18期生 12月3日講座報告
午前の講義は、「ミャクミャク」の目は何個ある?で始まった。鳥を知るのは観察が大切と、鳥類の特徴・見分けるコツを色々な側面で説明された。
①凄い「ものさしどり」:身近にいるスズメ・ムクドリ・キジバト・ハシボソガラスより大きいか・同じか・小 さいか。
②くちばしの形を見る。くちばしの形で食べ物が決まるので、見られる場所もわかる。
③歩き方も見てみよう。チョコチョコ歩き、ピョンピョン歩きなどを観察しよう。
④鳴き声も色々。日常的な鳴き声の「地鳴き」、繁殖期の「さえずり」。昔から鳴き声の特徴を「聞きなし」と表現し鳥に親しんできた。スマホで鳴き声を聞かせてもらい、楽しんだ。
⑤幼鳥・成鳥で羽の色が変わる、夏と冬でも色が変わるなど、難しいこともある。
などの説明の後、双眼鏡の使い方、図鑑の紹介、野鳥観察の注意事項で午前の部を終えた。
午後は大泉緑地に移動した。大泉池に着くとすぐに講師が空を見上げ、「オオタカが飛んでます」で観察会が始まった。講師より、池をゆっくりと見ることを勧められ、「よく潜っている鳥、潜らない鳥がいます。それぞれの鳥の行動の特徴をよく観察しましょう。」と30分程水面の野鳥を観察した。その後、潜らないのはヒドリガモ・ハシビロガモ、潜る鳥の大きいのはホシハジロ、小さいのはカイツブリとの説明があった。
それから落ち葉を踏みながら林の中に入り観察を続けた。鳥は見つからなかったが、講師が指さす木の上に小さな穴があり、キツツキの一種コゲラの巣の跡との説明があった。その後、別の池に移動し、よく泳ぐヒドリガモと比べるともたもたと泳ぐ鳥を観察した。この鳥はオオバンと言ってカモとは別の種との説明があった。この池でもじっくり観察の時間をとり、オオバン、バン、コガモなどを観察した。再度、林の中を歩き、講師が木の上を差し「ツグミがいます」との声で皆が見上げた。見つけた人、見つけられなかった人がいた。「ツグミは今は木に実があるので木の上にいるが、もう少しして木の実が地面に落ちると地面を歩き回ります」との説明を聞きながら、観察会を終えた。
午前の講義、午後の観察会とも、「鳥類入門」講座にふさわしく、分かりやすく、野鳥観察に興味を持てる知識を得ることができた講座であった。
最後に、講座スタッフ(野鳥部会員)が望遠カメラで撮った写真を添付します。(M.A)
講座の状況
視線の先には、カワウ・ヒドリガモ・カイツブリなど
木の上のツグミは何処に?
上:オオバン 左:頭上のトビ 右:コガモのメス
枯れ木に作ったコゲラの巣穴
18期生 11月26日講座報告
昨日の雨が上がり、薄曇りの奈良県庁前で説明を受け、観察会が始まった。今回は前年とは変わってコースを北エリア中心に巡るそうだ。先ずは歩道脇の桜の葉の観察。しかし人や自転車等が傍を通るのが気にかかり、早々と次に移動する。
しばらく歩くと最初の巨樹イチョウが目の前に現れた。黄葉が絨毯の様に広がり、頭上からはヒラヒラ舞い落ちる葉がとても綺麗で幸せな気分になった。「幹を触ってごらん」の先生の声に、手のひらを当てるとしっとりとして温かさが伝わり生命力の強さを感じた。
その後エノキ、スダジイ、ツバキ、イロハモミジ、イヌシデ、センダン等を観察しながらアラカシの木の下に。この木の下で輪になって眺めると、枝は高い所からしか出ていない。何故?下の枝は鹿の食害でこの姿になった聞き、なるほど納得だ。
東大寺近くの鐘楼のある場所で昼食を済ませ、杉の巨樹の観察。幹周りを計測すると5.38mこの近くでは1番大きいそうだ。ムクロジの観察では複葉の葉の説明を受けて丸い実を受け取る。中の種は数珠に使われ、皮は石鹸代わりになるそうだ。ここでペットボトルを使って石鹸の実験。水とムクロジの皮を入れて振ると泡立ってくる。面白い!液体洗剤の出来上がりです。
大きなムクノキやセンダン等を観察しながら最後は東屋での言葉遊び。配られた文字カードで作られた文は?「晴の日には葉をひろげ」「雨の日には根をのばし」「曇の日には枝をのばし」の三つだった。この言葉のように、休むことなく一生懸命生きている巨樹達に元気を貰い、秋色の奈良公園での観察会は無事終了。お疲れ様でした。 (Y.S)
黄葉の絨毯の上は人も鹿も気持ち良さそう!
