大阪シニア自然カレッジ

16期生講座報告

16期生9月11日講座報告

開催日2024年9月11日(水) 晴れ
講座名ウミホタル観察
講師山田 浩二先生(貝塚市立自然遊学館学芸員)
場所せんなん里海公園、青少年海洋センター

「疲れたー、楽しかった―」参加者の声をまとめるとこうなるだろうか。充実した疲れ、大満足の楽しさを感じた。まだ暑さの厳しい中、初めての夜間活動。参加者が少なかったのは残念だったが、ウミホタルについて理解を深めることができ、それぞれが工夫して作った仕掛けでウミホタルも大収穫、その青白い神秘的な光にすっかり魅了された。

大阪湾でウミホタルが観察されるようになったのは2,000年以降、それまでは赤潮が大発生するような汚い海。夜になるとピンクの赤潮の中にボヤっとヤコウチュウの光が見えたとか。その大阪湾がきれいになるにつれ、ウミホタルが観察されるようになった。ここ泉南の海でもたくさん観察できるようになったが、まだ関空より北では見られない。ウミホタルだけでなく、海洋汚染で減少していたアマモも泉南の海辺に増えてきた。アマモは二色浜でも観察されるようになってきたとか。やがて二色浜でもウミホタルが見られる日がくるのではと「きぼう」がわく。

ウミホタルは海底の砂の中で昼寝て、夜になると魚の死体などエサを求めて砂の上を這うようにして泳ぎだす、いわば海のお掃除屋さん。口から発光物質を放出させて青紫色に発光する。その光り方で求愛や敵を威嚇したり、危険を知らせたり、メッセージを送る。まるで言葉のようだ。また、キンメモドキという魚はウミホタルを捕食することでその発光物質を体内に取り込み、大型の魚から身を守るために利用しているとか。人もまた乾燥させたウミホタルの発光物質を利用していたなど、ウミホタルへの興味はますます深まるばかり。わずか2、3ミリの小さなウミホタルの命の光と空に輝く「きぼう」の真っすぐな光に心が大きく揺さぶられる講座だった。(K.T)

16期生9月4日講座報告

開催日2024年9月4日(水) 晴れ
講座名こだわりの草木染
講師水谷 道子先生
場所国営飛鳥歴史公園

夏休みが終了し久々に講座生が集合した。1,300年以上昔、飛鳥時代の文化遺産と飛鳥の自然を生かすために造られた公園で古代手法に沿った草木染を体験し、続いて古代の余韻にひたりながら彩色の壁画で有名な高松塚を見学した。

古代の人たちは自然とのふれあいの中から身近な植物の葉・茎・根・実を使って、それを刻んだり熱したりして布に染色を施してきた。そして板や棒などを使って様々な模様を創造したことを学んだ。その模様は主に自然現象から発想され、雲の形状であったり虹の形状であったりした。また、その手法は布を三角形や四角形や紡錘形に折りたたむなど、「何やこんなんでできるのか」と思うほど単純だった。

講座生は講壇にある様々なサンプルを見ながらめざす模様を決めた。染める布を折りたたみ、染めない部分を平板や輪ゴムで絞り込んだ。色にじみがないように輪ゴムでしっかりときつく絞ることがコツのようだ。

次に6種の植物を煮出した染料に染める部分ごとに漬けて水洗いし次の染料に漬ける、折り込んだ布の細部まで染料をしみこませることがコツのようだ。講座生それぞれの色遣いと模様に個性があり、甲乙つけがたい出来であった。

午後からは歩いて10分ほどの高松塚壁画館を見学した。福岡学芸員からしょうがを保存するための穴を掘っていて発見された話や、描かれている人物像や四神の図などの説明を受けた。埋葬品や高松塚の位置関係などから、埋葬された年代や被埋葬者の特定するための様々な検討模様を伺った。

古代人の草木染体験や高松塚の壁画を見ることで少し飛鳥時代へタイムトラベルできたかなと思う反面、植物は当時と変わってないものも多く1,300年たっても変わってないなとも思えた。(H.I)

