大阪シニア自然カレッジ

14期生講座報告

14期生7月31日講座報告

開催日2019年7月31日(水) 晴れ
講座名ビオトープ入門
講師木村 進先生
場所大阪府立泉北高校

今日は、何十年ぶりで高校の雰囲気を楽しみながらの講座。

ビオトープとは、自然の「保全・復元・創造」の3つを含み、地域に元からいる生き物を守り育て、自然環境を復元しそこに住む生き物が子孫を増やすことが出来る状態にする生物群集の生息空間のことです。

泉北高校では2005年に泉北丘陵における復元型ビオトープとして造成された。自然生態系の観察モデルとしてサイエンス部によりプランクトンや動物と水草の調査、環境条件の測定などを行い、維持管理を行っている。水面の光の量が動植物プランクトンの増減につながり、水草の被度が生態系に大きな影響を与えることなどを学び、ビオトープについて知らなかった人も、その必要性と意義、管理の重要性を理解できました。

午後からは猛暑の中、ビオトープ池に生息するメダカやヨシノボリ、ザリガニやヒメガマ、ヨシ、オオミクリなどの動植物の観察と採取。近年アメリカザリガニが大量に繁殖し、生態系にも影響が見られるとのこと。やはり取れるのはザリガニが多かった。

その後、理科実験室に移動し、顕微鏡を使ってミジンコ、ボルボックス、ミドリムシ(ユーグレナ)などを観察。先生の説明を待ちきれなく夢中になって顕微鏡を覗く人が続出、学生気分一杯の講座となりました。

ビオトープ池での生物採取 何が取れるかな?
理科実験室の顕微鏡で見えるのは綺麗な微生物に感動!
覗いてみるとミジンコ

14期生7月17日講座報告

開催日2019年7月17日(水) 晴れ
講座名河口・干潟の生物
講師山田 浩二先生
場所近木川、近木川河口、貝塚自然遊学館

前日までの予報に反し梅雨の中休みの晴れになり、二色浜駅からセミの声に送られて一路近木川へ。

先生のお話では昨年は前年の大雨の影響でカニが全く居なかったとの事、さて今年は?到着後早速カニ吊りが始まった。エサはチクワ、ソーセージ、スルメで、アシの根本の巣穴に近づけ、誘うのですが、これが中々難しい途中落下やチクワを食い逃げするヤカラもおり講座生も四苦八苦。小一時間で約20匹と数は少なかったがクロベンケイガニ、ハマガニのオス、メスの違いや5年位生きることなど特徴を説明してもらった。普段ヨシ原にいないケフサイソガニも1個体混じっていた。

午後は更に河口に移動をして干潟の生物の採集。講座生も全員がヒザまでまくしあげて海汽水につかりながら岩の下をさぐる人、潮だまりで魚を追う人、貝やヤドカリを捕まえてる人、楽しい時間でした。採集後は同定と観察。ウナギの子に似たミミズハゼ、ヒメハゼ、コメツキガニ、縦にも歩けるマメコブシガニ、近年増えているウミニナ、ムラサキイガイ、スジエビモドキや珍しいヒモイカリナマコも採集できた。大阪湾の生物も環境に影響うけ、これからどうなって行くのか?のお話を聴き。

その後貝塚自然遊学館へ移動して本日の講座は終了した。暑い中おつかれさまでした。

14期生7月10日講座報告

開催日2019年7月10日(水) 晴れ時々曇り
講座名両生類と爬虫類
講師木下 裕美子先生
場所堺自然ふれあいの森

ヤモリ(家守)は「爬虫類」でヘビやトカゲの仲間、イモリ(井守)は「両生類」でカエルなどの仲間という話から講座スタート。

両生類は、体外受精で卵は殻がなく水辺で産卵、体表は柔らかく鱗がなく湿っている。幼体はエラ呼吸、生体は肺呼吸で水と陸の両方がないと生息できない。爬虫類は、体内受精で卵は殻があり陸地で産卵、体表は固い鱗で覆われ乾燥に耐えられる。最初から肺呼吸で水辺でなくても生息できる。カメやワニなどは周りの温度で雌雄が決まる(温度依存性決定)、おたまじゃくしは先に後足が出て、次に右前足が皮膚を突き破って出る。その後エラ穴から左前足が出てくるとのこと。身ぶり交えての先生の説明に一同驚きの声をあげる。また「カエルの苦労ゲーム」では、生態系のバランスを保つことの難しさ、自然環境を守る大切さなど身体を動かして楽しく学ぶことができた。

