大阪シニア自然カレッジ

14期生講座報告

14期生11月6日講座報告

開催日2019年11月6日(水) 快晴
講座名ブナ林の保全
講師土井 雄一先生、ブナ愛樹クラブスタッフ5名
場所和泉葛城山

標高858mの和泉葛城山は、山頂北側にブナの天然林が広がっている。本州の南限に近く、比較的標高の低い所で天然のまま残っている貴重な植物相として国の天然記念物に指定されている。ブナは、白っぽい樹皮が美しいことからシロブナとも呼ばれる。幹がやや黒っぽいイヌブナは、葉の裏面に白い毛があり別名をクロブナという。ブナの実はソバの実と似ていて三稜形(角が三つある形)で、5年から7年に1回の割合で大量の実を落とす。そのあとは極端に不作の年が続く。ブナの実の豊凶がそこで暮らす動物たちの生息数にも影響を及ぼしている。見事に紅葉した木々の中を丁寧な説明を聞きながら森林浴。新芽(若葉)を食べることができるリョウブ、サリチル酸メチルを多く含み枝を落とすと独特のにおいがするミズメなど観察。

昼食後、ヘルメット、軍手、手鋸、準備万端で2班に分かれて間伐体験。安全作業第一で足場と周囲の確認、木の倒す方向をしっかり確認する等の指導を受ける。女性が多く心配されたが、やる気満々で元気よく作業をこなし無事間伐成功。間伐した檜を輪切りにしお風呂に入れると檜のいい香りがするとお土産にいただいた。最後にくじ引きで手作りの「杉玉」を引き当てた方も大喜びだった。これからの季節ブナ林は、黄葉から黄金色に染まり、紅葉したヤマモミジ等と共に美しい風景をつくりだすそうです。次世代の方も見ることができますようにと願いながら講座終了となりました。

14期生10月30日講座報告

開催日2019年10月30日(水)
講座名ブナ林の保全
講師下野 義人先生
場所ノバテイホール、烏帽子形公園

「きのこ」とはどんな生き物?最新の分類体系では菌類(真菌類)は動物に近いと聞いてびっくり。きのこは落ち葉や木材を分解し再利用させる役割がある。また、植物や動物に寄生するものや植物と共生して生活し、菌根を介して互いに利益を得ているなど、きのことはどういうものか、きのこの役割、調べ方そして関西でよく見られるきのこの紹介などをしてもらいました。

毒キノコの見分け方では、柄が縦に裂けるきのこは食用。鮮やかな色のきのこは毒で地味な色は安全。虫が食べるものは食べられるなど言い伝えられていることはすべて誤りで、一つひとつ特徴を覚えて見分ける以外に方法はないとのことです。皆さん気を付けましょう!!

午後は烏帽子形公園できのこ採取・観察です。天候にも恵まれ、菌輪という木の周りを円状にきのこが生える様子も見ることができ、沢山のきのこを採取しました。色や模様、形、大きさなどで分類していき、分からないものは切って中の色を見たり、匂いや時には味を確認したりして、ムラサキシメジ、カバイロツルタケ、ノウタケ、オオミノコフキタケ、チシオハツ、ホコリタケ、クジラタケ、ヒラタケ、ハナビラニカワタケ、ニガクリタケ、コトヒラシロテングタケ等々50種余りを同定していただきました。

自分が採ったきのこは何という名前か皆さん興味があるようで先生の解説を真剣に聞いていました。また、先生の指導により受講生も匂いを嗅いだり、恐る恐る味を確かめるなど貴重な体験の一日となりました。

藪の中もなんのその。山に分け入りキノコ探し
木の周りに点々と生えるきのこ、菌輪といいます
沢山のきのこ
赤白茶色など大小合わせて50種類

14期生10月23日講座報告

開催日2019年10月23日(水) 晴れ
講座名信太の森の自然観察
講師田丸 八郎先生
場所信太の森ふるさと館、信太の森

講師の田丸先生は、信太山丘陵の歴史、弥生時代、古墳時代そして枕草子、源氏物語にも出てくる芸術、文学との関わり明治以降から現代までの自然保護運動の歴史、そして現代の問題とやむにやまれず作った「信太の森FANクラブ」と自然公園化への取り組みをとつとつとお話しいただきました。

