘクソカズラ」も可憐な花なのに、洒落た名前に出来ないものか?スイバの葉をしがんだら「酸っぱいなあ」スイバの花穂をルーペで観察して雄株・雌株の同定もしました。

見慣れた野草を1つ1つ観察し、どの野草も生きる知恵を持ち、その知恵のメカニズムに驚くばかりでした。野草に対する視点や姿勢が変わっていきそうです。

木村先生のクイズ式の楽しいタンポポ講座です。
白詰草(シロツメ草)・シロバナタンポポ・牧牛の食欲そそるハルガヤ
雨上がりの新緑の中、カラスのエンドウか?スズメのエンドウか?熱心に聞き入ります。

13期生4月18日講座報告

開催日2018年4月18日(水) 曇り
講座名アウトドアでの安全
講師平木 祐治先生 (元日本赤十字社救急指導員)、他スタッフ(森山 一美さん 防災士)
場所和泉葛城山(大阪府、和歌山県の境)

野外活動での留意点やキズ・ケガの処方法を実技を交え教えていただきました。スズメバチに要注意で黒っぽい服装は避け、白っぽい服装を着用することや開放性の傷は新鮮な水で傷口を洗うことなどです。三角巾では、二つ折り・三つ折り・腕への巻き方や吊るし方・本結びを二人組になって実技練習をしました。

午後からは「そばにいるあなたしか救えない命がある」をテーマに、人形や簡易の器具で胸骨圧迫(心臓マッサージ)の仕方やAED使用方法を学び、胸骨圧迫では「強く、早く、絶え間なく」を念頭において、そのリズムを体験しました。息切れする場面もあり、「その人が動き出すまで」「救急隊員が来るまで」と、救える命は「時間との勝負」、緊張感が部屋に漂いました。

最後にシェイクアウト訓練①姿勢を低く②頭を守る③動かないを基本にして身を守るトレーニングをしました。避難場所では①食べる②寝る③出すの確保が大事で、③に関する簡易トイレの実物を紹介していただきました。「備えあれば患いなし」非常食・非常用グッズ・連絡方法・避難場所等を私たちも各自で再度確認する必要がありそうです。

手作りの三角巾で包帯を作ります。なかなか難しい。お化けではありません。頭に包帯を巻く練習です。
災害時に役立つ簡易式トイレです。
1分間に100回心臓マッサージ、救急車が来るまで交代で頑張ります。