15期生7月6日講座報告
初めての農業体験は、堺市南区にある約30アールの広さの圃場で行われた。台風崩れの雨が朝に上がり、到着した時は日が差すほどの天気になった。暑くなりそうだ・・・
午前は夏野菜の収穫と袋入れの実習だ。三つの班に分かれ、収穫方法の説明を受けて、アシスタントと一緒にそれぞれの持ち場に向かう。キュウリやナスは屋外なので良かったが、ビニールハウス担当のトマト班は40℃にもなる室内での作業なので、大変だったそうだ。収穫は30分ほどで終わり選別作業になったが、連日雨が続いていたせいかキュウリの太りすぎやトマトの実割れなすの表面の摩擦傷等もみられた。畑には収穫した野菜以外にオクラ、カボチャ、甘長ピーマン、枝豆、サツマイモなど作付けられて成長が待たれている。
袋入れ作業は、農作物用「防雲袋」(ボードン袋)と言って穴あきの曇らない袋を使う。野菜の表面を拭き、計量し、形を揃えて袋に入れる。収穫から出荷までの作業は思っていたより手間が掛かる物だと実感した。昼休みに規格外品を格安で分けて頂くことが出来、新鮮野菜を両手いっぱい手にする講座生の姿もあった。
午後は座学で、野菜作りの楽しみ方を体験談を交えながらお話して頂き、その後講座生からの質問にも答えて頂くことが出来た。農業は日常の管理が大変なのと、猛暑と日照りや逆の大雨、長雨など天候の影響を受けながら苦労して野菜を育てて、それを収穫する喜びは大きい事だろうと思うと共に感謝です。講座は、30℃を超える暑さのため少し早めに終了した。(S.Y)
私達が収穫しました!
カメムシの被害に遭ったナスです。規格外になります。
ジャガイモ計量中。意外とむずかしいよ!
作業終了。沢山売れますように!
15期生6月29日講座報告
日本で唯一、生物群集として天然記念物に指定されている深泥池(みぞろがいけ)を観察したが、観察前の予備知識としてポイント1:暖温帯にあるのに低層湿原(熱帯、暖温帯で発達しやすい)と高層湿原(寒冷な地域で発達しやすい)の両方の特徴を持つ珍しい湿原である。ポイント2:14万年間もの長い間湿原環境が継続されている。(尾瀬ヶ原は4万年ほど)ポイント3:北方系の生物と南方系の生物が共存している多様な生態系が存在している。
ここの特徴の一つである浮島はハリミズゴケが堆積したもので夏場はメタンガスが溜まって浮かび上がり、冬場は水面下に沈むそうである。水面にはジュンサイやタヌキモ等の水生生物が繁殖しているその中に水生生物が掻き分けられて浮島に向かって水路が出来ている。これは何と鹿が浮島へ泳いで行く水路なのだ。鹿は安全な浮島を寝床としており鹿が増えて周囲の植生や浮島の破壊や脆弱化の被害が出ている。数多くのトンボ類がいるのも特徴の一つである。
今回はラッキーなことに国内最小のハッチョウトンボが私達の目の前の水際に飛来して皆を喜ばせてくれた。ここでの活動が長い先生も初めての体験で驚かれていた。シカ害、水質の変化による生態系への脅威、外来生物の繁殖等からこの自然を保持するには保全の基本を理解してもらい、保全して得られるメリットを人に還元することが大切である。との考えを基本に日々活動されている先生やボランティアの皆さんに感謝です。
京都府立植物園ではガイドして頂いたが、花の少ないこの時期と暑さが重なり内容的には少し寂しかった。今回は案内頂いた範囲も広い園内のごく一部となったので、春や秋の良いシーズンに来て京都府立植物園を満喫してみましょう。今日はこの猛暑の中を皆元気で終了出来ました。お疲れ様でした。
暑さも何のその、先生の説明に聞き入る受講生
ラッキー 浮島にいるハッチョウトンボが目の前に!