大阪府内でも絶滅危惧植物58種も存在していて、上位5番目に入る重要な自然とのこと。2010年生まれのフミちゃんと名付けられたメスのコウノトリも出現したと聞いて「へぇー」その後は信太山丘陵の自然と生物の紹介を春夏秋冬べつの解説で盛りだくさんして頂きました。

さて午後は自然観察にスタートした。ウグイスの地鳴きを聞き、アケビの実、グウチョキパーの木=カクレミノ、サワヒヨドリ、シロバナワレモコウ、ミゾソバ、そして先生お気に入りのシソクサを観察した。そして最後に真打ちの登場です、なんとカワセミが出現し、魚とりのパフォーマンスまで…ちょっとしんどかったけど楽しい1日でした。

これが信太山丘陵トラスト運動の象徴
シリブカガシ
小さな小さなシソクサの花
ナイス!パフォーマンス。カワセミの登場です。

14期生10月16日講座報告

開催日2019年10月16日(水) 快晴
講座名奈良公園の巨樹観察①
講師甲斐野 幸一先生、安井 英子さん
場所奈良公園

秋晴れできれいな青空のもと元気よく講座スタート。まず、名簿を見ながら講師が謎のグループ分け。関連する共通点を探してみると、「川」「木」等の文字が苗字に含まれている。これは日本人が自然との関わりが深い事を示しているとのこと。一同納得して観察開始。スダジイ・イチョウ・クロマツ・ソメイヨシノ・イチイガシ・アキニレなどの巨樹を観察。葉脈の模様の違い、葉の色や大きさ形状、名前の由来などを興味深く楽しい解説で教わる。巨木とは地上約1.3mで幹周りが3m以上の樹木を示します。

イチョウ

起源は恐竜のいた時代よりずっと前で「生きた化石」

ミクロジ

実は数珠になり、皮は石鹸に利用された

クスノキ

葉をちぎると、ツンとする樟脳の香りがする

鹿が好まないナンキンハゼは、赤く紅葉しきれいで人気があるが、奈良公園の保全、整備のため原則駆除となっている。鹿の草食のおかげで約2億円の芝刈りが経費削減になっていると聞き驚く。最後に中国で発見され、70年前に全国各地に植えられたメタセコイアを観察して講座終了。身近な奈良公園で多数の巨木達の姿を観て驚き、感動した一日となりました。

ムクロジ
幹の中心から竹が侵入している!
クスノキ
幹に巨大な洞があり年々弱ってきている・・・
樹齢120年。堂々たるクスノキ3兄弟

14期生10月9日講座報告

開催日2019年10月9日(水) 曇り
講座名自然観察の視点
講師菅井 啓之先生
場所堺市立栂文化会館、西原公園

今日のテーマは「自然観察の視点」4月以降自然観察を行ってきたがちょっと深い講義となった。

自然観察は視点の置き所が大切で見方が定まらないとどんな活動をしてもわからない。ラベルを見ないで中身を見ることが必要であるとのこと。例えばスズメは名前を知っているが生活方法や生態のすべてを知っているわけではない。名前は人間が後から付けた記号であって、名前を知っているだけで分かった気になっている。また、葉っぱの色が変わる原理は科学的に解説できてもなぜ変わるのか分からない。見て知って覚えるそれは自然が分かったことにならない。知識だけでなくその奥にある物語を読み自然の本質に目を向けるというやや哲学的な話に戸惑いながらも目から鱗の話に引き込まれていきました。

午後からは、西原公園での観察の実践です。3本のクスノキの下で、これらの木はそれぞれ葉が重ならないように枝を伸ばしている。また、幹に生えているコケで雨の流れるところがわかり、枝を見ればその木の成長の過程がわかる、じっくり見れば一本の木の中に環境があるなど、一つひとつ丁寧に公園内の植物の普段気が付かないところを説明してもらいながら観察して回りました。最後に自然観察ということは見て知るという考え方ではなく、直観を働かせ洞察して読むこと学ぶことであると教えていただき、これからの自然観察の視点をそれぞれが考えながら講座を終えました。

他の木と重ならないように本来の樹形ではなく、環境に応じて斜めに伸びるケヤキ
ヌスビトハギの花は、蜂が止まれば雄しべ雌しべが出てくる。まるでバネ仕掛けのよう!
にぎりこぶし状の、でこぼこの形からその名がついたコブシの果実

