16期生3月26日講座報告
2年間の最後に、公開講座として会員も参加し体内時計の講演を聞いた。
生物とは何か?呼吸とは?取り込んだ酸素はどうなる?と講師から直に質問を受け緊張感のある中で生命の歴史、シアノバクテリアの誕生による酸素革命、光合成、生物の進化について考えた。
体内時計は、ヒトだけでなく生き物にはある。体内時計は、18世紀にフランスの学者ドゥメランが発見した。オジギソウは日が昇ると葉を開き日が沈むと葉を閉じる習性があるが暗い中にずっと置いても一日の周期で開閉を繰り返したという。
体内時計は24時間以上であるが、朝日を浴びることでリセットされる。体内時計のコントロールは脳の中枢視交叉上核で行われていて目で受けた太陽の光を感じることで時計が再び動き出す。睡眠で悩む人は多いが、人によって適正な睡眠時間は異なる。たとえ眠る時間が短くても昼間元気に活動できていたら問題はないと知り安心した。一方、夜間の仕事や薬の影響、引きこもりと言われている人など昼夜逆転し社会的時差ボケで苦しんでいる人達も多いことを知った。道は1本では無い。自分にあった通信制の高校に変えることでゆっくりと体内時計を戻し志望の進学をした話等、若者が減り働き手が少なくなる将来を見据え、色々な働き方、多様性を受け入れる社会について考える機会にもなった。
午後は、修了式。相原代表挨拶の後、16期生各人に修了証書が授与された。
引き続き16期生による司会進行で発表会が行われた。興味のあること、みんなに紹介したい事、報告したいことなどバラエティに富んだ内容で最高の時間を過ごした。最後に今までの活動の映像を見ながら「思い出のアルバム」の替え歌でスタッフをねぎらっていただき不覚にも胸がキュンとなった。
16期生の皆様 ”修了おめでとうございます” これからは部会で一緒に楽しみましょう。(E.H)
16期生2月19日講座報告
午前は、亀の瀬地すべりインフラツーリズムのボランティアガイドによる「亀の瀬地すべり歴史資料室」「1号排水トンネル」「旧大阪鉄道亀瀬隧道(亀瀬隧道遺構)」の説明で見学した。
大阪府と奈良県の府県境に位置する亀の瀬地すべり。昭和6年に発生した地すべりでは大和川がせき止められ、鉄道のトンネルも圧壊した。地すべり対策はほとんどが地下構造物で、山の中には地すべりを止めるために、たくさんの杭や排水トンネルなどがあり、地上からは見ることができない。亀瀬資料室では地すべり被害状況やメカニズムなどを模型やパネルで詳しく説明を受け、その後排水トンネルなどの対策施設を見学した。昭和7年に潰れずに残った鉄道トンネル「旧大阪鉄道亀瀬隧道」では、当時の建築技術と災害の歴史を今に伝えている。イギリス積みの煉瓦壁、蒸気機関車の黒いすす跡の残る天井、崩落面など遺構がライトアップされていた。そしてトンネル内に映し出されるプロジェクションマッピング を楽しんだ。ガイドの提案で大和川に姿を見せていた亀石の説明も受ける事ができた。
午後は、柏原市立歴史資料館に移動した。
大和川付け替えに関する講座を受け、付け替えに至るまでの、洪水の被害に苦しんだ人々の粘り強い嘆願や、反対運動、幕府の思惑など興味深い歴史を学んだ。
常設展では、柏原市内の遺跡から出土した考古資料の展示による旧石器時代中世の資料、古文書絵図による近世の資料、農耕具、ぶどう酒作りの民具の展示。古墳時代から奈良時代にかけての展示を見学した。
最後に雪がちらつく中、古墳の見学。先に横穴よりも100年ほど古い高井田山古墳の石室を見学した。次に、6世紀中頃から7世紀前半に造られた高井田横穴古墳では、古墳の内部で凝灰岩の岩盤を鍬や手斧で洞窟のように掘り複数の遺体を埋葬していたと説明を受けた。手掘りでは掘り手の個性が現れ右利き左利き、几帳面かどうかなど想像できるとの話でいっそう興味を持てた。