16期生7月24日講座報告

開催日2024年7月24日(水) 雨
講座名梅花藻の観賞と琵琶湖博物館見学
場所米原市醒井、草津市滋賀県立琵琶湖博物館、草津市立水生植物公園みずの森

前日より雨予報となり少しの心配があったが、当日の出発後に伊吹山ドライブウェイが豪雨で終日閉鎖となり、急遽、予定を「伊吹山高山植物観察と梅花藻観賞」から「梅花藻の観賞と琵琶湖博物館の見学」に切り替えた。

梅花藻観賞では地蔵川の清流の中で揺れるキンポウゲ科の淡水植物の梅花藻を見た。流れの穏やかなところでは花が水面に顔を出しているのを観察し写真を撮ることができた。冷たい水に手を浸し涼感を楽しんだり中山道の宿場町の風情ある街並みをゆっくりと散策した。

午後は琵琶湖博物館と水性植物園の見学。琵琶湖博物館では古代湖である琵琶湖の地質、生き物の歴史、人の暮らしなど広範囲の展示がされていた。特に淡水生物の水族展示室では昨年の水槽破損事故からクラウドファンディングで支援を受けて再生されたというアクリル水槽で身近なコイ、フナからビワマス、ウグイ、ハス、スゴモロコ、コアユ、ビワヒガイなど豊富な展示を見ることができた。

最後に水性植物公園みずの森。ハスやスイレンの花が見頃でヒツジグサの名の由来は未の刻に咲くことからきているといわれるが、その名のとおり開花しているのが興味深かった。一方午前中に咲くというハスは花を閉じていた。ハスの花は水面より高く、スイレンは水面近くに咲くという花の時期ならではの見分け方を知った。温室や手入れの行き届いた池に浮かぶパラグアイオニバスや色とりどりの花を楽しむことができた。

もう一度ゆっくりと来たいという声も聞かれ博物館を訪れて楽しい時間を過ごせて幸いだった。(E.H)

16期生7月17日講座報告

開催日2024年7月17日(水) 晴れ
講座名粘菌観察
講師川上 新一先生(和歌山県立自然博物館 学芸員)
場所堺自然ふれあいの森

今回の主役は「森の魔術師」「森の宝石」または「森の妖精」「癒し系微生物」などのニックネームを持つ粘菌(変形菌)。前週の講座「微小貝」で小さなものから大自然、生命を見るという視点について学んだが、今回はまさに小さな単細胞生物、粘菌について講義を受けた。

粘菌は植物でも動物でも菌類でもない生き物。近年の研究で、アメーバ細胞を有するグループ「アメーバ動物」に属することがわかっている。植物のように胞子で殖えるが、発芽すれば粘菌アメーバ(10ミクロメートル=1ミリメートルの100分の1)となって自由に形を変えエサ(バクテリア)を求めて動き回る。さらにいくつもの性を持っていて(モジホコリはなんと720もの性を持つものもいるとか)、接合し細胞内核分裂を繰り返してさらに大きな変形体となって動き回る。ときには倒木を覆いつくすくらい世界で一番大きな単細胞生物となる。やがて栄養が少なくなり、乾燥するなど環境が変化すると倒木や朽木、落ち葉、土の表面へと移動し、子実体に変わり、胞子をホコリのように飛ばして子孫を残していく(ゆえに粘菌の名前は~ホコリとつく。)単細胞から何億もの胞子を飛ばしていくのだ。ホコリは軽いので、成層圏までも飛び、世界中へとその生命をつないでいく。聞けば聞くほどに神秘に包まれている。そして、変形体から変化した子実体のなんと小さく美しく、なんと繊細な不思議な姿。

午前中しっかりと座学し、午後からは、先生に見せていただいた子実体の標本でその大きさを確認したうえでフィールドへ出た。足元のぬかるみや泥も気にせず、どんどん叢や落ち葉をかき分け、朽木や倒木を転がし、しゃがんでルーペで確かめた。蒸し暑さの中、1時間の奮闘でなんと11種も見つけることができた。変形体も見つけることができ、大収穫。

その後、森の館に戻り、顕微鏡を使ってみんなで同定作業に取り掛かった。短い時間なので?もあるが、正確な同定は後日川上先生が連絡してくださると、楽しい約束をしていただき講座を終えた。それぞれ、スマホの中に「森の宝石」をしっかりとらえることができたでしょうか?(K.T)