14期生10月2日講座報告

開催日2019年10月2日(水) 曇り
講座名哺乳類入門
講師赤木 智香子先生
場所ノバティ長野、長野公園

後期のスタートの講座は当カレッジ初めての講座を受け持って頂く、獣医師の赤木智香子先生です。

まず生物の多様性とは?から始まりました。生物の多様性は「生き物のつながりの豊かさ」互いに助け合い、支えあって、長い年月をかけて、その地域に特有の「つながり」ができている。そして我々もその恩恵を受けていること。そして「人の手が入らなくなる」とセフティーネットにマイナスの影響を与えていると言われている。しかし、明治時代よりも森は豊かになり、動物の種類によっては数も増えて生息域も拡大している(=森林飽和)とか。

しかし、日本での絶滅危惧種は12種、レッドリストは33種もあるとの事。では大阪の哺乳類は何種類いるか?シカ、イノシシタヌキ位は分かるが、答えは約40種。夜行性が多いので、日中はほぼお目にかかれない、そこで動物の痕跡=フィールドサインを探すのだが、フィールドマナー「動物の邪魔をしない」「自然環境を荒らさない」が大原則で、我々は【のぞかせてもらう】気持ちを忘れずに!と教えて頂きました。

午後は長野公園へ向かい、フィールドサインを探しますが中々難しい、それでも2~3種のイタチ類のフンとモグラの痕跡を見つけました。その後は先生ご持参の標本のシカの食べ後草、オオタカが食べたキジバトの羽、メジロの巣やメジロの舌など興味深く観察できて、これから生き物を見る目が違ってくると感じられた、楽しい一日でした。

これはだれの足でしょう?モグラの手でした。
ただブラブラ歩いてるのではありません。フィールドサインを探してるんですヨ。
ホオジロのオスの標本です

14期生9月25日講座報告

開催日2019年9月25日(水) 快晴
講座名農業体験①
講師四日 克彦先生、スタッフの方々
場所ゴールドファーム(北阪農園)

初めての農業体験は朝から快晴。北阪農園へ到着後、本日の作業内容の説明を受け作業開始。

まず待望のさつま芋の収穫。つるを刈取りスコップで畝端から掘り起こすが、傷つけないように作業するのはなかなか難しい。見事なさつま芋に歓声もあがり楽しく収穫を経験できた。次に金ゴマの脱穀作業と堆肥の運搬・散布作業にとりかかる。ゴマの脱穀作業の手順は、①ゴマ乾燥束をたたいてゴマを落とす②落としたゴマを集める③ふるいにかけてゴミを取る④ゴマ枯れ茎を指定場所に運搬。暑いハウスでの作業で悪戦苦闘。ゴマ乾燥束のすごい量に驚きながらも必死で作業を続ける。「金煎りゴマ」と製品になるまで、まだまだ工程があるとのこと。手間暇かけて作られていると実感した。堆肥の運搬・散布作業は一輪車に堆肥を積み畑に散布していく。慣れない一輪車を使いこなしチームワークよく作業は進んだ。最後にくらま大根の間引きをし作業終了。

ゴールドファームの方から「皆様のおかげでゴマの脱穀作業も完了し大変助かりました」と嬉しいお礼の言葉をいただきました。暑い中での農作業は疲れましたが貴重な経験になりました。

美味しそうなさつま芋。沢山収穫しました
ゴマの脱穀作業中。黙々とたたきます
電動唐箕。ゴミの除去と時間短縮に大活躍!

14期生9月18日講座報告

開催日2019年9月18日(水) 曇り時々晴れ
講座名金剛山の植物②
講師神山 善寛先生
場所金剛山、黒栂谷林道

朝から曇り空、天気を気にしながらの講座となった。

秋の金剛山はキク科の植物や可憐な山野草が多くみられる。その中でも今日のメインは「アケボノソウ」。山野の水辺や湿地に生える2年草です。名前の由来は花びらにある斑点を夜明けの星に見立てたというロマンチックなものです。先生の情報では先週は今日予定しているコースの最終地点に一輪咲いていたとのこと。前回はロゼット型の葉っぱを見ただけなので受講生の皆さんも期待が膨らみます。

