15期生10月19日講座報告
ここ箕面公園は滝と紅葉で知られており多くの人に親しまれている。そして1100種の植物、3000種を超える昆虫が生息する豊かな自然環境が有る。今日はこの箕面公園で野外学習ですが集合場所に来るのに利用する交通機関の運行見合わせの事態が発生。でも、熱心な皆さんが何とか集合出来て1時間遅れとなったが、澄み切った秋晴れの下、箕面大滝を目指してスタート。
ボランティアガイドさんから、明治43年に箕面に開園した動物園、富くじのはじまりは瀧安寺、全国素人囲碁大会の会場となった梅屋敷、珍しい活断層の露頭、オカメ岩やライオン岩等々箕面滝道にまつわる話を聞きながら2.8kmを歩いて箕面大滝に到着。滝つぼにかかっていた虹を見て清々しい気分になりました。
昼食後は坂道を下って森林浴をしながら、身近な昆虫、見たことのない虫や綺麗な虫などいろいろな昆虫が展示されている箕面公園昆虫館へ。放蝶園ではオオゴマダラ、リュウキュウアサギマダラなど十数種類の蝶が飛び交っており、吸蜜の様子など間近で観察と写真を撮ることが出来て楽しい時間となった。最後にここの名物であるもみじの天ぷらの材料はおたふく葉と呼ばれるモミジ葉で一行寺楓という種類の木の葉で、この近辺のもみじ葉ではないそうです。是非また、紅葉のシーズンに来ましょう。(T.O)
珍しい活断層の露頭がみれる
落差が33mの箕面大滝をパチリ!
水色のマダラ模様が美しいリュウキュウアサギマダラ
日本産シロチョウ科で最も大きいツマベニチョウ
15期生10月12日講座報告
今日は和歌山市加太・城ヶ崎海岸でのウミウシ観察。潮が引くのを待つ間、東屋でウミウシについての講義を受ける。
ウミウシとは殻が無くなった巻貝の仲間で軟体動物。磯・干潟はもちろん水深100mを超える深海まで多種多様なウミウシが暮らしている。多くは体長数ミリから数センチだが、中には50cmを超える物もある。美味しくない餌を食べて、美味しくない体にして外敵から身を守っているなど変わった生態を学んだ。
講義の後は磯に降りて、ウミウシの探し方、岩場での注意点などの説明を受けて、いよいよ観察会の始まりだ。あちこちに散らばり、潮溜まりの前にしゃがみこみ、石をひっくり返している。皆一生懸命探すがなかなか見つからない。やっと「これはウミウシです」との先生の声に、周りにいる講座生が集まって、初観察にワイワイガヤガヤ。ルーペをあてて見たり写真を撮るのに忙しい。
ルーペで見ると、触角を出し牛のようにゆっくりと動く姿に「可愛い!!」の声が上がる。その声に触発されたのか、その後はオカダウミウシ、イズミミノウミウシ、ツヅレウミウシ、アカボシウミウシなど、次々見つかり12種類のウミウシを観察した。また、イズミミノウミウシとオカダウミウシの卵、それに珍しい種類のイズミヨツマタウミウシも観察出来た。城ヶ崎海岸の豊かな自然に感動!楽しませてくれたウミウシ達に感謝!(S.Y)
この石に居るかな?ウミウシ探し
石に付いてるトトロウミウシ
イズミミノウミウシの卵、いっぱいだ!
アカボシウミウシ
好物はオカダウミウシだって!
イズミミノウミウシ
動くとヒラヒラかわいい
丸っぽくなく細長いヤツミノウミウシ
15期生10月5日講座報告
森林インストラクターである水谷先生は古代の手法で草木を使った染色をされおり、染色の原料、道具の無い時代の古代の人たちの染色手法を分かりやすく解説頂いた。
太古より布を染めて使っていたが、色を楽しむだけでなく、夏には藍染めを着て蚊を寄せ付けないよう、秋は栗で染め漆かぶれを防ぐ等実用的にも活用していたそうである。
模様の付け方・染色素材と発色についてのレクチャーを受け、バンダナサイズの布で染色に取り組んだ。布を棒に巻き付けたり、蛇腹状に畳んだりして板締め、てるてる坊主状に輪ゴムで縛るなど好みの柄を準備して、いざ染め作業に。
アカネ(深紅)、タマネギの皮(金茶)、栗のイガ(茶色)の他に、びわ、すもも、セイタカアワダチソウなど6種類の煮出し染液が準備されていて、浸け込んだりお玉で染液をかけたり真剣そのもので取り組んだ。
染め上がったそれぞれ自慢のバンダナを手に笑顔で記念撮影をした。明日香のおもてなしのおはぎを頂戴して終了した。
午後は高松塚壁画館の担当者の方に高松塚古墳と壁画館をガイドして頂き、壁画に描かれている内容が良く分かった。古代の草木染と古墳見学で少し古の風を感じた一日でした。(U.T)
真剣に説明を聞いて。
白い布をもらいさあ準備開始です。
しっかり染まるまで時間をかけて浸します。
染める度に水洗いするのが大事!
