17期生5月29日講座報告
「自然の中のつながり」から「生物多様性」について考え、哺乳類の生態系を学習する講義を受けた。
生物多様性国家戦略は10年に一度見直しされているが、4つの危機として①開発・乱獲によるもの ②都市部への人口流出、高齢化で手入れができないことによる自然の質の低下・荒廃⇒アーバンワイルドライフ(都市型野生動物)が増えていること。近年はクマなどによる深刻な人的被害も増加している ③外来種(アライグマ・バラ科の樹木を食い荒らすクビアカツヤカミキリなど)・化学物質・ペットとして飼われていた生き物の脱走、飼育放棄など人間により持ち込まれた危機 ④温暖化などの気候変動がもたらす危機が生物多様性を脅かしている、など。
危機的状況を知ることで、生物多様性を基板とした水・空気・土壌・エネルギーなどの生態系から恩恵を受け、互いに助け合い支え合っている地域特有のつながりが長い年月をかけてできあがっていることなどを学習した。
午後から午前中に座学で解説していただいた動物の気持ちになって自然をよく見ることでわかるフィールドサイン(動物の生活痕跡、足跡、食痕、糞など)探しのために長野公園での野外活動。しかし、前日の強い雨で洗い流されたのか?中々、痕跡に出会うことはできなかったが、清々しい雨上がりの新緑の中、キビタキ、メジロ、ウグイスの鳴き声が響く気持ちのいい散策となった。(A.N)
キビタキやメジロ、ウグイスたちの鳴き声に癒やされ 木々の新緑がまぶしい散策になりました
17期生5月22日講座報告
見学させて頂いた大阪府泉南郡岬町の大阪府環境農林水産総合研究所 水産技術センターは、大阪湾の水質を調べ、貝毒の原因となり春には増えてくる有毒プランクトンの発生状況の調査、管理などをする①海を見守る大阪湾に生息する魚の生い立ち、生態を記録することで採れる魚の種類などを予測し漁業者と漁獲量などの調整を提案する②魚を調べる大阪湾にはかつてあった干潟が少なくなり海の生き物を育てる浅瀬が残っていない。人工干潟による波打ち際を作って魚が住み良い環境になるよう③海辺を再生する水産技術センターの中にある栽培漁業センターで卵から稚魚を育てタグを付けて大阪湾に放流し生き残る確率を調べ増やす取り組みをする④魚を増やすと、4つの仕事があることを教えて頂き、栽培漁業センターを見学。ヒラメや高級魚アコウ(キジハタ)、トラフグの養殖を見ることができた。
午後からは、潮の干潮にあわせて海水が出入りしている昔の船だまり跡、谷川古港(ふるみなと)を長靴に履き替えて泥干潟に住む生物を観察。
場所を変えて落合川河口へ移動。ハクセンシオマネキが巣穴から出入りする様子を息を殺して「アソコの巣穴!」と指をさし小声で伝えながらの観察風景は、お互い(シオマネキと私達)が身を潜めて相手の様子を伺っているようで可笑しくもあり不思議な時間でした。
温暖化の影響で、暑さに弱いマコガレイ(マガレイ)が減少、逆に暑さに強いハモが豊漁になっている。また、川を綺麗に!という動きの中、海水の窒素やリンなどの肥料が減ったことで餌となるプランクトンの減少によりイカナゴが採れず禁漁になるなど、イカナゴのくぎ煮といえば春を告げる美味しい郷土料理が無くなることはとても残念でもあり、私達の食生活に直結していることで改めて温暖化について考えさせられる講義となった。(A.N)
南海電鉄 多奈川線 多奈川駅
17期生5月15日講座報告
堺市大泉緑地での鳥類入門の講義は、双眼鏡の使い方、野鳥を探すポイントなどを解説していただき、繁殖期・子育ての時期となる今でしか見られない野鳥の様子を観察した。
大泉池に浮かぶ島はたくさんのカワウやダイサギコサギアオサギなどのコロニーとなっており、ヒナに餌を与える瞬間が見られるなど、講座生は初めて使う双眼鏡に四苦八苦しながらも講師から教えていただく方向の木々の巣に住む親子を見つけては、お互いにスポットとなる場所を教え合いながら子育ての風景を観察することができた。
カイツブリの親子やダイサギのヒナ、池を素早く飛び回り杭や枯れ枝から飛び込んで餌となる小魚や小さなエビなどを捕獲するカワセミなどを見ることができ、その度に大きな歓声が講座生から湧き起こり、収穫の多い野鳥入門の講義となった。
池の畔で昼食をとり、午後からは新金岡公民館へ移動。午前中に出会った野鳥を振り返り、鳥類標識調査員の講師より、まずは、大きさや色合い、環境、季節、歩いていたのか?跳ねていたのか?など種類を絞り込む事ができるものさし鳥となるスズメ、ムクドリ、ヒヨドリ、キジバト、ハシブトガラスを知ることでチャート式に野鳥の知識を増やしていくことが大切であることなど教えていただいた。映像や講師が持ってこられた標本を基に専門的な羽の構造や幼鳥から成鳥への変化などを解説していただき、生態など野鳥に関してより深く知識を得たいなどの感想が講座生から上がり、初めての野鳥観察をするという方も多くバードウォッチングの楽しさを体験できた機会となった。(A.N)
出会った野鳥
カワセミ、カルガモ、カイツブリ、キジバト、カワウ、ゴイサギ、アオサギ、ダイサギ、オオバン、コゲラ、ハシブトガラス、シジュウカラ、ヤマガラ、ツバメ、ヒヨドリ、メジロ、スズメ、カワラヒワ、マガモ、エナガ(鳴き声)