午後は、フィールド観察。蒸し暑い中、網を振りながら水田の周りなど獲物を探す。ヌマガエル、カナヘビなど少し捕獲。場所を変更するもなかなか獲物見つからず・・・残念!獲物は少なかったが、網を持ち緑あふれる森を散策し童心に返った一日となりました。

生き残るために必死にならないと!でもみんな笑顔
どこに隠れているの?出てこーい!」
カナヘビ君、噛んだらダメでしょ。仲良くしてね

14期生7月3日講座報告

開催日2019年7月3日(水) 曇り時々小雨
講座名磯の生物観察
講師睦谷 一馬先生、山田 浩二先生
場所水産技術センター(大阪府立環境農林水産総合研究所)、豊国崎

午前中は睦谷先生による水産技術センターの業務紹介や施設の見学です。

センターでは「海を見守る」「浜辺の再生」「魚を調べる」「魚を増やす」の4つの仕事を中心に大阪湾の豊かな環境を守り育んでいます。栽培漁業センターの水槽では、沢山のクロダイ、トラフグ、ヒラメの稚魚が泳いでいました。トラフグは前の魚の尾びれを噛むため1年に何回も歯を切るそうです。また、高級魚のキジハタ(あこう)の稚魚はすべて雌ですが、体長40㎝位になると雄になると聞いて一同びっくり。タッチプールではヒトデやナマコ、カレイなどを恐る恐るさわって生態を確認しました。

午後は雨を心配しながら磯の生物観察です。採取したものを班別に集めることになり、皆さんがぜん対抗心が芽生えて、石の下や海の中まで必死になって探していました。ウバウオやドロメなど魚を捕るのが上手な人、オオヘビガイやカイメンなどレアものを探した人、タコを器用に捕る人など意外な特技を駆使して、カニ、ムラサキウニ、バフンウニ、ヤドカリ、ヒザラガイ、ババノセ マダコ、ヒトデ、フナムシ、海藻類など約30種類の生物を採取しました。海岸で見られる生物は7つの動物門に分類されるということで、それに基づいて山田先生に同定・解説してもらいました。最後に採取した生物はすべて海に返し、天気に感謝して講座を終えました。

ヒトデの裏はどうなってるの?大胆につかめるようになりました
岩の間に何かいるかな。水の中でもヘッチャラ
ヒザラガイ(通称ジジノセ)と手前はババノセ

14期生6月26日講座報告

開催日2019年6月26日(水) 曇り
講座名緑化入門
講師池田 栄子先生、井上 昌美先生
場所堺市都市緑化センター、大仙公園日本庭園

今日の講義はまず、吊り忍(シノブ)作りです。

しのぶとは・・そして作品例、作り方の説明があり、材料のトキワシノブ、水苔、木炭、針金、糸、麻ひもの各自のチェックで作業が始まりました。ほぼ全員が初めての経験なので「これはどうするの?」「こんなんでええの?」とか慣れない手つきで、ニギヤカ、ニギヤカ。皆それぞれ形に個性があったが何とか完成しました。家でも作るからともう一つ持って帰るひとも居ました。その後、池田先生の座学です。先生の植物に対する気持ちが出て、植物に接すること、育てることによって、私達は随分癒されてる事を分かった。

午後はセンター内の木々や花をエピソードを交えながらのお話、時季外れに一凛咲いていたシロヤマブキは「くるい咲き」ではなく「かえり咲き」との名言をいただきました。その後の日本庭園内の散策では、トクサ、オカメザサ、クチナシ、ザクロ、ハゼノキなどたくさんの植物がみられたが、時間が追ってきてじっくりと観察できなかったことはチョット残念でしたが植物や自然に対する優しい気持ちになり、愛情を感じられた一日となりました。