15期生9月28日講座報告
今日は「ねんきん観察」である。”ねんきん”と聞くと我々の年代の者は「年金」と思ってしまうが、馴染みが薄い「粘菌」である。粘菌は動物でも、植物でも、菌類でもなく、アメーバ動物に属している生き物である。変形菌は色や形が多様で世界では1,000種以上あり、日本には600種以上が存在している。粘菌は朽ちた木や腐葉土を生息場所にして、子実体や変形体が見つけられなくても、肉眼で見えない粘菌アメーバが生息しています。餌は主にバクテリアや菌類、キノコや酵母。胞子の分散は風や雨そして甲虫やダンゴムシ、トビムシなどによって運ばれることも有る。粘菌のライフサイクルは子実体→胞子→発芽→粘菌アメーバ→遊走子→接合子→小さな変形体→変形体→子実体形成となる。以上、粘菌の基礎知識の講義を受け午後から粘菌探しに挑戦した。
簡単に見つかると思ったのは大間違いで「これが粘菌だろう!」先生からは「これはキノコです」「残念菌糸です」との答えばかりなので本気モードに切り替えて探して、やっと「あっ、これは粘菌です」の声を聞くことが出来た。最終結果、今日は5種類の粘菌を見つけました。最後に顕微鏡で粘菌の観察や粘菌図鑑の綺麗な子実体などの写真を見て、摩訶不思議な世界に引き込まれて、新しい自然を発見した一日でした。(T.O)
オートミールで飼育中のイタモジホコリ
今日1番目に発見されたキウツボホコリ
見つけた粘菌の撮影に行列が!
イソギンチャクのようなエダナシツノホコリ
15期生9月21日講座報告
初めての夜の講座。海洋センターにてウミホタルの構造と生態を学ぶ。ウミホタルは体の直径が2~3ミリのミジンコに近い動物プランクトンで、日本近海のウミホタルは我が国固有種だ。昼間は砂の中、夜間にエサを求めて海中に泳ぎ出す。ウミホタルは、身の危険を感じた時や求愛の時に、体内に蓄積していたルシフェリン(体内では黄色)と酵素のルシフェラーゼを放出する。それが海中の酸素と反応して青紫色に発光している間に、捕食者から逃れるそうだ。
講義の後は、いよいよ観察に出発。それぞれ手作りの仕掛け容器を持って暗くなった砂浜に!風が強く、海は波立っているので、仕掛けは桟橋の風下側に設置する。中には仕掛け容器に海水が入らなかったり、紐が絡まったりして、海底に沈めるのに四苦八苦している受講生もいた。待つこと20分。容器を揚げて見つめるが確認出来ない。でも、容器の中の海水を地面に撒くと、キラキラ青く光るウミホタルが見える!動いている!あちらこちらで歓声が!!数は少なかったけれど、実物のウミホタルを見る事が出来て感動した。(S.Y)
ウミホタルについての説明です。
容器は底に着いたかな?