*今日見つかった粘菌

シロウツボホコリ、ウツボホコリ、マメホコリ、ツノホコリ、フシアミホコリ?、ススホコリのなかま、アミホコリ、モジホコリのなかま、白い変形体、ススホコリ?の変形体、チャコムラサキホコリ?  以上11種

16期生7月10日講座報告

開催日2024年7月10日(水) 曇り
講座名こんな小さな世界(微小貝)
講師菅井 啓之先生
場所ノバティーホール会議室B

菅井先生に1年目「自然観察の視点」の講義を受けて、今回は2回目。視点を変えて、小さな世界から自然を観る。先生の口癖は「気づくことが大切、気づけばあるが、気づかなければ何もない。」今回は微小貝の観察。さあ、ルーペを準備して、「これから今まで一度も触れたことのない世界に触れてみますよ!」なんと心躍る声掛けか。

まず、沖永良部島の砂から星砂を見つける。みんな真剣だ。よく見ると星形のもの以外に丸っこいものも。いずれも有孔虫の死骸からできたものだと。さらによく見ると小さな貝も混じっている。

次に海岸で採取し、ふるいにかけた(微小貝を除いた)中から2枚貝を探す。よく似たものがほとんどで、ミミエガイの茶色の皮がとれたものだとか。2枚貝は種類が少ないことを確認。

さあ、次はいよいよふるい落とされた微小貝を探す。ルーペを見ながら慎重にピンセットでつまんでは白黒シートの上に並べる。1~2ミリのなんと小さく、なんと種類の多いことか。そしてほぼ巻貝。なぜ?それは巻貝(微小貝)の構造上の特徴にある。8000メートルを潜る探査船ができたおかげで水深3000メートルの海底から多くの微小貝が見つかっているがすべて新種(今まで誰も観察したことがなかったので)。その姿もようやくわかってきたのだが、その貝殻の芸術的ともいえる繊細な彫刻の美しさ。そして強さ。ドラム缶をもつぶす深海の水圧に耐えられるような構造になっているのだ。小さな貝になるほど、その彫刻も複雑になっているとか。こんなにも小さな貝がこんなところでこんなふうに生きていたなんて、まさに「今まで一度も触れたことのない世界に触れてみた。」

私たちが海岸を歩くとき、その足下の砂浜や磯部に微小貝が眠っているかもしれない。深い海から運ばれて砂に混じっているかもしれない。気づけばあるが、気づかなければ何もない。今回も、菅井先生のお話は深いなあと感じた。

大阪シニア自然カレッジは自然を学ぶ集まり。ただ自然を知るだけはなく、自然を感じ、考え、行う学びが大切だと言う。微小貝を窓として、その奥に広がりつながる大自然や多くの命、そして自己の生き方を考え深める観方とは何か。それを考えるのがシニアの自然観察の在り方ではないかという先生の言葉は、これからの大きな宿題だなと感じた。いただいた微小貝曼荼羅の資料をじっくり読んでみようと思う。

16期生6月19日講座報告

開催日2024年6月19日(水) 晴れ
講座名浜辺の植物観察
講師今井 周治先生
場所せんなん里海公園

前日の大雨が嘘のような明るい6月の空の下。美しく管理されたせんなん里海公園で植物観察を行った。日差しが強く汗をかいたが日陰に入ると風が心地よかった。

淡輪駅から公園に向かう道中から観察は始まりゴツゴツした海食崖、人口砂浜、塩性湿地、河口湿地という異なった環境の植生を見ることができた。

海食崖ではウバメガシ、トベラのようなしっかりした感触で光沢のある葉を持つものやネムノキ、アカメガシワ、スイカズラがみられた。クロマツは触れた瞬間痛いと声を上げるほど鋭かった。シダ類のオニヤマソテツやヒトツバなどが下方で見られ明るい草むらではナルトサワギキョウやヒルザキツキミソウ、スイカズラ、テリハノイバラの花が咲いていた。

砂浜ではハマダイコンの種、ツルナ、ヘラオオバコ、ハマヒルガオ、オカヒジキそしてママコノシリヌグイという恐ろしい名前の植物がみられた。肉厚の葉を持ち根は細くても深く砂の中に伸びている様子が観察できた。

