大阪シニア自然カレッジ

15期生講座報告

15期生4月20日講座報告

開催日2022年4月20日(水) 晴れ
講座名植物入門(木本)
講師栗谷 至先生(大阪自然環境保全協会理事)
場所栂文化会館、西原公園

従来は1年目の初期段階で実施予定の講座であったが、コロナ禍の影響で2年目の実施となった。

午前中は座学で樹木の分類、その構造、幹・枝・葉の構造と形などの説明を受けた。特に近くで見かけることの多い「クリ」「コナラ」「クヌギ」「アベマキ」の4種類の木を、樹皮の形状からグランドキャニオンの地形変化の様子に合わせて覚えておくと、物知り顔できるかも・・・などユーモアたっぷりの話しに皆納得顔であった。

午後は西原公園に出て、実際に樹木の観察を行った。桜の葉をルーペを使って熱心に観察するところからのスタートでした。ケヤキが切られた枝の切り口を樹皮が巻き込んで補強していく様子や、その中心部では樹皮の巻き込みより早く腐朽してしまった様子もみられ、興味深かった。ここ西原公園はニュータウン開発前のアカマツ林が一部残っており、現在はコナラが多いが、やがてはシイの林へとアカマツ林の遷移が予想される貴重な場所である。途中で今日一番の可憐な花のカマツカ(バラ科で非常に硬い材質で別名牛殺し)を見つけ、皆一斉にシャッターを切っていました。(U.T)

15期生4月13日講座報告

開催日2022年4月13日(水) 曇りのち晴れ
講座名哺乳類入門
講師赤木 智香子先生
場所ノバティホール、長野公園

今日は日常生活で身近にいるイヌ、ネコなどのペット類や飼育されているウシ、ウマなどではなく野生動物の哺乳類を「生き物のつながり」と言う視点から考えてみる講座です。

これまでの講座で何度か出てきた自然の中のつながりである食物連鎖、生物多様性、生態系は昔も今も我々の生活基盤であり重要であるが、時代の経過と共に生活環境が変化して、減っている動物や増えている動物が混在し、人と動物の棲み分けが困難になったり、人を恐れない「新世代」の動物が登場するようになってきたそうである。我々が暮らしている大阪にはニホンジカ、イノシシ、ニホンザル、キツネ、タヌキや外来種のアライグマ、ハクビシン、ヌートリアなどの外来種を含めた約40種の哺乳類がいるそうです。フィールドサイン:動物の「生活痕跡」足跡、食痕、糞などの解説で座学が終了。

後半は学習したフィールドサイン探しを長野公園で実践。公園の途中の坂で見ることが稀なヒミズを発見したが残念ながら事故に遇ったと思われる亡骸でした。その後はアカネズミかモグラの穴や、イノシシがエサを探して掘り返した跡や通ったと思われる草地やメスのイタチの糞などを見つけは先生の解説を楽しんだ。最後に先生が持参してくれたアオバズク、ホオジロ、イノシシの下あごの骨、サルの栗の食痕、ツバメの尾羽等々の標本を見せて頂き、夏日となった暑い野外での講座を終えました。

15期生4月6日講座報告

開催日2022年4月6日(水) 晴れ
講座名自然観察の視点
講師菅井 啓之先生
場所栂文化会館、西原公園

二年目最初の講座は、「自然観察の視点」というテーマで座学が始まった。

自然観察とは?眺めて、名前を知ることだと勘違いしている人が多いが、知っていても分かったことにはならない。いのちの在り方営みを、自然から直接学ぶ「自然を読む」事が自然観察である。また、自然界には無駄な物は何一つ無く、どこかで繋がっているのだから、観察には空っぽの心で、不思議と驚きそして美しさを、自分の目で見て実感する事が大事だと学んだ。

午後からは西原公園での観察会。先ずは満開の桜の花びらを拾って、花脈を確認する。花脈の模様は人間の指紋のように、どれ一つ同じ物は無いそうだ。すごい!葉芽、花芽を手に取り、剥がして芽鱗(がりん)、托葉(たくよう)の確認。枝は芽鱗根(がりんこん)を数えて枝の年数を知る。面白い!次は石垣の隙間に咲いているオニタビラコ。 根元辺りには苔が生えていたり、枯れ葉がついていたりして、狭い空間に共存している姿が見られた。