盛り沢山の内容であったが、すべてが関連していて楽しく心に残る講座になった。(E.H)
16期生2月5日講座報告
今年一番の寒気が予想され時折雪が降る中、富田林の奥の谷にある竹林の竹伐採作業と伐採した竹を使った竹炭作りを体験した。
焚火を囲んだ青天井の教室で、なぜ竹の伐採と竹炭作りをするか、その目的と炭焼きの知識を教わることから始まった。竹は成長や根はりの速さからまたたく間に里山中に広がる。竹を伐採するのだが、伐採だけでは竹の処分に困ることになる。奥の谷では竹の細い先端はチッパーで粉砕し、下の太い幹部分をドラム缶燃焼で竹炭を作っている。粉砕したチップはマルチや発酵や土壌改良剤として再利用し、その幹は竹炭にして脱臭剤・吸湿材・燃料として利用する。竹が光合成で体内に取り込んだ二酸化炭素を炭やチップの形に変えることで、土の中などに二酸化炭素を閉じ込める役割を果たしていると学んだ。
また、竹炭は燃焼時間が短いが火付きが早い。BBQなどにも利用することを勧められた。市販のBBQ用の炭はマングローブから作られており、竹炭を使うことで自然環境保護の一助になると教わった。
作業は竹の伐採と運搬、切断と竹割、節落としをして竹片を作った。ドラム缶製炉に竹片の節側を下にして隙間ができないように装填してゆく。蓋をして土を上からかぶせる。そして火付けだ、炉の焚口の前で、うちわで風を送りながら、紙と杉枝と細かい木片を順に燃やしてゆくと炎が大きくなっていった。
昼からは時折雪が激しく舞い奥の谷一面が真っ白になった。講座生は小さな雪だるまを作ったり、出来上がっていた竹炭を頂いたり、童心に戻って一日楽しく学んだ。(H.I)
炭焼きの枇杷庵前、炭の入った袋を持って集合写真
焚火を前に座学、寒かったのでうれしかった。
間伐し運搬、竹切に竹割、節落としに装填、結構しんどかった。
ドラム缶炉の前で炭焼きの説明を聞く。
幼かったころを思い出し、苦労しながらも炎があがった。
充填された炉の中、特別に茶碗も焼く。茶碗は真っ黒に出来上がる。
奥の谷は自然あふれる。ジョウビタキ・コモチシダ・雪景色にかわいい雪だるま。
16期生1月22日講座報告
今年、南海トラフで今後30年以内にマグニチュード8から9級の地震が発生する確率が80%に引き上げられた。昨年受講した大阪市の「気象台と津波高潮」、兵庫県の「近未来の南海トラフ巨大地震を科学する」に続き、今回は堺市で「防災の基礎を学ぶ真・体験コース」に参加した。
災害学習として最初に映像による地震の被害や対策、公助の限界、自助、共助の効果について説明を受けた。その後、体験学習。地震体験では阪神淡路大震災の直下型地震震度7、東日本大震災の海溝型地震震度6.5の揺れを体験した。次に消火活動について。練習用水消火器を用いて3メートル離れた安全な位置で風上から燃えているものにかける。消火器による消火時間は15秒間と教わった。次に煙体験と暗闇体験。低い姿勢で煙を吸い込まないように、危険なので床に手や膝をつかないようにと注意を聞いてから体験。視界が利かない中、手探りで出口を目指す難しさを感じた。
心肺蘇生については心臓マッサージの練習とAEDの操作についての説明を受けた。救急車が到着するまで8分30秒かかると言われ、そばにいる人による救急蘇生がなければ救命率が大きく損なわれることを学んだ。自治体の活動においても防災訓練は行われて多くの人はそれぞれ経験しているが実際に起こった場合に備えて広く知識を得、何度も経験を積むことが必要だと感じた。
午後は部会担当理事による入会案内と部会の説明がおこなわれた。(E.H)
16期生1月8日講座報告