キラキラ青く光るウミホタル
ルーペで見たウミホタル、黄色いのがルシフェリンです。
15期生9月14日講座報告
登山口近くの広場で「金剛山の植生」「植物と動物」「植物の分類」「花の構造」などの簡単なレクチャーを受けて出発です。
植物にとって花は生殖器で種子を作るのに都合の良いように出来ている。自家受粉を避けるために、ツリフネソウはマルハナバチが入り易い形でギリギリのサイズである。ジャコウソウは花びらの裏側に、アケボノソウは花びらの中程に緑色の密腺があるなどアリを寄せる仕組みを持っているそうである。苞から花が出ようとしているシラネセンキュウ、地面を這うアカネ(根は染料になる)3種類のホトトギスの見分け方など丁寧な説明をして頂いた。珍しい花々と熱心な講義で受講生から次々と出る質問に、色々な角度からの回答で対応して頂いた。
色素には白は無くて光の乱反射により白く見えること、動物は人と違う色の感じ方をしているそうだ。ここ金剛山は多くの植物を観察出来るが、春4月から5月にかけてがベストシーズンなので是非その季節に訪れて楽しんでみては如何ですか。(T.U)
リスト片手に質問が次々と
シラネセンキュウの苞が弾けそう
花の先が下向きなので、これはヤマホトトギス
可憐なアケボノソウ 花びらの緑色の点が密腺です。
15期生9月7日講座報告
夏休みが終わって第1回目の講座は私達の身近な問題の一つである地球温暖化の要因である温室効果ガス削減への取組についての講義と代替エネルギーとしての太陽エネルギーの簡単な利用方法としてソーラークッカーを作製して調理をしてみました。温室効果ガスの削減は差し迫った地球規模の課題であるが各国の思惑が有り目標数値が達成できるかは不透明であるが、われわれ個人が出来る節電、省エネに務めましょう。
ソーラークッカーの基本原理は「出来るだけ広い範囲の太陽光を集める(反射板を使って集める面積が大きいほど集まるエネルギーはは大きくなる)」「容器は効率よく熱するのに反射しない黒い鍋や缶を使う」「生じた熱を逃さないように保温する」3つのポイントを頭に入れて、紙に印刷したソーラークッカーの縮小版で2種類作製の練習をしたあと、巌先生発案のソーラークッカー3号「マンタレイ」の作製に取り掛かる。実寸型紙でレンジシートに印を付け、線を引き、ハサミで切り、谷折り、山折りと久し振りの工作にてこずる場面もあったが、見事に(?)ソーラークッカーが完成。各自お手製の黒い缶に卵を入れてゆで卵を食べれるのを期待してクッカーを設置。先生は持参したクッカーでさつま芋、カボチャの蒸し焼き、かやくご飯にトライ。
ソーラークッカー調理の最大のポイントである太陽エネルギーの集まり具合が気になるところです。天候は台風一過の晴れとはならずに設置した時は晴れていたが徐々に曇ってきた。設置して2時間程経過後に回収してゆで卵の出来具合を確認しました。結果はゆで卵が出来た人、まだ生卵のままだった人とそれぞれでした。出来た人は早速美味しそうに食べて、生の人はお家でゆで卵に(?)残念な結果ですが、これは自然のなせるわざですよね。家でソーラークッカー調理にトライしよう。(T.O)
ソーラークッカーの作製材料
美味しいゆで卵を調理中のクッカーが並ぶ
サンオーブンで出来た蒸し芋の試食中
完璧なゆで卵、やったね!
15期生7月27日講座報告
今日は、楽しみにしていた伊吹山での高山植物観察の講座だ。雨の予報で心配していたが、バスの車窓から日が差し込んでいる。大丈夫そうだ!途中から合流されたガイドの湯浅先生から、スカイテラス駐車場に到着する迄の車中で、伊吹山の地形や特徴などの説明を受けた。①風が強い②霧が多い③雪が多い、の三つの特徴があると教わる。駐車場に近付くにつれ霧が湧いてきては風に流されている。見て納得!でも涼しくて気持ちよさそうだ。
バスを降り、ガイドブックを手に説明を受けながら西登山道を歩き出す。紫色のクガイソウやヒヨクソウ、桃色のクルマバナやシモツケソウなど可愛い花が現れるが数が少ない。近年、クガイソウ、イブキボウフウ、コオニユリ、シモツケソウ、ワレモコウなどは鹿の大好物の植物なので食害が深刻な状況と逆に鹿が食べないフジテンニンソウやアカソなどが繁殖する為、伊吹山固有の植物が減り山頂のお花畑は以前の面影が無くなったそうだ。私達が、管理されているお花畑の観察をしている時も、囲っている柵の外で草を食べている3頭の鹿を発見。以前のお花畑に戻す大変さを感じた。
その後、伊吹山を後にして梅花藻の観察場所、醒ヶ井に向かう。冷たく澄んだ水中に咲く梅花藻の、可憐な姿に心が癒やされ清涼を感じさせて貰った。往復路共、事故渋滞に遭い約12時間掛かった旅も無事終了。お疲れ様でした。(S.Y)
柵で保護されているシモツケソウです。
伊吹山頂上で集合写真。はいチーズ!