黒い粒の捕虫嚢でミジンコを捕えるオオバナイトタヌキモ
ハナイカダ
若葉は天ぷらやおひたしで食べれるそうですヨ
15期生6月22日講座報告
今日は昨年10月の「昆虫入門」講座の2回目である。
先ずは前回の復習も兼ねた座学で、昆虫は6本脚の生物、クモは8本脚なので昆虫ではありません。世界には確認された昆虫は100万種、植物の27万種よりはるかに多く、まだまだ新種の発見が予想されるので、もっと多くなりそうである。
昆虫の名前を調べる第一歩はその昆虫が、どの「目(もく)」に属しているかを知ることで、生物の分類単位の1つである「目」は昆虫では30目ある。その昆虫目のトップは皆知っているクワガタ、ホタル、テントウムシなどのコウチュウ目、2位はハチ目、3位はチョウ目、ハエ目、カメムシ目がトップ5である。コウチュウ目は2枚の翅は重ならず、カメムシ目は2枚の翅が重なっている。ハエ目は翅が2枚、ハチ目は4枚でアブの仲間はハエ目。アブラムシはカメムシ目で口が針になっている。アメンボウもカメムシ目で、カメムシ目は見た目(姿)が多様性である等、同定する時のポイントを習った。
後半は前日の雨も上がったフィールドで昆虫採集。野外の蒸し暑さにも負けず雑木林、畑、田んぼ等を昆虫を探して回ること1時間余り、その後教室で図鑑を手に、すぐに名前が分かる種や判定が難しい種は先生の助けも借りて同定を行った。いろんな昆虫が採集出来る、ふれあいの森は昆虫たちには適した環境がであること、残しておきたい場所であるのを確認して終わりました。(T.O)
暑さに負けず昆虫採集
網は開くのは簡単、たたむのは難しいヨ!
ヤゴは陸地(半水生)で生活するムカシヤンマ
翅が赤いのでよく目立つベニホタル
15期生6月15日講座報告
梅雨入りして二日目の曇り空の中、多奈川駅から歩いて25分、水産技術センターに到着した。
同センターでは大阪湾を対象に、海を守る・浜辺を再生する・魚を調べる・魚を増やすと言う役割を担っているそうだ。ビデオを交えての説明の後、館内の展示コーナーや栽培漁業の為の稚魚飼育槽の見学をした。それぞれの水槽にはキジハタやトラフグの稚魚・成魚、それにヒラメの成魚等が元気に泳いでいた。側に緑色の泡が立っている水槽が有り説明によると、ワムシ(プランクトン)と言う生き餌を培養しているそうだ。人間からはルーペで見ないと確認出来ないくらい小さいのだが、稚魚はこれを目でしっかり確認して食べることが出来るので生物飼料として適している。
午後は、大阪に残された貴重な自然海岸“豊国崎海岸”に移動して生物観察の始まりだ。先生から採取方法や注意点等の説明を受けて、思い思いの場所に採取しに行く。波打ち際で石をひっくり返して貝やカニを見つけたり、海藻に隠れている魚を探し出したり、皆真剣だ。
突然の「タコ捕れた!!」の声に歓声が上がった。一時間の採取の後は同定作業だ。沢山のウニ・ヒトデ・ナマコ・アメフラシ・10種の貝類・海藻・ドロメやギンポの魚類・タコまで・・・・・生物の多さに一同感激!採取した生物は観察終了後、海へリターン。豊かな豊国崎海岸の自然を大事にしたいと思った。
ルーペ出して!この瓶の中のワムシ見たい!!
ウニ捕まえたよ!食べるにはちょっと小さいね。
僕マダコの子供です。海に帰って立派な大ダコになります。
先生を囲んでの同定作業です。
15期生6月8日講座報告
午前は座学でアウトドアで一番多い切り傷、擦過傷は傷口を水洗い、出血が多い場合は直接圧迫止血(10~15分)、そして傷テープはかさぶたをつくらず早くきれいに治るジェル状の(湿潤療法)傷テープが良いそうである。熱中症の症状と対策、毒蛇、蜂、野生動物による狂犬病、毒キノコ、ニラと水仙を間違えて食べることも有るなど具体的な対策と予防や受診が必要な症状について学んだ。
午後は実技で三角巾を使って基本的な折り方を学び、頭頂部・腕・膝・下肢のケガの際の巻き方、足首を捻挫した際の固定の仕方等を実際に練習した。隣の人に巻いてあげたり、教え合ったりし熱心に取り組んだ。心肺蘇生法として、人形を使って心臓マッサージの練習とAEDの使い方も学んだ。マッサージは心臓(位置は左胸でなくほぼ真ん中)の上に手を組合せて重ね、手のひらのふくらみの部分で、肘を伸ばして真上から押し下げる。マッサージを始める前に必ず救急車の依頼とAEDを探して持って来てくれように周囲の人にお願いしておくことが大事です。こんな状況に遭遇するかもしれないので、しっかり学んだ。(T.U)
頭頂部の傷の手当ってこうかな?
ノドに巻くと苦しいのでアゴで結びます。
三角巾を腰に巻いて本結び、引き抜く・出来た?