塩性湿地では潮の満ち引きによって海水の影響を受けても耐えられる植物がみられた。特にホソバノハマアカザが海水をかぶると赤くなる事を知った。オカヒジキが砂浜に這うように広がっている様子が興味深かった。海岸は石組みで整備されフェンスで囲まれたところではコウボウムギ、コマツヨイグサが広がりフェンスの近くではネナシカズラという不思議な植物に注目した。

河口湿地では、雨の後で湿地の様子がよくわかり東大阪とここにしかない絶滅危惧II類のヒトモトススキを見ることができた。

箱作自然海岸。崖と砂浜がすぐ近くで見られ、ホルトノキ、サンゴジュのような厚い葉を持つ木やヨシの群生、巨大なハマウドが生えた崖、砂浜にはオカヒジキが生えていた。一方手入れがされていない海岸部分では植生は変わらないが沢山のゴミが打ち寄せられていた。自然を守るためには人の手が入ることが必要だとよくわかった。

海岸を歩きながら沢山の植物を観察し、環境に適合した強く多様な植物を見ながら光沢のある葉やトゲの多い茎、肉厚の葉、逆にイネ科やカヤツリグサ科の細く硬い葉を持つ植物が見られる理由を考える機会になった。(E.H)

16期生6月5日、6日講座報告

開催日2024年6月5日(水)、6日(木) 晴れ
講座名芦生の森一泊研修
講師福本 繁、加藤 潤子ガイド
場所芦生研究林 トロッコ道・上谷コース

京都の北東部にある「芦生の森」は環状線の内側の2倍近い広さを持ち、京都大学の研究林として100年近く手つかずの天然林が残っている。生き物の種類が豊富で大都会に近い低山地としては非常に珍しい森林だ。2年目講座生がこの時期に訪れるフィールドで初めての宿泊講座だ。特別に許可されたガイドトレッキングでしか歩けないコースを歩いた。

JR園部駅に集合。マイクロバスで山道を行き、きれいなロッジ風の「芦生山の家」に着いた。途中の「美山かやぶきの里」で休憩、午後2時過ぎには山の家に到着した。その後、全員で昭和の前半に活躍したという森林軌道の朽ちた「トロッコ道」を2時間ほど散策した。山の家の奥さんから軽く「ヒルがいますよ」とやさしく注意を受けたが、本当に多かった。河原に降りたり、線路わきの植物を観察したり、途中にはオオバアサガラ・イワガラミ・コアジサイなどが盛んに咲いていた。

翌日は8時からトレッキングに出発した。途中の下谷の大カツラを観察。株立ちのカツラの大木であるがヤマザクラやコシアブラなどたくさんの樹木が着生している。近くに寄ると圧倒されるが、周りではオオルリやミソサザイが盛んに美声で鳴いており別世界に入り込んだような感じがした。

上谷・杉尾峠コースは芦生の森のメインコース、出発点の長治谷作業所からトレッキングが始まった。途中20回以上も流れを渡渉、「このコースは長靴が必須ですよ」との山の家の助言に従ってよかった。ミソサザイやオオルリやアカショウビンなどの小鳥の鳴き声やドラミングに癒されながら渓流わきの道を歩いた。

苔むした岩や倒木、絡み合った木、倒木の上に生えた幼い木、クマに樹皮をはがされた木や冬眠穴となった大きな洞、盛んに落ちているトチの花、ツルアジサイやサワフタギが咲いている様やモリアオガエルが木の枝に産み付けた卵塊などを見つけて喜び、サワフタギの虫こぶやシカの顎の骨に驚かされた。

しかし、湿地や池の縮小や消滅、山の斜面や渓流わきの野原はシカの食害によりシダやバイケイソウなどがわずかに生えているだけだった。一部ではシカ除け網が設置され植生回復への努力が見られた。

行程4kmほどではあるが、杉尾峠をめざして歩け歩け、流れは細くなり由良川の源頭に近づく。やがて源頭に到着、そこは湿地状だった。さらに源頭の沢を上り詰め杉尾峠に着いた。タンナサワフタギが咲く山頂からは若狭湾や丹後半島が遠くにかすんで見えた。峠を下るとマイクロバスが待っていてくれた、みんなよく頑張った。

