いのちの営み探検部会10月活動報告
いのちの営み探検部会 10月活動報告
昨年の部会では一匹もカマキリを観察できず、「今年こそは!」とリベンジを誓う世話人たち。そんな中、前週の奥の谷での昆虫部会で多数のカマキリを観察したとの情報を得たため、観察場所を錦織公園から奥の谷に急遽変更。
奥の谷へ向かう道中でたくさんのオオカマキリの卵嚢を見つけた後、カマキリの生態のお勉強。
- 物の形を判断する左右の複眼の間に、明るさを感じる三つの単眼がある。
- カマキリは肉食性でハエ・蚊などの昆虫だけでなく、カエル・トカゲ・小鳥まで捕食するケースもあるらしい。
- 前翅(ぜんし)と後翅(こうし)を持つが、短距離を飛ぶのが精一杯。
- 後翅の付け根に耳が1個あり、2万ヘルツ以上の超音波を感知できる。
- 孵化→脱皮→羽化→交尾→産卵までの一生を、連続写真を見ながら学ぶ。
- ハリガネムシはカマキリの体内に寄生し、最後にカマキリを水辺まで誘導し、脱出する。
次にカマキリの探索を開始すると、立て続けに「いた、いた」の声が上がる。オオカマキリ7匹とコカマキリ1匹の合計8匹をゲットし、見事に昨年のリベンジを果たす。参加者から、バッタを入れた虫かごにカマキリも入れたら、アッという間に完食してしまった、との報告もあった。さらにカマキリを水に浸しハリガネムシの脱出を期待するが、願いは届かず。 最後に、捕獲した卵嚢を解剖し、整然と収納されている無数の卵を観察し、これにて本日の部会は終了。(AU)
オオカマキリの全身、捕獲した中で最大は約8㎝。素手で掴むと前脚の鎌で攻撃されて、思わず「イテテ!」
オオカマキリの頭部はエイリアンにそっくり!? 左右にある複眼、その中の偽瞳孔、複眼の間にある単眼が観察できる
コカマキリはオオカマキリと比べてかなり小型。前脚の鎌の内側の白と黒の帯が特徴的
オオカマキリの卵嚢の内部には無数の卵が整然と並ぶ。観察のためとは言え、ゴメンネ
いのちの営み探検部会 7月活動報告
野山を歩くと、春から夏にかけてしばしば目につく美しいアザミの花。花の表面を刷毛あるいは指先でそーっと触ってみて下さい。アザミの花は小さな花の集合体。紫色の突起の表面から白い粉が吹き出してきませんか?!これはアザミの花粉です。写真1中央の丸い集合体は幾つもの蕾。蕾から管状・紫色のオシベが伸び、開花です(写真1)。管状オシベの中には葯とめしべが包み込まれており、オシベに昆虫などが触れると、管内部からオシベ表面に花粉が押し出されてきます。次いでめしべ花柱がおしだされ、花粉を纏いながらめしべが伸長。この時めしべの柱頭は開いておらず、これらの花粉は自身の受精に使われることはありません。昆虫の体についたまま、他の花に運ばれます。自身の花粉がなくなると、アザミ花柱の先端(柱頭)が開口、蜜を求め他のアザミ花粉を纏った昆虫がやってきて柱頭に花粉を付けます。このようにして自家受粉を避け、他家受粉を行うことにより、より多様性を持った子孫を残すことが期待できます。アザミはまだしばらく、観察できると思います。もし見かけたら優しく触れて、オシベ、花粉押し出し、メシベ伸長、花柱柱頭の開口などを観察してみてください。
他にも他家受粉のための工夫を示す植物はいろいろと知られています。ホタルブクロやキキョウなど。例えばキキョウでは同じ茎に咲く花の間では、オシベ優勢で自身の花粉を出す時期と、オシベが萎れ、メシベ柱頭が開き、他の花からの花粉の受粉状態にあるものが見られます。これも自家受粉を避ける仕組みなのでしょう。
今回は祭日でもあり参加者は少なかったが、道中、様々な生物に出会い、それぞれ興味の赴くまま、多様な生物のいのちの営みを見いだし、みんなそれぞれに頑張って生きてるなと言う思いを強くした。(本文:A.F、写真:H.I、K.H、A.F)
いのちの営み探検部会 6月活動報告
今年は粘菌の出現が少なく、前日の下見もかろうじて4種確認。当日はどうなるかと心配されたが、1時間半ほどの間に子実体10種と落ち葉の中に変形体も確認することができた。やはり観察会は楽しい。集団の力の大きさを実感。
初めに、6月8日に奈良で行われた粘菌観察会に参加して学んできた粘菌の探し方を参加者に伝授するところから。「倒木・朽木・落ち葉など、粘菌のエサとなるバクテリアが居そうな場所を見つける。特に今の季節は落ち葉につく粘菌が多いとのことで、まず粘菌の這痕(葉脈とは違う黒い筋など)のついた落ち葉を見つけ、その周辺をほじほじ棒でほじほじ、微小のつぶつぶに注目しながらひたすら探す。」ということで、いざフィールドへ。落ち葉につく粘菌はなかなか見つけられなかったが、倒木や朽木の上などに次々と子実体になった粘菌を発見することができた。
昼食後、以前烏帽子形公園で見つけた粘菌の標本を見ながら、本日見つけた粘菌を確認して解散した。(K.T)
本日確認できた粘菌(倒木・朽木の上)
ウツボホコリ・シロウツボホコリ・ホソエノヌカホコリ・ツノホコリ・エダナシツノホコリ・ナミウチツノホコリ・ムラサキホコリの仲間・ツツサカズキホコリ・マメホコリ・コマメホコリ・落ち葉の中の変形体
解散後、さらに5種発見(落ち葉やササの上)
クネリカタホコリ・ハイイロフクロホコリ・ガマグチフクロホコリ・ジクホコリ・モジホコリの仲間?