実物を見て触れて、不思議と驚きの連続。自然観察は楽しいと実感した一日だった。(Y.S)

15期生3月30日講座報告

開催日2022年3月30日(水) 晴れ
講座名淀川の水生生物
講師横田 実先生(岸和田オリエンテーリング協会会長)
場所堺市都市緑化センター、大仙公園

「オリエンテーリングやったことある人」と聞かれて元気よく手を上げたものの、道なき所を走り回りタイムを競う競技とは思っておらず、DVDによる紹介映像を見て皆、驚き認識を新たにした。走力だけでなく地図を正確に読む力・ルートを判断し行動する実行力・冷静さ・忍耐力も必要とするスポーツだという事だった。地図の見方、コンパスの使い方では、地図の向きとコンパスの北の合わせ方など丁寧なレクチャー受けたが、簡単な操作だと思ったのに結果は皆とは違う方向になり、先生に手順の確認をしたり受講生同士で教え合ったりして午前のメイン課題をクリア!

午後は大仙公園に出て練習コースでの実習体験をした後、2~3名ずつのグループとなり正式な機器を使ってのオリエンテーリング競技を楽しんだ。スタート地点で地図をもらい、パンチ台のEカードユニットにEカード(電子パンチング計時用カード)をパンチしてスタート。2つのコースを交互に出発するが地図を見て行く方向をすぐ判断するグループやなかなか動き出さないグループがあったり途中、目標のコントロールフラッグの周辺で3~4グループがウロウロ、キョロキョロしている光景が見られたり、地図を見ながら黙々と足早に行くグループあり、それぞれスタイル、ペースで好天のもと満開の桜やユキヤナギノが見ながら(見る余裕があった?)全員がゴール。

先生がオリエンテーリング大会の情報サイトに入力してくれて成績がスマフォで閲覧が出来るのでみんなで確認して、いい汗をかいた講座を終了した。世界的な大会や本格的な大会は勿論、子供たちも参加できる公園でのいろいろなオリエンテーリングがあるので参加して下さいと先生からのお誘いも有りました。(T.U)

15期生3月23日講座報告

開催日2022年3月23日(水) 曇り
講座名人と自然公園のつながり
講師武田 敏文先生、6名のガイドの皆様
場所くろんど園地

今日は金剛山生駒国定公園の北端に位置する府民の森くろんど園地ハイキングコースで終日、野外学習で自然公園についての学びである。先ずは、ストレッチで体をほぐしてゴールを目指して、さあ歩くぞ?

前半は尺治川を右手にせせらぎを聞きながら、月輪の滝を注意しながら濡れた細い足場を歩いて間近に見学したり、6月には源氏ホタルが飛び交う生息地や春の花には早いが、それでもシュンランやショウジョウバカマなどを見てくろんど園地休憩所に到着。

昼食後、休憩所のテラスで府民の森の自然公園としての意義や生態系の保全、楽しみ方等のレクチャーを受けて後半のコースへ。おおさか環状自然歩道で藪の中に隠れて姿を見せないことが多いウグイスが、木枝を飛び交いながら春の訪れを告げる。”ホーホケキョ”のさえずりで歓迎してくれて全員が大喜び!池のアカガエルの卵塊や孵ったばかりのオタマジャクシ、カタクリの芽吹きなどを観察し最後に見頃となった群生している水芭蕉の花の観賞とクイズを。

武田先生やガイドの皆さんがいろいろ工夫して頂いたレクチャーで楽しく講座を終了しました。有難うございました。本日の歩行距離は7㎞強、受講生全員完歩、お疲れ様でした。

15期生3月16日講座報告

開催日2022年3月16日(水) 晴れ
講座名絶滅危惧植物と多様性保全
講師本田 高史先生
場所大阪府立 花の文化園(河内長野市)

