17期生 11月19日講座報告
昨年の11月13日に奈良公園に来て以来、2回目の巨樹観察です。残念ながら熊の出没情報もあり若草山への登山は諦め、下のほうでの講義となりました。しかし春日大社の神域として守られてきた原始林はさすが世界遺産の荘厳さと迫力がありました。
奈良駅からバスに乗り春日大社本殿前に着くと、いきなり鹿のお出迎えです。春日大社から山に向かい歩き始めるとすぐに多くの木立を観察でき、鹿よけネットも見られました。平城京の1万人の生活を支えた貴重な水である水谷川の流れと水谷神社について説明を受けましたが、今年は猛暑で水不足、木々もやや元気がないとのことです。遊歩道を進むと、樹皮がトゲだらけでおもしろいカラスザンショウを見ました。安易に指で押すと痛いほどのトゲで『フジツボ』という人もいました。御神木でもあるナギは鹿が食べないためすごく繁殖しているとのこと。ただ成長は非常に遅いようです。急な斜面には、浅い土壌に大木の根や地衣類をつけて弱った大木、あちこちで立ち枯れの木や倒木が見られました。
シカは手厚く保護されて1400頭を数え木々の葉や若木下草を食べるので、シカが食べないナギやサカキが多く残ってきて、試験的にネットで植物の保護などいろいろと検討をされているようです。石仏の横の旧道沿いにカゴノキ、幹周4.7mのイチイガシの大木があり、道から近いモミの大木は幹周を測定し3.45mでした。この樹齢は約250年で、全山の樹木は1498本ありスギが一番多いとのことです。他にも、モミの木の風呂おけ(真ん中がなくなっている切り株)があり、なぜ中央がなくなるかの説明も受けました。また、ツクバネガシの立ち枯れがあり、これは小さなカシノナガキクイムシが原因だそうです。原生林マップも見せてもらい、維持管理の大変さが想像できました。奇妙な形でぶら下がるフジヅルなどを見ながら下り、お昼ご飯になりましたが、お弁当を狙う鹿の圧が大変!人に慣れすぎた動物は、熊も含めて困ったものです。
昼食後奈良公園に向かい、ムササビにかじられた松ぽっくり、穴の開いたセンダンの幹から成長している枝・葉・実・根や、元気なモミや幹周3.98mのクスノキ、エノキなどを観察しました。最後に原生林一大きな周囲8mのスギを実感し、前回同様班ごとに『雨の日には根をのばし、曇りの日には枝をのばし、晴れの日には葉を広げる』という文章作成クイズを楽しみ解散となりました。 (Y/M)
17期生 11月5日講座報告
南海高野線九度山で10時にガイドさんと待ち合わせをして、二班に分かれ真田幸村が流罪されていた九度山の町を、ガイドさんの楽しい説明を聞きながら散策しました。慈尊院は、舗装されている参道から世界遺産に登録されている高野山金剛峰寺への入り口との事。出発地である町石が有り1町(109m)ごとに建てられている。本来、舗装等近代的に手を加えていたら世界遺産には認められないのが、舗装前の状態を認められて登録されたそうだ。
真田古墳(真田の抜け穴伝説)は、幸村がこの抜け穴を通って冬の陣の時に、大阪城まで行って参戦したと言われているが、紀ノ川の下を掘っていくような技術は、その時代にはないはずなので、『歴史はロマンです』との説明を聞いて何となく納得しました(笑)
紙遊苑に12時頃着いて昼ご飯を食べて、紙漉きに臨みました。楮(こうぞ)の皮を蒸して叩いて茹でて、どろどろした液をすくって水分を切り、紙の元になる原材料を四角い網(漉き桁)ですくう作業を教えてもらい、楽しみながらも真剣に取り組みました。少し失敗をして再度チャレンジする人もいましたが無事終了しました。以前はたくさんの紙作りの作業場が有りましたが、和紙の需要が減り今は一軒もなく、伝統文化と技術を伝えるために紙遊苑だけになってしまったようです。漉き桁ですくった後、水切りの為に少し乾燥させその後板に張り付け本乾燥をして完成。数日後に送ってもらい、各自が作った漉き紙で卒業証書に仕上げ、3月18日の修了式に手渡される事になります。良い思い出になれば最高です。 (N/N K/K)
外灯が柿のデザイン
抜け穴
左は五三の桐、右は三つ巴
17期生 10月8日講座報告