暖温帯から冷温帯の植生が見られ多種多様な動植物が生息している「芦生の森」は濃密で、自然に関心があれば一度は訪ねてみる場所だと強く思った。また、夕食や懇親会時には話が弾み楽しい一夜となった。何を聞いても答えてくれ、スケジュールどおり案内していただいた二人のガイドさんに感謝します。(H.I)

16期生5月29日講座報告

開催日2024年5月29日(水) 晴れ
講座名深泥池と京都府立植物園
講師竹門 康弘先生(大阪公立大学国際機関教育機構客員研究員)
場所深泥池と京都府立植物園

地下鉄北山駅から徒歩10分ほど、市街地のすぐそばに深泥池は存在する。わずか9haの小さな池が3haの浮島を浮かべて14万年、10万年と存在し続けてきた。さらに太古から人がその恵みを享受し利用しながらも存続できたという、まさに奇跡的な池。前日の大雨が嘘のようなさわやかな風の吹く中、深泥池の観察が始まった。

まずは深泥池の歴史とその成り立ちについての説明を聞きながら、今の深泥池を観察。遠くに見える浮島はミズゴケが堆積してできた「高層湿原」で手前は新しく400年前、奥は数千年前に出来たものだという。浮島でジャンプすると目の前の水面が揺れるという。まさに浮島。なぜ腐らず堆積し続けることができたのか。夏は微生物が分解のために酸素を使い溶存酸素量がなくなり、冬は京都の底冷えで温度がぐっと下がるから。最近の調査で謎が解けたらしい。浮島は夏に浮かび、冬に沈むという浮沈活動をすることで多様な生態系を支えているのだとか。さらに水面に見える網やもんどりは外来種を捕まえるもの。そして水面の水草や藻の分かれ目が意味するものは?事前にもらっていた資料で学習してきた受講生が「○○です」と答え、先生の「正解!」をもらう。また、すぐ目の前にアオサギが獲物を狙っている。今2羽が住みついていて、ザリガニやカダヤシなどの外来種をせっせと駆除してくれているとのことだ。岸辺の湿地を観察しているとシカの足跡やオオバナノイトタヌキモ(外来種)やジュンサイを見つけた。かの魯山人をもうならせたという絶品のジュンサイ。保護管理のおかげか、今は増えすぎて年に数回、間引いて処理しなければならないとか(もったいない)。

次に池の横の森の中へ。かつては段々畑があり、里山として日々の生活に密着して利用されていたが薄暗い森に。足元には処理されたオオバナノイトタヌキモと茎を切られたジュンサイの根が山盛り!?のはずがジュンサイだけがない。ここにも○○の足跡が、これは今まで気づかなかった大発見だと写真を撮る先生。浮島を寝床に絶滅危惧種を食い荒らすだけでなく、生ごみ処理をしてくれていたことに驚き(笑い)。

次に浮島がよく見える場所に移動。水面にたくさんの稚魚、カムルチ(雷魚)で外来種といえども縄文時代からいたとか。遠くに目をやると水面にヒメコウホネの黄色い花が見える。絶滅危惧Ⅱ類の希少品種。またタヌキモは深泥池にしかない絶滅危惧種で深泥池には食虫植物が多く、水中食虫植物は15種もあり、陸上のモウセンゴケも多く花を咲かせているという。これもまた深泥池の水質が古くから“酸性で貧栄養”であるからこそだとか。富栄養の水辺では競争に負けてしまうような動植物も、また外来種であってもすべてを受け入れる懐の深さがあったからだと説明を受け、なぜか深泥池が尊く愛しく感じた。

10万年以上も続いてきたこの豊かで貴重な生態系を未来につないでいくには?

「深泥池の現状・変化を知り、適切な管理方法を選択するためには、保全の基本方針と日々のモニタリングが不可欠。深泥池の価値を知り、保全の基本を理解し、そのうえで保全から得られるメリットをうまく人に還元することが大切だ」と。

かつて自然と生活が密着にかかわっていた里山生活のように、深泥池からの恵みも有効利用しながら、その環境を整え、更に共存し続けていくことが大切なのだと学んだ。

午後からは京都府立植物園を見学。ガイドさんの見せたいものがあるというの熱い思いで、時間を1時間30分に延長していろいろ紹介してもらった。午前午後ともに熱心に聞く受講生の姿が講師やガイドさんにも伝わったのだと、すべてに感謝感謝!お疲れさまでした。(K.T)