午前の座学は、植物の多様性保全の話から始まった。川や海・森林・砂漠・気候や地形に応じて生態系が成り立っている。しかしながら維持して行くには、「生態系」「種」「遺伝子」の三つが多様でなければならない。先生から、植物と動物・微生物などとの関わりと、何故絶滅しそうになっているのか等を、例を交えながら分かりやすく解説して頂いた。

午後は絶滅危惧種を含めての園内見学だ。ムクゲはモヒカン頭に、ブラジルヤシはカピパラの顔に見える面白い種の観察。小さなアセビ花の受粉は、主に蜂がするとのこと。初めて見るハランの花と実をカメラで撮影。カラスノエンドウや桜の葉の蜜腺を、ルーペで確認。華やかな花でなくても、このような植物観察も楽しい!!

セッコウランやヤドリギなどを着生させているのも、花の文化園の多様性保全の一つだそうだ。ただ愛でる為だけではなく、植物の多様性を保全し、正しい知識を多くの人に伝える事も、植物園の役割なんだと初めて知った。(Y.S)

15期生3月9日講座報告

開催日2022年3月9日(水) 曇り
講座名野鳥観察②
講師久下 直哉先生、松岡 三紀夫支部長(日本野鳥の会大阪支部)
場所大阪城公園

JR森ノ宮駅に集合し大阪城公園へ。まず市民の森に向かい、樹木にいる鳥・地面にいる鳥の見つけ方の説明を受けた。耳をすまし声を聞き目視する。遠くから近くへと見ていくことが基本を再確認され、大きさ・色・鳴き声だけでなく、歩き方・飛び方・えさなど行動を知ることも大切であると説明され、コゲラ・ツグミ・ハクセキレイ・キジバトなどが見られた。

東外堀ではキンクロハジロがお腹を上に向けてバタバタしているところやカルガモの昼寝が見られ、「可愛い」の声。ナポレオンハットのお洒落なヨシガモ・地味なオカヨシガモ・オオバンやカイツブリ・マガモなどゆっくり観察できた。念願のカワセミは声はすれど姿は見せず、残念でした。

梅の花盛りの大阪城梅林で昼食を摂り梅林鑑賞の後、午後から桜門を抜け日本庭園へ。シロハラ・モズ・メジロ・シジュウカラを観察、オオタカの調理場(ドバトの羽を抜いた場所)も覗くことができた。また、隠し曲輪からは対岸でカラスの群れが水を跳ね上げて行水する様子も見られた。全体として双眼鏡の扱いに慣れて自主的に観察を楽しむ人が増えてきた.

アリスイを観察中の人に遭遇し、観察中の人に対してのマナーもレクチャーいただいた。トータルで(カワラバトを除いて)33種の野鳥を観察して無事に終了した。

松岡支部長から野鳥の会の紹介や、久下先生からのバードウォッチングツアーの紹介などで、講座以外での野鳥観察の機会を知ることが出来た。(T.U)

15期生1月19日講座報告

開催日2022年1月19日(水) 曇り
講座名化石入門
講師濱塚 博先生
場所きしわだ自然資料館、岸和田市立中央地区公民館(岸和田市)

講師は濱塚先生と渡邊先生の二人の予定であったが、渡邊先生の都合がつかず、濱塚先生お一人で担当して頂いた。

午前の座学では、話の初めにしぜん資料館の由来や岸和田の本徳寺に明智光秀の唯一の肖像画が残っていることなどの紹介があった。「地球の歴史」は46億年と言われているが、歴史を考える尺度は地層から見つかる「化石」をもとに編み出される。その「化石」とは生物の死骸や骨、翼や足跡などで「生物の進化」の時計代わりに使う事である。大陸から切り離され、日本列島の形成の様子や現在の大阪府で地形、地質を知る上で重要な場所等の説明を聞いた。

午後からは石膏を使って「化石のレプリカ作り」を先生の説明が終わってないのに始めるメンバーもいて、笑いながらの作業となった。レプリカの乾燥時間を利用して館内の展示物の紹介説明を受けた。1階は淡水の生き物をわかりやすく上流域・中流域・下流域やため池に分類して飼育している水槽や沢山の種類の「ウミウシ」が展示されていた。2階にはメイン展示の「ナウマンゾウ」「モササウルス」の骨格標本や「キシワダワニ(岸和田市内で発見された)」「マチカネワニ」のコーナーがあり、特に詳しい説明を受けた。「モササウルス」骨格の展示を常設しているのは日本ではきしわだ自然資料館だけだそうである。

