14期生12月15日講座報告
コロナ禍、何回も延期中止になっていた念願の「粘菌の観察」講座が開講できました。粘菌とは?英語でSlime Mold(ネバネバした菌)の和訳でアメーバ細胞やその集合体が分泌していることから名付けられた。近年、DNAを調べる手法が進歩したことにより、粘菌は植物でも動物でも菌類でもない生き物!であり、単細胞のアメーバ細胞を有する「アメーバ動物」というグループに属することになった。世界では変形菌(真性粘菌)が1000種以上日本では約600種が確認されているらしい。子実体から風で飛ばされた10ミクロン(0.01ミリ)の胞子は成層圏まで上がることも確認されており、変形体は一時間に数ミリ~数センチも移動可能でき、バクテリアやキノコを餌とする事によって植物の分解を遅らせ森の生態系を維持する自然界での役割を果たしている。そして粘菌は「森の宝石、森の妖精、森の魔術師」などと呼ばれてますよと川上先生は可愛げに言われてました。彼の南方熊楠(ミナカタ クマグス)の研究や「粘菌が迷路の最短の道を選び移動する発見」でイグノーベル賞を受賞したことも面白い話題で、データでは色々な変形体の写真見せてもらい興味が湧いてきました。
午後はふれあいの森の中を観察と採集にスタート。今は見つかる数が少ない時期にあたるが気持ちは前向きにと森の中に入って行った。シイタケ栽培木に付いている個体を見つけた「ムラサキホコリ」と同定やったー!それから木をひっくり返しひっくり返して見つけたと判定はキノコです・・・残念!ひたすら朽ちた倒木を探し回るのはまるで宝探しのようです。見つかるのはほぼキノコ類でロクショウグレラキンとかヤマンバノカミノケなど変な名前のキノコでした。教室に戻って先生持参くださった個体を顕微鏡で観察し子実体の形態の不思議、美しさや動いているのに講座生も更に興味が湧きました。粘菌ロボットや粘菌コンピューターのへの開発が模索されようとしている。ぜひ期待したいと結びました。(hiro)
アメーバ状の粘菌
ひたすら倒木をひっくり返して観察です
面白い形やきれいな色の粘菌の仲間
よく見てくださいね。私はここにいますよ。
14期生11月24日講座報告
ふだん何気なく見ているシダ植物。まずシダ植物各部位の説明、生育時期、根茎の形などを教わる。聞きなれない難しい用語に戸惑いながらも先生が採集された数種類のシダをルーペで観察し始めると資料を確認しながら熱心に見入っていた。シダ植物は種子植物と同じように葉、茎、根があり葉の細胞には葉緑体があり光合成も行っている。種子植物と違う点は、葉の裏側に「胞子嚢」があり中に胞子が入っている。この胞子によって子孫を増やしている。葉身の形と分岐の仕方、胞子嚢のつき方など、学ぶことはいっぱい。ウラジロ、ベニシダ、ゼンマイ、ワラビなど聴き覚えのある名前がでると身近に感じることが出来た。
午後は、光明池緑地でのシダ植物の観察。細い道を分け入ってシダを見つけては、名前を忘れないように呪文のように繰り返しながら資料とにらめっこ。階段の隅にくっつくようにして育つマツバランは、茎だけで葉も根ももたない。ひっそりと立っているフユノハナワラビは、夏場休眠し秋にワラビのような花穂のような胞子葉が伸びることから名付けられたそうである。お正月飾りに使うウラジロの群生地など沢山の種類のシダ植物を観察。皆さんいったい何種類の名前を覚えたでしょうか。(S.N)
分かりやすいです!先生手づくり
見つけた!こんな所にマツバラン
ミズスギ:コケを大きくしたような姿
フユノハナワラビ:黄金色の胞子葉
14期生11月17日講座報告