16期生5月22日講座報告

開催日2024年5月22日(水) 曇り時々晴れ
講座名昆虫観察②
講師鈴木 真裕先生
場所堺自然ふれあいの森

昆虫を採集し分類同定作業を行い、昆虫の種類や形態の理解を深めるために堺南部にある堺自然ふれあいの森に集合した。分類同定作業を重点としたことで、自らが採集した生き物の同定や分類を体験できる貴重な講座となった。

座学は1年目「昆虫入門」で学んだ昆虫に関する知識ついての復習から始まった。24の様々な色や模様のナミテントウムシは1種類であり遺伝によって様々な姿になること、昆虫は100万種ほど判明しており全生物の60%ほどを占めていることなどを思い出した。続いてこの時期にふれあいの森で見られる昆虫について話があった。

簡潔な座学の後にフィールドでの昆虫採集が始まった。日当たりのよい野原部分と樹木が繁る森部分の2つのフィールドで採集活動を行った。網を片手に持ち「昆虫なんてよう捕まえへん」と言っていた講座生もフィールドに出ると夢中で網を振ってジプロックやプラカップに獲物を収めていた。一歩野原に出ると童心に戻ってしまうらしい。収穫した昆虫は、おおよそ野原部分で70種、森部分で50種くらいであった。1年目の倍近い成果だった。

午後からは森の館に戻りグループごとに自分たちが採集した昆虫の分類同定作業を行った。昆虫の大きさ・色・翅や触角などの形態を観察して、図鑑やスマホや施設の昆虫見本などを参考に活発な意見交換を行いながら同定に取り組んだ。最後の手段は「先生これ何でしょうか」と聞いていたが実に楽しそうだった。

昆虫の中には大阪では準絶滅危惧種に指定されている「フタスジサナエ」というトンボも含まれていた。一説によると昆虫は500万種いるとか、フィールドで新しい昆虫を見つけるのはこのようにマンパワーで探すのが一番らしい。講座終了後には講師の鈴木先生が昆虫の撮影を行い、すべての昆虫を野原に帰した。(H.I)

16期生5月8日講座報告

開催日2024年5月8日(水) 曇り晴れ
講座名ウミウシの観察
講師田中 広樹先生
場所加太、城ヶ崎海岸

加太駅から徒歩35分程で城ヶ崎海岸に到着。空は晴れ渡り、海に浮かぶ島々を遠くまで見通すことができた。大潮の日で干潮が午前12時頃とウミウシの観察にぴったりの日和となった。この時期の海は海藻も美しく、干潮時には海水の浅い所に緑色の海藻が、中程では淡い黄色、遠くには褐色の分布が見られた。海藻の種類が変わればそこに住む魚や生物も変わる。日光の届き方や水深によって異なる生物の分布の事を層状分布(帯状分布)というそうだ。

先生に頂いた「うみうしノート」という冊子を開いて春から夏にかけて見られるウミウシの説明を受けてから観察を始めた。最初にアメフラシの卵塊が見つかり大盛りあがり。後は、潮だまりでひたすら石をひっくり返して気になるものを見つけたら先生に声をかけて確認した。イソギンチャクやホヤ、ゴカイなどウミウシの餌になるものがわかるようになり、餌のある周辺をしっかり観察しているうちにしだいに見つけられるようになった。ぜひ見たかったアオウミウシや沢山のオカダウミウシが見つかりはじめた。オカダウミウシ以外を見つけようとがんばり、全部で11種類のウミウシを見つけることができた。

2mm位のオカダウミウシから15cm位のアメフラシまでサイズが色々、色形も様々。触角が2本突き出てそれを利用して水中で化学物質の匂いを感じている。派手な色は食べてもまずいと知らせるためのものらしい。ウミウシは進化の過程で巻き貝の貝殻が退化したもので、カイメンやイソギンチャクなどの美味しくないものを食べることで自身も美味しくない物質を体に蓄積し外敵から身を守る為の貝殻を必要としなくなった。アカボシウミウシのようにオカダウミウシを食べるウミウシもいるらしい。

ウミウシの不思議な形、生態について学び観察することができた。最後にミサゴが海に突入しあっという間に魚をつかんで飛び去る姿を見送って城ヶ崎海岸を後にした。