その他に岸和田の山地・丘陵地の自然コーナーや3階には動物の剥製の展示されており今日は見学時間が無かったので機会があれば見学して下さい。最後に各自自作の化石レプリカと化石名カードを持って帰るのに自分のレプリカの化石名が分からずカード探しにバタバタしましたが、皆さんテイクアウトが出来ました。(T.U)

15期生1月12日講座報告

開催日2022年1月12日(水) 曇り
講座名環境施設見学
講師施設担当者
場所舞洲スラッジセンター(大阪市建設局)、舞洲工場(大阪広域環境施設組合)

今日は自然環境にやさしく私達の生活から出る下水やゴミを処理している施設の見学である。桜島から此花大橋を渡ると目立つ2つの建物が目に入る。環境保護芸術家として有名なオーストリアのフリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサー氏デザインによる外観の舞洲スラッジセンターと舞洲工場である。

舞洲スラッジセンターは、

  • 下水汚泥の効率的処理の為:汚泥焼却設備と汚泥脱水設備の改築・更新
  • 輸送方法をトラックからパイプで:下水汚泥の集中処理と送泥ネットワークの建設
  • 埋立処分から有効処理へ:埋戻し材、路盤材、コンクリート用骨材等の建設資材利用へ

へと、これら3つがめざすものである。汚泥処理は下水処理後の汚泥を脱水した汚泥ケーキを1,300℃~1,400℃で燃焼して約1/15の体積にして建設資材などに利用出来る溶融スラグにする。

舞洲工場は大阪市、八尾市、松原市、守口市で構成する焼却施設で焼却は1日900t、粗大ゴミ処理1日170tの処理能力がある。焼却に伴う焼却灰、ゴミにつきものの臭気、燃焼ガス、工場排水などをカサの減少や有効に供給利用、無害化処理、蒸気は舞洲スラッジセンターへ供給、工場内で再利用や発電に利用して工場の電力を自給し余った電力は売電するなど公害対策に取り組んでいる。

両施設とも処理能力が高く大阪に必要な施設ではあるが老朽化は避けることは出来ないので、施設を私達は食用油など流さない、水洗トイレにトイレットペーパー以外を流さない、川にゴミを捨てない、ゴミの分別や減量化などを心がけて守っていきましょう。(T.O)

15期生1月5日講座報告

開催日2022年1月5日(水) 晴れのち曇り
講座名春の里山観察と七草粥つくり
講師田淵 武夫先生(富田林の自然を守る会代表)、他、スタッフ2名
場所滝谷、奥の谷(富田林市)

2022年新春初講座は、たき火を囲んで、「春の七草」の講義から始まった。資料を見ながら、七草粥の由来や見分け方等を教わる。花の時期ではないので難しそうだ。大丈夫かな?周辺のあぜ道や小川など先生と一緒に歩き出す。するとすぐに「ほとけのざ」が見つかった。しかしその後は、籠いっぱい採取出来たが「はこべら」や「せり」がほとんどだ。最後にやっと「おぎょう」が見つかった。七草すべてを揃えるのは無理なので、事前に用意した七草も併せてお粥作り。スタッフが用意した竹飯盒の御飯と焼き芋も加わって、待ちに待った昼食だ。

熱々の緑野草たっぷりのお粥を食べた後は、竹を使った工作体験。コップ・ぐい飲み・スコップ・灯籠など・・・思い思いに作っていく。のこぎりで切り、ナイフで削り、サンドペーパーで美しく仕上げる。一番手の掛かる灯籠は、電動ドリルを使って!また、竹飯盒の空き容器はプランターに変身!それぞれ工夫を凝らして仕上げていく。完成した作品を前に、笑顔がこぼれる。今年はいい年になりそうだ!(Y.S)