大阪シニア自然カレッジ

17期生講座報告

17期生4月9日講座報告

開催日2025年4月9日(水) 晴れ
講座名38億年生きている
講師桑原先生(アクアピア芥川)、蘇智慧先生(JT生命誌研究館)
場所あくあぴあ芥川、JT生命誌研究館

あくあぴあ芥川は、高槻にある全長23kmの芥川の豊かな自然環境とそこに生息する50種に及ぶ生き物について、学べる自然博物館で450種の展示があるとのこと。2階にある大型水槽で、飼育されている魚に餌をやりながら観察し、様々な淡水魚について説明を受けました。鯉、銀ブナ、オイカワ、タモロコ、カワムツなど上~下流域に分けて展示されており、餌が入ると水槽は大騒ぎでキラキラ光る魚はとても綺麗です。説明で鯉のヒゲは4本あることや喉に歯があること、鯉は底から餌を食べ、オイカワは浮いている餌を狙うなどそれぞれ個性があることを知りました。各水槽では、ウナギ、スッポン、イモリ、ドジョウなどが展示されていました。

昼食後、JT生命誌研究所へ移動。まずは蘇智慧先生による「イチジク植物とイチジクコバチの共生関係」の講義。おかげで、なぜ無花果と書くのかが理解できました。無花果の実は内向きに花が咲き、受粉のためにはそれぞれ対応した種のイチジクコバチが実の内側の花に侵入し受粉させるとともに、コバチの産卵が起こり生まれた雄は一生花の中で過ごすという特異な共生があるとのこと。不思議でちょっと考えられない共生関係を学びました。ただし、今食べている無花果には、共生のしくみは無いためコバチは入っていないと聞くと、皆安心しました。

その後、館内の展示を3班に分かれ見学。中村桂子名誉館長の生命科学から生命誌への移行という考えに基づいた、生命の起源や進化、生きていくための生命現象などいろいろな展示がありました。38億年かけてシアノバクテリアから生命が進化し、地上に上がる経過の展示や、蝶の食草園ではそれぞれの蝶の好む餌が育てられ、その研究を通じて足に味覚があることが分かったなど、非常に興味深いものでした。また食草園では講義で聴いたイヌビワ(イチジクの仲間)がありコバチが入った前後の実を観察しました。最後に17世紀に昆虫の生態を研究、絵にしたマリア・ズイヴィラ・メーリアンさんの展示と生きた化石といわれる肺魚を見て、生命の進化と細かな観察を通した研究の面白さが再認識できました。(Y.M)

17期生3月26日講座報告

開催日2025年3月26日(水) 晴れ
講座名オリエンテーリング入門
講師横田 実先生
場所堺市都市緑化センター、大仙公園

『オリエンテーリングとは?』と、イメージの確認から始まりました。いつ、どこで、どんな人が、どのようなルールで行い、用意する物は何か、どんな注意が必要かなど…なんとなくイメージはできましたが、いろいろな知識が必要だったことがよく分かりました。オリエンテーリングは、地図を見てコンパス(方位磁石)を使用し、スタートからコントロール(チェックポイント)を順番に通過してゴールまでの時間を競うスポーツですが走力だけでなく、地図を正確に読む力や、進むルートを正しく設定する力、そして自分のプランを遂行する実行力、冷静さ忍耐力も必要とされ、目的やレベルに応じて参加する事ができる競技だと知りました。基本的に地図を見る知識、地図記号(デイスクリプション、IOF記号)を覚える必要性やコンパスの使い方を学びました。コンパスの扱い方に多少混乱が発生しましたが、先生に何度も指導してもらったり、お互いに教えあったりして、なんとか同じ方向に進めるようになりました。

午後からは、コンパスと通過のチェック機器(Eカード)の使い方を練習して、いよいよ本番のポイント0です。暑いくらい好天のなか、二人一組で1分間隔にスタート。後発のチームもワクワクしながら順番を待っています。コンパスを使いながら、順番に回りますが、コントロールを探せなかったり、追い抜かれたりコンパスを使うより前にいるチームを追ってコントロールを探したりと、みんな苦労しながらも楽しんでフィニッシュを目指しました。最終的に1位の42分台から、81分台まで差がつきましたが、みんな子どもに戻って、花が咲き始めた春の大仙公園を満喫しました。(M.Y、N.M)