上:幹に手をあてて!これって温かいのなかな? 下:この辺りを測るのですか? 3.31mです。
18期生 11月5日講座報告
午前の講義は、生物多様性の話から始められた。生物多様性とその周りの水・空気・土壌などを加えた生態系に生き物が存在し、私たちもその一部であり、生態系から多くの恩恵(生態系サービス)を受けていることを知って欲しい。その生物多様性が過去50年間損失し続けている。開発の危機、外来種・化学物質などによる危機、気象変動などによる危機と自然に対する働きかけの縮小による危機というものがある。
人口流出・高齢化により「里地里山」の荒廃が進み、里山の奥山化が進み、森は豊かになり動物の種類によっては増えているものもいる。一方、里地里山を好む動物は減っている。
人の暮らす場所と野生動物の暮らす場所(奥山)の「緩衝地帯」の里山がなくなり、増えすぎたシカ、イノシシ、サル、クマによる農業被害・人的被害が起きている。また、ペットが野生化したアライグマによる被害のような事例もある。
人の近くで成長し、容易にエサが食べられることを知り、人を怖がらない「新世代」の野生動物が登場してきている。この原因はほとんど人にあることを心して欲しいとの話に、改めて里山保全の必要性を感じた。
講義の後半は、大阪府で記録のある哺乳類は約40種との説明で始まった。イノシシ、ニホンザル、キツネ、タヌキ、テン、二ホンイタチ、ノウサギ、二ホンリス、ネズミ、ヒミズ・モグラなど多くの野生動物の生息数の現状、行動形態、何を食べるかなどの説明があり、興味深く聴いた。
午後のフィールド観察に向けて、「フィールドサインの読み方」の説明を受けた
・動物の「生活の痕跡」を探すこと。「のぞかせてもらう」という気持ちで。
・「3大フィールドサイン」は足跡、食痕(植物・動物を食べた痕跡)、糞
他に、爪痕、角とぎ跡、ぬた場、泊り場、巣など
続けて、シカの足跡、ササを食べた跡、糞の形を始め、多くの動物の事例を豊富な映像で紹介された。また、イタチやテンは目立つところに糞をして縄張りを主張している(サインポストという)などを聴いた。講義の最後に赤木先生の観察ノート(フィールドノート)を見せて頂き、綿密な記録と細かく美しいスケッチに感動した。先生から「皆さんも挑戦してみて!」。
午後は近くの長野公園に出かけた。公園の入り口で、フィールドサインを探すには、
・動物の気持ちになって、歩くこと。・周りとは「何か違う」異質なものを探すこと。
と説明を聞いて歩き始めた。
(写真1)早速、コケが不自然に剝がれているのを見つけた。イノシシがコケを剥いでミミズを探した跡と思う。夜にここへ来れば、イノシシに会うかもしれない。
(写真2)公園の隅のベンチの上で糞を見つけた。おそらくイタチの糞。このように目立つ所にあり、サインポストと言い、イタチが縄張りを主張している。
(写真3)不自然に土が掘られている。イノシシがミミズを探して掘り返した跡。
(写真4)土が不自然に盛り上がっている。モグラがエサを探してトンネルを掘ったあと。
公園を巡った後、東屋で先生が持参されしたイノシシの顎骨、メジロ、ノゴマのはく製等を観察し、講座を終えた。 (M.A)
写真3
写真4
上:イノシシの顎骨 左:メジロ 右:ノゴマ(雄)
18期生 10月8日講座報告
今回は四條畷市の山間部にある『むろいけ園地』に行った。四条畷駅からバスで坂道を行き園地に着くと、4人の講師(ガイド)の出迎えを受けた。園内観察の説明、ストレッチを行い、3グループに分かれて園内観察ウォークを開始した。
ヌスビトハギとアレチヌスビトハギの違い、ミズヒキの花は赤い花弁2枚・白い花弁2枚で出来ているなどの説明に聞きながら観察し、湿生花薗に来た。ここは『むろいけ園地』のメインの観察場所とのことで、ミゾソバ(ウシノヒタイ)、ツリフネソウ、ミズトラノオ、キセルアザミなど湿地に育つ草花の紹介があった。サクラタデの可憐な花も観察できた。ヒヨドリバナの観察中にアサギマダラという蝶が飛んできて、見ることができたグループでは歓声が上がった。また、ツリフネソウの実を触るとばね仕掛けで飛ばすと聞き、しばしこの遊びに興じた。
湿地帯を抜けると山道に入った。ここではアケボノシュスランの群生地に案内された。群生しているのは非常に珍しいとのことで、公園でも大事に保護している様子が伺えた。途中でヤマナメクジという奇妙な生物に出会った。モミジの並木を通り『森の工作館』(事務所棟)に戻った。