先生を囲んで 皆笑顔で記念撮影
17期生5月8日講座報告
人にも暑がり、寒がりがいるように、生物はそれぞれ特性を持ち木々を友達として観察することでそのルーツや人類の文化との関係性がわかってくるとユーモアをまじえ わかりやすい言葉で説明して下さる出原先生の講話に興味深く聞き入った。
日本や世界のバイオーム(気温・降水量などに影響を受ける生物群系)について学習。
温暖な関西平野部は照葉樹林に分布し シイ類、カシ類、クスノキが多く生えるが、山地では夏緑樹林に分布し冬になると葉っぱを落とすブナ、ミズナラ、カエデ類が多く生えている。
今回、観察フィールドで見られる植物から🍃🌱🌿問題が出された。
など 植物に詳しい講座生はすぐに答えることができ盛り上がった。
先生が研究のために訪れた亜熱帯多雨林の小笠原諸島や奄美大島の写真では、本島にはない珍しい植物や亀の刺身を食べる文化を紹介、近大鮪の養殖の様子のビデオなど説明のユニークさで「面白いね~」と声が上がっていた。
午後からは資料を手に、座学で教えていただいた強い光を好む陽樹、その下で日照量が少なくても成長する陰樹。陽樹林・陰樹林が混じった交樹林などコナラやアラカシを実際見ることで、森林の遷移の課程がよりわかりやすくなった。また、人の手が入っていない雑木林自然林を散策しながら爽やかな新緑の匂いを感じ森林浴を楽しむことができた講座となった。(A.N)
問題を絵にして説明されるので理解できます
栗の花と同じ匂い 照葉樹のシダジイ
青々とした森林 爽やかな風
癒やされる講義になりました
緑の葉に混じって鮮やかに目立つ紅葉している葉っぱが存在する ホルトノキ
真っ白い花を咲かせるカナメモチ
人の手が入っていない自然林
見応えがあります
17期生4月24日講座報告
午後から天候は悪化傾向との予報で、開講するとすぐに先生お手製の(日本の植物学の父牧野冨太郎作成のような)とても詳しく書かれている《春~初夏の野草ミニ図鑑》を手にフィールドへ。タンポポ研究で有名な木村先生、タンポポの講義を中心に身近に咲いている植物全般の解説を聞きながら公園を散策します。
1904年、牧野冨太郎が刊行した植物学雑誌で札幌でセイヨウタンポポを発見した事を発表。全国に広がって行くだろうと予見した。
セイヨウタンポポは無融合生殖で受粉は不要。種は軽く遠くまで散布され水さえあれば1年中発芽し定着率も良く1年中開花することができ繁殖力が高い。しかし、アルカリ性の土壌に育ち環境適応能力は低く短命。
在来種であるカンサイタンポポは虫媒介。昆虫による媒介が必要。種子数も少なく種は重いため遠くへ飛来することができず親株の近くに落下する。春から夏にかけて発芽を抑制し夏眠状態。9月~10月に発芽。開花は春、まれに秋。
5年ごと続けているタンポポ調査でも、減り続けていた在来種は200年より増加傾向。外来種の分布の低下の原因の一つとして、ずっと続いてきた山を切り開く開拓工事開発による農地の減少が一段落したこと、又、泉北・千里ニュータウンなど1970年代から造成された大規模な住宅地の自然環境が安定してきたことなどが考えられると講師は話される。
2024年3月1日~5月31日2025年3月1日~5月31日はタンポポ調査・西日本2025と称されタンポポの分布を誰でも参加できる調査が開始されます。
先生のご配慮もあり、雨に降られず自然の花たちを楽しむ事ができました。(A.N)
花は咲き競い過ごしやすい季節ですね
《春~初夏の野草ミニ図鑑》で同定します
座学では、ミニ顕微鏡を使ってタンポポの外来種・在来種の花粉の違いを観察します
講座生が皆“らんまん”の世界に入り込んで、真剣な表情で観察しています
植物の構造には、知恵とカラクリがあります
先生が採ってきたチャコウラナメクジで、外片が反り返っている【謎】をわかりやすく解説して下さいました
17期生4月10日講座報告
美しく華やかに咲いていた桜がハラハラと舞い散る中17期生講座の開講式が挙行され、相原代表理事は式辞で2021年2022年と2年間は新型コロナ感染症による自粛期間に募集を中止したことを話し、今期も多くの申し込みがあったことなど感謝の気持ちを述べました。
〈学びの場〉を通して講座生が仲間づくりの輪を広げ、座学やフィールドでの観察や体験をすることで自然と環境保全に更に興味を持ち講座スタッフ共に楽しく学習が出来るようマナーやルールについての説明。
午後からは17期生自己紹介。当カレッジへ申し込みのきっかけや期待すること、スポーツや趣味、アピールポイントなど皆さん上手なお話しに聞き入り、緊張の中でも笑いもあり、その後、3班に分かれて班長・副班長を決め、班ごとのグループライン作成など和んだ時間となりました。
専門分野の講師を招いての講座のスタートを楽しみに、17期生開講式は終了しました。(A.N)
2024年度17期生 集合写真
代表の挨拶 開講式が始まりました
2年間の講座に向けて期待など自己紹介Time
班ごとのミーティングTime
快晴・桜の下17期生講座がスタートしました