上手くできたかな?ワイワイ、ガヤガヤ。これがthe吊りしのぶだ!
愛情で接してやれば、植物は答えてくれるよ。
これは沙羅双樹ではありません。ナツツバキです。

14期生6月19日講座報告

開催日2019年6月19日(水) 晴れ
講座名昆虫入門
講師山本 捺由他先生
場所堺自然ふれあいの森

昆虫とは、長い歴史をもち生物の中で最も種類が多く100万種以上生息する。6本脚の生き物で、体のつくりは頭部、胸部、腹部からなる。

先生は『ハンミョウ』を専門に研究されている。ハンミョウは路上で人の歩く先へ先へと軽快に飛ぶので「ミチオシエ」の俗称がある。全身が赤、青、緑などに輝き全体のトーンが金属光沢を帯びきわめて美しい体調2cm程度の小型の甲虫である。

里山の路上にフワッと現れた瞬間、宝石を見つけた気分になるとか?昆虫の今の状況は、森林や湿地の絶滅、人間活動や開発により日本固有種など多くの昆虫が絶滅の危機にある。私たち一人ひとりが少し意識を変えれば生態系を守ることに繋がるのではと考えさせられた。

午後から昆虫採集に挑戦!童心に返り時間を忘れて昆虫を追いかける。トンボ、蝶、バッタなど沢山の昆虫を採集し、図鑑片手に熱心に同定作業を行うが、決め手に欠けなかなか難しい!先生に時間ギリギリまで同定していただき一同納得。笑顔いっぱいの楽しい講座終了となりました。

準備万端!いざ昆虫採集に挑戦
見つかったかな?ひたすらウロウロ。昆虫探します
図鑑とにらめっこみなさん真剣です

14期生6月12日講座報告

開催日2019年6月12日(水) 晴れ時々曇り
講座名金剛山の植物①
講師神山 善寛先生
場所金剛山、黒栂谷林道

14期生初めての山歩きは黒栂谷林道の植物観察、天気も良く絶好の観察日和となった。先生から金剛山の樹木の分布や観察の注意点などの話の後、歩き始めると道端に咲いているハルジオンを見て「ヒメジョオンとの違いは花の色や葉の形、茎の構造で見分けることができる」との説明や「植物と昆虫はお互いに進化しあっていて、花の大きさ、色、模様、形などで特定のものが蜜を取れるようにして受粉するなど共進化している」といった話など、花や葉っぱについて一つひとつ例を挙げた丁寧な説明と受講生からの質問に当初は100m進むのに30分かかる程でした。

谷筋のさわやかな風とオオルリやソウシチョウ(相思鳥)の声に癒されつつ進んで行くと、葉っぱの真ん中に花が咲くハナイカダ、葉に光沢があり2枚ずつ左右交互に互生し特有の臭気があるコクサギ、腐生植物のギンリョウソウ、ホップのような実のなるクマシデのほかナルコユリ、マタタビ、ウリノキ、サルトリイバラなど特徴のある植物が次々と観察できました。マムシ草と呼ばれるものはテンナンショウ(天南星)の一種であり、恥ずかしがり屋で道と反対の方を向いているなど「神山ワールド」にどっぷり浸かる一日となりました。最後はナガバモミジイチゴ(木イチゴ)に乙女?が群がって、甘酸っぱい味を楽しみ帰路に就きました。

花弁が巻き上がり、風鈴のようなウリノキの花
ひっそりと咲く銀竜草(ギンリョウソウ)
木イチゴの黄色い実は甘酸っぱくておいしい!

14期生6月5日講座報告

開催日2019年6月5日(水) 晴れ
講座名浜辺の植物観察
講師木村 進先生
場所せんなん里海公園

今日はタンポポ先生の二回目の講座である。

前日までの雨も上がり、曇り空で淡輪駅を出発したがすぐに好天気となった。海岸に行く道すがら、テイカカズラ、カクレミノを観察し3~4m高のダンチクの林ではクラリネット等の木管楽器のリードの材料となり、日本古楽器のヒチリキはヨシ(アシ)のリードである事など興味深かった。ウバメガシ、シャリンバイ等で形成されている海岸沿いの森で金剛山に多くある珍しいクマノミズキに出会えてお昼となった。