頂上の三角点にタッチ!
梅花藻が清流の中から顔を出してるよ!
15期生7月20日講座報告
午前の座学は、まず“里山とは?”の話の後、里山文化の継承の場としての森作りを進めている「堺自然ふれあいの森」についての説明を受けた。里山の環境を残し、生物多様性を出来るだけ保存して、次世代を担う子供達に伝えると言う取り組みをされているそうだ。私達シニア世代にも懐かしい風景に出会える場所だ。
座学後半は両生類と爬虫類の違いや特徴など比較しながら学ぶ。カエルの婚姻瘤、トカゲの第3の目(頭頂眼)、ヘビの割れた舌先などの説明は面白くて聞き入ってしまった。また、ふれあいの森で会えるカエル・トカゲ・オタマジャクシ・ヘビ等の特徴を教えて頂き午後に備えた。
午後は網を手にしてフィールドへ。暑い時間帯は人間と同じく草陰で涼んでいるとの話で、草をかき分け探す。トカゲを見つけるが動きが速くて捕まらない。三人がかりでやっと小さなカナヘビを捕獲!その後木の葉の上のアマガエル、田圃で見つけたトノサマガエル・ヌマガエル・シュレーゲルアオガエル・オタマジャクシ等を捕獲!ヌマガエルの婚姻瘤やニホンカナヘビの頭頂眼などもルーペで確認することが出来た。知っていましたか?カエルの前足の指が4本で(写真を参照)後ろ足の指は5本なのを。日頃カエルを見ても指の数までは気にしていなかった。じっくりと観察する大切さを再認識。イモリやヘビには出会えなかった(残念よりはホットした?)が小さなカナヘビやカエル達のかわいさに癒やされた一日だった。(S.Y)
オタマジャクシ追い込み捕獲作戦?
ニホンカナヘビの頭頂眼。見えますか?
シュレーゲルアオガエルのオタマジャクシです。可愛い!
ヌマガエルの婚姻瘤。メスを抱え込むための抱きダコです。
15期生7月13日の講座報告
今日の前半はこれまでの講座でも度々出てきた「生物多様性」について解説して頂いた。”いろんな生物がいろんな自然の中に暮らし、お互いにつながって存在している事”で、生態系の多様性:供給、調整、文化的、基盤の4つのサービスが関係しあって生物は生きている。
- 種の多様性:地球には175万種あるが種の絶滅が進んでいる。
- 遺伝子の多様性:同じ種の生物でも、様々な個性が生まれる。
そうして、この生物多様性には
- 第1の危機:開発など人間活動による危機
- 第2の危機:自然に対する働きかけの縮小による危機
- 第3の危機:人間により持ち込まれた危機
- 第4の危機:地球環境の変化による危機
の4つの危機が挙げられる。生物多様性は豊かな生態系システムを保つことが人間の健康につながり、気候変動対策の重要な要素で、経済効果をもたらし、文化と密接に繋がっている。つまり、私達が自分自身を守るためには自然を守ることが必要であることの重要性を認識出来ました。
後半はセンター内の展示や屋外ではビオトープ池、水辺の植物園、コイ池などを見学。天然記念物で絶滅危惧種のコイ科で日本固有種のイタセンパラの飼育繁殖を行っており産卵期(9~11月)には赤紫色をしたオスのイタセンパラが見られます。最後に最近関西を中心に増えている外来種のアカハネオンブバッタの調査のお手伝いをしました。採取網で捕まえたバッタがショウリョウバッタかオンブバッタか、判定してオンブバッタなら、それがアカハネオンブバッタであるかを後羽を広げて色を調べます。オンブバッタは透明で、アカハネオンブバッタは赤色をしている。結果はオンブバッタ20匹の内11匹がアカハネオンブバッタで、侵略が進んでいるようだ。
は~い今日はここまで。”水曜日は雨が降らないネ”の声を聴きながら帰ります。(T.O)
産卵期にはオスが赤紫色になるイタセンパラ
何処にいるか分かりますか キイトトンボ
四つ葉のクローバーに似た水草デンジソウ(田字草)
花や葉を見ると清々しい気持ちになる蓮