綺麗に晴れてくれたお天気の中、午前は九度山まちなか語り部の会山根さんご夫妻に九度山街中を大石順教尼記念館~真田の抜け穴(真田古墳)~真田庵~道の駅「柿の里くどやま」~慈尊院~丹生官省符神社~勝利寺、紙遊苑までの案内を受けた。大石順教尼記念館ではビデオでの説明と順教尼さんの記念品の説明を受けました。真田庵では10年住んだ真田親子の生きざまと寺の由来を説明もらい、世界遺産の慈尊院は高野山参詣道町石道、奥之院までの180本の始点、丹生官省符神社も弘法大師が創建し本殿が世界遺産に登録されている。勝利寺横の紙遊苑の縁側をお借りして昼食。
午後から紙すき体験の開始です。弘法大師から伝えられたとの「高野紙」の説明、原料の楮(コウゾ)木を釜で蒸し、皮をはぎ、灰で煮る、叩いてほぐして繊維状にし、水に溶かして最後に粘液状のトロロアオイを入れて粘り気を付けての工程を経てやっと紙すきができる状態となる。我々はこの紙すきのみの体験だが、材料を準備する苦労がよく分かった。さあ、紙すき体験の開始です。奥から手前への引き方、枠を水平に、厚みを均一になど先生の付きっきりの指導でなんとかすけた後は天花粉を塗った長板に乗せ、しっかりタオルで拭いて乾燥させる迄たどり着けました。皆さん真剣に取り組んでましたネ。完成した紙は思い出の講座修了証書となることでしょう。帰路は名産の富有柿を買って一路九度山駅へ。(hiro)
この枠ですくいます、準備OK
水平に、均一に、真剣です。
ワイワイとやってる、この拭き取る作業が重要ですよ。
出来上がった作品です。3日ほど乾燥させます。
14期生11月10日講座報告
2年ぶりの奈良の巨樹観察講座で南部遊歩道・滝坂の道を予定していたが、荒れていて危険とのことで北部に変更した。当日朝まで雨が降っていて、心配しましたが幸い止んでくれました。春日大社本殿前に樹齢700~800年のナギの木に感嘆の声と一言主神社での一言御参りからスタートした。水谷神社横のイブキ(ビャクシン)の巨木に圧倒され、フジが巻き付いても頑張ってるケヤキを見ながら遊歩道に入っていった。ブツブツ木肌のカラスサンショの自分の身を守る術と触ったらとても痛い感触を実感し、えぐい意味から来た磨りつぶして魚釣りに使うエゴノキの丸い実、傷口を守るモミのヤニはモミの涙と言い、セメダインの匂いがしました。ここ春日山原始林は世界自然遺産ではなく、文化遺産に登録されているのは何故か?それはこの森は東大寺、興福寺、春日大社の修験の山であり、人の手が入っていた為、との事。(なる程・・)
この原始林を構成する木で目立つのはナギであり、鹿が食べないし、日陰でも成長可能だ、何よりもここでは神木とされているからだ。しばらく進むと倒木が目立ってきた。台風の風で倒れたモミはめずらしく樹胴が朽ちてない樹齢250年、ツクバネガシはカシノナガキクイムシの害を受けた倒木が多く見られた。巨樹を見つけて2年前に習った測り方を思い出し根元から1.3mの高さの幹回りを測定 3.38mのモミの木だった。それから樹齢1300年、幹周10mのスギのサンプル用紙での木の大きさを実感させてもらった。遅い昼食後は強風の中、若草山山頂から奈良盆地の雄大な景色に、いにしえの想いを馳せました。下りは春日山原始林を横から構成している樹木を観察、最後は。シデの羽形の種子と飛ばす季節を待っているお話で締め、1日甲斐野ブシに浸った日でした。(S.H)
木肌がブツブツ触ると痛いカラスサンショ
隣の木と重ならないように助け合ってるコジイ(ツブラジイ)
樹齢1300年 幹周10mのスギの大きさはすごいでしょ
樹に触れ、樹の気持ちが分かりましたか?