(写真:Y.H、K.T)
いのちの営み探検部会 5月活動報告
今日はアメンボの観察。日頃は池や小川に生息するアメンボに目を止める機会がなかったが、今日はじっくりと観察。まずはアメンボの特徴を聞く。
- カメムシの仲間で、日本には約30種類が生息。
- 危険を感じると飴のようなにおいを出し、体が細いことから飴棒(アメンボ)と呼ばれた事が名前の由来(諸説あり)
- 重さは0.04g、アメンボ25匹でようやく1円玉の重さになる。
- 脚には細かい毛が生えていて、体内から分泌される油分を足に塗る事で水をはじき、表面張力を活かして水面に浮かぶ。
- 肉食で、小さな虫が水に落ちた波動を脚で感じ取り、餌とする。
- 春に水中で交尾し、産卵。卵が孵化すると脱皮を繰り返し成虫になる。
その後、パークセンター裏の石水苑から観察をスタート。多数生息しているアメンボを、小網を使って採取。右に左に動き回ってなかなか同定ができない。さらにアメンボ池に向かうが、ここでは名前と違って全く姿が見えない。最後に河内の里の水車脇の小川に移動すると、再び多数のアメンボを発見。何とか撮影した写真をもとに同定を試み、「コセアカアメンボ」と「ハネナシアメンボ」らしいと推測し、観察を完了。
水面に浮かぶアメンボ達。涼しい顔をして(?)水中に沈まないのがうらやましい。
動き回った後でようやく落ち着いたところを撮影、「コセアカアメンボ」と推定。
写真を拡大すると小さな羽が見える。「ハネナシアメンボ」かな?
いのちの営み探検部会 3月活動報告
まず初めに、タブレットを用いて「農研機構」や「NHK」の動画を見て、スギナは地下茎が伸びて繁殖力が旺盛で田畑の困り者、生活史や繁殖の方法、ツクシの胞子や前葉体から幼体への変化などの知識を得てからスタート。子供の頃、♪♪ツクシだれの子、スギナの子~♪♪と口ずさみ、ツクシは成長して大人になるとスギナになると思っていたが・・・・。ツクシはスギナと同じ地下茎から出てきて、時期をずらしてツクシのほうが先に出てくる。そして、スギナが出てくるころにはツクシはほぼ枯れてしまう。つまり、親子関係でなくてスギナは光合成をして養分の調達をし、ツクシは胞子を作り繁殖を担うという役割の違う同僚関係といえるのか。
40倍率の簡易な携帯顕微鏡で胞子を見ると、4本の腕(弾子)が見え、息を吹きかけ湿らすと胞子本体に巻き付き、しばらくして乾燥すると腕(弾子)が伸び、隣り合った胞子が弾けあう様子が見られ自然の不思議を感じる。
当日は、気温も低く風もあり寒い一日だったが、道端や畑地にはタンポポ、スミレ、ナズナ、タネツケバナ、ハコベ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザなどなど、民家の庭先にも春の園芸草花が彩り、春のポカポカとした気持ちの良い暖かさはもうすぐだ!!(M.T)
いのちの営み探検部会 1月活動報告
比較的暖かい日が続き、日中は3月の気温だとか。数年前にもシモバシラの霜柱を見たいと挑戦したが、時期は2月、すでにシモバシラは何度も霜柱を作り、地上茎組織が氷で破壊され、もはや霜柱を作れないとのこと。翌年金剛山に出かけ、アキチョウジにスカートの裾を翻すような、美しい霜柱を見た。今度こそシモバシラの霜柱をと、観察時期をひと月、前にずらし、再挑戦。しかし今冬は一度もシモバシラに霜柱ができていないとのこと。暖冬のせい!! 地上部が枯れても、まだ倒れずに立派にたっているシモバシラを、ボランティアガイドさんに案内していただいた。いつかきっと,美しい霜柱に会えるといいな!