心臓マッサージ 腕を伸ばして真上からが基本
15期生6月1日、2日講座報告
今回は待望の一泊研修で心浮き浮き笑顔で出発。1日目は昔ながらのかやぶき屋根の民家の集落である美山かやぶきの里を散策して宿に早めに到着。夜は15期がスタートしてから初めての一同での食事プラス懇親会で大いに盛り上がり、楽しい時間を共有した。
2日目は今回のメインである芦生の森のトレッキングツアーである。コースは由良川の源と言える谷で原生林の姿をよく留めている歩行距離約4kmの上谷コースである。お弁当をリックに入れてアカショウビンの鳴き声を聞きながら終点の杉尾峠を目指して長治谷作業所を出発して林道へ。スギ林を抜けた野田畑湿原には木地師の住居跡や植えられた黒松やスモモ、ヤマザクラが見られた。そうして、木々が芽吹いて新緑を鮮やかに爆発させている原生林へ。サワグルミ、トチの木、ブナなどの大木、クマハギされた杉や芦生研究林の天然林を代表するアシウスギ、モリアオガエルの白い卵塊、クマの越冬穴、ギンリョウソウ、アシウテンナンショウ、ニリンソウ、キンラン等々頭上から足元まで見るものがたくさんあり観察のネタは尽きない。
2班に分かれてのトレッキングで後の班で大発見がありました。Hさんが足元の積もった落葉から先だけ頭を覗かせているキノコを見つけたのでガイドの方に見てもらうと、そのキノコが匂うかどうか確認した後「今出たての希少種のキイロスッポンタケ(匂いがしないので幼菌)です。」との答えに一同、びっくり!キノコの専門の先生に連絡されてキイロスッポンタケは京都府内では絶滅したと考えられているキノコなので貴重な研究材料となりそうですネ。由良川の源頭部を確認し杉尾峠から日本海を望んで、谷を渡る心地よい涼風と共にトレッキングツアーは終了しました。
自然が創り出した原生林の凄さを感じると共に未来にこの姿を残していく重要性を認識させられた。季節によっていろいろな表情を見せてくれる、この芦生の森をまた訪れてみたいものだ。好天に恵まれ、仲間たちと楽しく過ごした2日間でした。(T.O、T.U)
トチの巨樹と集合写真
オオルリがいってらっしゃーい!
新しいクマハギの痕
葉や枝が下向きなのは行きの重さに耐えるため
見つけたよ!希少種のキイロスッポンタケ
花が葉の下にあるアシウテンナンショウ
15期生5月25日講座報告
午前の座学では「シダ植物について」と「光明池周辺のシダ類」の講義だ。
シダと言うと、花が咲かないのでマイナーな植物だと言う印象が強いが、ツクシ(スギナ)・ワラビ・ゼンマイ・コゴミ(クサソテツ)等身近な食材だと知ると親しみが湧いてくる。しかし種類が多くて同定するのは難しそうだ。 葉の色や姿と分岐、胞子嚢を入れる包膜の形・色・葉に付く部位等の特徴を確認しなければ決める事は出来ない。 パッと見ただけで分かるイノモトソウ・ノキシノブ・カニクサ・マツバラン等は楽だけれど、ベニシダ、イタチシダの仲間は手強そうだ。
午後は先生作成の“シダマップを”手に、ニュータウンの中に残っている雑木林の中を歩く。最初見たのはコハシゴシダとハシゴシダ。比べると何処が違っているかな?じっくり観察しないと分からないね!暑い中しゃがみ込んで確認したり、裏返して胞子を見たり、多くの講座生が熱心に観察している姿が見られた。写真を撮ったり、触ってみたり、思ったより時間が掛かる。時間内にクリア出来なくなりそうなので、初めて見るシダだけに焦点を合わせて速度アップを図った。結果14カ所48種類のシダ類植物を観察したが、やっぱり今回観察したベニシダ類(7種)、イタチシダ(4種)を見分けるのは手強かった。
座学の始まりです。スライドよく見えていますか?
コシダ
角のようにぴょんと飛び出している若芽が可愛い!
ベニシダ
包膜が少し紅紫色になっているのが分かりますか?