昼食後、『工作館』で「人と自然公園のつながり」の講座を聴いた。大阪平野を取り囲む山の金剛生駒紀泉国定公園の中にこの公園があること。大阪府の府政100周年を期に1967~1978年に自然保護のため8カ所の公園がつくられたこと。自然公園の役割は災害防止・水源確保・気候の緩和、人が楽しみ・学び・癒される場所、生物多様性保全などの説明もあった。最後に自然公園の問題になっていることとして、観光客の増加、ごみ問題、開発圧力、外来種の侵入の説明があった。
暑さの残る日に遠方まで出かけた講座であったが、有意義な一日であった。 (M.A)
上:湿性花園での観察 左:講師陣との顔合わせ 右:森の工作館での講義風景
上:ツリフネソウ 左:ミゾソバ 右:キセルアザミ
上:サクラタデ 左:ヌスビトハギ 右:アケボノシュスラン
ヤマナメクジ 左が頭 体長は約15㎝
18期生9月24日講座報告
「磯の生物観察」講座は例年岬町の豊国崎で生き物採集を行っていたが禁止になったので長松海岸での生物観察となった。
座学は人の手が加えられた海岸が多くを占めて自然海岸が少なくなった大阪湾の現状や環境の変化による影響と磯で観察をする時のポイント、注意点、生息している生き物の種類などをスライドを使っての説明で分かりやすい講義でした。
午後は潮溜まり、岩礁、波打ち際などで、お喋りをしながら探す人、ジッと海中の生き物を探す人、せっせと石をひっくり返して探す人、それぞれのスタイルで磯の生物採集を楽しんだ。採集した生物を海藻と動物に分けてさらに動物を節足動物、軟体動物などに分けて山田先生から同定や個々の生き物の特徴を講義して頂いた。
カメノテ
節足動物でエビやカニと同様の甲殻類である。潮が満ちてくると殻の頂きからつる脚(黒色)を出してプランクトンを食べる。岩礁に付着後は移動できない。
ヒザラガイ
軟体動物で多板類 背面に一列に並んだ8枚の殻を持っている。歯舌が発達しており磁鉄鉱で出来た歯を持っている。この歯は磁石に着くそうです。
今日はそれぞれの実物を見ることが出来たがクラゲやウニ、ヒトデが採集出来なくてチョット残念!でもさほど暑くなく、潮風に吹かれて磯遊び?が出来ました。
(T.O)
座学と採集風景
ヒザラガイの表面と裏面の口と触手状突起
カメノテと蔓脚
珍しいイッカクガニ
18期生9月17日講座報告
昨年に引き続き本講座を高校・大学の地学・物理の先生で気象予報士の實本先生にお願いした。大気の中の水蒸気の状態変化、太陽からもたらされる無償のエネルギーの地球規模での収支、それらにより地球規模で大気の循環が発生し、気象変動を引き起こすことを学んだ。講義は難しく質問も多くあったが、講座の最後の世界気象機構で定めている「十種雲形」の説明で、講義が身近に感じた。
午後は暑い屋外で観察会を行った。ハンディな計測器で気温は34~35℃、風力は0.4~3m/秒であった。青空に浮かぶ雲は雨をもたらさない(好天)積雲と知った。また、「虹をつくろう」実験では霧吹きで霧を出し、霧を多く集めると虹を見ることができ、大納得。
部屋に戻り、気象現象に関する実験を行った。最初に「霧発生」の実験。ペットボトルにフィズキーパーという栓を付け、空気を目いっぱい詰め込み、栓を開放するとボトル内が真っ白に。これが霧(雲)ができる原理。次に「浮沈子」の実験。ペットボトルの中に浮かんだ「魚型のしょうゆ入れ」が沈んだり、また浮かび上がったり。手品のような実験に大興奮。最後は、「二酸化炭素の溶解」の実験。温水・常温水・冷水を半分ほど入れたペットボトルに炭酸ガスを充填し、ペットボトルを振ると3つのペットボトルの変形に大きな差が出来た。変形が大きいほど炭酸ガスが水に吸収されている。温水は炭酸ガスの吸収が少ない、これが地球温暖化の1つの要因とのこと。これらの実験はすべて百均とホームセンターで手に入るもので出来るのがすごい。
講義は難しかったが、実験はおもしろく、充実した講座でした。(M.A)
講座風景
実験③左より、温水・常温水・冷水 変形が大きい程、ガスが水に吸収されている
実験①ペットボトルの中に霧(雲)が出来ました
雲は好天「積雲」
ハンディ計測器で35℃ 今日も猛暑日
虹が出来ました わかるかな
実験②ペットボトルの中に魚型しょうゆ入れが浮かんでいます
アラ!不思議 ペットボトルを握ると魚が沈みます