信太山丘陵里山自然公園の管理事務所に10時前に集合しました。 1年前位に新設され、こじんまりした公園に溶け込んでいる綺麗な建物でした。 先ずは講師より「和泉の自然」というパンフレットと「秋の昆虫・その他の動物記録表」が配布され、植物・昆虫・鳥・動物・外来種と整理された中身の説明をされました。 特にホタル・クビアカツヤカミキリの話に熱心だったように感じました。
『クビアカツヤカミキリは河内長野方面から和泉に来た!』と言われているという説明にはなぜか爆笑でした。 それから記録表を持ち広場に出かけると、講師の説明もほどほどに網で昆虫を追っかける熱心な人も居り、皆さん童心に返って夢中になり昆虫を追いかけて楽しんでいました。 そして昆虫・植物の説明を聞きながら公園内を回り、事務所に戻って何種類の昆虫を観たか同定していくとなんと想像以上に30種類も観察できていました。
午後からは、蝶々の転写という皆さん初めての鱗粉転写の体験をしました。 先ずは15センチ角位の和紙2枚に蝋燭の蝋をしっかりとこすりつける作業をしました。 講師が採集していた蝶々の羽をはがし並び替えるのが非常に難しく、ク-ラ-の風で飛ぶので風向替えやら、せっかく並べたのに自分の吐く息でずれたりして大騒ぎでした。 やっと2枚の紙に挟み込み、上からスプ-ンでしっかりこすりつける転写作業に夢中になりました。あちこちで悲鳴に近い声も収まってきて、最後は講師にラミネ-トで仕上げをしてもらい綺麗な作品が出来上がりました。
今日も皆さん充実した楽しい1日を過ごされて解散致しました。(K/K)
信太山丘陵里山自然公園管理事務所
師が採集されていた蝶々の転写風景
採集した虫の説明を熱心に聞く皆さん
早速広場で虫の採集に取り組む
講師が網での虫の捕まえ方の見本を披露
綺麗に転写出来ました
17期生 10月15日講座報告
今日は,泉北高校でのビオトープ入門でお世話になった木村先生から、せんなん里海公園で浜辺の植物について学びます。猛暑は終わりましたが、まだまだ日差しは厳しい中での散策で、たくさんの植物について教えていただきました。
せんなん里海公園には、砂浜・礫浜・礫質海岸、崖地があり、様々な環境で育つ浜辺の植物観察に適しているそうです。淡輪駅から出発、はじめは山手の植物を見ている感じでしたが海に近づくと海岸特有の植物が増えてきました。日射、風、波、塩分・潮の干満による環境の影響を受け独自の形・生態の植物が多いそうです。
崖地では、ウバメカシが圧倒的に多く、その他にヒメユズリハ、クサギなどの木が断崖に張り付くように成長していました。砂浜・礫質海岸ではハマヒルガオ、ハマボウフウ、ハマゴウ、ハマサジ(特に塩水耐性が高い)などが見られましたが、当初予定していた6月であれば開花していた植物は多かったとのことでした。アメリカネナシカズラという植物はハマゴウに寄生している根を持たない植物とのことで、変わった植物も身近にいることを知りました。また、オカヒジキ、ハマダイコン、ハマボウフウなどは食べられるとのことでした。どんぐりの中にもスダジイのように生でも食べられるものがあり、試食したりしました。変わった形のハマユウの花と実、ゴクラクチョウカの花、そして沖縄の歌でよく聞くデイゴの花も見られました。足の速い陸ガニを見つけバトルの末捕まえて、最後には阪南市の天然記念物であるヒトモトススキを見て箱作駅に向かいました。朝からたくさん歩き、汗ばんでいましたが珍しい植物を楽しみ、浜辺の植物が一段と身近になりました。(Y.M)
浜の植物1
浜の植物2
浜の植物3
浜の植物4
観察風景1
観察風景2
17期生10月1日講座報告
今日は阪急で箕面へ行き、大滝まで公園の自然観察と昆虫館に行きます。お猿さんがいっぱい居た時代以来かな?片道2.4km頑張ります。駅周辺にはマップや滝の道ゆずる君の像、モミジの天ぷらや箕面ビールの旗があり、観光地感がいっぱいです。暑さの峠も超えたこの季節、川沿いの散策は気持ちの良いところでした。