暖冬なら、早春の花は見事に咲いているかも・・・。いくつかの可憐な花に出会った。バイカオウレン、セリバオウレン等、キンポウゲ科の植物。しかしセツブンソウはまだだった。期待していたフクジュソウもほんの数輪が開花。温度計を用意して、花弁内の温度を測ろうと楽しみにしていたのに。フクジュソウは太陽の方向に花を開き、熱を集めて花内部の温度を高める。花粉の発芽や花粉管の伸長、種子の成長を促進。寒さで活動能力が低下した昆虫に、熱を報酬として与えることで昆虫を誘引するらしい。
園内にはまだ花が少ない中、ガイドの方にはいくつかの珍しい植物も案内していただいた。絶滅危惧種のハタケチャダイゴケ、スイセンの原種、ネバネバのトチの芽など・・・・・。丁寧な案内をしていただきありがとうございました。(文・写真:A.F)
いのちの営み探検部会 12月活動報告
初冬の寒さのためか 参加者は5名と少なかったがおち場を踏みながら植物・昆虫・鳥と「いのち部会」らしい雑談で楽しい一日を過ごしました。もちろんテーマの種子にまつわる生存戦略の観察と考察の話で盛り上がりました。 動物と違って大地に根を張る植物は動けません。なぜ動かないとダメなのか?
動く必要性
- 親から離れることで生存率が上がる。(劣性遺伝を防ぎ絶滅を回避する)
- 育成地を変えることで広い範囲や異なるタイミングで芽生え育ちます。
- 生育に好適な場所で育つ
などが考えられます。
種子による移動
種子には芽を出して育つための遺伝子と栄養分を詰め込んいます。カプセルは頑丈で乾燥や猛暑・厳寒などに耐え、何十年何百年と発芽せずに好ましい環境が来るのを待っています。
①風を利用の散布
- 綿毛で風を受けるもの タンポポ
- 種子に翼を着けて滑空するもの ボダイジュ、モミジ、アオギリ
- 極小種子でほこりのように飛び散るもの ラン、エケベリア
- 強い風の時に振り出されるもの ケヤキ、イヌシデ
②水による散布
- 河や沼、海流を利用するもの ヤシ
- 雨滴を利用するもの ネコノメソウ
③動物による散布
- 動物に果実を食べてもらい、果肉は消化され種子を排泄し散布する
- 貯食散布 果実を食べるためや越冬等の時食料として貯蔵するが食べ残しや探し損ねたものから発芽する
- 付着散布 動物の体や足に付着し散布する フック型・逆さとげ型センダングサ・錨・粘着オオバコ
自力散布
- バネ仕掛けのように弾き飛ばし散布する ツリフネソウ・ゲンノショウコ・フウロソウ
(Y.T)
いのちの営み探検部会 10月活動報告
ナニワトンボとは、日本特産種の赤くならない赤トンボの一種で、体長が30mm~40mmと小さく、オスは成熟すると黒化し、やがて蒼白色の粉が生じてくる。西日本に広く分布し、丘陵地や低山地の樹林に囲まれた浅い水際に生息する。6月下旬ごろ出現し、11月末ごろまで見られる。名前は最初に発見された大阪にちなんでいる。
快晴の秋空に恵まれるも暑くなりそうな天気の中、寺ヶ池公園の駐車場近くの東屋で集合。簡単な説明の後、池の方へ移動する。途中で赤トンボの仲間であるヒメアカネや、野鳥のエゾビタキ等を観ながらしょうぶ園に到着。周辺の林縁部を丁寧に探していると、「ここにいるよ」の声が。皆の注目が集まるところ、あじさいの枯れた枝先に水色の小さな『ナニワトンボ』がいた。その後もあちらこちらで個体を発見し、ハート形に連結したペアまで確認できた。おまけに、リスアカネのオスメス等も観察できた。
「ナニワトンボは初めて見た」という会員がほとんどであった。大変貴重なトンボに出会い大満足な部会となった。