黒栂谷林道の道端に咲く花の特徴や葉っぱの形などを丁寧に説明してもらいながら歩いて行くと、紅紫色のツリフネソウ、花の上と下で紅白に見えるミズヒキ、イタドリの雄花・雌花、サルビアに似たアキギリの花、茎から直接花が咲きブラシのようになるイヌショウマなど先生作成の植物リストに次々とチェックが入り50種以上の野草が観察できました。

昼前に天候が怪しくなってきたのでお昼ご飯を後回しにして急いで山道に、坂を登るとそこには2株のアケボノソウが可憐に咲いていました。皆さん想像以上の光景に感激し、綺麗な花を見て疲れが癒された1日でした。

先生の説明も熱心に聞いています。
ヤマホトトギス(ユリ科)
花被片の上半部は反り返るなど複雑な構造
やっと出会えたアケボノソウ

14期生9月11日講座報告

開催日2019年9月11日(水) 晴れ
講師佃 十純先生、大林さん
場所大泉緑地公園、加呂登池

朝から猛烈な日差しの中、大泉緑地に着くまでに一汗かき、涼しい会場で座学の始まりです。

大泉緑地、加呂登池の歴史と繁茂する水生植物、外来生物との闘いと池の干し上(水抜き)対策を聞き、日本列島成立時からの日本淡水魚のお話しに入っていきました。そこで、増えて問題になっているカダヤシ(蚊絶やし=卵胎生)とメダカ(卵生)の違いと見分け方を教わる。

ザリガニは何故、稲の根元を切るか?切って上を広げて、エサを取りやすくすると大きく育つという、研究成果があるとのこと。さて次は、カタクチイワシの解剖です、皆さん悪戦苦闘の末、なんとか、目、脳、耳石、神経など見つけられました?

食事の後、午後は加呂登池での実技と観察です。講座生のほとんどが初めて胴長ぐつを履いてのモンドリ網での仕掛け、手網での魚とりに先生からの叱咤激励の声が上がっていました。皆さん童心に帰るとはこの事とばかり、ワイワイガヤガヤとなってお魚との戦いです。網に入った生き物を取り出すのにまたひと苦労でしたね。成果同定では、タライ一杯のアメリカザリガニ、カダヤシとタモロコ、ドジョウ、ヨシノボリ、モツゴ、ミナミヌマエビ、スジエビ、ヌマエビ、ウシガエルのオタマジャクシ等残念ながらメダカは見つからずでした。(これは深刻ですね)

酷暑の中、気持ち良い汗をかいた1日でした。先生オススメの川ガキ、池ガキになれましたでしょうか?

カタクチイワシの解剖図(その後はお口の中へ)
さあ、網を持って採集のスタートです。さて、成果は?
胴長を始めてはいて、お疲れ様でした。

14期生9月4日講座報告

開催日2019年9月4日(水) 晴れ一時雨
講座名天体入門
講師中島 健次先生
場所ソフィア堺

夏休みが終わり初めての講座は、朝から真夏のような汗ばむ暑さ。屋内の講座で良かったと安堵し涼しい部屋でのスタートとなった。

皆既月食は、太陽からの光によって出来た地球の影の中を月が通過する時に見られる現象。つまり、太陽・地球・月が一直線に並んだ時に見られるものなので、常に月は満月ということになる。次回の皆既月食は2021年5月26日大阪では午後8時過ぎに観察できるとの事、みなさんお忘れなく。皆既月食になると、月は地球の本影の中に入ってしまうが、完全に暗くなってしまうわけではなく、わずかに赤味を帯びて見える。これは、地球の大気層を通過した赤い光が月面をわずかに照らすため起こる現象だそうだ。今年は9月13日が中秋の名月、翌日の9月14日が満月(名月必ずしも満月ならず)じっくりと月を眺めるいい機会ですので是非。

午後からは「アースシンフォニー」と題したヒーリング番組のプラネタリウム鑑賞。美しく迫力のある映像。地球を包む大気が起こす美しい現象を体感でき、壮大で心地よい音楽とナレーションに癒され講座終了となった。

久々の座学。皆さん熱心に聞き入っています
講師ご自慢の天体望遠鏡。わりとお手頃価格とか?
プラネタリウム投影機。さぁ!広大な宇宙へ