名物、モミジの天ぷらはイチギョウジカエデという種類のみで1年間塩漬けし、灰汁と塩を抜いてから揚げる手間がかかっているそうで、1300年の歴史があるとか。帰りには皆の土産になりました。ガイドさんは、散策道沿いのいろいろな植物の説明をしてくれました。イヌビワの実に寄生するコバチの話を聞いて、高槻のJT生命誌研究館の講義を細い葉の裏に胞子をもつマキヅタについては堺のシダ観察を思い出しました。ほかに茎が四角いシホウチク、かぎ状のツタをもつカギカズラ、カラムシ、ウチワゴケ、チチミザサやヒヨドリバナ、クサギなどたくさん観察することができました。
龍安寺に着くと、1300年前の役行者の修行や、空海・日蓮が訪れたという話と、歴史観があふれる建物を見ることができました。護摩壇があり宝くじを行うこと、日本で最初の弁財天なども知りました。さらに途中、野口英世の像や断層があり、自然と歴史の見どころが満載でした。その後、大滝に着いて、記念撮影してお昼ご飯を食べて、来た道を戻りました。龍安寺でガイドさんと別れ、昆虫館に入り、世界の昆虫、小さくて見えない昆虫、飛び回る蝶等を観察して帰路につきました。往復5kmは多少疲れましたが、多くの自然と歴史に触れることができ箕面の奥深さを知る一日となりました。 (M/Y)
昆虫館
17期生9月17日講座報告
今日は、初めての夜間講座。ウミホタルの観察で府立青少年海洋センターに行きました。夕方から採集、発光を見るスケジュールで16:30に淡輪駅に集合です。
まずは、ウミホタルとは何か?ということで講義を受けました。ウミホタルは直径2~3mmのミジンコのような動物プランクトンでキチン質の殻2枚に覆われた甲殻類だそうです。7対の付属肢があり、触覚・浮遊(泳ぎ?)・餌を食べる・清掃などの役割をもっていて、今回顕微鏡では見なかったのでわかりませんが、体は透けて、卵や消化器官が見えるとのこと。発光の仕組みは上唇腺に蓄えられているルシフェリンとルシフェラーゼ酵素を放出し発光するようです。昼は砂の中でお休みして、夜に餌を探して活動する夜行性で私たちの夕食後、各自ちくわ、魚肉ソーセージ、ちりめんじゃこを穴の開いた容器にブレンドして仕掛けを準備しました。
18:30頃には、海辺も薄暗くなって、足元を懐中電灯で照らしながら突堤へ。餌をたっぷり入れた手作りの仕掛けを海の底に投入。20分間星空を見て待つ予定でしたが、残念ながら星が見られなく、おしゃべりを楽しんで待つことに。アッという間に時間になり、仕掛けを上げると容器の中には青紫の光が?振動を与えると、数秒の光が見えてかなりきれいであちこちで歓声が沸き上がっていました。飼育できるのならば持ち帰りたいほどでしたが、最後は餌とともに海に帰してあげました。いつもと違う夜の講座は、ウミホタルの発光に魅せられて、非常に楽しく素晴らしいものでした。(M.Y)
仕掛け作り
講義内容2
17期生9月10日講座報告
今日は、暑い夏や大雨を降らしたりする気象の基礎についてです。日本の四季、集中豪雨や台風ができる仕組みから、天気図の書き方まで学びました。
はじめに、四季を作る日本周辺の高気圧の特徴ですが、冬のシベリア高気圧や夏の太平洋高気圧など親しみのあるところ始まりました。貿易風により高気圧、低気圧が動いていくこと、海水温も絡みながら梅雨、フェーン現象、集中豪雨(線状降水帯)、台風の発生、冬に日本海で大雪をもたらすJPCZと1年間に起こる気象の仕組みを丁寧に教えてもらいました。また。世界的な海面水温の影響(エルニーニョ、ラニーニャ)により大きく天候の変動が起きることも学びました。
午後からは天気図の活用につながる、天気図の作成に挑戦です。現在は1日1回、16時にNHK第2放送から日本付近の気象情報が放送されており,それを聞きながら天気図を作成してみました。風向き、風力、天気、気圧、気温の情報が各都市や船舶などから報告され放送されています。前線や等圧線の書き方トレーニング後に本番でしたが、放送の内容が早く、なかなか追いつけません。みんな集中し必死について行きましたが、諦めた人もチラホラ。しかし、実際の起こっている天気は、気圧と温度に起因する雲や風の発生等、それぞれの理屈に基づいて起こっていることが理解できました。最近、ひどい天気が続いているので、これからはもう少し天気図を真面目に見るようにしましょうか。(M.Y)