17期生3月12日講座報告

開催日2025年3月12日(水)
講座名動物たちとの接点
講師久田 治信先生
場所天王寺動物園

『動物たちとの接点』をテーマに、今日は天王寺動物園を訪れました。大正4年にでき、今年110周年を迎え、上野、京都に次ぐ日本で3番目に古い動物園です。令和3年から地方独立行政法人となり動物たちの構成や施設の改善を進め、国内ではJAZA(動物園水族館協会)に所属し、国際的視野にたって動物たちの保護、交配等の情報交換を行っているそうです。

講義では、クロサイとシロサイの違い(口の形)やレッサーパンダとジャイアントパンダの違い(暑さの耐性)、フンボルトペンギンは常温で飼育できること、フラミンゴの色(紅色)は甲殻類の餌によるもので動物園では色素を活用していることを知りました。ペンギンやシマウマの白黒にも意味があり天敵から身を守っていることや、動物たちの健康診断(体重測定や血液検査等)、ライオンの爪切りの方法など興味深い話でした。天王寺動物園では、餌代が現在年間9千万円ほどかかるそうですが、コアラが居た頃は非常に高かったこと、また昔は鳥が逃げて捜索が大変だったことや、雄だと思っていたカバのゲンちゃんはDNA鑑定で実は雌だと最近分かったこと、ホッキョクグマのホウちゃんは、ゴーゴとイチという名の親から生まれてついた名前(いかにも関西!)など楽しく話を聞きました。

先生のお話を聞いた後、園内の見学。フラミンゴ舎からアフリカサバンナゾーンへ行きカバ、クロサイ、キリン、エランド、レッサーパンダ、マングース、ツル舎を見ました。園の中でも、ライオンとキリンとあべのハルカスが同時に見る事のできるところがベストポジションとのことでした。(N.M)

17期生3月5日講座報告

開催日2025年3月5日(水) 雨
講座名コケの観察
講師木村 正邦先生
場所橿原公苑

午前中は、苔についての座学。コケは本来「木毛」という意味で、小さな植物(のようなものも含む)の総称で、蘚類(スギゴケの仲間)、苔類(ゼニゴケの仲間)、ツノゴケの3グループに分類され、日本には1900種類が見つかっています。「コケ」と呼ばれていてもモウセンゴケは種子植物、アカミゴケは地衣類、スミレモは藻類、ウチワゴケはシダ植物など似たようで違う植物、菌類が多くとてもややこしそうです。

コケは光合成を行う植物ですが、根・維管束がなく花を咲かせず雄と雌があり、その構造は、植物体(主に緑色の葉や茎)と胞子体に分かれており胞子で増えていきます。その葉に特徴があり単細胞が一列に並ぶだけで、空気中の水分を取り込みやすくなっています。約4億年前に地上に現れ、当時は最も背の高い植物だったとのこと。今回も古代の大気が影響していることや、コケから始まり維管束ができて植物に進化していくことを学びました。

午後の野外観察では、まずルーペの使い方から学びました。目にルーペを近づけ、対象物をルーペに近づけて見ます。また、必ず太陽を背にして直接見ないことが注意点です。雨の中、傘をさしながらの観察となりましたが、コケにとっては幸せな環境です。樹木に張り付いたサヤゴケ、エゾスナゴケ、ホソウリゴケ、胞子体のかわいいコゴメゴケ、ジンガサゴケ、コバノチョウチンゴケ、トサカホウオウゴケ、ヒロハツヤゴケなどを見る事ができました。ルーペで見つけるたびに「これ!」と歓声が上がり、可愛いコケの小さな世界を楽しみました。(M.Y、N.M)