14期生10月27日講座報告
14期生は2年ぶりのキノコ観察講座です。午前の座学では先生から「前回説明したことを覚えていますか」との質問に皆さん顔を見合わせ苦笑い。前回の復習としてキノコとはどんなものか、分類や役割、生え方や調べ方から毒キノコの見分け方そして関西でよく見られるキノコを映像で説明してもらいました。先生はベニタケを研究されていますが、今年新しい種類を発見し「リュウコクヒメベニタケ」と命名して発表したそうです。
今日も新種を発見できるか期待を膨らませ光明池緑地へ。キノコの見つけ方を教えてもらいながら引っ付き虫もなんのその生えていそうなところに分け入り、木や枯れ木の株などに生えているヒイロタケ、スエヒロタケ、ハナビラニカワタケ、クジラタケ、マンネンタケや地面から生えているクロハツ、ヤグラダケ、ヒトヨタケの仲間などのキノコを見つけました。
昼食後は採集したキノコの名前や特徴などを詳しく説明を受け約30種を同定しました。キノコは種類が多く似ているのでよく調べてみないと分からない。現地での観察は、図鑑を見ながら色、形、カサ、その裏のヒダ、柄と下にあるツボの有無、そして匂い、味などにより判断しなければならないとのことです。赤いキノコを見つけた時、先生はカサやヒダ、柄、周辺の樹木の状況そして味見をして「辛い」ということでチシオハツと同定され、カキシメジも「苦い」と自ら味を確認されました。今回は専門家の指導の下での観察でしたが毒のあるものも沢山あり素人だけでは注意が必要です。
今日採集したキノコの中には先生が持ち帰って調べるものもあり、新種発見の可能性も楽しみです。しばらく晴天が続いていたため少ないのではと思っていましたが、講座生の中に「キノコ採り名人」も現れ、多くのキノコを見つけることができました。(T.K)
前回学んだこと覚えていますか。
このキノコはこれかな? 図鑑で調べます。
一つずつ名前や特徴を丁寧に説明してもらいました。
こんなところに大きなキノコ!
14期生10月20日講座報告
可愛いめでたいでんしゃに揺られて「加太駅」到着。城ケ崎海岸まで歩くこと30分。強風が吹き荒れ波も高い。東屋で講師より「全員見つけるまで頑張りましょう!」力強い言葉と補助してくださるスタッフの紹介のあと、ウミウシの見つけ方を教わる。潮がひいたあとの潮だまりや石の裏側にくっついているので、石をとにかくひっくり返すと見つかるそうである。磯観察で守ることは、動かした石は必ず元の位置に戻してあげること。強風の中、注意しながら海岸へ降り観察開始。石をひっくり返す作業をひたすら続けると「オカダウミウシ」「アカボシウミウシ」「クロシタナシウミウシ」「メリベウミウシ」「ユメウミウシ」「トトロウミウシ」全身がきれいな青に黄色の斑紋、それに赤い触角をもつ鮮やかな体色の「アオウミウシ」など13種採取できました。
ウミウシは、殻がなくなった巻貝の仲間。季節によって見つかるウミウシは変わるそうです。大阪の海には、分かっているだけで200種類以上のウミウシがいます。か弱い生きものだが生き延びるために、まずいものを食べて美味しくない体になって敵に食べられないようにすると聞き驚いた。ルーペで採取したウミウシを観察しおしゃれな姿を見てウミウシの可愛さに感嘆の声があちこちに。強風にも負けず童心に返り楽しい講座となりました。(S.N)
ピンク色のキュートな外装 めでたいでんしゃ
見て!見て!これウミウシかなぁ?