強い寒気の中、高槻市にあるアクアピア芥川(高槻市立自然博物館)とJT生命誌研究所を見学した。
アクアピア芥川は高槻市の真ん中あたり、市街地と山地の中間、淀川に注ぐ芥川の川沿いにあった。芥川に生息する魚類を上流・中流・下流を模した水槽に展示、別のフロアには同様に高槻エリアに生息する哺乳類や鳥類の標本とはく製を展示していた。学芸員の丁寧な案内のあと自由に見学した。はく製や水槽などは目線近くに展示されており、講座生は「カメとにらめっこ」するなど、好きな動物をゆっくりとじっくりと観察することができた。なじみ深い動物が主であったが、大規模な博物館とは違い「味のある自然博物館」だった。
JT生命誌研究所はJR高槻駅から芥川商店街を抜け10分ほど歩いた好位置にあり「38億年の生命の歴史と関係性を読み解き美しい展示や映像で表現するコンサートホール」と紹介されている。
設立20年の研究や表現活動などを映像で学び、その後3班に分かれ、説明を伺いながら生命誕生後38億年の歴史に沿って生物進化を表現した展示フロアを見学した。「生命誌絵巻」や「生命誌マンダラ」は、すべての生き物は38億年前に生まれた生命体を先祖としそれぞれ進化してきた仲間であり、それぞれのDNAにその歴史が記録されていることが絵で表現されていた。
展示物はわかり易く表現されていたが、DNAやゲノムなどは展示や説明を聞いても理解がおよびつかなかった。ゆっくりと振り返りながら理解を深めようと思った。(H.I)
お正月早々で体調不良などもあったが15名が元気に講座に参加
展示物が目線近くでゆっくりと観察できる
はく製の展示ラベル、何をいつどこで見つけたかをしっかりと記録
生命誌研究所の仕事を立体的にマンガチックな展示品
生命誌マンダラ、中心にゲノムがあり、細胞→組織→個体を表現。よく見るとみごとな織物でした。
1Fフロア、生命誌絵巻、肺魚、ナナフシのたまご、カメの骨格、生命歴史への階段
「食草園」でレモンの木についたナミアゲハの蛹
16期生12月18日講座報告
「シダ植物」について学び、午後は光明池緑地で観察を行った。夏緑性のシダなど枯れて消えているものも、刈り取られたものも一部あったが期待以上たくさんのシダを観察することができた。
午前中の座学では「シダ植物」の世代交代や部位の名称、葉身の形や胞子葉と栄養葉、胞子嚢群のつき方などを学んだ。その後用意された数種類のシダの葉身を使い、グル-プ別に同定作業を行った。葉のツヤや柔らかさ、先端の鋸歯や葉柄の色、鱗片・羽片・小羽片の形など見分方法を講師から教わったが同定はなかなか難しい。賑やかに意見が飛び交い、ワイワイガヤガヤと熱心に昼食の時間を忘れて同定作業をした。
午後からは光明池緑地へ観察に出かけた。注意深く観察しなければ、みんな同じ「シダ」に見える。講師は的確に様々なシダの生えているポイントに連れて行ってくれ、そして名前を教えてくれた。冬の公園緑地の灌木や茂みの中、道なき道を進む。蚊やハチの心配なく、ガサガサ・バキバキと落ち葉や枯れ枝を踏みながら進む、童心に戻って林の中を歩くことができて楽しかった。
「シダ植物」研究をライフワークとしている講師にはホームグラウンドとも言える光明池緑地を案内いただいた。名前を控えただけで32種のシダを観察することができました。本当に感謝です。
同定作業中、どの部位の違いを見るか意見はさまざまで迷います
ここに在るよ、茂みをかき分けて目的のシダを探します
これはなんというシダ?続く人に判るように名前のメモを付けます
左上から時計回りに、コシダ・シシガシラ・ハリガネワラビ・フユノハナワラビ・トラノオシダ
明るい林の中、あそこにもあるよ
本日一番のべっぴんシダ、色も形もよかったヤブソテツ
やぶの中や茂みをかき分け、道なき道を進む