17期生2月26日講座報告

開催日2025年2月26日(水) 晴れ
講座名気象と天気
講師實本 正樹先生
場所ラブリーホール

今日のイントロは太陽系の8つの惑星の大きさとそれぞれの太陽からの距離の比較から始まりました。梱包用の紐を利用して部屋の端から端までを使っての説明は、意外と説得力があり太陽系宇宙の実感が持てました。太陽系の空間はガラガラの空間のようです。本題の「気象と天気」は、最大11㎞までの高さにできる10種ほどの雲に「層、積」と分類されていて、富士山付近の『笠雲』『吊るし雲』など珍しい雲があることも学び動画を見て興味が湧きました。

午後からは近くの公園へ行き実際の雲(今日は積雲のみでした)を見ながら風や海・山の影響を受けていることを知りました。その後、ペットボトルを使って『パスカルの原理』と『アルキメデスの原理』の説明があり、『浮沈子』の実験や『霧発生』の実験を楽しみ、最後に『二酸化炭素の溶解』の実験で、炭酸ガスは低温の水の方が溶けやすく、ペットボトルがよりへこむことを知りました。(M.N)

17期生2月12日講座報告

開催日2025年2月12日(水)
講座名植物園の役割
講師森 由紀子先生
場所花の文化園

植物園は「研究、保全、教育のために、履歴データをともなう生きた植物コレクションを保持する機関」とされ、このために絶滅、環境悪化の防止改善、多様性持続可能性への意識向上を使命としていると学びました。昨今は、気候に影響され木の体内時計が狂い、異常気象が普通になって、適応する、しないで植物の世界も変わってきているのが深刻になってきていると聞きました。そして今日は、落葉樹に葉がついていない時期なので、3種類の常緑樹の葉で探索チャートを使い、葉の付き方・形を見比べることで樹木の探索ができることを体験しました。

午後からは、梅がまだ蕾も固く開花していませんでしたが、牧野富太郎がこよなく愛したバイカオウレンや、スノードロップ、フクジュソウが健気に咲いて、可愛くて思わずスマホのシャッターを切っていました。華やかな花は少ないですが、変わった形のコーストバンクシア、昨年堺市都市緑化センターで見た数十年に一度しか咲かないアオノリュウゼツラン(枯れていましたが)も見ることができました。温室(節電のため暖かくない)では、着生植物ビカクシダやサボテン、食虫植物など低温にも負けずに花を咲かせたり、頑張って生長したりしているのを見ると適応しているのだなと感じました。

体験者7名の方たちも講座生と一緒に朝から参加され、生憎の天気でしたが、園内見学で珍しい植物や春の準備をする植物の花の芽などの観察を楽しんでいました。春になれば、地中の細菌から栄養をもらうことで育つキンラン・ギンラン島の珍しい花も見られると聞いて、改めて来園する楽しみができました。(M.N、K.K)

17期生2月5日講座報告

開催日2025年2月5日(水)
講座名環境対策施設見学
講師施設担当者
場所舞洲スラッジセンター、舞洲工場

この冬一番の寒くて風の強い日。湾岸線からよく見えるユニークなかわいいデザインの建物の舞洲スラッジセンター(下水汚泥処理施設)と舞洲工場(ごみ焼却施設)を2つの班に分かれて見学しました。この建物は、どちらもオーストリアのフリーデンスライヒ・フルデントヴァッサー氏が“自然との共生”をテーマにデザインされたもので、曲線が多く(自然には直線はないとの事から)色鮮やかなおもちゃのようで環境施設には見えません。  

その舞洲スラッジセンターでは、役割として①町を浸水から守る(地中内の大きな空間)②河川の環境維持という(汚染した水を処理して流す)ことを学び、私たちは汚水に高分子ポリマーを入れて、水と汚泥ケーキに分離する実験を楽しみました。最近、埼玉で下水管破裂の大きな陥没事故があり関心が深くたくさんの質問が出ていました。施設内を見学してから、屋上に上がりシンボルの煙突が間近に見えて周囲の海や橋、隣の焼却工場も美しく見られ感激しました。

舞洲工場でも建物の外観やフンデルトヴァッサー氏の作品を丁寧に説明され、施設内の見学では大型クレーンでごみの攪拌と炉への投入の様子を見て、またそのクレーンの実寸のツメの大きさにも驚いてしまいました。工場内の見学を終え、周辺の緑化状況の説明と共に強風にもめげず笑顔で記念撮影。