午後は温度が上昇し、真夏の暑さになっての海岸や砂浜での観察会となったが、逆にこの過酷な土地でも生き残れる強い生命力を持つコウボウムギ、ハマボウフウ、ハマサジ、ホソバハマアカザ、ハマエンドウ、ハマセンブリ、ハマゴウ等の多くの植物がいることを実感することが出来、大阪では東大阪市とここだけしかない、珍しいヒトモトススキ(一本すすき)をみて、最後はオカヒジキを少しだけ、お土産にいただいて講座は終了となりました。

暑くて、お疲れ様の一日でしたが、木村先生の質問にも的確にユーモアたっぷりで即答して頂ける姿勢に講座生も感心と楽しい一日でした。

ダンチク
これが楽器のリードの材料になるダンチク林です
ネナシカズラ
珍しいネナシカズラでハマゴウに巻き付いているひものような植物
海岸の植物
アオサ、ホンダワラ、アマモ。皆んな興味津々です

14期生5月29日講座報告

開催日2019年5月29日(水) 晴れ
講座名里山入門
講師北尾 祐介先生
場所堺自然ふれあいの森

前日の雨もあがり心地良い天気。里山の暮らしは自然との関わり方。生活のために自然に働きかけ、日々の糧を得てバランスが釣り合う。里山の特徴として理にかなった土地利用、資源を循環し余すところなく使う等の工夫がある。里山などの手入れ不足による自然の質の変化が懸念されているそうだ。蚕の繭からの絹糸づくりをグループごとに体験。一つの繭から1,500mの生糸が取れ光沢のあるシルクの輝きを見せるとの事。初めての方が多く貴重な体験となった。

午後からは、ふれあいの森ガイドウォーク。日本にしか生息しないというシュレーゲルアオガエルの鳴き声を聞き、ヒヨドリ、メジロ、エナガなどの鳥の声に耳を澄まし、カブト虫の幼虫、モチツツジの蜜を吸いにくるアゲハチョウなどの昆虫、ヤマモモ、ホウノキなどの樹木観察とさまざまな自然に触れ盛り沢山の自然観察。

ふれあいの森が里山文化の継承の場として、森づくりに取り組み続けてほしいと願いながら講座終了となった。

巻いて!巻いて!シルクの生糸作ってね
切り株の下からカブトムシの幼虫発見!
地層の関係で根が横に広がっていた為台風で倒れたそうです

14期生5月22日講座報告

開催日2019年5月22日(水) 晴れ
講座名地質観察①
講師佐藤 隆春先生
場所河内長野ノバティホール会議室、石川周辺(汐ノ宮)

今日は、地域の地形・地質などから地球活動の歴史を学ぶ地学の講義。

最初は戸惑っていた受講生の皆さんも、ジオパークの説明、日本列島の成り立ちや瀬戸内火山帯の溶岩の話から、身近な二上山や河内長野の嶽山・石川周辺は1500万年前の火山帯の一部で溶岩が観察できるという話になると、驚きと共に興味が湧いてきた様子です。

石川の河川敷での現地観察では、柱状節理が見られます。柱状節理とは溶岩が冷える時に体積が小さくなるので、規則的な割れ目ができ綺麗な形になったもので、大阪では唯一ここでしか見られないそうです。柱状節理の岩に直接触れて見るとツルツルの面とザラザラの面があり、溶岩の流れてきた方向が分かります。

また、地下40~50kmから湧き上がってきている炭酸ガスの湧出も観察できました。それぞれが河原にある石を拾い先生に鑑定してもらうと、砂岩、礫岩、花崗岩、安山岩などがあり、これらの石のなかでマグマが冷えて固まった火成岩に含まれる鉱物の中にあるカンラン石の大きなものは宝石(ペリドット)になるものがあるとのこと。皆さん必死に探していましたが、残念ながらここではルーペで見える程度の小さく光るものしかありません。

石川は河岸段丘や三角州をつくり河内長野の平野部を作ったという先生の説明と現場を見て、今日学んだ溶岩や河原の石、河川の地形など何億年もかけてつくられてきた「ミニジオパーク石川・嶽山」についての歴史に思いを馳せ講義を終えました。

石川の柱状節理
安山岩の溶岩です
小さく光るのがカンラン石
ルーペがないと見えません
炭酸ガスは微かに硫黄の匂いがします