カニクサ
若草色の柔らかそうな葉に癒されます。
15期生5月18日講座報告
爽やかな好天で干潮の時間にも恵まれ、格好の浜辺の観察日和であった。せんなん里海公園は人工的に整備された公園であるが、泥質・砂質・礫質海岸、崖地があり、大阪府では浜辺の植物観察に適しているそうである。日射、強風、乾燥、塩分・潮の満干による環境の影響等を受け独自の形態・生態をしていることに注目して観察するが大事である。
崖地では、ウバメカシ、ヒメユズリハ、トベラなどの木が断崖に張り付くように成長していて、下にはオニヤブソテツなどのシダが見られた。砂質・礫質海岸ではハマヒルガオ、ハマボウフウ、ハマゴウ、ハマボッスなどの花が健気に咲いているのが見られた。オカヒジキ、ハマダイコン、ツルナは食べられるそうで、皆で試食してみた。河口ではヒトモトススキが見られ、何と生駒でも見られるとのことだった。クサイチゴの群生地があり、美味しく頂戴して目で舌で学習した一日だった。(U.T)
クロマツ
この枝で3世代の松ぼっくりが見られた。
ハマヒルガオ
小さくても健気に花を咲かせていました。
オカヒジキ
試食したら少ししょっぱかった!
ツルナ
これも試食。青臭いような味わい
15期生5月11日講座報告
今回は15期生では京都で初めての講座となる「薬用植物観察」である。ここ山科植物資料館は京都市の山科区内の住宅街のあり開設して70年の歴史があり現在、世界各地から収集した3,000種を超す薬用・有用植物を植栽している。
午前は山浦館長からここで回虫駆虫薬サントニンの国産化に研究開発されたミブヨモギ(サントニンの結晶化に成功した圃場の所在地の京都市壬生の地名から命名された)や各種の有用な植物についての解説で薬用植物の知識を注入。
午後は小グループに分かれて園内の植物をガイドして頂いた。馴染み深い植物のベニバナ(紅花)にはアザミに似た形をしたオレンジ色の花を咲かせますが硬くて鋭いトゲがありベニバナ油となる種子の収穫に苦労するので品種改良でトゲの無い”トゲナシベニバナ”が生まれたが今度は種子が小さくなったので再度、品種改良が行われ、出来たのがトゲが無く種子の大きさも確保されたが花の色がオレンジ色から白い花が咲く”シロベニバナ”となってしまった物語があるそうです。
初めて見る植物も多く時間の経過を忘れるほど楽しめたのと、今回の薬用植物観察で昔の人々が暮らしの中から自然界にある人間に有用で効能がある植物を見つけて、取り入れて来た事に人間の偉大さを感じると共に交通機関のトラブルで集合するのが大変な状況も体験した一日でした。(T.O)
日本で最も大きく毎年開花しているキソウテンガイ
日本三大毒草のドクゼリ(右側)茎が中空です。
トビカズラ
赤紫色の蝶形花で開花後に独特の香りを放つ
チョウキンレン
バナナに似ているが食べられないヨ、観賞用です
15期生4月27日講座報告
午前は太陽と月、それに地球を含む惑星についての講義だ。太陽のフレア(太陽表面の爆発現象)やスーパームーン等について、スライドを見ながら教わる。
昨年11月19日に見た ”ほぼ皆既月食”がとても綺麗な赤色だった事も理解できた。今年の11月8日に”皆既月食”があるが、トンガでの大規模な火山噴火の噴煙の影響で見え難くなる可能性もあるそうです。太陽系惑星では水星金星以外は全て衛星を持っており、地球は月の1個だけだが火星は2個、木星は79個、土星は82個も有るそうで、これらの星のお月見は夜空に浮かぶ満点の月を眺めるのだろうか?なんて想像するだけでも面白い!
午後は先ず星座早見盤を作り、操作方法を教わる。これで見たい星がいつどの方向に現れるのかが分かる。次の星空の観察会では春の大三角、冬の大三角の解説や、星座にまつわるギリシャ神話なども加えた解説に皆聞き入っていた。私達が月や太陽や星を見た時のその光はリアルタイムの光ではなく、それぞれの星から1秒間に30万㎞の速さで進む光が地球に届くのである。身近な月は1.3秒前の光を、太陽は約8分前の光を見ているが、七夕のひこ星は16年前、おりひめ星は25年前の光を、オリオン座のベテルギウスは500年前、室町時代の光を見ていることになる。
遥か遠い星からの光は人類の生まれる前の光を現在の私達が見ることは不思議な感覚に引き込まれ、果てしなく広大な宇宙を感じました。プラネタリウムにいるような空間の中で、先生自作のBGM(効果音)入りの話に笑い、星の美しさ、宇宙の神秘に感動した一日でした。(S.Y)
望遠鏡の中の鏡を見ています。11.5㎝だって!
久し振りの工作。チョキ、チョキこれぐらいで良いかな?
星座早見盤の完成
星空の観察会の始まりです。