どちらの施設の職員の方も、ごみ処理や下水処理の技術が高く、いろいろな有効利用を考え、仕事に誇りをもっておられるのを感じました。私たちも日々の生活ごみや下水の出し方を見直し工夫していきたいと思いました。(M.N、K.K)

17期生1月22日講座報告

開催日2025年1月22日(水) 晴れ
講座名植物が動く方法
講師長谷川 匡弘先生
場所大阪市立自然史博物館 長居公園

今日は、大阪自然史博物館に予定より早く到着。先生は、早速館内の案内をしてくださいました。ナウマンゾウや恐竜の骨格のレプリカに圧倒され、ゴキブリから昆虫、動物、海や川の生き物、鳥類や植物、そして作物の様々な展示物の多さに感動。その中に今日のテーマ「植物が動く方法」を展示したブースで予習をして講義を受けました。

植物が命を次世代につなげるにはどうするのか?タネ(種子・果実)が子孫を残す散布体で大まかに、風で運ばれる、水で運ばれる、動物に運ばれる、自力でどうにかする、の4つの方法で散布されると教わりました。

午後からは、先生の講義を思い出しながら、6つのグループに分かれて植物園で1時間ほどタネ探し。袋一杯に持ち帰り、各班で散布方法や、どの部分が散布体なのかを話し合い、植物の名前などを調べたりして発表。そのあと、先生と全員で確認していきました。この時期見られないものや最近見られなくなったものなどもあり、とても充実した1日でした。(M.N、K.K)

17期生1月15日講座報告

開催日2025年1月15日(水)
講座名化石入門
講師濱塚 博先生
場所きしわだ自然資料館

明後日が阪神大震災から30年になることもあり、地震や台風について話された。『化石は生き物』と、何億年前の生物の骨や、足跡、死骸が地層の中でそのまま残され貴重なものだと。岸和田でも貴重なワニの化石が発見されたと聞きました。昼食後に休憩時間を惜しんで、館内の展示物を熱心に見学する方もいました。

午後からは、楽しみにしていた『化石のレプリカ造り』を体験しました。水と石膏と塩を混ぜ、シリコン製の化石(アンモナイト、三葉虫など)の型に流し込み固めます。石膏が固まるまで、館内の展示物の解説を受け、ナウマンゾウやモササウルスの骨格標本の大きいのに驚き、熊やライオンの迫力あるはく製に驚き、キシワダワニ(岸和田市内で発見)やマチカネワニについても、大阪に恐竜がいたんやとビックリしたりで、熱の入った先生のお話が終わらず時間が無くなるのを心配したほどでした。最後に、固まった化石のレプリカを型からそ~っと取りだして出来上がり。お互いに出来上がったレプリカを見せ合い満足され、嬉しそうでした。(M.N、K.K)

17期生1月8日講座報告

開催日2025年1月8日(水) 晴れ
講座名春の里山観察とお粥作り
講師田渕 武夫先生、楠本様、奥村様
場所奥の谷(富田林)

青空の下で、カレッジ恒例のお粥作りの日。最初に、春の七草の見分け方や『七草粥』の由来を聞いて七草摘みに出発。大きな籠をもって、みんなで里山の中を探しに行きました。七草全てが見つかるわけではなかったがセリのたくさんある所を教えてもらい、籠いっぱいになりました。摘んできたものを食べられるかを選別し、事前に準備した『七草セット』と見比べたりして同定作業を行いました。出来上がった七草粥と梅干、沢庵、昆布佃煮、ふりかけ、キムチなど盛り沢山のご飯のお供を分け合ってお粥が一層美味しくなりました。沢山あった2つの大釜のお粥は、見事完食です。焚き火で焼き芋や竹ご飯も美味しく出来上がり、お腹いっぱい、笑顔いっぱいのランチタイムになりました。

午後からは、竹細工作り。各自が花瓶やプランター、ひしゃくなど見本を見て、作るもの決め竹を切るところから始めました。お互いに竹を切るのを助け合いながら、スタッフの方にお手伝いしてもらいそれぞれ素敵な作品が出来上がり大満足です。(M.N、K.K)