オレンジ色の細かい斑点があるアカボシウミウシ
蓑(みの)のように見える?イズミミノウミウシ
14期生10月13日講座報告
レトロな駅舎の「天見駅」に集合。なつかしい風景が広がる中、ボ谷林道へ向けて出発。林道の脇など日当たりの良い場所に自生するヒヨドリバナ、オミナエシに姿形は似ているが花の色は白く姿たくましいオトコエシ、穂に綿毛がないアブラススキ、草むらのようになって小さな集団を作るイヌタデ、カラスウリ、スズメウリ、イナカギクなど植物リストをチェックしながら次々と出会う植物に興味津々。ツリフネソウの群生地では、実を押さえると種子が飛び散る「種子飛ばし」が面白く何度も繰り返し笑い声があちこちに響きました。
八幡神社での昼食後、「里山の野草、雑草」の講義。里地・里山とは①人の手が入った自然②自然を利用した人間の生活がある場所のこと。また雑草の定義、生態系に被害を及ぼす特定外来生物(植物)についてなど身近な問題として考えさせられました。
午後からは、流谷へ向かって散策開始。よく似た草花のノコンギク、ヨメナの見分け方は、葉の形状、冠毛などを見て確認するがなかなか難しい。アキノタムラソウ、クワクサ、黄色で愛らしい花のノアズキ、つりがね型で花冠の先が反り返るツリガネニンジンは、果実が5角形と特徴がある。淡い紅紫色のキツネノマゴ、淡黄色のアキノノゲシなど沢山の植物をゆっくり丁寧に教わり天候にも恵まれ充実した講座終了となりました。(S.N)
日当たりの良い草地にひっそりイナカギク
金平糖に似て美しいミゾソバ
緑に囲まれて講義中
ツルニンジン花言葉「感謝・誠実」
14期生10月6日講座報告
長かった緊急事態宣言が解除され初めての講座です。皆さん久しぶりに顔を合わせて自然と笑顔に。今日のフィールドの「ほしだ園地」は大阪府民の森と呼ばれる公園の一つで自然との共生をテーマに自然を生かしたハイキングなどの出来る公園です。準備運動で体をほぐし3班に分かれて七夕伝説の天野川に沿って「星のブランコ」を目指し出発。
秋は花が終わったあと植物が繁殖のため種を飛ばしたり引っ付いて移動したりする季節です。オナモミ、イノコヅチ、チカラシバやミズヒキなどが衣服にひっつき、中でもアレチヌスビトハギは強力でした。また、アレチヌスビトハギは花に軽く触れるとパッと開きます、虫が止まることによって花が開き受粉しやすくなるそうで皆さんこの原理に感心して試す人続出です。ハイキングコースを歩きながら桐の実を観察、中から2㎜×4㎜ぐらいの白い半透明の小さい種子がいっぱい出てきました。 また、山ブドウ、コブシ、タラ、そして葉っぱが波打ち、風でそよぐところから命名されたというソヨゴなど植物の特徴や由来、そしてヌルデ、ウルシ、ハゼなどかぶれを起こす注意が必要な植物を説明してもらい自然を楽しみながら休憩所のピトンの小屋に到着しました。
昼食のあとは都市公園と自然公園の違いや大阪府民の森について野外講座です。自然公園は都市の公共施設である都市公園と違い、自然の景勝地の保護や生態系の保護、生物多様性の確保を目的とするなど時代の流れに伴い変遷してきた。現在、府民の森として9園地あるが自然保護だけでなく植栽もして環境学習の場として利用されているということを学びました。
ピトン小屋から約30分で目的地の「星のブランコ」に到着。「星のブランコ」とは全長280m高さ50mの国内最大級の木床版人道吊り橋です。皆さんその高さに驚き、最初はこわごわ渡りはじめましたが真ん中ではスリルを味わいながら眼下に広がる緑の景色を見て空中散歩を楽しんでいました。4人の先生による丁寧な説明やガイドで楽しく無事終えることが出来ました。(T.K)
あなたはわかりますか?
クイズを交えて自然公園についての勉強中
「星のブランコ」怖がらずに渡れますか
ここを押すと花びらが開きます
(アレチヌスビトハギ)